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<インタビュー> ano、『新劇場版☆ケロロ軍曹』で歌う“貸しっぱなし”が繋げる縁&更新されたあの名曲

Interview & Text:永堀アツオ
Photo:渡邉 直
anoが、6月26日に全国公開の『新劇場版☆ケロロ軍曹』の主題歌となる「貸しっぱなしデスティニー」、そして粗品とタッグを組んだオープニング曲「また帰ってきたケロッ!とマーチ」を配信リリースした。「貸しっぱなしデスティニー」の作詞はあの、作曲は「骨バキ☆ゆうぐれダイアリー」以来2度目の共作となる、こめだわらが担当。かねてより『ケロロ』好きで知られるanoは、今回の制作にどのような想いで向き合ったのだろうか。
ドラマ『惡の華』ではW主演と主題歌を担当、またドラマ『わたしの相殺日記』の主題歌には2025年に書き下ろした「KILL LOVE」が決定するなど、2026年も話題が尽きないanoに、「貸しっぱなしデスティニー」の話はもちろん、音楽制作をはじめとした表現への想いについても話を聞いた。まずは、現在開催中の全国ホールツアー【ano HALL TOUR 2026 「DUAL DINER」】の話題から。
――現在、全国ホールツアーを開催中ですが、どんなツアーになってますか?
ano:今まで以上に自分の精神性的なところが引っ張り出されている感覚がありますね。個人的には、集中力がより研ぎ澄まされるようなパートがあるので、構成や演出を含めて、今までのツアーとはまた違う感じで作ってます。
――その「精神性を引っ張られる」というのは、お客さんからというよりは、構成や演出によってということですか?
ano:そうですね。武道館をやって、そこで、今後こうしたいなみたいなのがあったので、自ずと引き出されるように自分で持っていっているところがあって。昔作った曲を多めにやってみたりとか、勢いで終わらせないというか、勢いだけでできるライブじゃないものをやってみてます。
――昨年9月の武道館公演はanoさんにとってどんな区切りになりましたか?
ano:自分的には通過点の感覚でやってたけど、自ずと今までの積み重ねが出たライブだったと思います。いろんなトラブルがあったんですけど、今まで踏んできた場数とか、全てをないがしろにしなかった感じが活きたライブで。そういう意味では、自分が間違ってなかったなっていう、これまでの音楽活動を肯定してもらえた気持ちがありましたね。それが、今のライブにもつながってるし、自分のアーティストとしての色をより深く出していける助長になった感じです。
――そして、ツアー中ではありますが、早くも今年3作目となる新曲「貸しっぱなしデスティニー」がリリースされます。まず、『新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!』の主題歌に起用された心境を聞かせてください。
ano:元々好きなアニメだったので、すごく光栄でした。今までのタイアップとも若干気持ちというか、感覚が違う。ボーナスタイムみたいな感じ(笑)。そういう意味でも、楽曲作りで自分がどうこうっていうよりかは、はっちゃけられる感覚がありました。
――anoさんは『ケロロ』好きとしてお馴染みですが、最初に好きになったきっかけは何ですか?
ano:曲も含めてですけど、ケロロたち自体が、人間じゃないのにめちゃくちゃ人間臭いっていう。最初はそこが面白くて。何も考えずに見られるっていうところと、特に、曲を聞くと安心できる。自分も生きるの下手だなって思うことが多いから。そういうのをギャグにしてくれてるアニメだし、曲だし、歌詞だし。そういうので元気づけられることはあったので。好きですね。
――キャラクターやアニメより、まず、曲が好きなんですね。
ano:はい。ケロロは曲がセットみたいなイメージが僕の中ではありますね。でも、アニメもすごいオタクカルチャーというか。
――ケロロはガンプラ好きですもんね。
ano:そういうところも日本のカルチャーの良さが出てて好き。曲も、「ケロッ!とマーチ」のマーチングとか、サウンドがめちゃくちゃかっこいいみたいなところにもこだわりを感じて好きです。
――そんな好きな作品の主題歌を作るにあたって、どんなところから制作をスタートしていきましたか?
ano:僕は最初、めちゃくちゃポップな曲を、と思ってたんです。でも、映画のエンディングで流れるってことで、すごく壮大というか、『メロディアスでエモい感じにしてほしい』っていうオーダーがあって。『ケロロ軍曹』でエモい系ができるかな?って最初は若干戸惑ったけど、映画の構成とか色々見ながら考えて。メロディは綺麗にして、でも歌詞は『ケロロ軍曹』の世界に入りたいなと思いました。エモい感じのこと言ってるけど、実は<漫画返せ>ってことしか言ってないみたいな、そのしょうもなさみたいなものを取り入れようと思って。あとは、福田監督が僕のライブを見に来てくれて、「シャウトをめちゃくちゃ入れたい」って言ってくれたので、シャウトもふんだんに入れちゃいました。

――作曲は「骨バキ☆ゆうぐれダイアリー」に続き、ボカロPのこめだわらさんと2度目の共作になってますね。
ano:前回もそうですけど、デスボイスやシャウトとの合わせがすごくうまくいくなっていうのがあって。狙ってないけど、必然的に若干「骨バキ」と通じてる感じがあります。この色も自分の楽曲の中でまた新たなアイテムじゃないけど、武器になるなと思いながら作ってました。
――「骨バキ」は、武道館だとライブの後半の盛り上がりのところで激しいバンドサウンドと炎が上がってた印象ですけど、「貸しっぱなしデスティニー」と通じてるって思うのはどんなところですか?
ano:単純にシャウトがめちゃくちゃ入ってるっていうのもそうだけど、サビのメロディが泣けるところ。「骨バキ」を歌ってても思うけど、あんな激しいのに、『なんだろう。この悲しくて切ない気持ちは』って言うのがあって。「貸しっぱなしデスティニー」もめちゃくちゃふざけた曲ではあるんですけど、ケロロたちの日常を歌ってるのもあるし、自分的にも自分が書いたとは思えないような、爽やかな切ない歌詞でもありますね。
――返ってこない漫画に対して、もしかして失くしたのかな?と不安になりながらも、貸した相手に対して<思い出じゃ足りないな>って歌ってるところがめちゃくちゃ切なく響いてます。
ano:普段の自分だと臭くて言えないみたいな歌詞を入れました。例えば、<君と笑う日々が訪れますように>とか、笑っても泣いても転んでも<忘れたことはなかったんだ>とか。自分では言わない。結局、言ってることは、<漫画返してほしい>ってだけなんですけど(笑)、そこの要素があるから、こういう臭い歌詞も書けました。だから、ケロロのおかげでもあるなって思います。
――<漫画返せ!>しか言ってないようで、返さないことで君と僕がつながってるんだというエモさも感じるんですよね。
ano:結局、そうなんです。最後は返さないでほしいっていう。君のそばでずっと笑ってたいからっていう歌詞になってて。自分でもすごくいいお話になったなって思います。
――この君と僕はどんなイメージですか?
ano:ケロロと小隊たちとか、夏美や冬樹かな。普段は『このボケガエル!』とか言ってふざけてるけど……っていうところ。まず書きたかったのはそこですね。
――僕=ケロロのイメージなんですね。ご自身も重なってますか?
ano:僕もそういう臭い言葉はなかなか言えないタイプだから、そこはすごく重ねながら書いてました。基本的には『ケロロ軍曹』の本体を大事にしつつ、自分の感情もいれてるというか。<寝てるだけで嫌われる>っていうのが僕は多くて。でも、ケロロの世界にいたら、もしかして世界が自分中心かもって思うような変換がされそうだなと思ったり。そういう浄化の仕方みたいな感じで書きました。
――キーワードを<漫画返せ>にしたのはどうしてだったんですか。
ano:きっかけとかケロロがどうとかはあんまりなくて。なんなら『ガンプラ返せ』と迷ってたんです。でも、ガンプラ貸すことってそんなにないし、「漫画返せ」の方が言いやすいし、キャッチーだし、みんなも記憶にあるなって思うかなって。漫画の貸し借りは日常の中であるじゃないですか。僕も貸したことはないけど、貸してもらったことはあったので。そこで、「貸してもらうって意外と友達じゃない?」「割といい人なのかな」って思える要素だなって。それで繋がる縁ってあるなって思いました。

――何か借りたままのものってありますか?
ano:どれが借りっぱなしかもあんまりわかんないぐらい、結構、借ります。借りパクしまくってる感じはありますね。
――あははは。そうなんですか?
ano:最近はないけど、昔に借りたやつをずっと返してないとかはあります。僕自身、漫画をあんまり読まないから、「読んで」って言われて借りることが多い。だから多分、ありがたみがなくて返してないっていう。
――世代的にはCDの貸し借りはしてないかな?
ano:いや、してますね。マキシマム ザ ホルモンがサブスクになくて。学生時代に、ほぼほぼ喋ったことない、マキシマム ザ ホルモン好きの先輩が、「たぶん、好きだと思う」って言ってCDを貸してくれたんですよ。高校はすぐ辞めちゃったんで、返したかは覚えてないぐらいだけど、借りたのはめちゃくちゃ覚えてます。
――それがマキシマム ザ ホルモンの入り口でした?
ano:その前から知ってたけど、そこでしっかりと聞いて、どハマりして。過去の曲もめちゃくちゃ聞いたり、買ったりして好きになっていって。きっかけはそれでしたね。
――タイトルとも通じる部分がある。
ano:そう、あの日もらったからこそできた運命や出会い、縁だったりするなと思います。だから、タイトルには“デスティニー”って入れたかったんですけど。貸したことは、貸しっぱなしがいいかな〜みたいな感じでつけました。
――歌入れはどんなアプローチで望みましたか?こうして『ケロロ軍曹』の曲を歌うanoさんの歌声を聞くと、ルーツにタママがいるのかと思います。
ano:そうですね。いろんな顔があるというか。シャウトと歌ってるところが全然違うなとは思います。
――歌ってるところはキュートでラブリーだけど、デスヴォやシャウトは手がつけられない時のタママ感がある。この歌い方の違いは意識的なものですか?
ano:これは気づいたらそうだったから、そういう意味でもタママ好きだし、すごく似てるなって思って。好きなのはケロロなんですよ。色もだけど、堕落してる感じとか、どうしようもないけど、意外とたまに頼れる感じが好き。でも、この中で似てるキャラクターはやっぱりタママだなって思う。でも、意識的にそれをやってるわけではなくて。それこそアイドル時代からシャウトして、歌うとこはいつもの感じで歌ってました。そこの切り替えは元々潜在能力としてあったけど、こうやって自分で曲を作っていく中でちゃんと意識するようになった感じですね。
――歌入れの時、何かイメージしてたことなどありますか?
ano:シャウトがめちゃくちゃ多くて、そこはすごく喉に負担がかかるので、大変ではありました。でも、なるべく1発で録れるようにして。あと、ここまでエモい綺麗さのあるメロディを歌ったことがなかったので、自分が歌う分にはあんまり得意な方ではなかったんですけど。
――しっかりと歌い上げるサビになってます。
ano:「ちゅ、多様性。」とはまたちょっと違う感じだから、そこは癖をなるべく無くして歌いたいなっていうのはちょっと意識しましたね。なるべく入ってきやすいような歌い方を意識して。他のパートはいつもっぽい感じでやっています。
どんな仕事をしてても、表現ができればできるほど好きだなって思う

――『ケロロ』好きの方は、この曲で初のデスヴォ体験をするかもしれないですね。もう1曲、「また帰ってきたケロッ!とマーチ」では、カバーをされてます。
ano:これはオファーがあって、もちろんやりたいですっていう感じで決まりました。やっぱり大好きな楽曲だし、歴代いろんな方が歌ってますし。
――どの時代の「ケロッ!とマーチ」を聞いてましたか?
ano:初代のイメージが一番強いかなって思います。今回復活みたいになって、誰が歌うってなった時に、僕以外が歌ってるのが本当に想像できなかったんですよ。オファーが来た時、そんな話があるなら『僕以外誰が歌うんだろう?』って思っちゃうぐらい、絶対に僕しかいないって自分でも思って。
――(笑)。
ano:もちろんやりたいですって。めちゃくちゃ自信がありました。
――どこから来るものですか、そこまでの自信は。
ano:だってめちゃくちゃ聞いてきたし、家でも口ずさんでるし、声の相性もめちゃくちゃいいし。僕なら初代の方々のリスペクトを持ってできるなって思ったんです。そこは謎の自信がありました。もちろん、大好きっていうのもある。
――歌詞を令和バージョンに変えてますが、anoさんもアイデアを提供してるんですよね?
ano:令和っぽくしようという話もあったので、『それだったら案を出せると思います』とお伝えして。年齢的にもまさに今を感じ取りながら、インターネットだったり、いろんなとこからの情報を摂取してる人がアイデアを出せたらいいかなと思って、ちょっと手伝わせてもらいました。
――どんなアイデアを出したんですか?
ano:<買った方が安いね晩のおかず>とか<傘持って出かけた日にはいつも晴れ>はめっちゃ好きだから、元々の良さは消したくないなと思ってそのまま残していて。<スマホで支払い残高ない>は僕、いまだにめちゃくちゃよくあるんです。本当に、変な汗かくんですよね。あと、<気に入った服だけ在庫ない>は、自分が買おうと思った服だけ必ず在庫がないんですよね。色やサイズがないっていう。なんでだろうと思いながらも、共演者さんに聞いたら、『めっちゃわかる』って言われて。あと<加工しすぎて時空歪む>とか!
――あはははは。ここ面白かったです。
ano:加工がマストの世界になった今の時代っぽいなって。今だからこその歌詞を入れたりしました。
――この曲は、音楽トークバラエティ番組『あのちゃんの電電電波♪』で共演している粗品さんとタッグを組んでます。
ano:男性パートが粗品になってます。声のバリエーションが何パターンも出てきて、歌心がめちゃくちゃある人だとは思っていたけどここまで使い分けできるのは知らなかった。僕の声が「ケロッ!とマーチ」にあった声の出し方に振り切ってるので、よりゴリッと感というか、ダミ声を効かしてくれたことでめちゃくちゃまとまったし、バランスが良かったなって思います。でもね、最後の方に<アラシター!>っていう、YouTubeの締めで言ってるやつを使ってるんですけど、ここは<アラシター!>と<ただぁ!>の案があったんです。<ただぁ!>じゃなくてよかった。
――あははは。「1人賛否」の方になるかもしれなかったんだ。
ano:そこは僕、こっそり『絶対に<アラシター!>のがいいと思う』って言ったんで、<アラシター!>になってよかったと思って。でも、僕の<アノッ!アノッ!アノッ!>は……
――ずっと口ずさんできた<ケロッ!ケロッ!ケロッ!>が<アノッ!アノッ!アノッ!>に変わってるところがありますね。
ano:僕は最初、これが上がってきた時に「絶対入れないでください。入れない方がいいと思います」って言ったんですよ。やっぱりケロロの曲だし、自分の名前なんて恐縮すぎて、入れなくて大丈夫ですって言ったら、(作詞の)もりちよこさん含めて、「いや、ぜひここは入れたいです」って言ってくださったんです。そう言ってくれるんだったら、その方がいいのかなって思って入れさせてもらったんですけど、歌ってても変な感じがしました。なんか不思議。でも、これが残っていく音楽になると思うとめちゃくちゃ嬉しかったし、恐縮だなって思いながら歌っていて。でも、粗品も<粗品、ほな行きます>とか言って。ちゃっかり自分を入れてんな、みたいに思いました。僕だけ「いいんですか?」みたいになってましたね。
――(笑)。この2曲が映画館で流れるんですね。
ano:「また帰ってきたケロッ!とマーチ」はもともと好きな方には令和版として改めて愛してもらえるといいなって思うし、ケロロを知らないとか、馴染みがない方たちもこれを機に、この曲の良さが伝わるといいなと思います。さっきも言ったけど、『ケロロ』は、作曲や編曲にすごくこだわりを持たれてて。めちゃくちゃカッコいいサウンドが裏で鳴ってるのに、レコーディングしてようやくそれに気づいて。誰の声も乗ってないのはあんま聞いたことがなかったので、そこも聞きどころだなって思ってます。
「貸しっぱなしデスティニー」は、『ケロロ』の映画と合わせて、すごくラフに気軽に聞いて楽しんでもらいたい。その上で、不意にうるっときたり、ちょっと感傷に浸るような瞬間があるといいなって思ってます。ケロロと夏美の間には、突っぱねたい縁や突っぱねたい関係があるけど、実は、そういうものが一番大事で。それこそ返したかった漫画を返さないっていう手段というか、運命もあるんだよ、みたいなのをちょっとだけ感じてもらえたらいいなって思います。
――anoさんが作詞作曲した曲は、最後までしっかり聞くことでわかる曲が多いですよね。漫画返せしか言ってないようで、人とのつながりを歌ってたり、<ラブソングなんでクソクソ嘘>(KILL LOVE)とこっそり<嘘>を混ぜてたり。「ミッドナイト全部大丈夫」でも<赦して 赦して>と繰り返した後に、歌詞にはない<赦すよ>って歌ってたりしますし。
ano:そう、僕はフルで聞いてほしいなって思う曲ばっかりですね。伝わってるのかな?とか思いながら作ってますけど、自分のこだわりとして、やっぱり天邪鬼っていうか。すぐには出さない感じが出てるなって、今回も思いますね。

――これからっていうのはどう考えてますか?先日は、鈴木福さんとのW主演ドラマ『惡の華』の主題歌「愛晩餐」を書き下ろしてましたね。
ano:なかなかなくないですか?主演をやって、曲を作って、タイアップも取る、みたいな。
――それが自作曲を広める手段の一つではある?
ano:めちゃくちゃそうですね。もちろん、そうできるのが当たり前じゃないので、それは動いてくれてる方々のおかげだなと思いつつ、なかなか今時はいないなって。それがずっと続くということではないけど、最近は重なった分、面白いことができてるなとは思いますね。やっぱり演じたからこそ、すごく距離感の近い曲が書けるという良さも感じてて。そういう動きができるのは、それこそ自分だからできることだし、そこには意味がとてもあるなって思いながらやってるし、曲作りも昔よりも楽しみながらできるようになってきたなって思います。表現したいことが尽きないということが、曲を作るたびに思える。
――ちなみに「愛晩餐」にはどんな思いを込めましたか。
ano:ドラマのオープニングというのもあったので、やっぱりキャッチーさは欲しいっていうのも言われてて。なので、サビは意向に沿いながら、歌詞は自分なりにこの二人の関係を描きたいなって思ってました。それ以外は、原作を読んでのイメージとか、そこに対しての感情とか、結構、好きにやらせてもらいました。だから、これも曲をフルで聞いてもらいたいですね。
――後半の<わかんないなら それでいい わかってたまるか>のカオスパートが大事ですもんね。
ano:正直、ここがなかったら成立しない曲だなって思うので、テレビ歌唱も全部、ここのパートは入れて歌ってて。こういう共依存っぽい関係の特有の気持ち悪さを僕はすごく感じてて、それって大人になっても全然あることだと思うし。
――<アーンして飲み込め>という歌詞がありますけど、MVでもカレーやナポリタンを食べてますよね。
ano:欲だからかわかんないんですけど、似てるなって思う。愛情が欲しいとか、私の言うことを聞いてほしいとか、なんで言うこと聞いてくれないんだろう、みたいなことと。その感情自体は僕もめっちゃ思うけど、それって人間すぎて、うわーって僕は思う。自分にも思っちゃうし、それが気持ち悪くて。食べ物をぶわーって食べたけど、めっちゃ吐いちゃうみたいなやつとすっごい似てるって思う。この関係はすごく素敵だと思うけど、僕が春日を目の前にしたら本当に耐えれないと思うから。なんか、支配していく感覚と支配されたい欲みたいなものがすごく見覚えあるな、みたいな。それを歌詞にしました。
ano「愛晩餐」Music Video
――ドラマ関連の話題だと、『わたしの相殺日記』の主題歌に「KILL LOVE」が決まりました。“相殺”に「KILL LOVE」って、まるで書き下ろしたかのようなタイトルですよね。
ano:自分の過去とか嫌なものを殺して、好きなものに生きるみたいな感覚のドラマなので、<一生ハグして一生キスして一生キル>してっていうのが全部入ってるなと思って。すごくマッチしてるし、ドラマの主人公やファンの方々もそうなんですけど、自分の好きを貫いていて、自分を生きている。その好きな対象が自分の理想じゃなかったら否定したくなるけど、結局、そのおかげで生きれることってあるじゃないですか。
――うん、そうですね。
ano:憎しみもあるような愛情の曲で、『相殺日記』は、そこの自由奔放さを描いてて。MVの女の子も自由奔放な感じを出してもらってるので、奇跡的に合ってる曲だなって思いました。
ano「KILL LOVE」Music Video
――「貸しっぱなしデスティニー」「愛晩餐」「KILL LOVE」と作詞作曲した楽曲が世に放たれていきますけど、今後はどう考えてますか?先ほど、「曲作りも昔よりも楽しみながらできるようになってきた。表現したいことが尽きない」とおっしゃってましたよね。
ano:やっぱり自分は表現するのが好きだなって思ってて。どんな仕事をしてても、表現ができればできるほど好きだなって思う。やりがいのない仕事があった時は、それこそ相殺したいみたいな気持ちになって、家に帰って曲を作ったりするぐらい、表現が好きなんだなって思う。前から思ってるけど、どんどんより自覚してきました。だから、曲作りはしていきたいし、詞もいっぱいいっぱい書きたいなって思ってます。こうやって、前に作った曲がドラマの主題歌になったりとか。後からそうなるケースっていうのもあまりなかったので。
――主演もしてっていうのはあまり聞かないないので、珍しいですよね。
ano:結構、面白く感じてます。そんなこともあるんだなって思うと、誰かの人生とか、誰かの物語に色をつけられるというか。そこに新たな風を吹き込ませることができる可能性みたいなものを感じました。最初の頃は自分のことを歌った自分だけの音楽をやってきたけど、誰かの物語を飾れるような曲を書くっていうことにも興味を持ってますね。
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