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ホンネ(HONNE)と語る日本・『WOACN』・UKシーン:来日直前インタビュー&プレイリスト



 いよいよ11月に来日公演を行うUKの新生エレクトロ・ポップ・デュオ、ホンネ(HONNE)。今年7月にはデビューアルバム『Warm on a Cold Night』を本国リリースし、新人ならが全英チャートに作品を送り出した。特にその楽曲=ソングの完成度は素晴らしく、ジェイムス・ブレイクやライ以降とも言えそうな、そのモダンなプロダクションに流されない、バンドの個性を強調している。モダンかつソウルフルな21世紀のUKシティ・ミュージック。そんなサウンドを奏でる2人にメールで話を聞いた。

ホンネと語る日本・『WOACN』・UKシーン

――バンド名のHONNEが日本語から取っているのは有名ですが、日本に滞在していたことはあるんでしょうか?

アンディー:日本との繋がりを作ったのは僕だ。僕の友達の多くが日本に訪れたことがあるんだけど、誰もがみんな口を揃えて、日本はとてつもなく素晴らしい国だって言うんだ。チャンスさえあれば、移住するってまで言うほどだよ。それを聞いたらすごく興味が沸いて、休暇で数週間、日本を訪れたんだ。そしたら案の定、この国が大好きになっちゃったんだよ。人々や文化、食べ物から美しさまで、日本のすべてに恋をしちゃった。

 その後、彼女が東京で半年間働くことになったから、彼女と一緒に僕も2ヶ月間、東京で暮らしたことがあるんだ。ちょうどその頃、ジェイムスが“ホンネ”という言葉と出会ったんだよ。それよりも前から僕達は音楽を始めていて、心のこもったパーソナルな歌詞とかソウルフルなミュージックを書き溜めていたんだけど、僕達の音楽性とここまでぴったり合う言葉に出会えるとは思いもしなかった。

――あなた達のアートワークにも、日本語が頻繁に登場しますが、あなた達にとって日本語、あるいは日本という国は、どんなイメージを抱かせるのでしょうか?

アンディー:日本で売られているCDには日本語が書かれたオビが付いてくるけど、僕達はそのオビとかジャケットが凄く好きなんだ。東京の夜のキラキラした感じとか、他には綺麗な場所も思い浮かべるけど、それらも大好きだ。「サムワン・ザット・ラヴズ・ユー」のミュージックビデオは実際に東京で撮影されたんだよ。僕達が手掛けていたとしても同じようなビジュアルになってたと思う! 来日したら、どこか良い場所で写真を撮りにいかなくちゃね!

――「サムワン・ザット・ラヴズ・ユー」で共演したイジー・ビズは来年、ビルボードライブのステージに立つんです。

ジェイムス:うん、それ聞いたよ! 彼女と一緒に音楽を作ることが出来て、心から嬉しく思う。ツイッターでのコメントがきっかけで、その後すぐに彼女がちょうど僕達のスタジオの近くにいるって知ったんだ。1日でこの曲の大半を書き上げたよ。イジーはとても才能豊かで、素敵な声をしていて、面白くて、それでいて謙虚な子なんだ。


▲HONNE & Izzy Bizu - Someone That Loves You

――あなた達のアートワークやミュージックビデオからはミステリアスな印象も受けますが、これは意図したものでしょうか?

アンディー:多少そうだと言えるね。というのも、自分たちの顔をリリースするものすべてに載せたくなかったんだ。良いミュージックビデオは、その数分間で、観る人をその作品に出てくるキャラクターたちの世界や、違う次元に引き込むことができる。僕はそういう作品のほうが自分たちの音楽に合っていると思うんだ。

――先日、アルバム『Warm On A Cold Night/寒い夜の暖かさ~ウォーム・オン・ア・コールド・ナイト~』がリリースされました。いま振り返ってあなた達にとってどのような作品になったと思いますか?


▲アルバム・ジャケット

ジェイムス:遂にこの日を迎えることが出来て幸せだよ。この作品は、ここ数年間の僕ら自身をまとめたスナップショットで、作品自体とても誇りに思っている。でも、僕達は音楽を作るのが大好きだから、もう気持ちは次作に向かっているし、制作の過程で得られる束縛のない自由な感じが待ちきれない。気持ちのいいもので、創造的に掻き立てられるんだ。

――アルバムはエレクトロニックなプロダクションと、ソウルのフィーリングのある歌の融合が印象的なアルバムでした。このようなサウンドに辿り着くまでに、どんな経緯があったのでしょうか?

ジェイムス:アンディーと僕は聴いていて心地よいボーカルに力を込めてきた。僕らの音楽の要として、ボーカルを際立たせたかったんだ。もうひとつ、プロダクションを省いても、曲がしっかり曲として生きることにもこだわったんだ。ピアノとボーカルだけで演奏しなくちゃいけない場合でも、素晴らしい曲にするためにね。エレクトロニックな面で言えば、アパラットやジェイムス・ブレイク、ライ、Inc.といったアーティストから影響を受けてきた。でも、決して“誰か”みたいな音楽が作りたくなかったから、自分達のオリジナルのサウンドを作り上げようと追及したおかげで、見事それを実現させることが出来たのかなって思う。


▲Apparat - Candil De La Calle (MTV Live Session)

――アルバムで、打ち込みと生演奏の割合はどのくらいバランスなのでしょうか?

ジェイムス:僕達二人ともギター、ベース、ドラムにキーボードを弾くから、今作のほとんどを打ち込みより生演奏にしたかったんだ。プログラミングされているのはドラムくらいで、このドラムもドラムマシーンのタッチパッドで作られたものなんだよ。シンセサイザー、エレクトリック・ピアノ、ピアノ、ベース、ギターらの楽器は全部僕とアンディーがプレイした。次作にはドラム生演奏を入れようって話しているところなんだよ。

――アルバム・タイトルの『Warm On A Cold Night』は、Warm=人間味のあるソウルフルな歌、Cold=現代的なプロダクション、つまりあなた達自身の音楽性を表しているのかな、と思いました。

ジェイムス:僕らの中では、心に浮かび上がる感情とその風景を表す一文だと思っている。肌寒い夜に暖を取るように寄り添いあう二人、なんていい感じだよね。

――その他に、アルバムを作る上で特に苦労した点があったら教えて下さい。

ジェイムス:一番の苦労はアルバムにどの曲を入れるか決めることだった。このアルバムを完成させるのに2年以上費やしたんだけど、アーティストによくあるのが完成させたばかりの曲に一番興奮しちゃうってこと。その曲を書いた時の心情をきちんと思い出して、それを基準にしなくちゃいけないってことを忘れちゃいけないんだよ!


▲HONNE - WARM ON A COLD NIGHT | A COLORS SHOW

――現在のUKの音楽シーンに関しての見解を教えて下さい。外からは、ロック・バンドが元気が無い一方、それ以外の音楽、ソウルやグライムからは、優れた作品が多く出てきているように見えますがいかがでしょうか?

ジェイムス:その通り。でも、新しいロック・バンドは次々と出てきてはいるけどね。ヴァントっていう僕の友人がプレイするバンドなんかが、そのいい例だよ。確か、彼らは今年の【FUJI ROCK FESTIVAL】に出演したよね。

 ポップ・ミュージックに加えて、エレクトロ・ミュージックやグライム・シーンから良いアーティストがたくさん出てきてるよね。MURA MASA、Nao、ストームジー、ジャック・ガラットとかさ。今、UKミュージックの波が来てると思うな。

――他に共感するアーティストはいますか?

ジェイムス:今、僕達すごくチャンス・ザ・ラッパーにハマっているんだ。彼のアルバム『Coloring Book』は最高だよ。フランク・オーシャンの『Blonde』も最高だよね。それに新作をリリースしたばかりのボン・イヴェールも好きだ。この3枚は今年のベスト・アルバムだね。聴いててワクワクしちゃうよ。


▲Chance the Rapper - Blessings (Reprise) (Live)

――さて、いよいよ来日ライブですが、ライブはどんな感じになるのでしょう? バンドを従えてのライブになるんですよね?

アンディー:すっっっごい楽しみにしてるんだよ!これ以上楽しみにできないってくらい。アルバムはクールでリラックスな雰囲気だけど、ライブは打って変わってエネルギー満載のショーになる。ドラマー、ベーシスト、バックコーラスの素晴らしいバンドメンバーがいるんだけど、彼らのおかげで音楽がより活気づくんだ。

――もし、ライブに来るファンにリクエストしたいことがあったら教えて下さい。

アンディー:一緒に歌ったり、音楽に合わせて手を叩いたり、踊ったりしてほしいし、僕らもそれが大好きなんだ。ファンにはライブに来て一緒に楽しい時間を過ごしてもらいたい。ちょっとしたパーティーになるかな。

――では最後に、日本に来た時にしたいことを教えて下さい。ちょうど日本は紅葉の季節なので、それを観るのも楽しいかも知れませんね。

アンディー:いいね!それじゃあ、紅葉を見てみるよ。それと、2日間くらい日本食だけを食べてみようと思っていて、それがすごく楽しみだよ。ロンドンでラーメンや寿司をよく食べるんだけど、日本で食べるものとは比較にならないみたいだね。あと、色んなところに観光に行きたいとも思ってるんだ!


プレイリスト:ホンネが選ぶ9曲+1曲

HONNE Video Message for Billboard Live Tour 2016


ホンネ「寒い夜の暖かさ~ウォーム・オン・ア・コールド・ナイト~」

寒い夜の暖かさ~ウォーム・オン・ア・コールド・ナイト~

2016/11/09 RELEASE
WPCR-17224 ¥ 2,178(税込)

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Disc01
  1. 01.ウォーム・オン・ア・コールド・ナイト
  2. 02.ティル・ジ・イヴニング
  3. 03.サムワン・ザット・ラヴズ・ユー
  4. 04.オール・イン・ザ・ヴァリュー
  5. 05.トリート・ユー・ライト
  6. 06.アウト・オブ・マイ・コントロール
  7. 07.コースタル・ラヴ
  8. 08.イット・エイント・ロング・ラヴィング・ユー
  9. 09.ザ・ナイト
  10. 10.グッド・トゥゲザー
  11. 11.ワン・アット・ア・タイム・プリーズ
  12. 12.エフ・エイチ・ケー・ディー
  13. 13.テイク・ユー・ハイ
  14. 14.ベイビー・ユーアー・バッド
  15. 15.ゴーン・アー・ザ・デイズ
  16. 16.スリー・エイエム
  17. 17.ウォーム・オン・ア・コールド・ナイト (日本語ヴァージョン) (日本盤限定ボーナス・トラック)