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2025/05/28 18:00

<フジロック’25出演>リトル・シムズ、ニューAL『ロータス』で自身の物語を取り戻す「自分の真実を誰かに押し付けようとしているわけではない」

 現地時間2025年4月19日発行の米ビルボード誌で、リトル・シムズが、「私は自分の真実を誰かに押し付けようとしているわけではありません。でも自分自身のためにこのことについて話す必要があるんです」 と毅然と述べている。

 これはこの一年を通じて公の場で展開された、彼女の最も親しい友人の一人との衝撃的な友情の崩壊について言及している。長年スタジオで共同制作を続けてきたディーン・“インフロ”・カヴァーに対し、170万ポンド(約3億2,800万円)の融資の返済を怠ったとして訴訟を起こしてから4か月後、シムズはこの崩壊の彼女の側にある真実を明らかにする準備ができた。6月6日にリリースされるニュー・アルバム『ロータス』は彼女の物語、音楽、そして自信の所有権について、音で表現した彼女の再生宣言だ。

 『ノー・サンキュー』から2年半が経った今、シムズは英国のヒップホップ界の大物たちの中に堂々とその地位を確立し、【BAFTAアワード】や【グラストンベリー・フェスティバル】にも出演した。『ノー・サンキュー』は彼女の5thスタジオ・アルバムで、2021年のキャリアを転換させた『サムタイムス・アイ・マイト・ビー・イントロヴァート』の続編となる。その『サムタイムス・アイ・マイト・ビー・イントロヴァート』は、2022年の【マーキュリー賞】を受賞し、彼女にとって初の英オフィシャルUKアルバム・チャートでのTOP5入りを果たした。

 2015年にキャリアをスタートして以来、シムズは【グラミー賞】にノミネートされたプロデューサーのインフロと、その妻でR&B歌手として高い評価を受けるクレオ・ソルと緊密に協力し、二人のユニットSAULTとコラボを頻繁に行ってきた。シムズとインフロは子どもの頃にセント・メアリーズ・ユース・クラブで出会い、その後インフロが彼女の3枚のアルバムをプロデュースし、二人は英国の音楽業界を席巻した。

 しかし法的書類によると、2023年12月にシムズはSAULTの最初で唯一のライブを開催するために100万ドル(約1億4,500万円)以上を負担した。そのライブにはインフロとソルに加え、シムズと【グラミー賞】ノミネート・アーティストのマイケル・キワヌーカも参加した。そしてその負債のために翌月に納税義務を履行できなくなったことで、シムズの中で何かが壊れてしまったという。

 「目的意識を失うところまで行き着いてしまったんです」と彼女は慎重に言葉を選びながら言い、「私はかなり内省的な人間です、特に自分の音楽に関しては。でも今回はそれがより困難でした。このアルバムを作ることは自分にとって真の意味での躍進でした。神、自分の内なる子ども、そして自分の中に生まれつつあった、腹の底から燃えるような情熱を持つシムズに導かれたのです」と述べている。

 シムズがマイルズ・クリントン・ジェームズがプロデュースしたトラック「Flood」で2月に初披露した『ロータス』は、最も親しい関係の一つが終わり、再建の旅を続ける中での彼女の感情の全範囲をたどっている。現時点では未発表のアルバムのオープニング・トラックは荒々しいブルース調の楽曲で、そこで彼女は、「今脱出できてラッキーだった。残念だよ。あんたの妻が可哀想で仕方ない [中略] 人生でずっと知っていた人が、悪魔の仮面を被って現れた」 と吐き捨てている。この曲は怒りに満ちており、彼女のイントネーションはこれまでで最も激しいものとなっている。シムズはこれが賭けだったことを理解していた。「本当にイライラして傷ついていたし、叫びたかったんです。でもそんな状態で始めるのは難しいこともあります」と彼女は語っている。


 アルバムの過酷な瞬間を和らげるため、シムズは他の関係性の力学を探求している。プライベートな電話の漏洩のような会話調の1曲では、仕事と名声が家族に与える影響を考察し、よりアップテンポな楽曲では、愛に対する理解がどのように変化したかを列挙している。名前は未だ明かされていないが、過去の作品よりも多くのゲスト・アーティストが参加しているため、アルバムには多くの声が響いているが、シムズが中心にあることは疑いようがない。

 「泥水の中で育つ数少ない花の一つ」からタイトルを付けたという『ロータス』は、シムズのカタルシスを最優先としているが、それがこのアルバムが苦闘の末の成果である唯一の理由ではない。彼女は2022年に『ノー・サンキュー』をリリースして以来、4枚のアルバムを完成させようとしたが、いずれも失敗に終わった。


 シムズは、「(完成しなかったアルバムは)素晴らしかったのですが、むしろそれを誰と一緒に作ったかという状況の問題だったんです」と少し切なそうに言い、「その関係を断ち切ったことで、その音楽も手放さなければなりませんでした。誰かと子どもを持つようなもので、その人と別れたとしても子どもへの愛は消えることはないのと同じです」と説明した。

 それらのアルバムがリリースされなくても、シムズにはまだまだ多くのプロジェクトが控えている。彼女は現地時間の6月12日から22日まで開催されるロンドンの【メルトダウン・フェスティバル】のキュレーターを務め、自身初のオーケストラ伴奏付きライブ・パフォーマンスを披露する。11日間にわたるこのイベントは、米国での人気も定着しつつあるシムズの英国でのスーパースターとしての地位をさらに確固たるものにするだろう。昨年、彼女はコールドプレイの「We Pray」に参加し、米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で87位に初登場した。

 『ロータス』がその飛躍を遂げるアルバムになるのだろうか?シムズがようやく自分の物語を語る自信を取り戻した今、その可能性は十分にある。彼女は、「ゆっくりと、しかし確実に成長していると感じています。人々の支持を集める英国からの声の一つになれることを本当に光栄に思っています」と語っている。

By: Kyle Denis  / 2025年4月18日 Billboard.com掲載

◎公演情報
【FUJI ROCK FESTIVAL '25】
期間:2025年7月25日(金)、26日(土)、27日(日)
会場:新潟県 湯沢町 苗場スキー場
※リトル・シムズの出演は27日となります。
INFO:FUJI ROCK FESTIVAL
https://www.fujirockfestival.com/

◎リリース情報
アルバム『ロータス』
2025/6/6 RELEASE
https://littlesimz.ffm.to/lotus

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