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GLIM SPANKY 『愚か者たち』インタビュー (映画『不能犯』主題歌)



GLIM SPANKY『愚か者たち』インタビュー(映画『不能犯』主題歌)

「私たちは“どれだけいい作品を生めたか”ってことに満足していきたい」

 類まれな歌声と、どこか懐かしくも新しいアーティスト性を発揮する松尾レミ。骨の髄までバリバリのロックンロールを鳴らすギタリスト 亀本寛貴。この二人を擁するGLIM SPANKYが、意外にもメジャー3作目となるシングル『愚か者たち』をリリース。タイトル曲「愚か者たち」は映画『不能犯』主題歌にもなっており、映画『ONE PIECE FILM GOLD』主題歌「怒りをくれよ」など話題作のタイアップを次々に獲得する彼女たちが“求められる理由”を探る。

 また、“いい作品を生むこと”に拘り抜くGLIM SPANKYが、本シングルを作品としてどう捉えているか。新たな試みにも挑戦しているc/w曲「In the air」について訊いたところ、思わず熱いロック論へ……。そして、5月に初の日本武道館ライブが開催されることが決定した彼女たちの今の心境も語ってもらった。

※「愚か者たち」iTunesプレオーダー(予約)受付&先行配信スタート
・iTunes:https://apple.co/2EyZK3O(シングル予約&「愚か者たち」先行配信)
・レコチョク:http://recochoku.jp/song/S1006267951/(「愚か者たち」先行配信のみ)

「自分たちが出す最新作が最高なんだ」っていう意思表示

GLIM SPANKY『愚か者たち』インタビュー(映画『不能犯』主題歌)

--3rdアルバム『BIZARRE CARNIVAL』のツアー【BIZARRE CARNIVAL Tour 2017-2018】、ワンマンとしては初めて訪れる地もありましたが、実際まわってみていかがでしたか?

松尾レミ:初めて行った会場もお客さんの反応がいいなと思いましたね。今回は前回より多い公演数だったので、自分たちの体調もツアーが長いと崩しちゃったらヤバいなと思っていたんですけど、全公演お客さんのノリも凄くフリーダムでいい感じだったし、やってみて良かったなって感じです。すごく楽しかったです!

--亀本さんは印象に残った出来事とかありますか?

亀本寛貴:ゲーム機を失くしたんですよ…(笑)。ツアー中どっかに落としちゃって、消えました僕のゲーム……もう見つからなかったんで買い直しました!
まあ不運もあったけど、ライブはすごく楽しかったですね。東京から離れた地方の会場もお客さんが結構来てくれまして、「初めての地域にも関わらず、これだけのお客さんが見に来てくれたのか」って感動もあって、自分たちも盛り上がって、凄くいい気持ちでライブができてホント楽しかったですね。

--今回のツアーで引っさげていたアルバム『BIZARRE CARNIVAL』は「結構攻めてる」とおっしゃっていましたが、実際に生でお客さんに届けてみてどうでしたか?

松尾レミ:そうですねえ…、まずこのツアーではセットリストを決め込んで挑んだんです。バンドによってはパートをまるっと変更することもあると思うんですけど、私たちは一つのセットリストを完璧に作り上げて、ほぼ同じセットリストで各地をまわってきました。今回で言うと1~3曲目はアルバム『BIZARRE CARNIVAL』と同じで、私の好きな曲順にしたんです。これをお客さんに生で聴いてもらったときにどんな反応になるかな?って思っていたら、本当に気持ちのいい反応が返ってきて、その時に「このアルバムを作ってよかったな」ってライブで届けて、改めて感じることが出来ましたね。

--「セットリストを決め込んでいく」というアプローチにした理由は?

松尾レミ:例えば「お客さんの盛り上がりって何か?」って考えた時に、手が挙がることなのか? みんなが飛び上がることなのか?って、私はそうじゃないと思うんですよね。別に手を挙げなくてもジャンプしている人がいなくても会場のボルテージは高かったりするわけで。自分たちが描いているロックっていうのは、盛り上がりたい人は盛り上がって手を挙げてもジャンプしてもいいし、腕組みながら頷いてノっていてもいいんです。私たちの曲を介して楽しんでもらっているのには変わりはないので、そういった会場が一体となる瞬間こそGLIM SPANKYのライブのボルテージが上がっている瞬間だとも思うので。
今回のツアーでは、そういった私達のライブの楽しみ方をちゃんと伝えられた、そういう空気を作ることができたっていうのは、こうしたアプローチをしてみてとても意味があったなと思います。

亀本寛貴:単純にセットリストは、僕らも自信のある最高のアルバム作品を作ったので、今回のツアーではちゃんと届ける、「このアルバムはカッコイイだろ!」って生で演っても証明するツアーであるべきだろうと思って組みました。だから、なるべくアルバムの曲順通りに、「自分たちが出す最新作が最高なんだ」っていう意思表示にもなると思うのでアルバム曲は全曲やるスタイルにしましたね。正直、アルバムからもシングルカットされている曲しかやらないとか、定番曲で固めるとか、個人的にはそれって超消極的なセットリストだと思っていて、好きじゃないんですよ(笑)。

松尾レミ:私も好きじゃない!(笑)

亀本寛貴:まあ、ザ・ローリング・ストーンズとかレジェンド的なミュージシャンになると話は別なんですけどね。

松尾レミ:名曲がありすぎるからね!

亀本寛貴:若いバンドがそれはないなと僕は思っているんで、基本アルバムを引っ提げているんだからアルバム曲を全曲やる! それで中をどう埋めていくのか、そこに当てはまる曲をどうセレクトしていくかって感じで選んで演ったのが、まず今回やってみて良かったですね。

ファッションと音楽って繋がってると思うし、ライブに行くときはお洒落していく

GLIM SPANKY『愚か者たち』インタビュー(映画『不能犯』主題歌)

亀本寛貴:あとお客さんも凄くいいなと思うことがあって、変な話ですけど、終演後に出待ちしている人がそんなに居ないんですよ(笑)。 出待ちしてくれるってことは凄く嬉しいことなんですけど、“生のライブ”を楽しみに来ているわけでミュージシャンに会うために来てるわけじゃないんだなと思ったんです。まあ言葉は難しいですけど、ミュージシャンの生で演奏する姿を見に、生の曲を聴きに来るのが本来のライブだったよなと思って、僕たちのライブに来てくれるお客さんたちは本当にそんな方ばかりなんだなって実感しましたね。それと、今回来てくれたお客さんの中にはGLIM SPANKYを「どんなものか?」と見定めている方も結構いたみたいで、スタッフさんやPAさんが「緊張する!」って言ってた。

松尾レミ:「緊張する」とか言ってたんだ?(笑) でも、音楽に厳しいお客さんたちも「ライブ良かった!」って言ってくれているのは凄く嬉しいことだよね。

亀本寛貴:僕らもリスナーとして音楽がかなり好きで、オアシス、レディオヘッドとかよく聴いてるし好きだけど、ノエル・ギャラガーやトム・ヨークの信者ではないんです。だから、新作が出るってなったら「また格好いい曲に仕上がっているかな?」って聴くわけで、それと同じようにGLIM SPANKYの曲も聴いてもらえてるのかなと思うと嬉しいですね。

松尾レミ:そうだね。だけど、憧れのミュージシャンに会いたい気持ちとかも分かるので、私たちをわざわざ出待ちしてくれているってこともホント嬉しいです。

--GLIM SPANKYのライブ後って、なんか格好つけちゃうんですよね(笑)。だから、出待ちとかではなく一言「良かった」とか、その日の曲だとか音についてだとかボソッと呟いて帰るって方が結構いると思うんですよ。格好いいものを見た後って、結構そう格好つけちゃいません?

松尾レミ:たしかに!(笑) 私も格好いい音楽聴いたら、格好いい気分になるもん。

亀本寛貴:うん! それこそロックが流行るのに凄く大事なことだと思いますね。格好いい自分になりたいから、格好いい音楽を聴くんです。「邦楽とかあまり聴かないんですけど、GLIM SPANKYとかだったら聴きますね」とか、そういう人が居てくれたら実際嬉しいし、音楽ってそういうもんであってほしい気持ちもあって、服がめっちゃキマってるのに聴いてる曲が……だったらダサいなと思っちゃうし。そんなの、みんな嫌じゃないですか?

松尾レミ:私もイヤだな…。例えば、ザ・ビートルズのTシャツ着てたら「この人と仲良くなれそうだな」って話かけてみたのに、全然ビートルズの曲知らなかったらガッカリしちゃう。ファッションと音楽って繋がってると思うし、私も好きなミュージシャンのライブに行くときはお洒落していくし、GLIM SPANKYのライブに来るお客さんもそれぞれのお洒落を楽しんで来てもらえたら嬉しいですね。

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ライブ一本にも作品作りというイメージは持っていますね

GLIM SPANKY『愚か者たち』インタビュー(映画『不能犯』主題歌)

--先ほどのセットリストの拘り方もそうですけど、GLIM SPANKYはライブも一本の作品として考えている印象を受けます。

松尾レミ:セットリストにはとにかく拘ってますね。スタッフさん、PAさん含めてみんなの意見を聞いて、決め込んだりとか。他のミュージシャンの方々もそうだと思うんですけど、例えば「この曲の後の余韻は長く取ろう」といったライブの流れ、シナリオを予想して組んでいるので、ライブ一本にも作品作りというイメージは持っていますね。

--その分、ライブには緊張感もあって、「白昼夢」でお客さんも一気にそれがほぐれる瞬間はまた暖かな一体感があったりしましたね。

亀本寛貴:ツアーの静岡公演のときの「白昼夢」で、初めてステージに座って演奏したんですけど、ギター演奏しながらだったんで、立ち上がれなくなっちゃったんですよね(笑)。

松尾レミ:しかも、後ろからは全然見えなかったって言われてね(笑)。

--そのとき「あれ? 亀ちゃんどこ!?」「レミちゃんが笑ってる!」って声があがってました(笑)

亀本寛貴:その反省を踏まえて、翌日の名古屋公演ではドラムの台のところに座ったんで、たぶん後ろの方も見えてたと思います!

ライブが作品かって話に戻るんですけど、CDとライブの曲順の組み方に違いもあって、CDの場合、いきなり違う曲調に行くほうが割と吉だったりすると思っていて、近いテンションの曲調が続くよりも、ポンって違うテンションに行っちゃう方が個人的に良いと思うんです。逆にライブの場合は、急に違うテンションに行ってもいいパートもあるんですけど、聴いてる人がついていけない気がしていて、同じようなテンションの曲を続けていくことによって、ある一曲の深みだとかイメージだとかテンションを2曲で表現できたりするんです。例えば今回のセトリで言うと「NEXT ONE」「アイスタンドアローン」といった流れですが、いきなり「アイスタンドアローン」のテンションにはお客さんもついていくのに大変だと思うんで、「NEXT ONE」からテンションを作るっていう構成にしているんです。

--なるほど。ミニアルバム、アルバムとしてリリースされてきた「アイスタンドアローン」が、今回のツアーで披露されたときに、ある種の完成を感じました。こうした2017年のGLIM SPANKYを代表する1曲である「アイスタンドアローン」をここまで成長させ、且つ 締めくくりの一曲としての説得力あるものにしていくといった、一つの作品、一曲を最高にしていくGLIM SPANKYのこだわりを感じました。

亀本寛貴:まあ人それぞれですけど、そう思っていただけたら嬉しいですね。いつでも最高にカッコイイ作品をつくってるんで!(笑)

映画のスタッフが「なんでGLIM SPANKYを選んだのか?

▲YouTube「映画『不能犯』(2月1日(木)公開)本予告」
▲YouTube「映画『不能犯』(2月1日(木)公開)本予告」

--今回のシングル『愚か者たち』のタイトル曲が映画『不能犯』の主題歌です。こうしてタイアップが続くことに関して思うことは?

2人:素直に嬉しいですね!

松尾レミ: GLIM SPANKYの音楽が必要だと言ってくれる方がいるっていうのが、ホントに信じられないほど凄く嬉しい。しかもそう言ってくれる方が、監督だとかクリエイションしている方なので特にそう感じます。映画の主題歌の場合だと、私達もその映画っていう作品の一部を担うことになりますし、監督さんとかスタッフさんもGLIM SPANKYを作品に必要なピースとして起用してくれていると思うので。そして、凄く濃い関係になれるんですよね。だからこそ、私たちも最高の楽曲を作ろうと挑めますし、ちゃんとコミュニケーションをとりながら毎回毎回やれているので、映画も楽曲もいい作品が出来ているなと思いますし、充実しています。

映画のスタッフさんの中に「なんでGLIM SPANKYを選んだのか?」ってことを言ってくれる方もいて、それが“TVの中で流れてきた時に「こんな音をTVから流してもいいの?」ってくらいの音が出せるバンドがGLIM SPANKYだ”とか。実際、そういった楽曲を求められることも多くて、例えば「J-POPよりにしなくていいんで、ちゃんと荒々しいロックのまま曲にしてください」とか、「売れ線とか考えるんじゃなくて、本当に格好いいものを求めています」って言ってくださるんですよ(笑)。

--今回のシングルですが意外にもCDとしては3作目。GLIM SPANKYにとってシングルを一つの作品としてつくりあげる難しさはあるんでしょうか?

亀本寛貴:ん……でも、あるのかな? アルバムはほぼ10曲収録にしてるんですけど、10曲の世界観がジャケットになりますし、アートワークも衣装とかもアルバムの世界観で作っていくんです。僕もリスナーとして音楽を聴くときには、基本的にはアルバムで聴くので、「このミュージシャンってどうかな?」って思った時に、基本アルバムで聴くので、そこはしっくり作れるんです。今回の作品も“シングルって作品”なんで、リード曲として「愚か者たち」があって、基本この曲ありきのアートワークだったり、そういった感じになるじゃないですか?でも違うカップリング曲も入ってるわけで、それはこのアートワークと関係ないっちゃ関係ない。そして、このシングルにとってリード曲が大事だから、シングルなわけで、だから一つの作品として世に出すってのは難しいところではありますね。……けど、正直そんなに気にしてないです!(笑)
この「愚か者たち」がちゃんと伝わる今回のジャケットですし、逆にこのジャケットなのに2曲目の「In the air」は意外な1曲として聴いてもらえたりするんじゃないかなって思います。

松尾レミ:そうだね。シングルはリード曲をよりわかりやすく、でもGLIM SPANKYのやってきたことを削ぎ落としちゃダメで、アートワークも選曲もしっかり考えて作ってます。今回のアートワークにしても私が「こんなのにしたい!」って案を出したんです。当初出したのは、メガネのレンズの中に映っているのが“おばあちゃん”だったんですけど、それにはリード曲「愚か者たち」に込めたメッセージ「人を見透かしている」「自分の心を照らされている」「鏡に写ったもう一人の自分が見えている」だとかを表現しているんです。

--映画『不能犯』ともリンクした設定がこのデザインに入ってきてるんですね。

松尾レミ:そうなんですけど、このデザインは映画というか楽曲「愚か者たち」のイメージですね。

亀本寛貴:「愚か者たち」が映画『不能犯』からインスピレーションを受けて作った主題歌なので、間接的にそうなりました。

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「ロック系のアーティストなのにシンセとか…」その価値観を変えたい

GLIM SPANKY『愚か者たち』インタビュー(映画『不能犯』主題歌)

--「愚か者たち」の作詞にはいしわたり淳治さん、編曲には亀田誠治さんがクレジットされていて、GLIM SPANKYのタイアップ曲ではお馴染みの連名となりました。

松尾レミ:もうお馴染みの淳治さん、亀田さんです! こういった映画のタイアップとかになると、プロデューサーがいるっていうのがいつも以上に大きな意味になるんですよ。私たちがタイアップの時にプロデューサーを付ける意味は、GLIM SPANKYがやりたいものと映画サイドから求められているものだけ考えているんじゃ足りなくて、たくさんのタイアップ作品に関わっている方々がいますので、楽曲を作る時に意見が食い違ったときプロデューサーがいるとうまく映画サイドに私たちの意見を伝えてくれたりですとか、逆に映画サイドから受けた意見を私たちの表現したいことに沿うような提案をくれたりとか、様々な現場を経験してきた百戦錬磨のプロデューサーがいると安心して曲作りに臨めるんです。
それと、私たちの伝えたいことをより世間に届きやすい形にしてくれる。淳治さんってホントに言葉選びがうまくて、まず私が書いてきた歌詞をみたら色んな提案をくれたりするんですよ。淳治さんにお願いする時は凄く勉強になりますね。だからといって、自分の表現は曲げることはないので、納得がいかなかったら「ダサい!」「そこは変えてください!」とか平気で言いますよ、何でも言い合える対等な仲というか、お互い信頼できていると思いますので(笑)。

亀本寛貴:映画の主題歌を作るときって、どうしても「こうしてほしい」的なところを考慮して作るんですよね。でも、自分の中でなかなか曲げられないところだったりしたときに、プロデューサーがいると視野を広げてくれるんです。僕はアーティストだからか、どうしても「これがカッコイイ」とか拘っちゃうときがあるんですけど、プロデューサーをやられてる方って「あれもイイ、これもイイ」って感じですごく視野が広くて、実際違うパターンを聴いてみたら「これもアリかな」って思えることもあって、ストレスも感じませんし、何よりみんなの納得のいくものが出来ていいです。

--このシングルでもGLIM SPANKYらしく挑戦していると感じさせられた2曲目「In the air」ですが。

松尾レミ:この曲では初めてピアノを入れてるんです。そういう新しい挑戦もしましたし、ベースも打ち込みだったりとか、歌い方もGLIM SPANKYの曲を「愚か者たち」や「怒りをくれよ」くらいしか聴いたことのないような方にとっては新鮮に感じるんじゃないかなと。このシングルでは、ダーティな音色の「愚か者たち」の後に、わざとこういった浮遊感のあるような曲調の「In the air」を入れることによって、私たちの幅の広さを見せることができて、そして私たちの芯はどこなのかってキャロル・キングに繋げていったんです。“ちゃんとキャロル・キングのロックの良さを受けて、現代の音楽に派生してきているのが私たちGLIM SPANKYのロックなんだよ”って、リスナーが答え合わせできるようなシングルになっています。

亀本寛貴:僕らって“ロック系のアーティスト” だと言われますし、実際自分でも骨の髄までバリバリのロックンロールを鳴らすギタリストだと思ってやっているんですけど、ひとつ言われて気になることがあって…、「ロック系のアーティストなのにシンセとかやるなんて意外だね」「打ち込みとか、プロツールスとか使うんだ?」って。イヤちょっと待てよ!と思うんです! 僕らで、その価値観を変えたいよね?

松尾レミ:それ、ホント意味わかんないよね。てか、ロックをなんだと思ってんだ!って話だし……、ちょっと熱が入っちゃうこの話(笑)。

亀本寛貴:そういうことを言ってる人は、“生バンドで一発録りするのがロック”だと思ってるんですかね? そういう考えも、もちろん良いと思うんですけどね、僕も生の一発録りも好きですから! でもロックってそれだけじゃないんだよなー!!

松尾レミ:そう! それだけがロックじゃないし、ロックってそもそも自由だし決められてるものじゃないと思う。こうだからロックだ! こうじゃないからロックじゃない!って、決めつけてるやつがロックじゃないと思うんです。シンセなんて、世界中の誰もが知るようなロック・アーティストさえも使っているのに「え?シンセ?意外!」ってなる人が居るなら、その人のロックの狭さなんなの?って悲しくなりますね。 私たち結構そう言われることがあるんで、そういう価値観の人って多い気がするんですよ。だから、私たちのリスナーから少しずつでもロックの広さってものを感じて知ってもらえるように、今回のツアーでは会場内BGMを自分で選曲して流すとか、自分たちのラジオで色んなイケてると思うアーティストの曲をかけたりとかするんです。そうして、またGLIM SPANKYの曲に、ライブに戻ってもらって“やっぱりGLIM SPANKYってロックだ”って言ってもらえたら嬉しいので、私たちなりに地道にそういったアプローチをしています(笑)。

私たちは“どれだけいい作品を生めたか”ってことに満足していきたい

GLIM SPANKY『愚か者たち』インタビュー(映画『不能犯』主題歌)

--GLIM SPANKY初となる日本武道館ライブ【GLIM SPANKY LIVE AT 日本武道館】が2018年5月12日(土)に決定しました。(松尾レミTwitterより)「一つの通過点として、気張らずナチュラルに行こうと思います。」とコメントされていますが、テンションは上がりますよね!

2人:もちろん!(笑)

亀本寛貴:満員にできるかはちょっと心配ですけど、そりゃ楽しみですよ!(笑)

松尾レミ:私たちの好きなザ・ビートルズも立っている場所ですし! でも、思っていた以上に自分が武道館でライブをやるってなったときに、いい意味で全然満足がいっていないというか、それは武道館ができるといったことは凄く嬉しいことなんですけど、それで傲り高ぶることは絶対したくないし、別に武道館でやることがそれほど凄いとは思っていなくて。どれほどの数の人の前でライブをやったとしても、CDをどれだけ売ったとしても、ミュージシャンとして何が大事かっていうと、自分の作品をどれだけ更新していけるか、とにかくいい作品を生むことだと思っているので、何人集客できたとか、何枚CDを売れたとかじゃなくて、私たちは“どれだけいい作品を生めたかってことに満足していきたいな”って。

亀本寛貴:本当そうだね!

松尾レミ:こうして武道館でやるって決まっても、その気持ちはブレることがなかったので、自分としても安心しましたね(笑)。

--亀本さんは武道館で『ちびまる子ちゃん』の永沢君のモノマネを披露したり? ※ツアー静岡公演で、清水にちなみ永沢君のモノマネを披露していた

亀本寛貴:え~!(笑) でもあれは清水だっから!

--今回は“たまねぎ”繋がりということで。

亀本寛貴:そっか! でも「藤木くん、君は本当に卑怯だね」しかないからな…、検討します(笑)。

--これまでまわった地域のGLIM SPANKYファンも、今回の映画『不能犯』主題歌「愚か者たち」で気になった方も巻き込んで、楽しめる武道館ライブを期待しております!

松尾レミ:そうですね。私たちの初の武道館! みなさん絶対楽しめるライブにしますので、是非期待していらしてください!

Interviewer:フルカワタイスケ|Photo:Jumpei Yamada

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GLIM SPANKY「愚か者たち」

愚か者たち

2018/01/31 RELEASE
TYCT-30072 ¥ 1,430(税込)

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Disc01
  1. 01.愚か者たち
  2. 02.In the air
  3. 03.I Feel The Earth Move

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