2026/10/27 12:45
現地時間2026年10月26日の夜、テイラー・スウィフトが【ナッシュビル・ソングライターの殿堂】入りを果たした。受賞スピーチでは、ソングライターとしてのキャリア初期を支えたミュージック・ロウの作業部屋、音楽出版社、コラボレーターたちとの思い出を振り返った。
第56回となる授賞式は、米ナッシュビルのミュージック・シティ・センターで開催された。【グラミー賞】を14回受賞しているスウィフトを殿堂へ迎えたのは、ブラッド・ペイズリーだ。スピーチの冒頭では、ツアー中のいたずらをめぐる冗談が飛び出し、どうやら今も忘れられていない様子だった。「実は、あなたがここにいるのを見て本当に驚いています。だって2007年から絶縁状態だったから」とスウィフトは冗談を飛ばした。
彼女は、かつてペイズリーと一緒にツアーを回っていた際、彼がツアーバスを何千匹もの生きたコオロギでいっぱいにしたことを振り返った。「何か月も眠れなかった。夜通し、リーン、リーン、リーン、リーンって鳴き続けて」と当時を回想。その後、ペイズリーの紹介スピーチが十分に素晴らしかったとして、“水に流す”ことにしたと述べた。
続いてスウィフトは、今回の殿堂入りをナッシュビル、ソングライター、名声という3つの言葉に分けて語った。「たとえそれを仕事にできなかったとしても、始めて曲を書いたときから、音楽は自分の情熱であり続けるとわかっていました。人生のすべてを捧げるものになると思っていたんです」と会場に集まった人々に語った。
一方、ナッシュビルは「中学生の頃、空想の中で思い描いていた場所」だったと明かした。若き日の彼女は、自分が身につけたいと願うあらゆる知識や知恵が、ひとつの場所に集まっていると想像していた。
名声は、その後についてきたものだった。「名声というのは、私の音楽への愛が生み出した副産物のようなものです」とスウィフトは説明し、「ソングライターとナッシュビルを足したら、名声になる、という感じですね」と話した。
成功を手にしたことで、彼女の生活には“日々、予測不能なカオスがランダムに降りかかる”ようになった。人生が奇妙に感じられるとき、スウィフトは14歳でナッシュビルに到着し、音楽出版社と契約を結び、毎日曲を書いていた頃の記憶に立ち返っている。「私はスポンジみたいに、何でも吸収していました」と彼女は冗談交じりに話し、「しかも、髪はすごくカーリーで黄色かったから、見た目もスポンジみたいだったんです」と述べた。
こうした経験を通じて、彼女はソングライティングが反復によって磨かれる技術であることを学んだ。「ひとつの技術を本当に身につけるには、何度も何度も何度も繰り返し実践することが必要だと思います。それこそ、この素晴らしい街で活動する偉大なソングライターたちが日々やっていることです」とスウィフトは語った。「この音楽コミュニティのような場所は、ほかにありません。いろいろなコミュニティを調べてみたので、間違いありません」と付け加えた。
スウィフトはまた、ナッシュビルのソングライターのコミュニティから、コラボにまつわる華やかではない現実も学んだと話した。創作が行き詰まったときにどう乗り越えるか、どのアイデアのために粘るべきか、そしていつ手放すべきかということだ。「共同ソングライターが二日酔いのときにどう対応するかとか、曲を書く前に離婚の話を延々と聞かなければならないときにどうするか、といったことも学びました」と冗談を交えながら語った。
今回新たに殿堂入りしたスウィフトは、こうしたソングライターたちについて、「多くの意味で、私を育て、成長期を導いてくれた人たちです」と振り返った。
彼女が詳しく語った思い出のひとつは、2005年12月にさかのぼる。当時、彼女の母親はヘンダーソンビル高校に通っていたスウィフトを迎えに行き、クラフツマン様式の小さな一軒家に入居していた独立系音楽出版社、ジョディ・ウィリアムズ・ミュージックまで車で送り届けていた。受付にはキャサリンという女性がいて、スウィフトは当時の彼女の恋人がエリック・チャーチだったことを会場で明かした。「2人はうまくいっていますよね。子どもが2人いて、結婚してもう20年くらい。念のために言っておくと、彼のフルネームはエリック・チャーチです」と冗談を飛ばした。
そこから当時10代だったスウィフトは、赤く塗られた部屋へ駆け上がり、リズ・ローズと曲作りに取り組んでいた。「“リズ、今日学校でこんなことがあった”って話し始めるんです」とスウィフトは振り返り、「すると彼女はノートを取り出して、私たちはものすごい速さで曲を書いていきました」と明かした。セッションが終わると、スウィフトは建物の裏手にある庭の物置へ向かった。そこでデモ制作を担当していたネイサン・チャップマンが、彼女の曲を録音し、すべての楽器を演奏した。「彼は私の音楽を驚くほど直感的に理解してくれました。だから後に、1stアルバム全体を彼にプロデュースしてもらうために、私は強く主張したんです」とスウィフトは語り、「あれは彼にとっても私にとっても、最初のアルバムでした」と振り返った。
スウィフトのセルフタイトル・デビュー・アルバムは、今回の殿堂入りのわずか2日前の10月24日にリリース20周年を迎えた。
彼女はさらに、ナッシュビルのソニー・ファイア・ホールで曲を書いていた頃のことも振り返った。壁越しに、ほかのソングライターたちが制作に取り組む声が聞こえていたそうで、「本物の建物の中にいるんだって、想像してみるのが好きだったんです」とスウィフトは会場で語った。
その後の20年間を振り返り、スウィフトはナッシュビルで築いた基盤が、ジャンル、コラボレーター、創作のアプローチを自在に行き来する自由を与えてくれたと話した。「私が創作のプロセスで、これほど柔軟にいろいろなことに取り組めるのは、ナッシュビルで学んだ基礎と土台があるからこそです。そのことを一瞬たりとも忘れたことはありません」と語った。「この神聖な殿堂に迎え入れていただけることを、心から光栄に思います。特に、人生のこの段階で選んでいただけたことが嬉しいです。これがどれほどすごいことなのか、きちんと理解しています」とスウィフトは続けた。
最後に彼女は、ナッシュビルが自分の中で最も誇りに思う部分を“磨き上げ、洗練させてくれた”場所だと表現した。「雨の日にまた思い返したくなる、そんな素晴らしいナッシュビルの思い出のひとつになりそうです」とスウィフトは締めくくった。
今回、スウィフトとともに殿堂入りしたのは、ライル・ラヴェット、ショーン・キャンプ、リー・トーマス・ミラー、ブルース・チャンネル、そして故J.I.アリソンだ。米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で最高4位を記録したスウィフトの「Love Story」をレイニー・ウィルソンがブルーグラス・アレンジで披露した。また、ジョージ・ストレイトには<キャリア・メーカー賞>が贈られた。
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