たしかにジェイＺは2010年のコーチェラにビヨンセを連れてきたし、昨年はカニエ・ウエストがボン・イヴェールをゲストに招いた。しかし、いったい何人のヒップホップのヘッドライナーがトゥーパック・シャクラーを甦らせることができたろう。ドクター・ドレとスヌープ・ドッグというG-ファンクの巨匠たちが4/15のコーチェラのステージで、トゥーパック――1996年に殺害された西海岸のラッパー――をホログラムの形で登場させ、ジョイント・パフォーマンスを画期的なものにした。デジタルで再構築されたトゥーパックはセットの中程に登場し、2オブ・アメリカズ・モスト・ウォンテッド」と「ギャングスタ・パーティ」を披露した。

トゥーパックの登場はハイテクでユニークで、ドクター・ドレとスヌープ・ドッグの西海岸凱旋ステージの間違いなく奇妙なハイライトだった。このステージは今年後期に20周年を迎えるドレの『ザ・クロニック』と、待望の3RDスタジオ・アルバム『デトックス』の果てしない延期にときを同じくするものだった。ヒップホップ・ファンが相変わらずドレのスタジオ復帰を待っているのをよそに、スヌープとドレは多くのゲスト・スターを迎えながら新しめのマテリアルを披露した。

ウィズ・カリファは最近のホット100ヒット「ヤング、ワイルド＆フリー」をパフォーマンスしながらスヌープと大きな葉巻を分かち合った。また、ケンドリック・ラマーは自身のコーチェラ出演から2日後にメイン・ステージに戻ってきてドレとともに「ザ・レシピ」を聞かせた。50セントとトニー・ヤーヨはスヌープと共に「ワット・アップ・ギャングスタ」、「P.I.M.P.」、そしてドレがプロデュースしたクラシック「イン・ダ・クラブ」のメドレーでステージを飛び回った。また、ドレのもっとも成功した弟子であるエミネムは「アイ・ニード・ア・ドクター」をぶちかまし、その後彼のメンターとステージ・ポジションを取り替えて「フォゲット・アバウト・ドレ」と「ティル・アイ・コラスプ」を披露した。