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<インタビュー>“今”を鳴らして、次の景色へ──DURDN、初のビルボードライブに挑む

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 DURDNが自身初となるビルボードライブ公演を、7月27日ビルボードライブ横浜で開催する。メジャーを離れ、インディペンデント体制となってリリースされた2枚のシングル「WINDSDAY」「Echo Lane」は、軽やかさと深化を兼ね備えた意欲作。結成から4年半、それぞれが向き合う「変化」や「自分自身のあり方」を、ポップスの中に静かに、そして力強く刻み込む。独立後の現在地と、これから目指す未来について、3人にじっくりと話を聞いた。(Text:黒田隆憲/Photo:SHUN ITABA)

ビルボードライブの舞台で、DURDNの“今”を鳴らす

――まずは、ビルボードライブ横浜での初公演が決まった心境をお聞かせください。

SHINTA:久しぶりに、自分たちのコンセプトをしっかり打ち出すワンマンライブになります。準備にも熱が入っていますし、ビルボードライブの空間に合わせた演出も考えているところです。新しいDURDNの一面を見せられるステージにしたいですね。


yacco:独立して、まさかこんなに早くワンマンライブができるとは思っていませんでした。Bakuのビザの問題もあったし、もっと先になるかと少し不安もあっただけに決まったときは本当にうれしかったです。


Baku:普段のライブハウスとはまた違った空間で、自分たちの音楽を届けられることが純粋に楽しみです。



――これまで、お客さんとしてビルボードライブに行ったことはありますか?

yacco:ライブが決まってから3人で、doriさんのライブを観にビルボードライブ横浜に来ました。会場の雰囲気を肌で感じられたのがよかったですね。それと、個人的には専門学生の頃、ビルボードライブ東京にガブリエル・アプリンのライブを観に行ったことがあります。天井が高くて開放感があって、すごくおしゃれな空間でした。


SHINTA:ビルボードライブは落ち着いた大人の空間という印象がありますね。アコースティック編成はもちろん、バンド編成でミニマルなアンサンブルを聴かせることもできるし、もっとジューシーに響かせることもできる。それだけに表現力が試される場だと感じています。



yacco:食事をしながら音楽を楽しめるのもいいですよね。客席とステージの距離も近く、独特の一体感や緊張感もあって。


Baku:盛り上がるライブハウスの雰囲気も好きですが、シックな空間で「聴かせるライブ」ができるのは嬉しいです。僕らの音楽スタイルと相性もいいはずですし、これまでにない試みにも挑戦してみたいです。



SHINTA:普段は同期のシーケンスとバンドサウンドを半々くらいのバランスにしてサウンドスケープを展開していくのですが、今回は少し変えようと思っていて。もちろんシーケンスを使う曲もありますが、まったく使わない、あるいは極力使わない楽曲も増やす予定です。


yacco:私は今回、ステージには立たないですしアンコールもやらないと公言しているのですが、そのぶん1stステージと2ndステージで内容やセットリストをがらっと変える予定です。それぞれに違った魅力を感じてもらえるのではないかと。


新たな門出を爽やかに彩る「WINDSDAY」

――インディペンデント体制になって初めてリリースしたシングル「WINDSDAY」は、新たな門出を祝うような爽やかな楽曲ですね。

SHINTA:これまでのDURDNの曲でいうと、「Vacation」のような夏っぽい爽快感を春らしい軽やかさに置き換えつつ、J-POPが持つキャッチーさも取り入れています。おっしゃるように、「心機一転」という曲のテーマにリンクするような開放感のあるサウンドを目指しました。しかもディスコやフューチャーファンクっぽさを薄く混ぜ込むことで、DURDNらしい楽曲に仕上がったと思います。




――歌詞には色彩の対比や鮮やかな言葉選びが印象的です。ジャケットもカラフルで爽やかな印象ですが、絵画的なアプローチを意識していますか?

yacco:実は今回、なかなか言葉が出てこなくて。どういうニュアンスにすればいいか、Bakuに相談したら「色を入れてみるのは?」と提案してくれて。そこから例えば〈ブルーの靴下〉や〈赤いキャップ〉のような、印象的なワードが思い浮かんで一気に世界が広がっていきました。あのパートはBakuのアイデアにすごく助けられましたね。


――〈絵画でみたようなダイナミックな人生ちょうだい〉は、今後のDURDNの活動指針にも聞こえます。

yacco:そうですね。私たちは3人とも、変わらない安心感よりはリスクがあっても変化を選びたい。そういう気持ちが歌詞のドラマティックな世界観と繋がった気がします。今回は特に、3人の「今」のリアルな気持ちが、そのまま歌詞に反映されていますね。




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最新曲「Echo Lane」が示す、静かな決意

――現時点での最新曲「Echo Lane」は、どのように生まれましたか?

SHINTA:おそらくDURDN史上、いちばんBPMが遅いかもしれない。「Echo Lane」はBPMでいうと75くらいだったと思います。ゆったりとしているぶん、音の太さや余白の豊かさが感じられるようなサウンドを目指しました。方向性としては、エレクトロポップというよりも、どちらかというとAORやR&B寄り。80〜90年代の空気感をまとわせながら、今の自分たちらしく再構築しています。
ミックスではそこまで前面に出していないのですが、実はバックボーカルやハーモナイズにもかなりこだわりました。重ねる声のニュアンスや配置には時間をかけ、細かい部分まで丁寧に詰めていったので、その辺りをじっくり聴いてもらえたらうれしいです。



――これまでのDURDNの曲は、過去の喪失感や欠乏感を歌う曲が多かった印象ですが、この曲は「今この瞬間を、君と。」というフレーズが印象的に繰り返されるように、視点が少し変わってきたように思います。

yacco:おっしゃるように、孤独を抱えていた自分が誰かと出会うことで、「本当は孤独じゃなかったんだ」と気づく。そんな感覚を描いた楽曲です。一人じゃなくて、誰かがそばにいる──そういう前提があるのは、これまでの楽曲とのいちばん大きな違いかもしれません。
それに今回、自分自身の「さらけ出し方」も変わったように感じています。これまでも感情を率直に書いてきたつもりでしたが、どちらかというとネガティブなものが多かったんですよね。ポジティブな感情を表に出すことには、ずっと抵抗があって。



――それはどうしてですか?

yacco:たとえば「幸せだな」とか「この瞬間が愛おしい」という気持ちに対して、「本当にそう思ってる?」「キレイごとじゃない?」と心のどこかで疑ってしまう癖が自分にはあったんです。でも今回は、不思議と「ああ、そう感じていいんだな」「この気持ちをちゃんと信じていいのかも」と自然に思えた。だからこそ、素直に歌詞に落とし込めたのだと思います。
私はずっと、「なんでこんなに人間的にダメなんだろう」って思いながら生きてきました。昨日の自分が嫌になる、そんな感情を毎日のように抱いていて。でも最近、「そうやって自分を振り返っている時点で、ちゃんと向き合えているのかも」と思えるようになってきたんです。「だったらこの感情も、リアルに描けるかもしれない」と。そんな心境の変化もあって、最近は全体的に、より前向きな気持ちでいられるようになってきたように思いますね。




――〈君の心に光る宝石/いくら出しても買えやしない〉といった印象的なフレーズは、これまでのyaccoさんらしさが凝縮されているようにも感じました。

yacco:この部分のメロディーは、実は結構前にできていたんです。楽曲の核になる部分ですし、ちゃんと意味のある言葉を乗せたかったので、思い浮かぶ情景をできるだけ丁寧に言葉にしていきました。聴いてくれた人が情景を頭の中に思い浮かべたとき、「自分はひとりじゃなかったんだ」と思ってもらえたら嬉しいです。



――では最後に、今後の展望についてお聞かせください。

SHINTA:年内にあと1〜2作はリリースする予定です。DURDNの強みはジャンルが流動的なところだと思っているので、次は「WINDSDAY」や「Echo Lane」とはまた全然違うサウンドを目指しています。それに、やっぱり僕はライブがすごく好きなんです。メジャーを離れたことで、以前のように気軽にライブができる状況ではないのですが、そこも見据えてしっかり取り組んでいきたい。中期的な目標としては、ホールライブができるようになること。より多くの人に、僕らの音楽を届けたいと思っていますね。


yacco:これまでシングルやEPでのリリースが続いて来ましたが、そろそろ自分たちの「フルアルバム」を作ってみたい。アルバムというフォーマットでどんな表現ができるか、自分たちでも楽しみにしていますね。


Baku:僕もやっぱりホールを目指したいですし、シンプルに「売れたい!」という気持ちももちろんあります。でもそれ以上に、音楽でちゃんと生活ができる状態を、なるべく長く続けていきたい。せっかくこの世界に飛び込んで、歌ったり曲を作ったりする最高の環境にいられるわけだから、そんな日常を大事にしながら一歩ずつ積み重ねていきたいです。



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