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【再掲】ケンドリックも魅了する現代最高峰プロデューサー、テラス・マーティン 来日インタビュー&プレイリスト

テラス・マーティン インタビュー

 6月に初来日を果たした現代最高峰プロデューサー/マルチ・プレーヤー、テラス・マーティン。地元のジャズ・コミュニティでカマシ・ワシントンらと交流するかたわら、ドクター・ドレー、スヌープ・ドッグらに重用され、プロデューサーとしてもキャリアを築いていく。近年では、ケンドリック・ラマーの話題作『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』のプロデューサーを務め、現在ハービー・ハンコックの新作をレコーディングを行っている彼。また今年、盟友ロバート・グラスパーやサンダーキャットをはじめ、エモーションズらも参加したソロ作『ベルベット・ポートレイツ』も発表している。ジャズからヒップホップまで、様々な音楽に造詣が深いテラスに、新作や7月に来日を果たすロバート、さらには注目するアーティストについて話を訊いた。インタビューの最後には、話題にあがった楽曲や手掛けた楽曲のプレイリストも。

自分の音楽のことを、ソウルというかソウルフルって呼んでる

−−日本に来るのは初めてですか?

テラス・マーティン:初めてだよ。また絶対に戻ってきて、もっと長く滞在したいと思ってる。日本食を食べたり、ローカル・ミュージシャンとセッションしたりね。というか、9月にまた来る予定なんだ。ハービー・ハンコックと一緒に。その時は、5日間くらい滞在する予定かな。

−−『ベルベット・ポートレイツ』はジャズとヒップホップ、そしてソウル・ミュージックが見事にミックスされた作品でした。このアルバムはあなた自身の“ポートレイト”ということで間違いない?

テラス:その通り、自分自身のポートレイトと言えるね。色んな違った要素を織り交ぜて一つの作品に仕上げている。だから俺は自分の音楽のことを、ソウルというかソウルフルって呼んでるんだ。様々な作品から影響を受けてるからね。

−−今作は、過去の作品に比べ、パーソナルな感じがします。

テラス:確かにパーソナルなアルバムになったと思うよ。今までとは違ったサウンドに挑戦してみようと思っていて、制作にあたってこれまでとは異なるエネルギーを取り込んでいる。一度作ったような作品は作りたくないし、前進するのみって感じだ。

−−タイトルに込めた意味は?ベルベットというと、その“テクスチャー”が連想されますが。

テラス:あぁ、そのテクスチャー(質感/触り心地)のことだ。ヴェルベットという言葉の意味に含まれているテクスチャーのすべて-スムーズで、シルキーで、セクシーで、ベルベットそのものってかんじ。誰かが与えてくれた特別なアートの一部みたいな。だから俺も同じようなものをアルバムを聴いてくれる人に与えたいと思ってる。そんな風に、特別なものを、色んな人に与えることが好きなんだ。

−−正直、もっとヒップホップやラップをフィーチャーしたアルバムになるかも、とも思っていたんだけど…。

テラス:確かに今回は違ったね、でも次のプロジェクトは、そっち系だな。だから次のアルバムは全く違ったものになるよ。完全に違ったものにね。

−−アルバムにはエモーションズがフィーチャーされていますが、彼女たちとのコラボに至った経緯は?

テラス:エモーションズのメンバー、ワンダの娘、ワイアン・ヴォーンと仲が良いんだ。因みに、ワンダの夫は(アース・ウィンド&ファイアーの)「Let’s Groove」を書いたウェイン・ヴォーン。ある時、彼女たちと食事してるときに、「俺、エモーションズの大ファンなんだけど、今度俺のアルバムのために曲をレコーディングしてくれない?」って言ったらすぐにOKしてくれて、ワンテイク、一本勝負で録ったんだよ。

−−エモーションズといえば、モーリス・ホワイトですが、彼には影響を受けましたか?

テラス:モーリス・ホワイトからは、言葉にできないほど多大な影響を受けてるよ。彼はれっきとした音楽界の大使-ラムゼイ・ルイスのためにドラムを叩いたり、E, W&Fの一員として活躍したり、ジャズ、ファンク、ロックとか異なるスタイルを1つの音楽として創造できるってことを証明したと言えるんじゃないかな。彼のおかげで俺はハイブリッド・ミュージシャンになろうと思った。彼には、ジャンルやレッテルに捉われず、良い音楽を作ることを教わったんだ。

−−ケンドリック・ラマーの『To Pimp A Butterfly』にも収録されている「Mortal Man」を改めて収録したのはなぜですか?

テラス:まだ、伝えたいことがあったから。ケンドリックのバージョンをレコーディングしたのも俺なんだけど、現代の曲を自分なりに解釈することはジャズ・ミュージシャンにとって伝統的なことと言える。あの曲は、俺にとってすごく意味がある曲で、ビューティフルな曲だから、再びレコーディングできてよかったよ。

−−ケンドリックの作品を手掛ける上で、ソウルクエリアンズのような、ミュージシャン・コミュニティによる創作ということは意識しましたか?

テラス:クエストラヴとかソウルクエリアンズの関係性についてはよく知らないけど、俺たちは一緒に育った仲間なんだ。ほとんどみんなLAのサウス・セントラルかイングルウッド出身で、俺とカマシ、それからサンダーキャットとロナルド・ブルーナーJr.なんかは、音楽以前に親友なんだ。もし音楽をやってなくても、誰かの家でつるんでる。家族みたいな存在で、だから俺たちが奏でる音楽もアットホームな感じがすると思うんだ。

−−本当に結束が固いですよね、音楽の域を越えて。

テラス:中学校も高校も大学も一緒で、人生を様々な経験を共にしたと言えるからね。音楽の域を越えて一緒に過ごしてきた仲間たちなんだ。

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再認識されるようになって、プレーヤーたちに焦点が当たるようになった

−−他人のプロデュースをする時と自身の作品では意識は違う?

テラス:意識は毎回違うんだけど、他人のプロデュースをするときは、それぞれのアーティストが思い描いているスケッチがあるから、俺の仕事はそのスケッチに色を付けていくことだ。ほとんどのアーティストがどんな作品にしたいかわかっているけど、たまに決まってないアーティストもいたりするね。その時々のシチュエーションに合わせて、ベストな“アート”を引き出すんだ。クインシー・ジョーンズ、YG、ハービー・ハンコック、スヌープ・ドッグ、ケンドリック、アーティストが誰であれ、その音楽の“ゾーン”に入るんだ。ジャズだったらそのゾーン、西海岸の王道的なギャングスタ・ラップだったらそのゾーン、R&Bだったらそのゾーンって具合に。それぞれのシチュエーションにコミットして、プロデュースしてるって感じだな。

−−そんな中で、クールなアイディア浮かんだ時、これは自分自身のレコードのためにキープしよう、と思ったりすることはありますか?

テラス:うーん、それはどうかな。そうやってアイディアを貯めることは、あまりしないね。ぶっちゃけ、他のアーティストの音楽にはあまりインスパイアされないんだ。それが、本当に“クラシック”なものでなければ。それより人生そのものからインスパイアされている。人生って常に変化しているものだから、アイディアが尽きない。だから別に気に入った曲を自分のために取っておくことはしないんだ。その時、その時に、いいものを作っていければと考えている。この曲を自分がプロデュースしていたらな、と思うものもいくつかはあるけど。

−−例えば…?

テラス:好きなプロデューサーが手掛けた作品とか、ドレイクやアッシャーのレコードとかね。こんな曲を自分がプロデュースできたらな、と思ったりもするよ。

−−彼の新しいレコードはもう聴きましたか?

テラス:ドレイクの?もちろんだ。彼の音楽ってすごくいいよな。

−−特にお気に入りの曲は?

テラス:お気に入りか~。どれだろう…うーん、あれだよ、あれ。わかるだろ(笑)?

−−(笑)。彼はとても興味深いラッパーですよね。ケンドリックとは、またスタイルもキャラも違いますし。

テラス:2人とも素晴らしいアーティストだよ。現代のMCっていう側面から見たら、特にケンドリック、J・コール、ドレイクの3人が、ムーブメントのエネルギーの中心となっている。他にもいるけど、心に響く詞を書くのは、この3人だね。YGもその一員になるかな。

−−今度の7月には、盟友ロバート・グラスパーがビルボードライブのステージに立ちます。

テラス:彼とはサックスを吹き始めてからずっと一緒にやってきた仲なんだ。空間、タイミングを熟知しているから、彼とプレイするのは大好きだ。とても寛大で、アーティストしてのキャリアやプライベートの面でも色々と助けてくれたりもしてるから、俺にとって兄貴みたいな存在だよ。彼とプレイすると何か新しいことを常に発見できるから、いい関係が築けていると思うよ。

−−ロバートとは学生時代からの付き合いとのことですが、出会った当時のことは覚えていますか?

テラス:もちろん覚えているよ。ロバートとはVailのジャズ・キャンプで出会ったんだ。ロバート、キーヨン・ハロルド、それとベースのブランドン・オーウェンズ、あとドラムが…誰だったかな、忘れちゃったよ、ずいぶん前の話だからな。忘れちゃったとか失礼かな(笑)?

−−(笑)。では、彼と初めて一緒に演奏したのは?

テラス:覚えてるさ、あれは15歳の時、Vailのジャズ・キャンプのリビング・ルームみたいなとこで、曲はベニー・ゴルソンの「Stablemates」だった。あとは、ミュージカルのために書かれたショー・チューンとか。


−−へぇ~、意外ですね。では、プロとして初めて演奏したときのことは覚えてる?

テラス:プロとして初めて声をかけてもらったのは、2年後の17歳のとき。パフ・ダディだったね。そのあとがスヌープ・ドッグ、19歳のときかな。そしてドクター・ドレー。俺のキャリアでスヌープとドレーはかかせない人物なんだ。こういうインタビューで、よく『To Pimp A Butterfly』とかジャズを融合することとかについて聞かれるけど、その点でスヌープは先駆者と言える。彼は、早いうちから今俺たちがやってるヒップホップとファンクなんかの融合をやっていた。しかもスヌープがいなければ、俺はクインシー・ジョーンズにも出会ってなかったし、エルヴィン・ジョーンズもそうだ。俺が会いたかったジャズ界の名士たちを紹介してくれたんだ、みんなスヌープのファンだから。

−−ア・トライブ・コールド・クエストやデ・ラ・ソウルのようなグループはどうでしょう?

テラス:ATCQは、俺に多大な影響を与えた。彼らのことを知ったのはまだガキの頃で、まず「Bonita Applebum」を聴いたんだ。その頃、俺はジャズは演奏してなかった。というか、何も演奏していなかった。俺が最初に楽器を手にしたのは、SP-1200で、5年生の時だ。そんで、中1になってからドラム・マシーンを手に入れたんだ。その当時、ドクター・ドレーに出会って、彼の影響を受けていた。で、そのあとにATCQにもハマった。俺は、ジャズ・ミュージシャンの家系に育ったにも関わらず、高校生になるまでジャズのことが嫌いだった。ヒップホップを通じて、ジャズの素晴らしさに気づいたんだ。

−−ロバートの話に戻りますが、ヒップホップとジャズの融合という意味では『ブラック・レディオ』の成功はとても大きな意味があったと思います。

テラス:ああ、あれは本当に良かったよな。ロバートのおかげで、演奏者だということはクールなことだ、とメインストリームにおいて再認識されるようになって、プレーヤーたちに焦点が当たるようになった。彼が、そのドアを突き破ったんだ。そしてR&Bレコードとしてチャートインしたときに、音楽のカルチャーをシフトさせた。カルテットが生で演奏している作品なのに、メアリー・J・ブライジのようなポピュラーな作品とまともに張り合って、【グラミー賞】も取った。彼は、今までのカルチャーを動かしたと言えるね。

−−初めて聴いたときの印象は?何か大きなムーヴメントになると思りましたか?

テラス:いや、それはなかったかな。親友がニュー・アルバムを出したってだけで。でも、ヒップホップ、フリー、ポスト・ポップ、色んな要素が絡み合った、革新的な作品ではあった。『To Pimp A Butterfly』で新たなことに挑戦してみようとインスパイアしてくれたのも確かだ。

−−東海岸と西海岸の若手ジャズ・アーティストでの違いはあると思いますか?

テラス:東海岸には、ジャズ・アーティストが集中している気がする。ジャズという言葉を聞くと思い浮かべるのは、昔ながらの伝統的なジャズだ。それに著名な音楽院があるのは東海岸だから、キッズには“NYに行け”って言うんだ。俺が若い頃なんて、 まるで“NYに行け”というのが合言葉みたいで、理由もわからずとにかく“NYに行け”って言われた。他のミュージシャンとの交流において、あと音楽的な基礎を持つミュージシャンは、東海岸の強みなような気がするね。逆にハイブリッド・ミュージシャンを輩出してきたのはLA(西海岸)だと思うよ。LAのカルチャーは色んな場所から来た人々に触発され、混ざりあっているから、どんなジャンルも弾けなければならない。それに、俺の仲間に関しては、家族がミュージシャンってゆう環境で育ってるやつが多いから、彼らや彼らの家族のサポートに後押しされたり。あとは、ビリー・ヒギンズ、シダー・ウォルトン、ジャッキー・マクリーンやクラーク・テリーとかLAのミュージシャンとも繋がりがあったし。俺はハイブリッド・ミュージシャンと言われるけど、やはりジャズに重点を置いている。これからもジャズにフォーカスしながら、色々なことに挑戦できたらと思ってるよ。まぁ、たまにはクラブで酔っ払って、フューチャーなんかを聴いて、踊りまくるのもいいけどね(笑)。俺、フューチャーも結構好きなんだ。彼は現代のブルースを歌ってると思うね。

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俺たちが生まれ育ったギャング・カルチャーにおいて、音楽を作れるのは贅沢なことさ

−−カマシ、ブランドン・コールマンと話した時、あなたの影響でプロデュースをすることへの意識が芽生えたと言っていました。あなたにとって、プロデュースにおけるメンターと言える人物は誰かいますか?

テラス:メンターはもちろんいるよ。一番はバトルキャットだな。まずドクター・ドレーがいる。俺みたいに西海岸出身だと、N.W.A.がトップにいて、みんなその傘下にある。イージー・Eとかもその一人さ。その次にバトルキャット 、スヌープ・ドッグ、フレッドレック、J. ウェルズ、DJクイックだったりっていう感じで分岐していくんだ。でも、そういった昔の要素も取り入れながら、今現代的なことをやってる西海岸のプロデューサーはもしかしたら俺くらいなのかも。それは、俺がジャズ・ミュージシャンでもあるからだと思うね。過ちを受け入れながら、過去と未来に敬意を払ってる。で、俺たちの次の世代だと、YGやDJマスタードがいる。

−−曲の構造を掘り下げたり、プロデュースするということに興味を持たせてくれた作品があれば教えてください。

テラス:N.W.A.の「Straight Outta Compton」、イージー・Eの「We Want Eazy」、あとパブリック・エネミーも。それと、アイス・キューブの1stソロ・レコードにはぶちのめされた。その後は、ドクター・ドレーの『The Chronic』だ!あの衝撃からはまだ立ち直れてないよ(笑)。あれは、リリースされてもう25年ぐらい経つんだっけ?マイルス・デイヴィスの楽曲は、今でもみんながプレイしてる。それと同じように、ドクター・ドレーが作り上げたものは、現代の音楽プロダクションにとって重要なんだ。

−−あなたの尊敬するクインシー・ジョーンズは、音楽的に優れているだけでなく、とてもポピュラーな作品を多く手掛けてもいます。その両面を兼ね備えた性質はあなたの中にもあると思いますか?

テラス:俺はそんな風に考えてなくて、その日の気分や、その日録った部分の出来栄えとか、その曲にコミットするかんじ。そうやって音楽にレッテルを貼っちゃうと、自分の可能性を狭めるだけだ。芸術性のあるものを作らなきゃとか、ポピュラーなものを作らなきゃ、じゃなくて、リラックスして、楽しみながら制作に挑むんだ。そうやって今までうまくやってきたしね。

−−あなたの音楽からはLAをはじめとした音楽の歴史への深いリスペクトが感じられます。しかし、その一方で、とても現代的でもある。そのバランスはどのように保っているのですか?

テラス:俺が基盤としているジャズは、とても前衛的なんだ。マイルス・デイヴィス、チャーリー・パーカー…、あの当時から彼らは未知の領域に突き進んでいた。ジャズは、それぞれが奏でたいように奏でればいいんだ、それこそジャズの神が導いてくれているような感じだよ。だから自分が思うようにやるだけさ。

−−今、注目している若いミュージシャンやプロデューサーはいますか?

テラス:たくさんいるよ。ボビー・マクファーリンの息子テイラー・マクファーリン、フェティ・ワップ…。

−−「Trap Queen」ですか。

テラス:トラップは、結構好きなんだ。あと、トラヴィス・スコットは大大好きだ。彼は天才だよ。スクールボーイQの新作も待ち遠しいし。ミュージシャンで言ったら、今回俺のツアーに同行してくれたドラマーのジョナサン・バーバー、それにテイバー・ゲーブルは、ジュリアード音楽院から卒業したばかりなんだ。俺が聴くのは、一緒に音楽を作ってるクルーのものが多いね。色々聴きながら、自分のクルーを固めていってる感じだな。


−−では、ハービー・ハンコックとYGの新作の進捗は?

テラス:YGの新作は出来上がっているよ。いつリリースされるんだっけ?6月?7月?度忘れした(笑)。(編注:6月17日世界同時リリース)

ハービーとの作業は、普段と全く違う。とにかく色々録ったけど、76歳なのに毎日新たなアイディアが浮かぶんだ。だから、曲を完成させるのがすごく難しい。彼と曲作りしたり、ツアーするのは、常にチャレンジだけど、有益なチャレンジだ。けど、まだ作品は半分も仕上がってないよ。

−−(笑)。でも、かなり前から取り掛かってますよね。

テラス:そうなんだよ、しかも毎日作業してるにも関わらずに。朝10時からね!プロらしく接しようとするけど、やっぱり色々昔の話とかが訊きたくて、質問すると4時間にも及ぶ返答が返ってくる。それから、2人で“デュエット”するんだ。彼がキーボードで、俺がキーボードかサックス。何時間かプレイして、やっとレコーディングに入る。そして、録ったものの中から、気に入った部分を抜き取って、そこからアイディアを発展させていく。時には、その部分が見つからない時もある。いくら探してもね。でも、1か月後ぐらいに聞き直すと、やっぱりあるんだ。ハービーとの制作プロセスは本当に興味深いよ、これがプロセスって呼べるのかも未だによくわからないけれど。

−−他のアーティストを呼んでジャムったりもするんですか?

テラス:あぁ、でもみんな同じことを言うよ。これまで、サンダーキャットや…最近カマシも連れて行った。ロバート(・グラスパー)、ケンドリック、マーロン・ウィリアムズ、サウンウェーヴ…。

−−テラスのクルーほとんどですね。

テラス:そんなとこだな。彼らと一緒じゃなきゃ、やらないよ。もう、13~14年うまくいってて、数々の作品を作ってきたから、心から信頼してる。

−−カマシと話した時に、彼やテラスたちのシーンの注目度がとても高まっていることに、プレッシャーを感じると言っていたのですが、テラス自身はどうですか?

テラス:プレッシャーはまったくないよ。たとえ、俺たちがトイザラスのフォークリフト係りだったとしても、音楽は作り続けてるから。元々、金がなくて、アイディアのみで伸し上がってきた。だから、何からもプレッシャーを感じることはないね。俺のインスピレーションはドレーからきてる。俺たちが生まれ育ったギャング・カルチャーにおいて、音楽を作れるのは贅沢なことさ。音楽を作ることほど、楽しいことはない。たとえ、失敗したとしても。「最悪のパフォーマンスをした!」なんて言ったって、もっとうまくやれる機会が、もう一晩あるんだから。

 カマシの役割は、俺とはちょっと違う。彼は、この“ブラザーフッド”のまとめ役で、調和を保たないといけないから。俺たちのポジティヴなエネルギーの中心で、喧嘩したら、その仲裁をしなければならない。時には、お互いのセッションとかに顔を出さない時もある。でも、カマシがみんなちゃんと来るように段取りするんだ。その面で、プレッシャーは感じてると思うよ。

−−では、最後にお気に入りのプリンス曲を教えてください。

テラス:1stアルバムに収録されてる「Crazy You」だな。あと、「1999」も「ホウェン・ダヴス・クライ」も好きだよ。

−−名曲ですね。ちなみに、マドンナによるプリンス・トリビュートについてはどう思いましたか?

テラス:最高だったよ。みんな、ぐちゃぐちゃ文句言ってたけど。マドンナは、プリンスの友人で、不動のクイーンだろ。あれほどアートのために生涯を捧げてきた人の文句を言うなんてね。まぁ、プリンスと同じ領域というわけではないけど。プリンスは、ダンス、演技、演奏、何でもできたからね。マドンナが呼ばれたのが気に入らないんだったら、自分が指名されるような功績を残せばいいじゃん、って感じだよ。

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