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<インタビュー>高岩遼×NAGAN SERVER ジャズをルーツに持つ盟友がステージで交差するまで

Interview & Text:石角友香
Photo:Yuma Totsuka
去る8月26日、35歳最後の日にキャリアを一望するスペシャルなショー【RYO TAKAIWA LIVE 2026 -SPECTACULAR-】を開催した高岩遼。ジャズとストリートを繋ぎ、自身の生き様を“JAZZLIFE”と称する独自のエンタテインメントを見せてくれた彼が、11月にソロとして初めて横浜と大阪のビルボードライブに登場する。今回は【SPECTACULAR】にもフィーチャリングゲストで客演、ビルボードライブ大阪で対バンする盟友NAGAN SERVERとの対談を実施。週一でお茶するほど仲のいい2人の出会いの経緯や、2人にとってのジャズ観など、存分に語り合ってもらった。
――まず、お2人が出会った経緯はどんな感じだったんですか?
NAGAN SERVER(以下、NAGAN)高岩遼が経営していた、今はなき伝説のバー(Brother)があるんですけど、そこですぐ気が合ったよね?
高岩:そうっすね。
NAGAN:遼も自分もジャズやヒップホップとかルーツが似てるというか、ミュージシャンやスケーターをはじめ関わってきた人たちだったり、つながりが似てたこともあって話が盛り上がってという感じですかね。
――ミュージシャンかつスケーターであると?
NAGAN:STRUSH WHEELSっていうスケートボードのブランドがあって、自分がそこからスポンサードを受けてるっていう話をしたら、遼がそのウィールを買ってて。STRUSH WHEELSはジャズミュージシャンにフォーカスしたアートワークを展開しているっていうのもあって、それを使っているラッパーやミュージシャンが自分の周りにいなかったんで、そういうのも嬉しくて。
高岩:そうですね、思い出しました。
――高岩さんがよく言う「ジャズい」っていう感覚、ジャズに関する見解の一致みたいなものがあったんですかね。
高岩:ああ、そうかもしれないですね。一発でジャズいと思ったし、良治(NAGA SERVERの本名)くんと話してると風流の香りが一緒っていうか。で、蓋を開けてみたらやっぱりストリートシーンで音楽以外に関わってる人間もかなり近いところにいたりして、なんで今まで僕はNAGAN SERVERと会わなかったのか?ってぐらい不思議で。
――共通するミュージシャンの友人でいうとどういう方々ですか?
NAGAN:Nao KawamuraとかSuchmosのTAIHEIとか一緒にいたよね。いっぱいいるけど、一番最初にハブになってくれた人はそのあたりなのかなとは思ったりはする。
高岩:確かにそうですね。
――納得です。今、NAGANさんはTAIHEIさんと一緒にバンドN.S. DANCEMBLEもやってらっしゃるし。
NAGAN:そうです。大阪から来てそういうメンバーと出会わなかったら、たぶん遼とも出会えてないし、そこのご縁はずっと大切にしてますね。
――Brotherではいろんな出来事があったんじゃないですか?
NAGAN:お酒を飲んでテンションが上がってきたらすぐジャムセッションができちゃうっていう。東京には数々のジャズクラブがあると思うんですけど、ああいう空気にはならない。ストリート上がりのジャズクラブじゃないけど、すごい演奏が上手い人じゃなくても楽器に触りたいって思える場所で。でも有名なジャズミュージシャンも来たりして、会員制だから敷居は高いんだけど、中に入ってみればオープンな人たちが多くて、そこでのセッションは次につながる演奏ができていた気がしましたね。
高岩:ありがとうございます。
NAGAN:オープン前に遼がピアノでジャズナンバーを練習している姿とかも頭に焼き付いてて。何気ないシーンなんだけど絵になる場所だし、自分にとっては青春の場所でもあるし、ロマンが詰まってた場所だなっていう。閉めちゃったから寂しさはあるけど、今は次のフェーズに行ってる感じで、あそこがあるから今があるのは間違いないですね。
――すぐに何か一緒にやりたいなと思われたんですか?
高岩:ずっと思ってました。僕が『TERROR』っていうアルバムを出したとき、良治くんと「MIX JUICE」という曲をやらせてもらったんですけど、あれはBrotherで録ったんですね。このままの空気感をパッケージしようよって良治くんが言ってくれて、MVもあそこで何シーンか撮りました。そういうことに続いていきますし、2020年ぐらいに渋谷のTHE ROOMで、オーナーの方が「遼くんなんかやろうよ」って話をしてくれて、実験室みたいなことをやり出したんですよね、“高岩一人劇”みたいな。それが拡大していって、良治くんとかカッコいい先輩、後輩、匂いが一緒の人たちを集めて“JAZZLIFE”ってイベントを作っていったんですけど、良治くんは特にそれを盛り上げてくれた一人ですね。
MIX JUICE Feat. NAGAN SERVER
――NAGANさんはラップしながらウッドベースを弾くスタイルじゃないですか。そこはどうだったんですか?
高岩:めちゃくちゃカッコよかったし、そういうプレイでステージに立っている男がいるっていう話はもともと訊いてたんで、「何その人? ヤバいね」と。で、実際見たら「しびぃーー!(渋いーー!)」みたいな(笑)。
NAGAN:ハハハ!
高岩:最終的にTHE ROOMの現場でウッドベースに乗っかって寝てるみたいな姿も見たし、めっちゃ高いウッドベースに立って弾いちゃってるみたいな感じも「ヤベぇ! ストレイ・キャッツぶりだ!」ってのもありましたし、そこの羽目の外し方も「よくわかってるストリートの兄貴だな」と。
――そういうのって一朝一夕に自分のパーソナリティにはならないじゃないですか。それはNAGANさんが大阪や地元の広島で培われたものですか?
NAGAN:もともとクラブ上がりっていうか、1MC、1DJのスタイルでいわゆるアンダーグラウンドな場所でずっと演奏してきたんですけど、そこではお酒と音楽っていうのが自分にとっては日常だったんで、それが自然につながって深夜帯に生まれるものを信じて音楽やってきちゃったんで。自然とああいう姿にはなっちゃうっていうか(笑)。
高岩:まあ、そうですね。自然とね。
NAGAN:狙ってできるものじゃないっていうか。多分ジャズとかラッパーとかヒップホップだなって匂うものって、わざとじゃなくて自然現象だと思って。その人が何をどう考えて日常生きているかっていうのがステージや振る舞いに現れる。たぶんそれが遼が「ジャズい」って言ってるもので。
――じゃあジャズ・ジャイアンツ的なアーティストの話とかはあまりしないですか?
高岩:しなくもないですけどね。ジャズ屋なんで。
NAGAN:遼が聴いてる(フランク・)シナトラとかと育ってきたジャズが若干違うというか、自分はわりかし(ジョン・)コルトレーンとかそういう時代のものを聴いてましたね。
高岩:「あいつヤバかったね」みたいな話はあんましないですよね。不滅の名作みたいなものは共通言語としてお互い分かっているものもありますし、そんなことより毎日あったオモロいことを話しているかもしれないですね。それが結局のところ、我々のインプロビゼーションでいうジャズっていうことで(笑)、そういう箱に収めている可能性がありますね。
――ちなみに今日のお茶のお題はなんだったんですか?
高岩:今日はざっくりこれからの活動について、みたいな。
NAGAN:インタビューで話せない系のね(笑)。
高岩:ポジティブな話です。「こういう仕事が決まった」とか。
NAGAN:あとは口座の中身とかね(笑)。
高岩:小学生が貯金を教えるみたいなそういう感じじゃないですか? でもその感覚でお互いがふざけ合って見せてるっていうアホな感じなんですけど(笑)。
――(笑)。先日の【SPECTACULAR】にはNAGANさんが1曲だけゲスト出演されましたが、それはどういう流れで?
高岩:やっぱりビルボードライブでのライブにつなげたかったし、何より【SPECTACULAR】のショーをすごく楽しみにしてくれてたんで、フィーチャリングゲストとして乗っていただく前から、そういう話はすでにお茶会の中で「遼、どんな感じなん?」「いや〜結構金かかることやりますよ」とかいうやり取りはしてたんで。
NAGAN:また口座の話に戻ってる(笑)。
高岩:ハハハ。
――フロアもステージにしたり、ストーリー性のある演出もありましたが、NAGANさんはどんな感想を持ちましたか?
NAGAN:遼が今これをやりたかったんだ、ということが全部詰まってたと思いました。演出や衣装にもそれが表れていて、演奏者全員に何かしらのミュージカルみたいな役割がしっかり決められていて、しかも作ってる人がジャズシンガーでありラッパーでもあるというのを感じたんで、いわゆる集大成的な高岩遼が見れたなと思いました。そこに自分も36小節で登場して。何曲かやるより逆に精神削られるんですよ。あのショーの中で唯一のゲストで、本当に魅了しないとゲストとしての意味がないので。こういうラップをしたらみんなが満足してくれるだろうっていう基準はしっかり超えないと次のビルボードライブにもつながらない、そのプレッシャーを感じて、いい緊張感の中で挑めた感覚はありましたね。
――ステージ自体が凝ったものである上に、その場で起こることも消化するライブでしたね。
高岩:でも俺、小学校からマジ変わってなくて。劇とかやるときも「なんでステージ上だけなんですか」「降りて行ったらみんな臨場感あるじゃないですか」とか校長先生に言ってましたから(笑)。舞台監督じゃないけど、昔からそういうのが得意なんですよ。それをずっと僕はBrotherも含めて無理やり現実にしてきたみたいなところがあって。それで、【SPECTACULAR】だし、80年代のスプラッターとかオタク級に映画が大好きなので、どうまとめて何をみんなに見せたいんだろう?って思った時に、宇宙だったんですよね。
NAGAN:デカいな(笑)。
高岩:だからあれは超B級SFの宇宙大海賊なんだと。で、良治くんも含め、バンドのメンバーは宇宙海賊船の乗組員という体(てい)なんです。僕は脚本書くのがすげえ好きなんで1回全部書いて、みんなのキャラデザインも描いて。
――ちなみにビルボードライブのメンバーも宇宙大海賊団なんですよね。
高岩:そうですね、大海賊団でいきます。大阪編はちょっと変わりますけど。
――あのメンバーでライブをやった手応えが大きかったんですね。
高岩:そうですね。こういう活動をしてるからこういう利益が俺にあるとか関係なくて、俺が普通に「カッケえな、生き方」とか、音と雰囲気がカッコよければもうそれだけでいいメンバーを集めたつもりなんですごく信じてますし、フィメールがホーンっていうのがめっちゃいいし、その感じも高岩遼っぽくて。そのメンツで音を作っていきたいです。
――NAGANさんから見た大海賊団は?
NAGAN:もう遼が言うように宇宙だよね(笑)。一人一人キャラクターがすごくあるんですよ。そういう人ばっかりが集まってチームになってるんで、メッセンジャーズというか。アベンジャーズなんだけどメッセンジャーズ。みんなそれぞれのメッセージがしっかりある。
――ところであの日(ワンマンライブの日)、アフターパーティーも無事に終えられたんでしょうか。
NAGAN:終えました。朝方みんな富士そばで終わりましたよ。
――いいですねえ(笑)。
NAGAN:いまだに富士そばで食べたチケットの半券を家の壁に貼ってます。高岩遼が36歳を迎えた日。
高岩:アツ! すげえこういうことを大事にしてくれるんですよ。
――そういうことですよね。夜に出会う人と音楽は。
高岩:そうですね、お茶会は全然お昼ですけどね。
NAGAN:深夜帯から始まるイベントって、お酒を通してしか会話してない人いるじゃないですか。そう考えると昼間からすべてをさらけ出して喋る人って遼ぐらいしかいない。
高岩:俺も良治くんだけ。
NAGAN:何してんだって話だよね。ミルクレープ一枚一枚剥がして食べてる場合じゃない(笑)。
高岩:これ絶対書いてほしいんですけど、NAGAN SERVERはミルクレープを上から一枚一枚丁寧に巻いて食べるんですよ、すげえ時間かけて。
――(笑)。
高岩:俺、今日言いたかったのが結構シーンにおいてNAGAN SERVERっていう男と高岩遼って男って、ジャンルは違えど結構ハードコアなんですよ。
NAGAN:まあ野郎くさいよね。反骨心というかパンク精神というか、ハングリーですね。普段はめっちゃハッピーで、音楽に対してはオタク気質で没頭する。まあストイックなんですよ。その真逆の息抜きが「高岩遼とNAGAN SERVERのお茶会」って感じかな。ド不良なんだけどめっちゃ明るいし、めっちゃアホなんですよ。その感じかな? それが最高っすよね。
――ちなみにNAGANさんはどういう編成で出演されるんですか?
NAGAN:NAGAN SERVER Special Bandっていう形でやらせてもらうんですけど、これは自分が大阪時代によく一緒にやってたSoulflexってクルーがいるんですけど、SIRUPのバンドとかでドラム叩いてるRaB、もう1人は熊代崇人ってベーシストと、今N.S. DANCEMBLEでも一緒にやってるキーボーディストのTAIHEI、そしてトランぺッターの佐瀬悠輔です。大阪時代から一緒にやってきたメンバーと、東京で今切磋琢磨しているメンバーを掛け合わせてここに挑もうっていう。まぁファミリーですね。
高岩:良治くんは大阪が第二の故郷で、僕は横浜が第二の故郷なんで、そういう意味でもお互いに凱旋ライブっていうか、それもストーリーとしてアツいなと思ってます。
NAGAN:ラッパーとしてビルボードライブに立ちたいっていうのがあったんで、2020年に立ったときは結構涙しましたね。武道館とかよりも立ちたいっていう気持ちがデカかったんですよ。ジャズとヒップホップの架け橋になりたいっていう思いがすごい強かったから、自分にとっては聖地みたいな感じかもしれないですね。
高岩:僕も岩手の田舎もんなんで、上京した18の時、ジャズボーカリストとしてビルボードライブには立ちたいっていう夢は確実にあったんです。ここでこの時代にスタンダードを歌ったらカッコいいだろうな、って一つの夢でもありましたし、バンド(SANABAGUN.)の方ではお世話になりましたけど、ソロとして今僕が辿り着いたフューチャーなファンクやディスコサウンドみたいなものを、しかも良治くんと一緒にやれるというのも胸熱ですね。あと、横浜でのライブが久々なんですよ。もしかしたら旧友も来るのかなと思うとめちゃくちゃ嬉しくて。昔の自分に「おーい、お前頑張ってたらビルボードライブのステージ、立てるぞ」って言ってあげたいですね。今回はクラブライブってことでTPOも考えつつ、ジャズボーカルなムードもありながらも、張り切っていきたいなと思ってます。
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