まずは彼らの名前を世に知らしめ、90年代を代表する大ヒット曲となった「Tennessee」。フロントマンであるスピーチが、1週間のうちに祖母と兄の2人を亡くした経験ついて書かれたこの曲は、大きな反響を呼び、米ビルボードR&B/ヒップホップ・シングル・チャート、そしてラップ・シングル・チャートで1位を記録、その年のグラミー賞では最優秀ラップ・パフォーマンス部門（デュオ/グループ）に輝いた。

　「Tennessee」の勢いに乗り、デビュー作からの2ndシングルとしてリリースされ、全英チャートでは2位を記録、カナダ、フランス、オーストラリア、ニュージーランドでもチャートインし、彼らを世界的スターダムにのしあげた「People Everyday」。当時暮らしていたウィスコンシン州とアトランタでのブラック・カルチャーの認識に疑問をもったスピーチが、その差について綴った興味深い1曲。

　デビュー作から最後のシングルとなった「Mr. Wendal」。ホームレスへ理解を求める社会的な内容にも関わらず、彼らの最大のヒット曲となり、米ビルボード・シングル・チャートでは6位、全英4位に輝いた。「People Everyday」でスライ&ザ・ファミリー・ストーンの「Everyday People」を取り上げたのに続き、この曲では「Sing A Simple Song」のドラムがサンプリングされている。

　1992年に公開されたスパイク・リー監督の映画『マルコムX』に起用された1曲。ビッグ・ジョー・ターナー、デューク・エリントン、ダニー・ハサウェイなどのビッグ・アーティストとともに名を連ねるサウンドトラックに見事抜擢。マルコムXが掲げた“革命”をテーマとしたブラック・カルチャーを推進する彼らにはピッタリなラップ・アンセム。映像は、2013年夏に行われたフリーライブの模様。

　前作から4年ぶりとなる『Among The Trees』からのセクシーなナンバー「Honeymoon Day」。タイトル通り、“結婚”と“ハネムーン”をテーマとした、スピーチと女性ヴォーカルが織りなす完璧なコーラスワーク、スライ&ザ・ファミリー・ストーンにインスパイアされたメロディラインとファンキーなライブ・パフォーマンスが堪能できる1本。

　2006年にリリースされた『Since The Last Time』から最高にハッピーになれる、ライブでも定番のナンバー。子供たちとパーティー会場を盛り上げるアレステッド・ディヴェロップメントのメンバー、何故かヤギ？も登場！でもやっぱりハイライトは、長年バンドの“スピリチュアル・アドヴァイザー”を務めていたババ・オージェイのキュートなダンス姿で決まり！

　テクノロジーの発達によって目まぐるしく発展を遂げる世界へ疑問を問いかける一曲。スピーチの前で回るテーブルには、その進化を象徴する様々な器具が現れ、レトロな衣装を纏った女性陣と現代風な衣装に身を包んだ男性陣の対比も興味深い。このナンバーは、2010年リリースの『STRONG』に収録。

　ラストは、活動20周年を記念してファンの為に制作された最新作『STANDING AT THE CROSSROADS』からのリード・トラック。スピーチが「僕達の人生についての真実味溢れるアンセム。誠実さと人間の弱さを綴った歌詞には、今まで語ったことのない僕たちの面が見えていると思う。」と語るように、リリックが冴えるポップかつ考え深い作品。