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【#BJMA】2014年ビルボードジャパン・チャート解析/玉井健二

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【BJMA】特集


ファンと創りあげる熱量か、磨きあげた技能か。


 2014年のチャートアクションを振り返ることであらためて実感するのは、やはり上位を占めるアーティストの特徴として、固定のそして多くの熱狂的なファンを獲得しているアーティストの強さが顕著にあらわれているということ。これは昨今の音楽チャートを語る上でもはや定説ですが、そんな中、ファレル・ウィリアムス「ハッピー」、「Let It Go」、そして秦基博「ひまわりの約束」に興味を惹かれました。

MV
▲ 「ハッピー」日本版MV / ファレル・ウィリアムス

 「Happy」と「Let It Go」の共通点として挙げられるのは、タイプはまったく違えど共に“チャートイン数が多い”という事実が物語っているように、楽曲としては先進性よりもどちらかというとオーソドックスな創りを立脚点としながらも、それらを見事なまでの“芸”で表現出来ていること。結果的に“プロの技”がより際立っているという特徴がひとつ、もうひとつは『アナ雪』は言うまでもなく、ファレル・ウィリアムスの場合もPVの日本限定バージョン等で日本人に向けてよりカスタマイズすべく打ったPR施策がキチンとチャートに反映されている、という点も見逃せないポイントです。それぞれにラジオのオンエア回数やシングルセールス+ダウンロード数などに違いは見受けられつつも、やはり共通しているのはTW順位の高さ。SNSを経由して拡げるとよく耳にしますが、これぞ言うは易し行うは難し。痒いところを見極め、そこを刺す見識とノウハウがあるかどうか?が、これだけの成功を生んだという好例だと思います。

 そして秦基博「ひまわりの約束」。まず特徴として目につくのはオンエア回数の多さ。“FMからヒットが生まれづらくなった”と言われて久しい昨今で、これだけオンエア回数とチャートアクションが見事に結びついた例は久しぶりなんじゃないでしょうか?そしてもうひとつ見逃せないのはLU順で上位を占めているという点。つまり、「ひまわりの約束」という曲をラジオで聴いて「秦基博」をもっと知りたくなった、という人が物凄くいっぱいいたということ。極めて80年代~90年代的なヒットの連鎖が2014年に起こっていたという足跡に、懐古主義でない感動を覚えます。秦基博が音楽的に稀有な素晴らしいアーティストだという事は業界内では周知の事実でしたが、俗にいう“ブレイク”には至っていないという状況をこの曲で完全に払拭した、これもまた好例だと思います。

MV
▲ 「ひまわりの約束(Short Ver.)」MV / 秦 基博

 要約すると現代のチャートアクションの傾向として、“感動を約束してくれるアーティストなのか”、“感動を約束してくれる楽曲か”。この“約束”というキーワードをふたつの軸が結んでいるという構図が浮かんでいるように観えます。AKBグループやジャニーズ勢、SEKAI NO OWARIのような、感動を約束してくれるアーティストとそれに応えるファンの熱量という相関関係を構築できるか、あるいは、誰しもが感動できるレベルの技能とそれらを的確に届ける目利きといったプロフェッショナリズムが詰まった1曲なのか、現代の音楽関係者が向かうべき先はこの2つのどちらかなのかもしれません。

BJMA2014


プロフィール写真

玉井健二 音楽プロデューサー・agehasprings代表。 アーティスト活動、作詞・作曲・編曲家などを経て、1999年ソニー・ミュージックEpic Records Japan入社。制作部プロデューサーとして多種多様の企画・制作に携わる。2004年退社しクリエイターズ・ラボagehaspringsを設立。YUKI、中島美嘉、flumpool、JUJUなど数々のアーティストのヒットを創出する。同時に会社代表として蔦谷好位置、田中ユウスケ、田中隼人、百田留衣をはじめとする多くのクリエイターを世に輩出し、Aimer、GOOD ON THE REELなどのアーティストのマネジメント&プロデュースも手掛けるなど、新たな才能の発掘・育成にも定評がある。また、自身のユニット元気ロケッツは国内外のクラブ・シーンを中心に、音と映像のみに拠る表現形態でホログラム映像や3Dを駆使したLIVEパフォーマンスが欧米でも話題を席巻するなど活躍は多岐に渡る。2014年7月には、株式会社agehasprings設立10周年を記念し、自身初の書籍となる『THE PRODUCER’S BIBLE 人を振り向かせるプロデュースの力』を発表。そして2015年2月、agehasprings主催のライブエンタテインメント『Synapples2.0 ~no border between sounds~ Produced by agehasprings』を開催する。

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