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メイヤー・ホーソーン来日記念特集&インタビュー~モダン・ソウル界のニューヒーローはどこへ向かうのか?

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 タキシード(Tuxedo)としての活躍も記憶に新しいブルー・アイド・ソウル・シンガー、メイヤー・ホーソーンが3年ぶりのソロ・アルバムをひっさげ8月に来日する。シンガーソングライター、プロデューサー、DJなど、マルチな才能で現在のソウル・ミュージック界をリードするトップスターの魅力を6つのキーワードから紐解きたい。

 さらに次ページではメイヤーから届いた最新インタビューを掲載。4月リリースの『マン・アバウト・タウン』から、先日発表したプリンスのトリビュート・ミックスまで、様々な質問に応えて貰った。来日に向けてこちらもぜひチェックしよう。

キーワード1:デトロイト

 1979年生まれの37歳。アメリカ・ミシガン州デトロイト郊外にあるアナーバーで育ったホーソーンは、幼少の頃から父のレコード・コレクションに興味を持つような、少々マニアックな音楽青年だったという。ミシガン州デトロイトといえば、かの名門レーベル[モータウン]発祥の地。ホーソーンは、モータウンの顔であり地元を代表するシンガーであったスモーキー・ロビンソンを筆頭に、地元のソウル・ミュージックに大きな影響を受けたと語っており、モータウン・サウンドは彼の楽曲制作において最大基盤となっているのは間違いない。なお、彼のステージネームである「ホーソーン」は、地元のストリート名からとったものだそうで、そのエピソードからも地元への愛情の深さを感じ取ることができる。

キーワード2:ストーンズ・スロウ


CD
▲『A Strange Arrangement』

 デトロイトのヒップホップシーンを拠点に活動を続けていたホーソーンにとって、最初の転機となったのがロサンゼルスへの移住。そこで西海岸のヒップホップ・シーンで絶大な人気を誇るインディー・レーベル[ストーンズ・スロウ・レコーズ]の主宰ピーナッツ・バター・ウルフと出会い、2009年に同レーベルから1stアルバム『A Strange Arrangement』を発表する。とはいえ、そこに至るまでのストーリーは、必ずしも彼の思い描いていたものではなかったようだ。当時ホーソーンがピーナッツ・バター・ウルフに渡したデモテープは、彼のやりたかった音楽=ヒップホップ。しかし、ピーナッツ・バター・ウルフはデモ曲そのものではなく、サンプリングネタに使っていたオリジナル曲のクオリティーの高さに目をつけ、ホーソーンにソウル・シンガーとしてのデビューすることを強くすすめたのだ。あまり乗り気ではなかったというホーソーンとは裏腹に、彼の音楽知識とセンス、そしてソウル・ミュージックへの敬愛がたっぷり詰まった1stアルバム『A Strange Arrangement』は、シーンで高い評価を受けることになった。西海岸ヒップホップ界の重鎮スヌープ・ドッグを筆頭に、カニエ・ウエスト、ジャイルス・ピーターソン、マーク・ロンソンらトップ・アーティストからの賛辞を追い風に、彼の評判が一気にシーンを駆け巡った。

キーワード3:ブルー・アイド・ソウル

 R&BやAORが好きな人にとってはおなじみの言葉だが、若いロック・リスナーにとってはイマイチなじみのない言葉かもしれない。簡単に説明すると、いわゆる「ブラック・ミュージック」といわれるR&Bやソウル・ミュージックを基盤とした白人音楽のことで、60年代以降、ポップ・ミュージックにおけるひとつのジャンルとして定着している。モータウン・サウンドを筆頭とするソウル・ミュージックの影響をダイレクトに受けているホーソーンは、まさにその系譜を未来へと伝える「ブルー・アイド・ソウル」の継承者となるわけだが、彼の場合それだけではない。

 マイケル・マクドナルドやホール&オーツ、ボビー・コールドウェルなど70~80年代を代表するブルー・アイド・ソウル・シンガーたちの影響もダイレクトに受けている。ホーソーンの音楽を表現するキャッチコピーのひとつに「時空を超える」というフレーズがあるが、まさにその通りだと思う。60年代のデトロイトから70年代のウエスト・コースト、そして現在のクラブまでを自由自在に行き来出来る、それが彼のサウンドの魅力なのだ。




 2015年には、ボビー・コールドウェルとジャック・スプラッシュによる新プロジェクト、クール・アンクル(Cool Uncle)の新曲「Game Over」にゲスト参加。ボビー・コールドウェルとの共演を果たしている。

キーワード4:黒縁メガネ

CD
▲『ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ』

 4つめのキーワードは、デビュー当初からのトレードマークである「メガネ」。これまでにストーンズ・スロウが輩出してきたアーティストと一線を画す「黒縁メガネ×スーツ×スニーカー」というナードなルックスは、クラシカルでありながらクラブ・シーンにも通用する要素を兼ね備えた彼の音楽を、より多くのリスナーに印象づけるものだった。メジャー移籍作となった2ndアルバム『ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ』のジャケットでも黒縁メガネを全面に押し出しているホーソーンだが、実際、ライブでの彼の着こなしや立ち振る舞いはいたってイマドキ、オシャレでフレンドリーな西海岸のお兄さんといった印象だ。

CD
▲『ホエア・ダズ・ディス
・ドア・ゴー』

 3作目『Where Does This Door Go』以降、トレードマークの黒縁メガネを外したりサングラスを着用したりといったルックスの変化が見られるようになったことを考えると、デビュー当初の彼のファッションは、音楽とのギャップを確信犯的に演出する高度な戦略だったのだろう。とはいえ、現在も彼のステージ・ファッションはシャツ/スーツ・スタイルが基本。今回の来日公演はどんなファッションで登場するのか、ぜひ注目して欲しい。



キーワード5:タキシード



CD
▲『Tuxedo』

 ここ最近の彼の活動を語るうえで、タキシード(Tuxedo)としての活躍に触れないわけにはいかないだろう。ホーソーンは、現在のヒップホップ・シーンを代表する敏腕プロデューサー、ジェイク・ワンとともにタキシードとして古巣ストーンズ・スロウより『Tuxedo』を発表。80年代のディスコ・サウンドをベースにした彼らのサウンドは、ファレルやマーク・ロンソンらが火付け役となったディスコ・ファンク再評価の流れもあり、「2015年のマスター・ピース」「現代版ディスコ・ブギー」などと日本でも大きな注目を集め、【SUMMER SONIC 2015】への出演や某人気俳優がTVでファンを公言するなど、一大旋風を巻き起こした。タキシード人気により、ホーソーンがそれ以前に発表した3枚のソロ作も再評価されることになったことは言うまでもない。

キーワード6:新作



CD
▲『マン・アバウト・タウン』

 2015年はタキシードとしての活動をメインにおこなってきたホーソーンだが、今年4月に3年ぶりとなるソロ・アルバム『マン・アバウト・タウン』を発表、今夏には同作をひっさげて単独来日公演をおこなう予定だ。今作もモータウン・サウンドはもちろん、フィリー・ソウル直系ナンバーやタキシードからの流れともいうべき80年代ディスコ風ナンバーなど、彼の膨大なレコードコレクションの一部、もしくは彼の頭の中をチラリと覗き見しているような感覚にさせられる、多種多様な音楽要素が散りばめられている。最新アルバムはもちろん、過去のソロ作品もこれからの季節にちょうどいい。もちろんライブでも、新旧アルバムからのナンバーが飛び出すだろう。スタイリッシュでスウィートな「時空を超える」ソウル・レビューを、ぜひこの夏、体感してみては?

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メイヤー・ホーソーン最新インタビュー
ヒップホップ生まれ、ソウル経由。稀代のモダン・ソウル・スターはどこへ向かうのか?

--来日まで残りわずかです。すでに何回も日本に来られていますが、今回の来日で楽しみにしていることはありますか?


メイヤー・ホーソーン:ディスク・ユニオンやHMVへ、レコード探しの旅に出かけようと思ってるよ。あと一蘭でラーメンも食べたいね!

--新作の「Love Like That」や「Cosmic Love」のMVはシュールなコメディ風の探偵物の映画のようになっていて、とても面白かったです。こうしたアイデアはどこから来たのでしょうか?


メイヤー・ホーソーン:僕は『チャイナタウン』や『ブレードランナー』のような“フィルム・ノワール”映画や、『ビッグ・リボウスキ』のようなコメディ映画が大好きで、今回、従来のMVにはない、一風変わったビデオを作りたいと思ったんだ。新作『マン・アバウト・タウン』は聴いていて楽しい作品に仕上がっているけど、歌詞は結構深くて暗い内容になんだ。歌詞に出てくる女性(僕の元カノ達さ)をノワール作品にはかかせないファム・ファタール(魔性の女)と結び付けたんだ。僕のチームにビデオ三部作を撮ろうと話を持ちかけた時は、気が狂ったんじゃないかって思われたよ。制作は大がかりな作業が必要だったけれど、すごく楽しかったね。


▲Mayer Hawthorne「Love Like That」(MV)

--あなたはよくクラシックなスーツやタキシードでステージやビデオに登場しますが、何か元ネタやインスピレーションはあるのですか?


メイヤー・ホーソーン:自分のこのスタイルはクラシック・ソウルの歌手達から影響を受けたと言えると思う。デルフォニックスやテンプテーションズ、セルジュ・ゲンスブールといったアーティストの、レコードの裏面に写った彼らの姿にね。でも一番のインスピレーションは僕の祖母のリタかな。彼女から「派手でもクラシカルであるように」と教えられながら育ったんだ。自分の感性に従い、常に人とは違うことするように。でも少しお高くとまったクラッシーなテイストも残すようにってね。

--新作『マン・アバウト・タウン』は、歌モノのポップスという意味で、ソングライティングもプロダクションやアレンジも、これまで以上に幅広いスタイルに取り組んだ作品だと思いました。制作過程はいかがでしたか?


メイヤー・ホーソーン:今作では全面セルフ・プロデュースのスタイルに戻ったんだ。ミキシングもマスタリングも全部自分でやったし、楽器もほとんど自分で弾いたね。ローランドCR-78 やTR808といったリズムボックスに心を奪われて、新作の収録曲のほとんどでこれらの機材がメインで使用されているんだ。

--新作ではギターが多く使われていたのも印象的でした。


メイヤー・ホーソーン:ギターを弾き始めたのはここ2、3年だから、僕が弾ける楽器の中で一番下手くそなんだ。でもすごく力を入れてきたし、アルバムでのギター演奏には満足しているよ! 今は弾いていてすごく楽しいけど、昔は自分がギターを弾くなんて考えもしなかったな。

--「ポップスの歴史に影響を受けつつ、それをモダンなものにする」というコンセプトはあなたの作品にも当てはまりますか?


メイヤー・ホーソーン:僕はそういう風に考えて音楽を作ることは無いね。僕はただ自分が聴いて好きなものを作っているだけ。雰囲気やその曲のストーリーによってリスナーの心を僕の音楽の世界に引っ張り込むことにポイントを置いているんだ。アイス・キューブやスマッシング・パンプキンズといった、僕が実際に聴いて育った90年代のヒップホップやロックが、僕の音楽作りに影響を与えていると思うよ。

--いまお気に入りの作品があったら教えてください。


メイヤー・ホーソーン:アンダーソン・パックの「Am I Wrong Feat. スクールボーイ・Q」が最近のお気に入りソングだね。


▲Anderson .Paak「Am I Wrong (feat. ScHoolboy Q)」

--先日、プリンスのトリビュート・ミックスを発表されていました。意図せずロンドンのDJ中に出来たとのことですが、その経緯を詳しく教えて貰えますか?


メイヤー・ホーソーン:プリンスはたぶん僕が一番好きなアーティストだね。彼が亡くなってから多くのミックス・テープがリリースされたから、もう要らないだろうって思ってた。でも、DJプレイではいつも彼の曲を流していたから、僕が好きなプリンスの曲をまとめてプレイした時のDJセットを公開したんだ。

--プリンスは多くの変化を遂げ自分の限界に挑戦したアーティストです。そして、あなたもまたヒップホップのシーンからキャリアをスタートし、プロデューサー/シンガーへと転身を遂げてきました。アーティストとして変化をし続けることに何らかの使命感や強迫観念はありますか?


メイヤー・ホーソーン:僕は常に新しいものに挑戦しようと心がけている。振りかえるのではなく、前に進むことが大切なんだ。正直、最初から同じタイプの音楽を作り続けていたら、商業的にはもっと成功していたんじゃないかとも思う。でも、僕は移り気で衝動的で、何かにすぐ手を出す性格だから、落ち着くことなんて出来ないんだよね。


--タキシードでの成功は新作に何らかの影響を与えたと思いますか?


メイヤー・ホーソーン:タキシード効果は本当に凄いね! もともと日本が好きで、いつか日本でも成功出来たら良いなってずっと思ってたけど、(タキシードの前は)残念ながらそこまで知名度は上がらなかった。でも、タキシードでついにその念願が叶って、日本の多くのオーディエンスと触れ合える機会に恵まれたんだ。タキシードのおかげで、前よりも多くの人が僕のソロ作品を聞いてくれるっていうのは、クールだよね。

--現在、タキシードの新作に取り掛かっているそうですが、現時点で、どんな作品になりそうですか?


メイヤー・ホーソーン:僕の口から今言えるのは、もうすぐ出るってことと、FUNKYな作品になるってことだけだね!

メイヤー・ホーソーン「マン・アバウト・タウン」

マン・アバウト・タウン

2016/04/08 RELEASE
VICP-65382 ¥ 2,376(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.マン・アバウト・タウン
  2. 02.コズミック・ラヴ
  3. 03.ブック・オブ・ブロークン・ハーツ
  4. 04.ブレックファスト・イン・ベッド
  5. 05.ランジェリー&キャンドルワックス
  6. 06.ファンシー・クロウズ
  7. 07.ザ・ヴァレイ
  8. 08.ラヴ・ライク・ザット
  9. 09.ゲット・ユー・バック
  10. 10.アウト・オブ・ポケット
  11. 11.ラヴ・ライク・ザット 〔タキシード・リファックス〕 (日本盤ボーナス・トラック)

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