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<インタビュー>藍井エイル、15年目に見せた"束縛されない"自分――ニューアルバム『UNBOUND』

Interview & Text: 西廣智一
Photo: 興梠真穂
4月にリリースされた、ランティスからのリリース第1弾シングル『MONSTER / 絵空事』に続いて、藍井エイルのニューアルバム『UNBOUND』がいよいよドロップされる。オリジナルアルバムとしては前作『KALEIDOSCOPE』(2023年)から約3年8か月ぶりとなる本作は、「UNBOUND=束縛されていない、境界のない」というタイトルの通り、これまでの枠組みを飛び越え、藍井の新たな可能性と新境地を提示するバラエティ豊かな楽曲がずらりと並ぶ。
2011年10月にシングル『MEMORIA』でデビューしてから間もなく15年を迎えるというタイミングに、なぜ彼女は新たな可能性を模索し、新境地に果敢に挑んだのだろう。この『UNBOUND』全曲解説を通じて、その真意を感じ取ってもらえたら幸いだ。
「MONSTER」から開いた新しい扉
――アルバムの軸となる3曲
――4月発売のシングル『MONSTER / 絵空事』の時点では、まさかここまで攻めのアルバムが届けられるとは想像もしていませんでした。
藍井エイル:ハチャメチャなアルバムですよね(笑)。
――「束縛されていない、境界のない」という意味を持つアルバムタイトル通りの内容だと思います。このアルバムを作ることが決まった時点で、藍井さんの中ではこういうイメージを持っていたんでしょうか。
藍井:ありました。なので、曲をお願いする時点で「ちょっとボカロっぽい曲を歌ってみたい」とか「メロディのレンジが広い曲をやりたい」とか、「壮大なアレンジの曲を歌ってみたい」とか「王道なアニソンっぽい曲が欲しい」とか、私の中にあるイメージを伝えて作ってもらいました。
――10曲それぞれ個性の異なる楽曲なのに、アルバムとして並んだときに全体のトーンが整っているのが驚きで。
藍井:ありがとうございます。最近は新しいことを始めるきっかけが多い時期でして。英語の勉強を去年の夏から始めて1年ぐらい経ちましたし、9月にはセブ島に語学留学にも行く予定ですし(※取材は8月下旬に実施)。この『UNBOUND』というアルバムを作るにあたっても、「MONSTER」という曲を作ったあたりから新しい扉が開いた感があったので、その延長線上に『UNBOUND』があるのはすごく自然なことなのかなと思っています。
▲藍井エイル「MONSTER」MUSIC VIDEO(TVアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ 4th Season 2年生編1学期』オープニングテーマ)
――「MONSTER」や「絵空事」はアニメの主題歌ということで、ちょっと早めに制作が進んでいたと思うんですけど、このアルバムを作る際に軸になるような曲ってありましたか?
藍井:アルバム1曲目の「嵐の中でも」が、私の中でもかなり大きくて。この曲は「MONSTER」から引き続きGAK-amazuti-さんが書いてくださったんですけど、初めて聴いたときに衝撃を受けるぐらい素敵な楽曲だったので、アルバムのリード曲にしたいと思いましたし、ただリード曲にするだけじゃなくて、アルバムの頭に置くことで聴いてくださる皆さんに印象付けたいという気持ちが芽生えていきました。そういう意味では、「嵐の中でも」という曲はこのアルバムにおける軸の1曲かもしれませんね。
――「嵐の中でも」を筆頭に、アルバムは「MONSTER」とGAK-amazuti-さんの楽曲が2曲並んでいます。これも、アルバムのトーンを作る上で重要な役割を果たしたのかもしれませんね。
藍井:確かに。でも、そのあとの流れがまるでジェットコースターみたいなんですけどね(笑)。
――ライブのセットリストっぽくもありますよね。アルバムの構成は、このあとに控える全国ツアーを意識したところもあったんでしょうか?
藍井:まずはツアーのことは考えずに、今歌ってみたい曲をひたすら集めたら、こういう形になりました。で、完成してからツアーのことを思い出して……(笑)。自分でレンジが広い曲を歌いたいって言ったけど、下があまりにも低すぎて、ライブでちゃんと出るのかなという心配もありますし、今回はかなり過酷なツアーになりそうだなと思っています。
――今回のアルバムを聴いて思ったのはまさにそこで。今まで以上にいろいろな声の表現、表情が詰め込まれていて、藍井エイルの“歌声カタログ”最新版みたいな内容だなと思ったんです。
藍井:そう言ってもらえるのは嬉しいですね。自分が今歌ってみたい曲を集めた結果、内容がバラエティ豊かなものになったので、それに沿って淡々と歌っていったら……気付いたらいろんな声の表現が凝縮されていただけなんです。
――なるほど。「嵐の中でも」の話題に戻りますが、曲調と歌詞も相まってすごくエモーショナルに響く歌になっていますよね。
藍井:自分で言うのもなんですけど、最後の転調部分とかすごく鳥肌が立ちましたからね。
歌詞に関しても、GAK-amazuti-さんが私に応援歌を書いてくれたのかなってぐらい、自分とすごく親和性があるなと思ったので、自分の中にすごく落とし込みやすかったです。
――そういう楽曲を歌で表現する際、どうしようと考えましたか?
藍井:わりと歌詞のままといいますか、綺麗に歌おうとせずに気持ちをちゃんと伝えていく感覚で歌っていました。
――だからなのか、むき出し感が強い歌い方だなと感じました。
藍井:「泥まみれになって、汚れても前に進んでいくぞ」という強いメッセージが伝わればいいなと思いながら歌ったので、むき出し感というのはまさにその通りだと思います。
――終盤の<藍い熱は決して冷めない / 嵐の先でも>といったフレーズからも、熱い思いが伝わりますものね。
藍井:「青い(藍い)熱」というのも、赤い炎よりも熱い感じがしますよね。あと、〈藍い熱〉に「藍」という文字を使っていただいたところにも、GAK-amazuti-さんからの思いが伝わりましたし、これはリード曲にするしかないですよね(笑)。
▲藍井エイル「嵐の中でも」MUSIC VIDEO
――ミュージック・ビデオもすごく印象的な仕上がりですね。藍井さんから何かオーダーはあったんでしょうか?
藍井:自分の世界の中で閉ざしていた心をどんどん解放させていくというイメージをもとに、「冷たくて無機質な感じ」と伝えていたんです。その結果、最初は閉鎖的なんだけど、どんどんと開放感が増していく、そういう作品に仕上げていただいて嬉しかったです。
――序盤の閉塞感は、これまで藍井さん自身が自分を解放できずに葛藤していた姿と重なる?
藍井:重なりました。だからこそ、終盤に向けての開放感含め、すごく美しいミュージック・ビデオだなと思います。
――このプロローグ的な1曲がアルバム冒頭にあるから、続く「MONSTER」での爆発力がより際立ちますし、そこから気持ちよく「KICK IT LOUD」へと入っていける。
藍井:ノリノリで激しい構成ですよね(笑)。「KICK IT LOUD」はここまで英語のフレーズがたっぷりで、ちょっとラップっぽい歌い方をすることが初めてだったので、歌ってみて面白かったですよ。「口が回らないよ!」って何度も叫びながらレコーディングしてましたから。
――昨年から始めた英語の勉強が役立ったのでは?
藍井:まさかここで役に立つとは。すごく助かりました(笑)。
――「KICK IT LOUD」みたいに勢いのある曲って、「嵐の中でも」とはまた違った表現が求められると思うんです。
藍井:そうですね。この曲に関しては、ライブ感みたいなものを意識して、「もしライブで歌ったらこんな感じかな?」というイメージをしながら歌いました。「嵐の中でも」での自分をさらけ出す感じともまた違った、ライブだからこそ出せる荒々しさとか、そういう部分をあえて強く打ち出してみたり。そういう意味では、この曲もあまり綺麗に歌おうとは考えないようにしていたかもしれません。
――綺麗に歌おうとしなくなったことに、何か大きな理由があるんでしょうか。
藍井:メロディに対して綺麗に歌ったり言葉を丁寧に乗せたりしていくと、自分としては単純につまらない歌になっちゃうんです。どこか棒読みみたいに聞こえるようになってしまって、結果として耳に止まらなかったり……いや、悪い意味で耳に止まっちゃったりするのかな。上手に歌うとか綺麗に歌うのではなく、“表現”がしたい……その結果、こういう歌い方を選ぶようになったんだと思います。
リリース情報

アルバム『UNBOUND』
- 2026/9/30 RELEASE
<初回限定盤>
LACA-35299 10,230円(tax in.)
<通常盤>
LACA-25299 3,630円(tax in.)
詳細はこちら
公演情報

【EIR AOI LIVE TOUR 2026-2027 “UNBOUND”】
2026年10月24日(土)熊本・B.9 V1
2026年10月25日(日)福岡・DRUM Be-1
2026年11月15日(日)大阪・BIGCAT
2026年11月28日(土)北海道・PENNY LANE24
2026年12月24日(木)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
2027年01月09日(土)香港・TIDES
2027年02月13日(土)台北・Zepp Taipei
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狂気と新境地が詰まった中盤の楽曲群
▲藍井エイル「ハナムケ」
――アルバムは4曲目「ハナムケ」で、それまでとは色合いが変わります。
藍井:やっとクールな感じになりましたね(笑)。
――従来の藍井さんらしさもありつつ、今までになかった新鮮さも伝わる。そんな1曲です。
藍井:ピアノが活きた楽曲が欲しいですと言って、昨年の「Wonderer Wanderer」と同じチーム(小池竜暉&菊池博人(KEYTONE))に書いていただきました。冷たさみたいなところは従来の藍井エイルっぽさがあると思うんですけど。サビで一気に化けるんですよね。そこが今までにないタイプで、面白いんじゃないかな。
――「嵐の中でも」や「KICK IT LOUD」同様、「ハナムケ」で聴ける藍井さんの歌の届け方も、これまでとは違ったものを感じました。
藍井:前作『KALEIDOSCOPE』から4年近く経ちましたが、あの頃と比べて今は声が小さくなっているんですよ。この期間に発声障害があったので、ちょっと小さめの声でしか歌えないんですけど、でもそれ以上に今はマイク乗りのほうが大事だなと思っていて。なので、このアルバムでは声のマイク乗りの重要さを考えながらレコーディングしているので、そこが変化したように感じられるんでしょうね。あと、キーも全然違っていて、以前よりも低いものが多いんです。
――なるほど。キーが低めになったことで、ちょっと抑えた感というかずっしり構えている感が強まったのかなと。
藍井:ありがとうございます。それを出すのが結構重要だと思っていたので、伝わっていて嬉しいです。
――5曲目「タイムトラベラー」で、序盤からの勢いが少し落ち着きます。このバラードでは藍井さん自身で作詞していますが、どんな思いを込めて書こうと考えましたか?
藍井:きっかけは「MONSTER」のリリースタイミングに、あるラジオ番組に出演して自分の犬の話をしたことで。「今まで自分の愛犬を題材にして、歌詞を書いたことがありますか?」という質問を受けたんですけど、考えてみたら1回もなかったので「今度書いてみようかな?」と思ったのと、そこに命の尊さを掛け合わせてみたらいいんじゃないかと思って、この歌詞を書きました。タイトルに関しては……すべての生きものが、みんな人間と同じように歳を取るかと言われたら、時間の感覚が違うわけじゃないですか。そこで、自分の愛犬をタイムトラベラーと重ねて、先の題材で歌詞を書き進めていった結果、タイトルも「タイムトラベラー」で落ち着きました。
――そういう意図があったんですね。
藍井:うちの犬は結構ご老体なので、どんどん耳が聞こえなくなっているんですけど、だからこそ命を大切にしていきたいなとより思うようになりましたし、たとえ目が見えなくなったとしても、耳が聞こえなくなったとしても、最後の最後まで愛を持って生命というものに接しようという覚悟が込められた曲でもあります。
――藍井さんの中ではペットを題材にしているけど、聴き手によってはこの歌詞で思い浮かぶ対象は変わってくると思うんです。
藍井:それでいいと思うんです。それこそ、私もちょっと前におばあちゃんが亡くなったりしたので、そこでも命の尊さって何なんだろうって考えたので、皆さんの身近にいる人のことを思って聴いてもらえたら嬉しいです。
――そういう歌詞の乗った綺麗なメロディを、肩の力が抜けた歌い方で表現しているところも、個人的にはいいなと思いました。
藍井:いろいろキーを変えて歌ってみたんですけど、これが一番私の声的に聴き心地がいいかなということで、このキーになりました。アルバムが始まってからずっとパワフルな曲が続いたから、ここで1回心を休めてほしいという意味でも、こういう歌い方は合っていたのかもしれませんね。
――「タイムトラベラー」でホッとしたかと思うと、6曲目「カリギュラ・カリキュラム」で……。
藍井:そう、壊れちゃいます(笑)。ここの高低差は、アルバムの中でも随一だと思います。
――「カリギュラ・カリキュラム」はこのアルバムの中で、僕の一番のお気に入りなんです。アレンジ含めて、ぶっ飛んだ曲ですよね。
藍井:私も大好きです。アレンジは最初にもらったものから、さらに変えてもらって、最終的にかなりジャージーな味付けにしてもらいました。
――曲調はもちろん、リズムやテンポ感もアルバム前半とは色合いが異なるので、後半に向けたいいフックになると思います。そして何より、この曲は藍井さんのボーカルが非常に表情豊かで、そこも聴きごたえがありました。
藍井:嬉しい。私的には結構乱暴な感じで歌ったりもしたので、いろんな色味を感じられる歌になったかなと。そういう意味でも、歌うのがすごく楽しかったです。もちろん、難しさもあったんですけどね。
――どういったところが難しかった?
藍井:メロディや譜割りが難しいんですよ。キー的には全然難しさは感じなかったんですけど、メロディが複雑だったので、それをどう歌いこなすかという。かなりぶっ飛んだ感じになっているので、今までの私を知っているファンの方に「あれ、藍井エイル壊れちゃったんじゃないか? 大丈夫か?」って思われないか心配です(笑)。
――続く7曲目「靉靆」も強烈な1曲ですよね。「カリギュラ・カリキュラム」と「靉靆」は藍井さんにとって、真の意味での新境地ではないでしょうか。
藍井:そうですね。特にこの2曲は、セットで聴くことで意味を成すんじゃないかと思っていて。逆に、バラバラに並べると1曲1曲が浮きすぎてしまって、通して聴いたときに疲れるアルバムになっちゃうんじゃないかなと思うんです。
――流れ的にも2曲並ぶことで、気持ちよく聴けるんですよ。「靉靆」は低音ボーカルを活かしたアレンジはもちろんですが、まずタイトルのインパクトが強烈ですよね。
藍井:これ、読めました?
――最初は読めなかったです。「あいたい」と読むんですよね。
藍井:そうなんです。雲や霞がたなびいて、すっきりしない暗い気分を表す言葉で、周りからは「文字化け」って呼ばれてました(笑)。
――小さいフォントだと潰れるというか滲んでしまって、確かに文字化けしてるように見える(笑)。この曲はボーカルの表現方法にゾクゾクしました。
藍井:狂気を感じますよね。低音で歌ったかと思えば、いきなりぶりっ子調で歌ったりと、1曲の中でいろんな歌い方に挑戦してます。この曲は「(メロディの)レンジの広い曲をお願いします!」とオーダーしたものなんですが、自分が思っていた以上に広くて。特に下(低音)は「これ、出るかな?」と心配になるほどで、ここまで低いのは初めてでしたね。
――ここまで低いと、艶っぽさも伝わってくるんですよね。
藍井:かつ、ゾクッとする怖さもあるし。そういった狂気的な表現ができるのも、この曲ならではですね。
――歌詞も狂気性が伝わる内容ですしね。
藍井:可愛いことを言っているようで実は可愛くないことを言ってるので、そこに狂気を感じますよね。しかも、このメロディラインなので、どこからどう聴いても狂気の曲だなと思います。
――ここで表現されている感情って、藍井さんの中にも存在するものなんでしょうか。
藍井:ここまで私的に考えることは普段はないですけど、でもこの曲を歌うときに10代の女の子みたいな……ちょっと攻撃的で、自己顕示欲が強めで、なおかつ、「私というものはこうだからね」みたいなことを相手に押しつけるようなイメージで臨んで。かつ、1曲の中に10代の女の子とお姉さんという2つの人格が存在するので、「ここはちょっと子どもっぽく、表情を付けて歌ってみよう」とか「サビはお姉さんっぽく、魔性の女感を出してみよう」とか演技をしているような感じで歌ったりと、やっていて面白かったですよ。
――アルバム1枚の中で、いろいろ高いハードルが用意されていて、しかもそのハードルがどんどん高くなっているという。
藍井:そこは「MONSTER」を出したときにすごく感じましたし、「MONSTER」がちゃんと評価されたからこそ『UNBOUND』に繋げられたんだと思います。なので、今回の挑戦のきっかけはすべて「MONSTER」から始まっているんです。
――「嵐の中でも」が楽曲としての軸になり、「MONSTER」は新しいことや難しいことに果敢に挑戦していくことを教えてくれた。このアルバムの根底にあるものが、冒頭の2曲で表されているわけですね。
藍井:そうですね。このアルバムにおける名刺的な2曲なのかなと思います。
リリース情報

アルバム『UNBOUND』
- 2026/9/30 RELEASE
<初回限定盤>
LACA-35299 10,230円(tax in.)
<通常盤>
LACA-25299 3,630円(tax in.)
詳細はこちら
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【EIR AOI LIVE TOUR 2026-2027 “UNBOUND”】
2026年10月24日(土)熊本・B.9 V1
2026年10月25日(日)福岡・DRUM Be-1
2026年11月15日(日)大阪・BIGCAT
2026年11月28日(土)北海道・PENNY LANE24
2026年12月24日(木)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
2027年01月09日(土)香港・TIDES
2027年02月13日(土)台北・Zepp Taipei
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物語の着地点「Our Horizon」
――そして熊本へ向かう思い
――既存曲「絵空事」を挟んで、9曲目「SYNTHESIS」でアルバムも終盤に突入します。
藍井:アルバム前半は「タイムトラベラー」で落ち着いてもらったんですけど、後半は奇抜な2曲を経て「絵空事」で落ち着いてもらうという。そういうイメージで曲を並べました。
――「SYNTHESIS」はドラマチックさが際立つ仕上がりですが、実は「絵空事」と同じ作曲チームが手がけていることもあってか、流れがすごくスムーズなんですよね。アルバム序盤にGAK-amazuti-さんの曲が固まっているのもそうですが、同じ作家さんの曲を並べるのは意図的なところもあるんでしょうか。
藍井:いや、結果的にこうなっただけで。でも、もしかしたら空気感みたいなものを作るときに、無意識のうちに共通点を見つけていたのかもしれませんね。「絵空事」もそうですけど、「SYNTHESIS」も本当に綺麗なメロディラインで、そこは同じカテゴリーに入ると思うんです。あと、「SYNTHESIS」は歌詞の中に今までの私の楽曲タイトルが散りばめられていて。そこも含めて、アルバム終盤にあるとよりドラマチックさが増すのかなと思って、このポジションに置きました。
――「嵐の中でも」もそうですが、アルバム収録曲の多くの歌詞から作家さんたちの藍井さんへの愛情が強く感じられます。歌詞をお願いする際、藍井さんから内容について注文をつけることはあるんですか?
藍井:今回は作曲に関してはいろいろオーダーしましたけど、歌詞に関してはほぼなくて。基本的には、いただいた歌詞を自分の中に落とし込んで表現することに注力して、歌ってみて「ここは直したいです」と思う箇所があったら、ちょっとだけ返させてもらったくらいです。自分で作詞するのと違って、作家さんに書いていただくと……それこそ「靉靆」みたいに、自分の中にない表現や言葉がいっぱい出てくるので、新しい扉を開ける感覚に近くて。歌っていてもすごく勉強になるんです。
――「SYNTHESIS」は特に、ラストサビのメロディや歌にグッとくるものがありました。
藍井:あそこ、いいですよね。今までと違って、がなるように、叫ぶように歌ってないんですよ。「SYNTHESIS」のラストサビもちょっとキーが高いので、以前だったらそういう歌い方をしていたかもしれないけど、最近はミックスボイスをうまく出せるようになったこともあってか、余裕を持って歌うことができました。
――10曲目の「Our Horizon」で、アルバム『UNBOUND』は締め括られます。
藍井:この壮大な曲調で終わると1枚のアルバムとしてしっかり完結する感じが出せると思ったので、最初からラスト曲にすることを決めていました。最近は「ライブもこの曲で終わりたいね」と相談しているくらいで。でも、どうなるかはまだ未定です。
――アレンジも最初の段階から、こういう形だったんですか?
藍井:大まかにこういう形でした。クワイヤが最初から入っていたんですけど、そこにオーケストラを生で加えてもらって、気付いたらどんどん壮大になっていました。
――歌詞もすごく印象的な内容ですよね。
藍井:自分が能動的に前へ進んでいくというよりは、前に進んでいくことを認めてもらえている、支えてもらえている……そんな歌詞だなと感じます。そう考えると、がむしゃらさが伝わるアルバム序盤の歌詞とはちょっと違いますよね。
――「嵐の中でも」で覚悟を決めて、がむしゃらに突き進んだ結果、ラストで「Our Horizon」にたどり着く。
藍井:そう、そういう物語性を感じてもらいたくて。視点こそ異なるものの、「嵐の中でも」と「Our Horizon」で描かれている世界観ってちょっと似ている気がするんです。ただ、それが能動的か受動的の違いであって、がむしゃらに前へ進んでいくのが「嵐の中でも」、誰かのつらい部分を背負って「一緒に歩いていこうか」みたいに語りかける優しさがあるのが「Our Horizon」なのかな。
――このアルバムを携えた全国ツアー【EIR AOI LIVE TOUR 2026-2027 “UNBOUND”】も、10月24日に熊本からスタートします。
藍井:今回は熊本からスタートしたかったんですよ。というのも、【Eir Aoi LIVE TOUR 2016 “D'AZUR-EST”】という、3枚目のアルバム『D'AZUR』(2015年)を携えたツアーで熊本に行く予定だったのが、地震で行けなくなってしまって。その後もなかなかタイミングが合わなかったんですけど、絶対に行きたい場所だったので、今回は必ず熊本に行くと決めて。熊本で待ち続けてくれている人たちもたくさんいると思いますし、最近もまた大変な地震がありましたけど、少しでも何かの糧になってくれたらいいなという思いで向かいたいです。
リリース情報

アルバム『UNBOUND』
- 2026/9/30 RELEASE
<初回限定盤>
LACA-35299 10,230円(tax in.)
<通常盤>
LACA-25299 3,630円(tax in.)
詳細はこちら
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【EIR AOI LIVE TOUR 2026-2027 “UNBOUND”】
2026年10月24日(土)熊本・B.9 V1
2026年10月25日(日)福岡・DRUM Be-1
2026年11月15日(日)大阪・BIGCAT
2026年11月28日(土)北海道・PENNY LANE24
2026年12月24日(木)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
2027年01月09日(土)香港・TIDES
2027年02月13日(土)台北・Zepp Taipei
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