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<インタビュー>”ラヴソングの女王”古内東子が語る、今秋のビルボードライブへの想い



インタビュー

 切なさとかっこよさ。2021年9月から10月にかけて東京・大阪・横浜の[ビルボードライブ]で行うライブをこう表現する古内東子さん。2022年にはアーティスト生活30周年を迎える彼女が紡ぎ出してきたラヴソングの数々は、時代が変わっても長年愛され続け、無数の恋愛に寄り添ってきました。そんなラヴソングの名手・古内東子さんに、いまラヴソングを歌うこと、そしてアップデイトされていく「いまどきの恋愛」への思いをうかがいます。

時代が移ろうと愛され続ける、等身大のラヴソング

――30周年という記念すべき年を前にコロナ禍という状況になってしまいました。古内さんはこの間、どんな思いでいましたか。


古内東子:はい、おかげさまで来年にアーティスト生活30周年を迎えることになりました。CDデビューしたのは1993年ですけど、その前に曲作りを始めた時期から30年ですね。2020年は、ライブが中止や延期になったりして、やはりいろいろ考えさせられましたね。ただ、私自身はわりと小規模なライブが多かったこともあって、その後はできることをやろう、というスタンスで過ごしてきました。でも、特に大きめのツアーを控えていたアーティストやスタッフは本当に大変ですね。一度延期するとスタッフがまた集まるためのスケジュール調整なんかもありますからね。


――そんな中、30周年へ向けての活動はスタートしているんでしょうか。


古内東子:今、そこに向かって曲作りをしたり、いろいろな準備を進めたりしています。私は常に曲を作っているというタイプではなくて、曲作りのモードに入らないと書けないんです。しかも、そのモードに入るまでの時間がけっこうかかったりして(笑)。でも、今は「書きたい」というモードに入っていますね。しかも、30周年を前に、10月に1995年のアルバム『Strength』と1997年の『恋』の2枚が初めてアナログ盤としてリリースされます。そんなことが重なって、あらためて自分が歌ってきた曲と向き合う時期でもありますね。


――古内東子さんと言えば、やはり「ラヴソング」という言葉が浮かんできますが、ご自身の書いてきたラヴソングと向きあってみて、心境の変化を感じたりしますか。


古内東子:たまに若い頃に書いたラヴソングを大人になって歌うことの気持ちを質問されることがあるんですけれど、私の場合はライブで常に歌い続けてきましたから、実は大きなギャップは感じていないんです。もちろんその当時は入り込んで書いていますから、少し歌詞が恥ずかしいなと思うこともあるし(笑)、具体的に「電話の受話器」みたいな言葉がでてきて時代を感じさせるところはありますけれど、その時々のライブのスタイルに合わせてアレンジを変えているし、それによって気持ちのアップデイトもできる。言ってみれば「現在進行形の曲」になっていますから、歌うことに抵抗はないんです。書いたときにも等身大の自分が反映されていただろうし、そのときどきの歌にも等身大の自分が反映されていると思います。



▲歩き続けよう Acoustic Piano ver.

――年齢に関係なく、その「等身大」は変わらないものなんですね。


古内東子:初期に書いた曲を今歌うのも、そして今の曲作りも同じことだと思いますね。今作っている曲にもきっと今の等身大の私が映っていると思います。だけど、例えば同世代の人に向けて書こうという意識もなくて、年齢は関係なく、歌詞もサウンドも誰が聴いてくれてもいいと思って欲しいと思っていますね。どこか図々しいのかもしれないですけど(笑)。


――ただ、時代が移るに連れて、恋愛観も変化しているところもあると思います。


古内東子:そうですね、いろんな人の話を聞いていると、恋愛も少し様変わりをしていますよね。時代の変化はもちろん、コロナ禍ということもあるのかもしれませんが、例えば「恋愛はコスパが悪い」という人がいたりしますよね。うーん、そうきたかって(笑)。そのコスパの悪さを解消するためなのかな、マッチングアプリも登場して、最初から「結婚前提で」とか「趣味が同じ」という最低の情報が共有できていたりする。そこまでのプロセスが省かれているっていうか。私は経験できませんでしたけど、どうなのかな……自分をうまくコントロールできないこともあるのが人間だし、今でも戸惑いや愁いはきっとあると思うんですね。逆にマッチングアプリで出逢って結婚した方も知っていますから、そこにある「恋」には興味がありますね。


古内東子

――恋愛の省エネ化……時短って言った方がいいですかね。


古内東子:でも、「恋愛の時間」っていうのは、今でもあると思うんです。私が特に若い頃に書いたラヴソングには「相手の気持ちがわからない」という時間が描かれていることが多かったですね。そこをショートカットしたいと思う気持ちもわからなくはないんですけど、「相手の気持ちを思う」というのは、今でも変わらない「恋の姿」だと思います。最近、いわゆる歌謡曲が見直されたりしているようですけど、たった4分間の中にドラマが詰まっているのが歌謡曲ですよね。そのドラマを自分に置き換えてみたりする、相手と自分に向き合う時間というは、きっと同じように流れているんだと思います。



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    今秋のビルボードライブへの想い「セツナカッコいいサウンドを」
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今秋のビルボードライブへの想い「セツナカッコいいサウンドを」

――そんな時代の中での[ビルボードライブ]のツアーは、どんなスタイルで臨むのでしょうか。


古内東子:今回のライブのタイトルには「Fall」と付けましたが、秋らしくしっとり目というのとは少し違うイメージになると思います。これは今の曲作りのモードでもあるんですけど「切なくて、でもかっこいい」というイメージですね。セツナカッコいい。それが実は私の原点なんです。若い頃から聴いてきたスティーヴィー・ワンダーにしてもスティーリー・ダンにしても、アップテンポのナンバーでもどこかに切なさがあるじゃないですか。歌詞の意味は半分ぐらいしかわかっていなくても、その曲調、声、アレンジで「泣ける」っていう。そのセツナカッコいい音楽にグッときてしまったのが原点。コロナ禍のニュー・ノーマルでライブ中の客席の様子も変わりましたけれど、それでもセツナカッコいいサウンドで、マスクの後ろに秘めた高揚感をさらに高められたらいいなと思っています。


――自然と原点を見つめることになったわけですね。


古内東子:原点という意味では、今はとにかく曲を作りたいモードに入っているんです。これもアーティスト生活が始まった頃の原点なんですね。歌いたいというよりは、とにかく曲が作りたい。さっきもお話しした通り、いざ曲作りを始めるとなると、ギアが入るまで時間がかかるタイプなんですけど、今は「きたきた!」っていう感じで、曲を作りたいって素直に思っています。30周年という節目を前にいろいろと原点回帰しているのかもしれません。


古内東子

――等身大の現在進行形であると同時に、原点を感じさせるライブになりそうですね。


古内東子:そんなセツナカッコいいイメージを実現するために、今回、素敵なメンバーが参加してくれます( 高田真:Ds/山本連:B/石成正人:G/井上薫:P)。若手とヴェテランが混じった「ありそうでなかった」編成で、ここでしか聴けないライブができると思いますので、私の現在進行形をしっかりサポートしてくれるメンバーのプレイにもぜひ注目してください。その予習じゃないですけど、私の原点にあるセツナカッコいい音楽を聴いてもらうのもいいかもしれませんね。さっきも言ったスティーリー・ダンや60年代から活躍していたマーク・マーフィーなんかは、秋に聴くサウンドとしてオススメです。


――そういう意味では、この秋にリリースされる2枚のアナログ盤もオススメですね。


古内東子:最初にお話しした私の2枚のアナログは、どちらも世界的なエンジニアのバーニー・グランドマンさんのカッティングなんですが、彼はアルバム『恋』のマスタリングも担当してくれていたんです。そして当時のレコーディング・エンジニアはスティーリー・ダンの作品でも知られるロジャー・ニコルズさんでした。そんな素晴らしいスタッフの手を借りていますし、今思えば贅沢なレコーディングをすることができていて、当時ももちろんいい音だったんですけれど、今回のマスタリングでは、例えばCDでは再現されていなかった低音が強調されていたり、私自身も気づかされることがたくさんありました。さらに素晴らしいサウンドで蘇ったアナログ盤にも私の原点を感じてもらえると嬉しいですね。



▲誰より好きなのに

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