2026/09/07 15:00
一部のプリンス・ファンの間で、最近リリースされた未発表音源集『タイムレス』に収録された楽曲の一つに、死後何らかのパートが追加され手が加えられたのではないかという疑念が浮上している。細部への徹底したこだわりで知られる稀代の音楽的オールラウンダーだった彼の精神に反する行為だとするコメントも見られる。
現地時間2026年9月3日、故プリンスのレーベルNPGレコーズと彼のマネジメント・チーム名義の声明がインスタグラムに投稿され、2003年制作のホーン隊が効いたソウル・ナンバー「Calabama」に関するこうした懸念に応える形で具体的に説明した。声明によると、同曲のブリッジではプリンスが2度にわたり“ホーン”と呼びかけているが、保存されていたマルチトラック音源では、「その部分をシンセサイザーが埋めており、後にホーン奏者たちがそこを録音した」という。
声明はさらに、「プリンスの過去の数多くの楽曲制作・プロダクションの手法と一致する形で、プリンスと共演経験のあるホーン奏者たちを集め、プリンスのシンセサイザー・トラックに意図されていたホーン・ラインを多重録音してもらった。このバージョンが“タイムレス”に収録されている」としている。
また声明では、プリンスがオリジナルで録音したパートはすべて“そのまま残されている”ことも強調された。トロンボーン、サックス、トランペットを加えたのは、グレッグ・ボイヤー、エイドリアン・クラッチフィールド、リン・グリセットの3人で、いずれもプリンスと親交が深かった人物で、アルバムのライナーノーツにクレジットされている。プリンスは2016年4月21日、米ミネソタ州の自邸ペイズリー・パークで、フェンタニルの過剰摂取による事故で死去した。
さらに声明では、「Calabama」を除き、アルバム収録曲に死後の多重録音は一切行われていないこと、そして“もちろん”AIは使用されていないことも強調されている。
Xでは、あるファンがホーンを加えていないという「Calabama」のオリジナル・ミックスとされる音源を投稿したことをきっかけに様々な反応が寄せられた。ある投稿者は、「ファンが望んでいるのは、プリンスがホーンを求めていたとしても実際には加えなかったという事実だと思う。彼はそのトラックを、ホーンを足さないままお蔵入りさせた。ファンが欲しいのはそれなんだ。彼が保管していたそのままのオリジナル・バージョン」と綴った。別のファンは、「ばかげている。プリンスの曲には、彼がはっきり“ホーン”と言っていてもシンセ・ホーンのまま加えられなかった曲がいくらでもある。テープに入っているとおりのものをリリースすればいいだけだ。ばかばかしい」と述べた。
『タイムレス』は、プリンス没後10年を記念する1年間にわたる企画の一環としてリリースされたアルバムで、彼が19歳だった1977年に録音されたオープニング曲「I Am You」から、死去の1か月前にオークランドで収録された1999年のB面曲「How Come U Don't Call Me Anymore?」のライブ・バージョンまで、キャリアのあらゆる主要な時代を網羅する初めてのプリンス作品となっている。
多重録音をめぐる議論の高まりを受け、遺産管理団体は今後、「楽曲のリリースに関してさらに詳しい情報を提供していく」と約束した。伝説的なまでに多いことで知られているプリンスの未発表音源の中には”単に未完成のもの”もあるとした上で、「そのことがリリースの妨げになるべきではない」と付け加えた。
声明は、「“Calabama”の未完成部分を完成させたことについては、プリンス自身が選んだミュージシャンを起用し、彼の創作意図に沿う形で行われたとしても異論を持つ方もいるかもしれない。一方でこの判断やアルバム全体を温かく受け止めてくれた方々も多く、感謝している。プリンスの音楽やビジネスに関わるあらゆる決定にすべての人が納得するわけではないことは理解しているが、皆さんの情熱と知識、そして真摯な問いかけには感謝したい」と締めくくられている。
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