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特集:蓮沼執太のメロディーズができるまで

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 作曲家、プロデューサー、演奏家、シンガー、アーティスト…と様々な顔を持つ音楽家、蓮沼執太。これまでにソロ名義や蓮沼執太フィル名義で数多くのアルバム・EP・シングルをリリース。また、<シアタープロダクツ>の2011年 S/S コレクションをはじめ様々なコラボ作品や、自身の展覧会用にも多くの音楽を作ってきた上に、最近では坂本美雨をはじめとしたポップ・ミュージシャンのプロデュースも手掛けるなど、その働き者ぶりは目眩がするほど。

 そんな彼が“蓮沼執太のメロディーズ”と題した全曲新曲公演を4月25日、ビルボードライブ東京にて行う。高野寛、Phew、イルリメ、木下美紗都という個性的なシンガー陣を招いた本公演。ポップスの型を積極的に取り入れた蓮沼執太フィルでの経験を踏まえ、今まで以上に“メロディ”に興味があるという蓮沼の新境地を示す公演となるはずだ。

 今回は、蓮沼のこれまでの活動を振り返りつつ、“メロディーズ”まで続く彼の足跡をたどってみたい。その向かう先にはおそらくまだ誰も体験したことのない音楽が待っているだろう。

 蓮沼執太、高野寛、木下美紗都からのコメントも到着!

フィル以前~エレクトロニカの俊英がバンド音楽に至るまで

Exchange Groove
▲Shuta Hasunuma - Exchange Groove (2007)

 現在でこそ、日本の音楽界の最先端に立つ一人として広く認識され、ポップ・ミュージシャンからも熱い視線が送られる蓮沼だが、もとは大学で専攻していた環境学の応用として、MPC2000などの機材を使って音源制作をはじめたのがそもそものキャリアのはじまり。それまでバンドや本格的なクラシック演奏の経験もなく、いわば自己流で、サンプリングやフィールド・レコーディングを取り入れた作品を作り始めた。そして、2006年、若干23歳のときに、ダーティ・プロジェクターズらを輩出した米レーベル<Western Vinyl>から1stアルバム『Shuta Hasunuma』をリリース。それを皮切りに、初期は所謂エレクトロニカの作家として作品を重ねていった。

 "メロディーズ"に続く最初の分岐点となったのは、2008年に<HEAD>よりリリースした『POP OOGA』をライブ演奏するために組んだバンド、“蓮沼執太チーム”。蓮沼執太フィルの前進となったそのバンドには、現在も蓮沼の活動に関わるdetune.の石塚周太やJimanicaも参加。2010年には、その活動の成果と言えるライブ盤『wannapunch!』を<HEADZ>よりリリースし、それまでのエレクトロニカ作品とは一線を画する、生演奏の揺らぎや統制感を活かした音楽を音盤に刻んでいる。

 やや余談になるが、蓮沼が同バンドを組むようになった経緯は、彼が学生時代に聴き親しんでいたシカゴ音響シーンの、ミュージシャン・シップを片手に流動的に人材がコラボレーションを重ねる在り方に影響を受けてのもの。このあたりは、蓮沼とほぼ同世代と言えるceroや、最近では、吉田ヨウヘイgroup周辺のバンド同士の交流ともシンクロするようで興味深い。

蓮沼執太フィルを通してよりポップに開かれた音楽へ

E&H
▲ 蓮沼執太フィル - Earphone & Headphone in my Head -EP #3 [LIVE] (2011)

 蓮沼執太チームが第一の分岐点だったとしたら、その発展として、2010年に結成された蓮沼執太フィル(Shuta Hasunuma Philharmonic Orchestra)は第二の分岐点だったと言える。バンドからフィルへ。有機的なコミュニティとしての音楽集団は、人数が増えれば多くの影響が生じてくる。具体的には、楽器と音色の選択の広がりに加えて、作曲者と演奏者という関係性のダイナミズムという点で“チーム”と“フィル”の差は大きかったのだろう。結果的に、それは蓮沼執太という作家個人の性質をはみ出し、フィルとしての独自の音楽性を育むことになる。

 蓮沼執太フィルとしての独自性。それはひと言で言えば、ポップスとしてのより開かれた態度のことだ。ヴォーカリストも含めた複数のメンバーとの関わりからフィードバックを得つつ、フィルと蓮沼が練り上げた音楽は、たとえば、リー・スクラッチ・ペリーや武満徹やJ・ディラを好む蓮沼自身のような、ある意味ではマニアックな音楽趣向を持つ人以外にも、強くアピールするものになった。もちろん、木下やラッパーの環ROYの貢献により、ボーカル音楽としての性格がより前面に出たことも大きいだろう。2014年の傑作アルバム『時が奏でる』は、そのブレイクスルーを象徴する意味でも画期的なアルバムだったのだ。

 そうした過程を通して、次第にメロディーへの関心が高まっていったという蓮沼。最近では、個展(『知恵の処方』)を手掛ける一方で、坂本美雨や赤い公園などポップス畑のミュージシャンのプロデュースも手掛けるなど、活動の振り幅もこれまで以上に広がっている。今回の公演は、そうした活動の一つの集大成であり、新たな試みとなるのではないか。もちろん、全曲新曲公演である以上、全容はいまだ知れない。だが、「未知の音楽」という決まり文句を、これほどワクワクとする、意味のある言葉に聞かせてくれる音楽家も他にそうは居ない。新しい“メロディーズ”が生まれ育まれる瞬間を、ぜひ見届けて欲しい。

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蓮沼執太、高野寛、木下美紗都のコメントが到着!

いわゆる西洋音楽的にはメロディ、リズム、ハーモニーの3つは音楽を作る上でも欠かせない要素です。
コミュニケーションの(フィル)ハーモニーを経て、今メロディに興味があります。それは唄であり、楽器の旋律です。
僕が尊敬するヴォーカリスト、演奏家をゲストにお招きしての初めての公演になります。
新しい挑戦というのは、最初はいつも不安ですが、好奇心旺盛に探求していこうと思います。
お楽しみください!

―蓮沼執太


僕のトリビュート盤の『夢の中で会えるでしょう』のアレンジ、斬新すぎてぶったまげました。
ポップな肌触りなのに、決してポップミュージックの常套句に着地しない一回転半ひねり。
『時が奏でる』の読後感も、同じです。
ビルボードでの初めての共演、楽しみにしてます。

―高野寛


がんばります!どうぞよろしくお願いします!!

―木下美紗都

蓮沼執太フィル「時が奏でる」

時が奏でる

2014/01/15 RELEASE
DDCB-13025 ¥ 3,080(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.ONEMAN
  2. 02.Earphone & Headphone in my Head-PLAY0
  3. 03.ZERO CONCERTO
  4. 04.Triooo-VOL
  5. 05.YY
  6. 06.wannapunch!-Discover Tokyo-Sunny Day in Saginomiya
  7. 07.SoulOsci
  8. 08.Hello Everything

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