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<コラム>eyed、無機質なモノクロームで目を奪う5人組が誕生

Text: ノイ村
今、私の手元にあるのは、avex発の新星ガールズグループ、eyedに関する音源や映像一式だ。一通りの資料に触れた今、こうした印象を抱くと同時に、まだどこか翻弄されているような感覚を抱いている。実際、これを書いている今も、彼女たちが鋭い眼差しで、試すかのようにこちらを見つめているような気がしてならない。
恐らく、日本の音楽の歴史上、もっともダンス&ボーカルグループが大きな存在感を放っている現代において、新たなグループが人気を獲得するのは並大抵のことではない。この広大なレッドオーシャンで戦うために重要なのは、何と言っても「共感」だ。大規模なオーディション番組を経てデビューするグループの台頭が目立つのは、番組自体のサバイバル番組的な面白さに加え、参加する一人ひとりを掘り下げることによって、最初期からファンとメンバーの距離が近い状態にあるというのが大きいだろう。また、ファッションや性格など、さまざまな個性を持つメンバーを揃えることで、なるべく多くの人々の好みに応えることも大切なポイントだ。

そうした状況を踏まえると、eyedの存在はひと際異質に映る。まるで、最初から安易な共感を拒んでいるかのようだ。現時点でメンバーであるkate、fuka、liliko、yuria、kyokaについてわかっていることは、名前と生年月日とアーティスト写真のみ。さらに、アーティスト写真を見てみれば、全員がセンター分け✕ロングヘアで、鮮やかな黒が感覚を刺激するモードなファッションに身を包んでいる。従って、私たちはSNS以降のデフォルトの価値基準となった「瞬間的な情報処理」ではなく、より深く、一つひとつの写真や歌声、動作や衣装のスタイルなどを通して、彼女たちと真摯に向き合う必要がある。これは明らかに意図的で、リスキーな選択であることは間違いない。だが、日々の生活を通して大量の情報に圧倒されている中でeyedに触れると、「ここには何かがある」という、ユニークでワクワクするような感覚を抱いていることに気付かされる。
kate, fuka, liliko, yuria, kyoka
こうした印象は、音源や映像に触れることでより強固なものとなっていく。現時点では、まだ「silence」(10月21日リリース)が手元にある状態だが、それだけでもeyedが本気でこの異質な在り方を貫こうとしていることがわかる。まるでクラブミュージックのシングルのような無機質なアートワークが示唆するように、楽曲の方向性はテクノ/ハウス、それも近年のメジャーシーンで主流のサウンドとは一線を画す、ハードでヘヴィで硬質なものだ。イメージとしては、いわゆる【ULTRA】などの大規模なフェスティバルではなく、数百人規模のナイトクラブでこそ真価を発揮するようなサウンドである。machìnaという世界的に活躍するテクノDJ/プロデューサーが楽曲を手掛けていることからも、彼女たちがアンダーグラウンドのシーンにこそ大きな関心を寄せていることは明らかだろう。実際にメンバー自身も積極的にDJ活動に取り組んでいる。
サウンドの時点で異質だが、本当に興味深いのは最終的なポップソングとしてのアウトプットである。テクノ/ハウスの要素を取り入れたガールズグループの楽曲と言えば、aespa「Whiplash」やLE SSERAFIM「CRAZY」などが有名だが、多くがタイトなキックドラムとスネアドラムの反復が生み出すピークタイムの高揚感を捉えているのに対して、「silence」は、キックドラム“だけ”が鳴っている時間、具体的にはテクノのDJセットにおける「これからピークタイムに向かおうとしている」時のじわじわと体温が上がっていくような感覚そのものを捉えている。トラックが一貫して無機質なムードを構築する一方で、eyedのクールで神秘的な歌声がリスナーを独特な高揚感へと導いていくという、まさにクラブでビートに身を委ねている時の、どこかスピリチュアル的とも言える感覚が見事に表現されているのである。
ミュージック・ビデオも強烈だ。やはりモノクロームの意匠を貫きながら、砂漠や草木、蝶といった自然の美しさとブルータル建築の鋭利なコントラストが視覚を激しく刺激する。打ち鳴らされるハードなテクノの音色に身を委ねながら妖艶に舞うメンバーの姿も印象的で、やはり既存のグループとは一線を画した世界観を提示していることが見て取れる。サウンドこそ鋭利でありながらも、どこか包み込むような優しさや、空気の流れに身を任せるかのような浮遊感が感じられるのは、彼女たちがこの世界観を完全にモノにしている証なのだろう。
一見すると無個性的、無機質的でありながらも、その向こう側には極めて豊かな世界が広がるeyedの世界観は、数え切れないほどのグループが群雄割拠し、膨大な情報を放流する今の時代において、鮮烈であると同時に、どこか過酷な砂漠の中で見つけたオアシスのような印象を抱かせる。正直なところ、あまりにもリスキーすぎて、私自身も(見ての通りめちゃくちゃ刺さっているのだが)胸を張って「これは絶対にブレイクする!!」と安易に断言することはできない。だが、それ自体が何よりも彼女たちの魅力なのではないだろうか。
いずれにせよ、今はまだプロローグである。11月21日にはプロローグシングル第二弾「shock」のリリースも控え、eyedの旅路は幕を開けたばかりだ。果たして、その先にはどのような景色が待っているのだろうか。
リリース情報

プロローグシングル#1「silence」
2026/10/21 DIGITAL RELEASE
再生・ダウンロードはこちら
プロローグシングル#2「shock」
2026/11/21 DIGITAL RELEASE
関連リンク
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