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2020/04/14

ライブ・ネイションCEOが給与全額返上、年内に行う約538億円のコスト削減の一環として

 コンサート産業の先行きが不透明な中、イベント・プロモーター大手のライブ・ネイションが2020年末までに実行する5億ドル(約538億円)のコスト削減の一環として、CEOのマイケル・ラピーノが給与を全額返上する他、上級管理者は最大で50%の給与削減対象となることがわかった。

 ラピーノは300万ドル(約3億2300万円)から無給与、社長のジョー・ベルヒトールトは130万ドル(約1億4000万円)から65万ドル(約7000万円)、財務統括役員のブライアン・カポは36万3500ドル(約4000万円)から27万2625ドル(約3000万円)、相談役のマイケル・ロウルズは80万ドル(約8600万円)から40万ドル(約4300万円)、最高財務責任者のキャシー・ウィラードは95万ドル(約1億円)から47万5000ドル(約5100万円)に減額となることが証券取引委員会の報告資料で明らかとなった。

 さらに請負業者の削減、職員採用停止、家賃の再交渉、一時解雇、出張、補修、メンテナンスといった裁量支出の削減が行われ、チケット販売、コンサート・ビジネス、資本支出の評価といった促進の削減も実施する。先月可決されたアメリカ経済救済法による給料支払い補助と上記の上級管理者給与削減でライブ・ネイションは2020年に5億ドル(約538億円)の削減、2021年に8億ドル(約860億円)の削減を期待している。

 CEOのラピーノは削減策に関するプレス・リリースでライブ・エンタテインメント産業は過去20年間でファンの期待に応えるべく世界的に急成長し、当社は今回のコスト削減策でこの屈強を乗り越え、観客とアーティストがコンサートで再び繋がりあえることを楽しみにしていると説明した。

 新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためコンサートのような大規模の集会が禁止され、3月中旬からライブ・ネイション主催の興行はすべて中止または延期となった。2020年第1四半期の収益は前年同時期の2割と予想されている。新型コロナウイルスで影響を受けたのは8000公演で、チケット枚数にすると1500万枚にのぼる。その内のチケット1400万枚分となる7000公演は延期、それ以外は中止となった。

 延期公演についてもファンは返金することが可能だが、実際に返金を希望したのは全体の5%から20%でほとんどのファンは延期公演を待ち望んでいるようだ。また、ライブ・ネイションによると3月31日までの時点で2020年に予定されている公演チケットの売り上げ枚数は4500万枚で前年と比較してわずか2%の落ち込みだった。3月31日に同社は感染拡大の影響を受けたコンサート・クルーを支援するため、1000万ドル(約10億7500万円)の救済基金Crew Nationを立ち上げている。