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2014/07/17

音楽セールスを分析。アルバムと曲単体での売れ方の違いが明らかに

 現在のアメリカでは依然、毎週数百万枚のアルバムが売れているものの、その内、新譜の占める割合が少なくなってきたことが明らかになった。米ビルボードがニールセン・サウンドスキャンのデータを分析した結果によると、過去5年間のアルバム・セールスにおいて新譜のセールスは38.1%落ち込み、カタログ・セールスは22.4%減少している。この減少率から見ると、カタログ・セールスの占める割合が5年前より増えているのだ。

 また、曲毎のセールスはこの逆の傾向が見られる。7月6日までの週のカタログ曲は全米でのセールス全体の52.9%だが、2009年の同じ週では、カタログのシェアは61.8%だった。このことから、デジタル消費者は古い曲のコレクション数はもう十分に持っていつつ、新曲の購入には興味を示しているとの解釈ができる。

 こういった傾向は音楽業界全体で実際に見られており、アルバムはだんだん古いアーティストによる古い曲の領域となりつつある反面、楽曲セールスの方は若いアーティストの新しい曲の領域になってきている。

 これは金銭面にも関係する。アルバム・セールスとなると、ニューリリースやレーベル、とりわけ小さいレーベルの投資額を回収する能力まわりの話になる。“アルバム・セールス全体が過去5年で31%落ちたため、新しいアルバムを出すのはいっそう難しくなった”という見解は間違いで、実際には悪いことに、新しいアルバムのセールスは38%も減少しているのだ。つまり、アルバム・セールスで経費を回収するのは思っているよりも難しいということだ。

 また、カタログ・セールスはあらゆる規模のレーベルの助けとなっているが、収益はレーベルによって違う。“ターゲット”のような量販店ではたいてい、既に昔に経費回収できている有名アーティストによる、低コスト・高価値のコンピレーション・アルバムが陳列されており、過去のカタログ作品は見当たらない。CD棚のスペースが今より大きかった10年前、量販店はカタログ・タイトルをもっと扱っていたし、インディーズ作品も多かった。今では、わずかな最新リリースものや“ベスト盤”を在庫に置く店が多くなっているのだ。