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2026/10/02 18:00

<ライブレポート>ふみの、初ワンマンライブツアー完走 デビューから1年足らずで刻んだアーティストとしての確かな歩み

 2026年1月11日、BMSG×ちゃんみなが手がけたガールズグループオーディション【No No Girls】の最終選考から約1年後にデビューしたふみの。そこから約半年。1stアルバム『僕のすべてを知ってるような君だから』と同タイトルを冠した初のワンマンライブツアー【僕のすべてを知ってるような君だから】が開催された。東京・Zepp DiverCityで行われたファイナル公演の模様をレポートする。

 重厚なバンドサウンドが鳴り響くなか、ふみのがステージ中央へ。アコースティックギターを抱え、すっと息を吐くように1stアルバム『僕のすべてを知ってるような君だから』の1曲目を飾る「18」からライブをスタートさせた。18歳の頃を書いた、これまでリスナーに見せてこなかった孤独感や強がり、嫉妬といった感情をさらけ出した楽曲だ。〈誰かここに気付いて 私の嘘見抜いて〉と歌うサビでは、秘めていた心の闇を一気に解き放つかのよう。シンプルなバンドサウンドと歌、ギターだけで、みるみるうちに場を掌握していく力が凄まじい。最後の〈だから抱きしめてくれ〉というフレーズまで、切迫感は右肩上がりに高まっていった。

 息をのむような場内の空気から一転、「今日は来てくれてありがとうございます。東京! 行くよー!」という元気いっぱいの開幕宣言が響き、会場は一気に温かな雰囲気に包まれる。力強いビートが貫くミドルテンポの雄大な「生きろ」では、ビートに合わせてハンドクラップが巻き起こった。間奏でふみのが「ギター!」と叫ぶと、サポートギタリストのギターが唸りを上げ、ふみのも負けじとゴリゴリのギターリフを響かせる。ジャンプして、「どっちがいい?」へ。ハンドクラップによって会場は一体感を増していった。

 ここで初のMCタイム。場内のあちこちから「ふみの!」という声が上がり、初のワンマンツアーを待ちに待っていたことがひしひしと伝わってくる。ふみのが「みんないける!?」と呼びかけると、「YES」を意味する大歓声が返ってきた。アルバムがリリースされたことを嬉しそうに報告し、「みんなの一押しの曲は?」と問いかけると、場内からはさまざまな曲名が飛び交う。「ホットライン」という声には、「親友に向けて書いた曲なんだけど、その親友が今日来てるんだよね」と、少し照れくさそうに明かし、大きな喝采が起こる。約2か月にわたって全国を巡った路上ライブツアーの賜物だろうか。とにかくオーディエンスとの心の距離が近く、フレンドリーだ。そして、ささやくような声で「White lie」を歌い、じんわりと温かな空気を場内に満たしていく。細やかな表情が宿った繊細な歌声と、切なく甘い世界観。最後の「すきよ」というセリフのような歌声が、余韻を残す。

 「手拍子お願いします!」という呼びかけに続き、「ホットライン」へ。満員のオーディエンスが刻む手拍子のなか、親友への想いや2人の関係性を昇華した楽曲を、大切に歌い上げた。ハーモニカの音色も楽曲に温かな彩りを添える。「きっと今夜だけの披露になると思う」と前置きして披露されたのは、2ndシングル「ホットライン」の“幻のバージョン1”だという未発表曲「友達の唄」。椅子に腰掛け、弾き語りで歌い上げる。「ホットライン」に通じる、ふみのと親友だからこそ生まれた心地よい友情の形が描かれていた。「新しい形になってみなさんの元に届く日が来るかもしれないので待っててください」と今後のリリースを示唆したあと、今回のツアーで掲げている目標は、オーディエンスと目を合わせることだと明かす。「いつ目が合ってもいいように、私から目を離さないでください」。そう言って、客席をまっすぐに見つめた。

 続いても未発表曲。親友に続き、母も会場に来ていると明かしたふみの。「私のお母さんのお母さんであるおばあちゃんが亡くなってしまって。その時に話してたお母さんのおばあちゃんへの想いと、私がお母さんに対しての気持ちがかみ合わないなと思って書いた」というデモ曲「娘の娘」を披露した。影のあるサウンドに、凄みを帯びた歌声を重ね、胸の奥に潜めた感情を静かに浮かび上がらせていく。

 「帰りたい場所があって、帰るべき場所がある。そこからどこかに旅立ちたいと思って書いた曲」と紹介されたのは、さらにもう1曲の未発表曲。「私がピアノの前に座る姿をお見せするのは、【No No Girls】の最終審査以来ですね。緊張してます」と笑った。帰るべき場所から新たな場所へ旅立ちたいという思いを宿した「ただいま」を、弾き語りで披露した。未発表曲の3曲はいずれも、新たな形となってリスナーのもとへ届けられる可能性を示唆。まだ見ぬ新たなリリースが控えていることを予感させた。

 「満腹」「よくはるはなし」「うたかた」と続け、歌い手としてのスケールの大きさを改めて見せつける。「うたかた」は撮影OK。一斉にスマートフォンが掲げられた。伸びやかな歌声が会場を包み、晴れ晴れとした空気が広がっていく。人生で初めて観たライブがZeppだったというエピソードも披露。「ライブってこんな感じなんだ!って衝撃を受けました。いつか私もステージに立って、みんなを楽しませる側に立ちたいなって思ってた。立てました!」と、念願だったステージに立つ喜びを露わにした。

 シンガロングが巻き起こった「東京」を経て、「次の曲はタオルを持ってる人は回すよ?」と呼びかけるふみの。コール&レスポンスの練習段階から「最高!!」と興奮を隠さない。その後の「ロックスター」では、マイクを手にステージの下手から上手へとアグレッシブに移動しながら、会場の熱狂をぐんぐんと引き上げていった。お立ち台の上に立ってタオルを回すと、この日最大級のシンガロングが巻き起こる。デビューからわずか半年とは思えないほど、堂々たるパフォーマンスだ。

 バンドメンバー紹介へ。ドラム、ベース、キーボード、ギターと順にメンバーのもとへ近づき、それぞれのソロプレイに全身でのっていくふみの。最後はスタンドマイクの前まで走り、「私も行くよー!」とシャウト。ギターをかき鳴らすその姿は、まさにロックスターそのものだ。オーディエンスもタオルを振る腕にさらに力を込める。「次が最後の曲になります! みんなこの曲知ってるよね? 全力で歌って叫べ!」。そうアジテートして始まったのは、ふみのとしてのアーティスト人生が始まったデビュー曲「favorite song」。コール&レスポンスもばっちりと決まり、会場中に大きなシンガロングが巻き起こる。「私デビューしたよ!」とシャウトし、〈こんな日を待っていたんだ 君に私を届ける日を〉と歌う。ずっと夢見ていたデビューへの喜びを爆発させるような歌声に、客席も全力で応える。「東京大好き!」というシャウトがさらなる熱狂を呼び、会場は大合唱に包まれた。曲を終えると、「みんな本当にどうもありがとう! 最高だった!!」と満面の笑顔で叫び、手を振りながらステージを後にした。

 オーディエンスからはすぐさまアンコールを求める「ふみの」コールが起こる。白い今回のライブグッズTシャツに白いギターを携え、元気よく再登場。「驚いたでしょ? サプライズ!」といたずらっ子のように微笑む。「大阪は予定してないアンコールだったんだけど、今回は予定していたアンコールです!」と笑顔。どこまでも屈託がない。「ということは、新曲持ってきたよ!」。そう告げて披露されたのは、10月3日からオンエアされるTVアニメ『らんま1/2』第3期のオープニング・テーマ「素直未満」。ふみのは「ジャンプ! ジャンプ!」と客席を煽りながら、ハンドマイクを手にステージを縦横無尽に動き回る。中華風のギターフレーズが印象的な、ファニーでアッパーな楽曲。初披露とは思えないほど、瞬く間に会場を盛り上げていく。曲を終えると、ギターをかき鳴らしながら「本当にありがとう! 大好き!!」と叫ぶ。演奏が終わってもなお、「最高だったよ、みんな! ありがとう!」と、高まり続けたオーディエンスとの共振を嬉しそうに伝える。バンドメンバーを送り出し、ステージに残ったふみのは「絶対に離さないから」と誓った。

 とてつもない求心力を持つアーティストであることを、疑いようもなく証明した記念すべきファイナル。歌とギターだけで空気を変える表現力、そして会場全体を巻き込んでいく存在感。そしてオーディエンスとの強い結びつきが、この先どこまで広がっていくのか。新たな旅立ちを予感させる一夜となった。

Text by 小松香里
Photo by Kana Tarumi

◎セットリスト
【僕のすべてを知ってるような君だから】
2026年9月27日(日)東京・Zepp DiverCity
01.18
02.生きろ
03.どっちがいい?
04.White lie
05.ホットライン
06.友達の唄(未発表曲)
07.娘の娘(未発表曲)
08.ただいま(未発表曲)
09.満腹
10.よくあるはなし
11.うたかた
12.東京
13.ロックスター
14.favorite song
ENCORE
15.素直未満