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<特集>全米初登場No.1!アデルが世界に届ける愛のメッセージ『30』



コラム

 リリースから3日間で、全米で今年最も売れたアルバムに認定されたアデルの6年ぶりの待望作『30』が、2021年最大の週間ユニットを記録して、米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で見事初登場1位を獲得した。自身3作目の全米No.1アルバムには、前作『25』以降に経験した離婚で受けた傷心と、母親そしてひとりの女性である自分を見つめる時間を経て、新しい人生に前向きに歩き出した彼女の姿がハッキリと現れている。彼女と同じように立ち上がろうとしている人たちの道標となるだろう。彼女の言葉とともに、このアルバムを解説する。

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「この作品は本当に人を救う力があると思います。」

 2008年のデビュー・アルバム『19』の発表以降、自身の人生経験をシンプルかつソウルフルに歌い上げ、これまで発表した3枚のオリジナル・アルバムは【グラミー】を多数獲得、また現在もビルボード・チャートの上位にランクインし続けるなど、21世紀を代表するシンガー・ソングライターとして圧倒的な存在感を放つアデル。彼女の実に6年ぶりになるアルバム『30』がリリースされた。英国のカルチャー・メディア『THE FACE』のインタビューにて、この作品について「明らかに私の人生のつづれおり」だと語っている。

「(前作の発表から6年の間に)私は離婚という大きな経験をし、さまざまな実験的なことも試しながら、自分にとって心地のいい音楽を作ってみたかったのです。誰がどう感じるのかを求めずに、自分のためにどんな音楽が聴きたいのかを追求する旅のようなものでした。結果、今回の作業はとても充実したものになったというか。仕事ではなく趣味の延長で向き合うことができました。私はそのことで、哀しみの淵から抜け出せたような気がしています。」


▲「トゥ・ビー・ラヴド」

 本来ならば、1年以上前に発表される予定だったという作品。しかし、新型コロナウイルスの影響により、予定の変更を余儀なくされたという。「きっとこれは出してはいけない作品なのでは?という気持ちになったこともありましたが、とにかく完成させようと踏み切って、ようやく発売できたのです。きっと、このままお蔵入りしていたら、私は10年くらいアルバムを発表できなかった気がします」と当時の心境を『THE FACE』のインタビューで語っている。

 思いもよらない時の流れで熟慮された結果だろうか、アルバムに流れる音色は、ベーシックはモノトーンでシンプルな世界でありながらも、所々に鮮烈な色を残している。前半の多くを手がけているのが、「ハロー」をはじめ数多くの楽曲も手がけ、本作のリード・トラックであり、米ビルボード・ソング・チャートで4週連続首位に輝いた「イージー・オン・ミー」もプロデュースしているグレッグ・カースティン。心に染みるバラード曲から、軽快かつヴォーカル加工したサビのヴォーカルが印象的なゴスペル・ナンバー「クライ・ユア・ハート・アウト」など、彼女の繊細な心の動きをドラマティックに表現している。

「前作では11人の異なるプロデューサーとセッションをしていましたが、結局それで自分が何をしたいのかがわからなくなっていました。だから今回は比較的少ないクリエイターの方々と濃密な音楽を作ろうと思ったのです。グレッグ・カースティンは、仕事だけでなくプライベートでも仲良くさせていただいており、また同じ年代の子どもを持つ身で、パートナーの方とも友人でもありますから、何でも言いあえる風通しのいい関係性です。だから今回の楽曲制作に関しても、アイデアを試させてくださったし、何より私を尊重してくださった。」(『THE FACE』のインタビューより)


▲「イージー・オン・ミー」

 また、前作『25』に収録の「センド・マイ・ラヴ」でも共演していた、マックス・マーティンとも「キャン・アイ・ゲット・イット」で再びタッグ。口笛(ホイッスル)を取り入れた軽快なサウンドにのせ、(おそらく子どもに)無償の愛をささげる決意を力強く表現している。


▲「キャン・アイ・ゲット・イット」

 1977年にこの世を去ったジャズ・ミュージシャンであるエロル・ガーナーのピアノの調べをバックに歌う「オール・ナイト・パーキング(with エロル・ガーナー)インタルード」から始まる後半の多くは、マイケル・キワヌーカやベル・アンド・セバスチャンなどの作品にも携わっているインフロが担当。前半部分では軽やかというか、耳馴染みの良いメロディが響く楽曲が多かったが、ここからはメランコリックというか瞑想的な雰囲気を放つ楽曲が目立つように。

「インフロは、アメリカ在住のイギリス人ということで意気投合しました。また、彼が参画する音楽プロジェクトSaultでヴォーカルを務めるCleo Solのアルバムに通じる音楽世界へと私を迎え入れてくれたのです。とても穏やかで紳士的な方で、素晴らしい作業になりましたね。」(『THE FACE』のインタビューより)

 サウンド的には前半が華やかで後半はじっくり耳を傾けて余韻に浸る内容であるのだが、歌詞はその逆。前半では、パートナーと別れ、ひとりで子どもを育ててはいけなくなった心境、またそれをどう克服するべきなのか葛藤する姿が描かれている。特に印象的なのが、「マイ・リトル・ラヴ」だ。彼女の子どもであるアンジェロと「ママは僕のことを愛している?」という問いかけに答える会話の様子、さらにラストには両親と共に暮らすことができなくなった現実に対して、泣きながら子どもに贖罪を乞う姿が赤裸々に収録。いかに彼女にとってアンジェロがかけがえのない存在であるか、また母親として強く生きていかなければいかないと、自分をなんとか鼓舞する姿を感じることができるはずだ。


▲「マイ・リトル・ラヴ」

 しかし後半からは、その景色が少し変化する。人生を変えるような出会いを経験し、母親としてだけでなく、ひとりの女性としての輝きをまとう様子がうかがえるのだ。そのなかでも彼女の“クレイジーな”友人たちがコーラスに参加している「ホールド・オン」は、誰かの好みにあわせなくていい。いつかそのままの自分を受け止めてくれる存在が現れるから、その瞬間まで“待ち続けて”というポジティブなメッセージを届けている。この楽曲についてアデルはApple Musicにて行われたインタビューにて「数人の命を守ることになるでしょう」と語っている。


▲「ホールド・オン」を使用したAmazon広告映像

 つまりこの『30』は、人生を全うしようと思っていたパートナーと別れ、そこで授かった生命と共にどうやって前を進んでいいのか迷うなかで、再び新しい希望(恋人?)と出会うまでの“愛”の過程を描いたアルバムと言えよう。

「この作品は本当に人を救う力があると思います。」(Apple Musicのインタビューより)

 彼女の楽曲は、失恋などで負った心の影にそっと寄り添うようなものが多かった。しかし、『30』ではそれだけではなく人生をより良く、そして自分らしく過ごしていくかのヒントを与えてくれる作品になっていると思う。

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