2021/09/26 12:00
2021年9月22日発表のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”は、Kis-My-Ft2が新曲「Fear」で首位を獲得した(【表1】)。同じタイミングでYOASBIの新曲「大正浪漫」もあったが、こちらは惜しくも初登場2位。ストリーミングの再生数においては、YOASOBIが圧倒しているが、やはりフィジカルのCD発売の強みもあってKis-My-Ft2に軍配が上がった。
とはいえ、「Fear」のヒットはそれなりに課題が残る結果といってもいいかもしれない。CDの売上枚数は約13万7千枚ということでダントツではあるが、彼らの過去作品の中では上位の結果とは言い難い。メンバーの北山宏光が主演するドラマ『ただ離婚してないだけ』の主題歌という大型タイアップがある割には、売上に直結しているかどうかは微妙だ。Twitterのつぶやき数が3位というのもさすがだが、総合的に考えるともうひと踏ん張りといったところだろう。
希望の光としては、ストリーミングが34位にまで到達しているところに注目したい。Kis-My-Ft2はサブスク全面解禁はしておらず、LINE MUSIC限定となっている。プレミア感を出すのはプラスだが、他のサービスで聴けないことは他のアーティストに比べると圧倒的に不利だ。ただ、配信には慎重に向き合っているジャニーズとしては実験段階であることを考えると、今後どのようにストリーミングを活用していくのかは重要な問題であり、慎重にならざるを得ないのだろう。もちろん、CDの売上とのバランスもあるので、一気に全面解禁とはならないかもしれないが、前向きに配信と取り組んでいることは認めたい。
ストリーミングが過渡期であるならば、YouTubeにアップされたMVをもっと活用すべきだったかもしれない。このMVはファンにとってはセンセーショナルな映像だと思うが、コアファン以外にも拡散して話題になるような仕掛けがあってもいいかもしれない。これは楽曲自体にもいえることだし、さらにいえばタイアップやプロモーション施策にもつながっていく。コアなファンがしっかりといるアーティストだけに、クローズドされた世界に留まるのではなく、もっと開かれたプロモーションを仕掛けていく必要があるだろう。
いずれにせよ、首位を獲得したことは堂々と誇れる結果であり、ジャニーズの面目躍如といってもいいだろう。しかし、様々なチャンネルやメディアを駆使するニューカマーたちが続々と登場し、どんどんヒットのサイクルが早くなっているのが現実だ。そこにどう対応するのかが、Kis-My-Ft2のような中堅に差し掛かったアーティストの課題なのである。
Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
1
【ビルボード 2025年 年間Top Lyricists】大森元貴が史上初となる3年連続1位 前年に続き5指標を制する(コメントあり)
2
【ビルボード 2025年 年間Artist 100】Mrs. GREEN APPLEが史上初の2連覇を達成(コメントあり)
3
【ビルボード 2025年 年間Top Albums Sales】Snow Manがミリオンを2作叩き出し、1位&2位を独占(コメントあり)
4
【ビルボード 2025年 年間Top Singles Sales】初週120万枚突破の快挙、INI『THE WINTER MAGIC』が自身初の年間首位(コメントあり)
5
<年間チャート首位記念インタビュー>Mrs. GREEN APPLEと振り返る、感謝と愛に溢れた濃厚な2025年 「ライラック」から始まった“思い出の宝庫”
インタビュー・タイムマシン







注目の画像



【ビルボード】Kis-My-Ft2「Fear」137,484枚を売り上げ総合首位獲得 YOASOBI「大正浪漫」総合2位に初登場
洋楽ヒットはストリーミング一択?! ザ・キッド・ラロイxジャスティン・ビーバー「ステイ」
実直な積み重ねの結果?! 藤井風「きらり」のロングヒット
押さえるべきは再生回数?! BE:FIRST「Shining One」
多くの人たちの想いがヒットの根幹?! back number「水平線」










