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TM NETWORK 『LOUD』インタビュー

TM NETWORK 『LOUD』 インタビュー

 念願達成。TM NETWORK(小室哲哉/宇都宮隆/木根尚登)3人揃い踏みでのインタビュー敢行。1994年までの4001DAYS~宇都宮隆復活のさいたまスーパーアリーナ公演秘話(小室哲哉いわく初リーク)、そして新作に込めた想いまで。3人の生き様にフォーカスした結果、ここでしか読めない前代未聞のテキストが完成しました。ぜひご覧ください。

TMN終了からの20年間も“音楽をやっていた”ことが何より大きい

TM NETWORK / LOUD【Music Video(Short ver.)】
▲TM NETWORK / LOUD【Music Video(Short ver.)】

--僕はTM NETWORKで初めて音楽に興味を持った人間でして、こうして3人揃い踏みでのインタビューを実現するのは、20数年以上前からの夢でした。今日は貴重な機会を頂き、本当にありがとうございます。

小室哲哉:こちらこそ。よろしくお願いします。

--いきなり抽象的な質問になってしまうのですが、TM NETWORK及びTMNの看板を背負ってきた30年は、3人にとってどんな時間だったなと思いますか?

宇都宮隆:めちゃくちゃ難しい質問だね。THE ALFEEさんみたいにずーっと休まずに活動してきて、毎年ツアーをやってきた30年とは違うからね。

--一度解散してますし、活動してない期間もありましたから。

小室哲哉:もしかしたら、正確に活動時間を計算したら……2年ぐらい?

--2年ってことはないでしょ(笑)!

小室哲哉:でも10分の1ぐらいだと思いますよ。3年ぐらいかもしれない。一秒たりとも離れず3人でいる時間を凝縮したら。

木根尚登:オリジナルアルバムって何枚出してるんだっけ?

小室哲哉:大した数じゃないよ。8.5枚ぐらい?

木根尚登:最近のやつを入れたら10数枚あるね。それでも2年に1枚も出してないぐらいのペースで。

小室哲哉:そこの話だけ切り取ると洋楽のアーティストみたいで格好良い(笑)。優雅にやってる感じがする。

--とは言え、活動休止期間も、他のユニットやソロプロジェクトで活動しているときも、TM NETWORKの歴史や存在というものは常に付き纏っていた訳ですよね?

宇都宮隆:ソロを始めた頃は、もちろんTM NETWORKの話は常に出てきますし、自分も意識していたけど、何年か経ってくると、インタビュアーの人とかがTMの話をしたりしない限りは、そこまでは意識しなくなっていったかな。いつも付き纏っている感じではなかった。

小室哲哉:必ずしも枕詞に“TM NETWORKの”とは付かない。今の質問とはちょっと掛け離れているようで、実は近い事柄で、例えばライブ前とかに僕たちは円陣を組んで「よし、行こう!」とか、ハイタッチしたりしないんですよ。終わった後も「いぇーい!」みたいな感じにならないし、そういうのが一切ない。暗黙のルールみたいになってるんですけど。

木根尚登:30年間なかったよね。東京ドームですらなかった。

小室哲哉:その感覚にちょっと近い。それがダメっていう話ではないんですけど、僕らが三位一体みたいな感じになってる姿を目にした人はまずいないと思います。どれだけカメラマンの人がそういう画を撮りたかったか(笑)。

木根尚登:だから例えば3年ぐらい会わなかったとしても、普通は3年会ってなかったら「元気ぃ!?」ってなるし、ハグなんかしちゃったりすると思うんですけど、ウチは絶対にないから! 3年ぶりに会ってるのに「おはよう」とか「こんにちは」もないかもしれない。いきなり「いや、そういえばさ」みたいな。昨日も会ってて、その次の日ぐらいの感覚でいつもいる。だから逆に言えば、いつも一緒にいる感覚なんだろうね。アマチュア時代から変わらない。

--故にわざとらしさがないんですね。

木根尚登:だからさっきの質問に話を戻すと、TMはすごく意識しているところにあるんじゃなくて、普通にこの辺にあたりまえのようにあるんだろうね。「さぁ、TM始まるぞ!TMやるぞ!」じゃなくて、いつでも自然にTMについて話せるし、動ける。

小室哲哉:ここに誰もいなくて、一人になって考えたら、感謝の気持ちはすごくありますよ。もちろん。一人でふとTMのことを想ったら、それは何よりもある。

--では、離れているときもメンバーの動向は気になったりする?

小室哲哉:それはないと思う。

宇都宮隆:敢えて何してるか探そうとはしないよね(笑)。界隈の人たちから聞いて「あ、そうなんだ」ってなることはあっても。

小室哲哉:それで「わっ!」ってビックリすることはある。

宇都宮隆:僕がミュージカルの『RENT』やったりとか。

小室哲哉:そうそう。DJ KOO(trf)ちゃんとやってたりとか(笑)。

木根尚登:玉置浩二さんとミュージックビデオに映ってたりとか(笑)。

TETSUYA KOMURO(小室哲哉)/EDM TOKYO 2014 feat. KOJI TAMAKI
▲TETSUYA KOMURO(小室哲哉)/EDM TOKYO 2014 feat. KOJI TAMAKI

宇都宮隆:すごく仲良さそうに。

木根尚登:あれ、玉置さんと30年来の友達みたいに映ってたよね!?

宇都宮隆:あれこそ凄いよね(笑)。

--この3人の関係性って言葉にするとどんなものなんですかね?

小室哲哉:同学年じゃないからなぁ……。

--TM結成前、SPEEDWAYで一緒になったときも“友達”という感覚ではなかったんですか?

小室哲哉:別クラスで名物になっている人がいる。っていう感じ。僕は学年的には1年後輩だったので、先輩のA組とC組に目立っている人がいる。もっと言葉数少なくこの3人について語るとしたら、YMOさんみたいな感じかな。

--YMOの3人もベッタリという感じじゃないですもんね。でもそういう3人のユニットが30年続くって稀有ですよね。それこそYMOとTMぐらい。

宇都宮隆:それは“音楽をやっていた”っていうのが一番大きいんじゃない? 例えば誰かがもう音楽を辞めていたり、スタッフになっていたり、可能性としてはあるじゃん。これだけの年数が経ってる訳だから。でも実際にソロなり、何なりさ、音楽を表に立って続けてきた。TMN終了からの20年間もそれを続けてこれたことが何より大きい。

小室哲哉:やらせてもらっていたのは大きいかもしれないですね。

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    「なんで解散したんですか?」
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1994年5月 東京ドームで活動終了の真相
「なんで解散したんですか?」

--TMは、1994年5月に東京ドームでの2days公演を最後に全ての活動を終了しましたよね。あの時点で再びTM NETWORKを始動させるイメージってあったんでしょうか?

小室哲哉:僕の中ではなかったですね。

木根尚登:先のことは考えてなかったからね。

小室哲哉:漠然とだけど、ちゃんと平均的に3人がそれぞれ活動していけるんじゃないかな?とは思っていました。ただ、僕の話をすると、TMの終了後にプロデュース業をやろうとは思ってなくて。本当はオンステージから降りようと思っていたんですけど、当時のエピックソニーの人たちに無理やり引っ張り上げられたのが、1994年の7月。僕、篠原涼子さんの現場を見学していたんです。曲を作っていたので。で、生番組だったんですけど、ほんの1時間ぐらいの間で「後ろでいいから弾いてくれないか?」っていうところから引っ張り出されて、結果的にプロデュースすることが決まっちゃったんで。

--では、94年以降のプロデューサーとしての展開は、想定外だったと?

小室哲哉:全く想定外。それは間違いないですね。

木根尚登:東京パフォーマンスドールもエピックだったもんね。

小室哲哉:そう。それで篠原さんが『ミュージックステーション』に出るっていうので、その様子を見に来てほしいって言われて行っただけだったんで。だからメイクも衣装も何もしてない。

--でもそれがなかったら、さっきの宇都宮さんの話じゃないですけど、表舞台からは退いていたかもしれないんですよね?

小室哲哉:オンステージに上がることはなかった。

--宇都宮さんは、94年ラストライブ以降のヴィジョンはあったんですか?

宇都宮隆:僕はもう92年からソロ活動はスタートさせていたんですけど、出来ること、出来ないことがある中で、当時は出来ないことにも挑戦していこうと思って。ただ、それまで木根と哲ちゃんの曲しか歌ってなかったから、違う作詞家、作曲家、アレンジャーと仕事するっていうのは、完全に未知の世界で。どんな風になっていくのか毎回楽しみでしたね。

小室哲哉:名前は忘れてしまいましたが、ユニットを組んで……

--BOYO-BOZOですね。宇都宮隆と石井妥師のユニット。

小室哲哉:当時聴いてて「あ、これからの人なんだろうな」っていうのは思いましたね。これからを引っ張っていくというか、ジェネレーションが変わっていくんだろうなって。彼はそういう人たちを発掘していくんだろうなって面白く感じていました。

--木根さんの94年以降は?

木根尚登:僕も92年にはソロデビューしていたんですけど、元々フォークシンガーではないけど、弾き語りが好きでやっていたから、そういうことを普通にやっていこうって。出来ることと言ったら、ギター持って歌うぐらいで。でもフットワーク軽いし、それでいろんなところを廻るようになりましたね。ギター一本あればどこでも行けるみたいな感じで。それは憧れでもあったから。昔のフォークの人たちに対する。

--木根さんって3人の中でライブ本数は一番多いですよね、きっと。

木根尚登:イベントとかも人に呼ばれればどこでも行ってたから、数は凄いかもしれない(笑)。

--今振り返ると、1994年5月 東京ドームに至るまでのTM NETWORK“4001 DAYS”は、自分たちにとってどんな期間だったなと思いますか?

小室哲哉:その10年のほうが“TM NETWORKをやったなぁ”っていう感覚は強いです。実際、TM漬けだったと思いますし。その10年はどうでしたか?という話になると、さっきの「3年ぐらいに凝縮」っていうことではなく、もっと多かったと思うし。その中に3年が入っていたぐらい(笑)。

宇都宮隆:その10年間での特別なことを挙げるとするなら、売れていく感はすごく感じながら活動してましたね。忙しい中で売れる……というか、人が増えていくってこういうことなのかって。それを感じられたのが一番大きいかなぁ。

--都市伝説だったらごめんなさい。当時の宇都宮隆はすごく忙しくても「働いた分だけ、俺は呑むんだ」と言っていたという。それの影響を僕は顕著に受けてるんですけど。

宇都宮隆:TMのときですよね? ギターの松本(松本孝弘/B'z)とドラムの山田くん(山田亘/FENCE OF DEFENSE)とよく呑むようになった時期があって、その途中でそういうことを言い出したんじゃないですかね(笑)。

木根尚登:3時間働いたら3時間呑むと?

宇都宮隆:まぁ3時間しか働かないことはないだろうから、もっとじゃない?

小室哲哉:そのエピソードは初めて聞きました。

--公私共にある意味めちゃくちゃやっていた時期というか。

宇都宮隆:それは僕だけじゃないと思います。(小室哲哉を見る)

小室哲哉:(笑)

木根尚登:若かったからねー。年齢的にも20代~30代でしょ。エネルギッシュでしたよ。仕事はもちろん、お酒もね、みんなで朝まで騒いだりっていうこともあった訳ですから。さっき、ウツが話していた売れていく感じゃないけど、何だって勢いっていうか。ただ、最初は「俺たち、売れてきてる」っていう実感はないんですよ。今でも憶えてるけど、『ミュージックステーション』に出演したとき、登場シーンでキャー!って言われても「あ、少年隊のファンだ」って普通に思って。まさか自分たちのファンとは思わない訳ですよ。何故なら売れてない時間が長いから(笑)。でも武道館を何日もやったり、たくさんのお客さんが来てくれたりして、それに対して「凄いね」って言う間もなく、ロンドンと東京を行ったり来たりとか、とにかく目まぐるしかった。「あの10年をもう一回やんなさい」って言われたらちょっと……この年齢では(笑)。

--言えたらでいいんですが、なんで解散したんですか?

小室哲哉:うーんと、それは言えない。

一同:(笑)

--20年経ってもまだ言えないと?

宇都宮隆:墓場まで持っていくの(笑)?

木根尚登:まぁでも表向きって言っちゃうとアレですけど、例えばひとつひとつのライブに対して「ああいうのやりたい、こういうのやりたい」って形にしていって、経済的に余裕が出てくると、衣装ひとつとってもどんどんエスカレートしていって、それで『CAROL』というところに行き着いて。その次には何をしてくれるのか?っていう期待もあるんだけど、僕らの中では『CAROL』が到達点だったりもしたから……。

小室哲哉:そういうことでいいと思う。

宇都宮隆:いいと思う(笑)。

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2012年以降のTM~
宇都宮隆 闘病生活から復活の真相を初公開

--BOOWYやTHE BLUE HEARTSって復活しないから伝説化されているところもあるじゃないですか。でもTM NETWORKは1997年の再結成発表以降、動いたり止まったりを繰り返してきた。これって3人がTM NETWORKをいつ何時も捨て切れなかったからなのかなと思うんですが、自分たちではどう思いますか?

小室哲哉:当然、捨てきれないですよね。さっきも言いましたけど、個になったら感謝してますから。最後にはTMに行き着くのかもしれない。

木根尚登:伝説って、結果、伝説じゃないですか。どのバンドも仲良しだったら続いていたかもしれない。そこですよね。この3人が本当に「生理的にダメ!」っていう人間関係で決裂していたら復活してないだろうし、もっと伝説になれたかもしれない(笑)。だから何でも「伝説」って言えば格好良いけど、そこには出来ない理由があったりする訳で。で、僕らには出来ない理由はなかった。

宇都宮隆:例えばツアーを組むなら半年前から会場を押さえて、個々のスケジュールも押さえなきゃいけない。でもそこに支障がなくて、ひとつのきっかけがあれば動き出せる。誰かから「TMでやってほしい」という声がかかったりね。きっとそういうことで、3年に1回だったり、4年に1回だったり、定期的とは言えないけど、その度に始動してこれたのかなって。

--ただ、現在のTM NETWORKは、この活動30年間を地球潜伏期間と銘打ち、2014年にひとつの区切りをつけようとしている印象なんですが、実際のところはどうなんでしょう?

小室哲哉:全世界にSFファンというか、近未来の有り得ないような話を描くカテゴリー。それを好む人がいて、その流れでTMのことを好んでくれている人たちにとっては、例えばここ10年ぐらい流行りの“シーズン1”とか“シーズン2”とか、あの手のシリーズがブチっと切れちゃうのって何とも言えない。ガッカリするだろうし。なので、それがないようにはしたいなと思っていて。やっぱりきっちりと「終わったな」って思えるもの。“ファイナルシーズン”とか“ラストシーズン”っていう名前が付いているもののほうが良いなと思っていて。

宇都宮隆:お金を掛けすぎちゃったり、それなのに視聴率が悪かったりで、スポンサーが突然降りちゃって、無理やり終わってしまうものって、今の海外ドラマの中にはたくさんありますからね。

小室哲哉:今って普通に観ている視聴者の人にすら「視聴率が悪かった」「スポンサーが突然降りた」っていう話が聞こえてきちゃう訳だから、それってよくないですよね。「1stシーズン、あんなに凄かったのに!」みたいな(笑)。成功例を出すと、『24 -TWENTY FOUR -』の最後。あの歩いていく画っていうのは、ほんの数秒だけど、使命を果たしている感じがするので、個人的にはもう続きはやってほしくないなって思う。

--そう思わせるぐらいの終わり方をTMにも求めてると?

小室哲哉:それがしたいなって。一回は。ちゃんと。日本語で言う“落とし前”はつけたいなと思います。

--野暮な質問と分かりながら投げかけますが、では、TM NETWORKは2014年で終了してしまうんでしょうか?

小室哲哉:それこそテレビドラマシリーズとか映画と一緒で、最初からそれが分かっちゃったらつまんないですよね。最後の最後まで席を立たせないようにするのが我々の役目なので。

--それが答えですよね。

宇都宮隆:だいぶ前に東京ドームで終わってるんだけどね(笑)。

木根尚登:あれで「終わる」って言ったんだから(笑)。

小室哲哉:あれは“TMN”だから。

木根尚登:あ、そっか。

--え? あの日の東京ドームって“TMN”終了であって“TM NETWORK”終了ではなかったんですか?

一同:(笑)

--この30年間の集大成をCD作品やライブで表現していくこと。中途半端な形では許されない訳で、2012年の復活以降の活動は、1994年までの4001 DAYSよりシビアというか、TM NETWORKの存在意義が試される戦いになってると思うんですが、いかがでしょう?

TM NETWORK / Get Wild(TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-)
▲TM NETWORK / Get Wild(TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-)

小室哲哉:そこはインスパイアという言葉を使わせてもらいますけど、『スター・ウォーズ』と同じ方式を取っていて。TMもエピソード1,2から始めていなくて、3,4,5らへんから始まって、実は今になって1,2をやっている感覚。だから真ん中を先にやったと捉えてもらえると。いろんなキャラクターがどうして出来てきたのか、『スター・ウォーズ』も最初からは分からない訳で、それを後から明らかにする手法ですね。

--それをしっかり伝えきる為にも、2012年以降のTMには超えなくてはならない壁がいくつかあったと思います。宇都宮さんに関しては、すい臓に腫瘤(しゅりゅう)が見つかり、肉体的な戦いを乗り越えての、さいたまスーパーアリーナ公演だった訳じゃないですか。腫瘤が見つかった当時はどんな心境だったんですか?

宇都宮隆:そんなに詳しいことはメディアに対しては言ってないんだけど……今までそういう大きい病気を経験したことがなくて、初めての経験だった。自分の人生の中で「なんだこれは!?」ってなるぐらいの、「あ、死ぬかもしれないんだね」っていう感覚。

--それでも闘病生活を乗り越えてTM NETWORKのステージへ戻ってきました。あの瞬間はどんな気分だったんでしょう?

宇都宮隆:うーんとね……痛かった(笑)。痛かったねー。お医者さんが下で待機していて、2,3回ぐらい痛み止めを打って。まぁでも無事終えることができたので。

--小室さんと木根さんは、宇都宮さんがステージに戻ってこれるかどうかの時期は、どんな心境だったんでしょう?

小室哲哉:今までで一番話し合ったかもしれないですね。想像の域、範疇は超えているので。うーん……まぁ人間技じゃないっていうので、どちらかと言うと反対派だったかな。7月にステージに上がることに対して。でもお医者さんの考え方とか、本人の意向を尊重した上で、あの2日間のステージを作ったりしたんですけど。いやぁ~……自分だったらって置き換えたら、まず立てなかったと思う。これは個別に話したら、もっと率直というか、当時のドキドキ感を伝えられると思うんですけど、日々ドキドキしてました。リハーサルは当然歌える状況でもなかったし。その様子って本当は拡散しようと思えば、すごく大きなことになってたレベルなので。そこは意図的に押さえたんですけど。

宇都宮隆:それでも凄いところからオファーとか来るようになったもん。昼のドキュメンタリー番組とかさ(笑)。

小室哲哉:それをよくここまで最小限に押さえたなって。だからファンの人ですらそこまでヘヴィなこととは思ってない。でも僕ら2人からしたら……これこそ今日お話してきた“存続”についての話になりますけど、一番中心になって歌ってくれる人の体調ですから、心配という意味では一番心配したかな。

木根尚登:そういうものが“見つかった”っていう話から始まって、電話でいろいろ話したんですけど、その手術をして復帰できるのは「早くても半年」と聞いていたので。それなのにあの短さでステージに立たせていいんだろうか……という想いはあったので、最終的には「じゃあ、2人で歌うか」みたいな案も飛び出したりして。いろんなシミュレーションをしたんですよ。どうしたらウツに負担をかけずにライブができるんだろうかって。そこで2人で歌う案とかも出てくるんだけど、「それはTMじゃないよな」って(笑)。どう考えてもウツが歌わないとTMにならない!って。で、最終的にあの演出を哲ちゃんが考えてきて、あの形になったんです。土壇場のところから出てきたひとつのショー。よく搾り出したと思います。

小室哲哉:この話、リークっていう意味では初めてですよ。ここまで聞いたことがあるインタビュアーの方はいないと思います。

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小室哲哉/宇都宮隆/木根尚登 30年前の自分にメッセージ

--あの日の公演からは並々ならない覚悟を感じたので、どうしても詳しくお話を聞きたくて。宇都宮さんは、それでも、何が何でもステージに立ちたかったんですか?

宇都宮隆:なんだろうね……。たしか本来は5月にやる予定だったんだよ。それで僕の中では「迷惑をかけてしまったな」って気持ちが大きいんだよね。自分がどうなっちゃうか分からない状況ももちろん大きいんだけど、2日間の大きいコンサートが無くなった。まぁ延期っていう形にはしてもらったけど、それが一番大きかった。だから2ヶ月後に会場が取れたんだったら、もうギリギリでもいいから、ファンの人たちも含め……というか、特にファンの人たちに、まぁ元気な姿ではないけれども、文字とかで伝えるより、姿だけでも見せたかったんだよね。それかな。

--小室さんは、あの日の公演について「宇都宮君の音楽への情熱が、自分の音を変えました」とツイートしていましたが、再び3人でステージに立てたことにはどんな感慨を?

TM NETWORK / BEYOND THE TIME(TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-)
▲TM NETWORK / BEYOND THE TIME(TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-)

小室哲哉:1日だけなら何らかの手段で出来るかなと思いましたけど、2daysで「明日もあるんだ?」って帰りの車か何かで考えたときに、凄いことをやってるんだなと思いましたね。あと、凄いことをやらせちゃってるって。それは普通に思ったかな。「可哀想だな。明日もやんの?これ」って。

宇都宮隆:実際、余裕はなかったです。でもTMって、特に今回はSFの物語がある訳じゃないですか。だから本当は「宇宙船行けば、すぐよくなるんだよ」って言いたいぐらいで(笑)。TMが今やってることを考えるとね。なので、あの2日間は辛そうにしているところは見せたくなかったんです。

--そんな人生の大きな転機を迎えながらの、現在のTM NETWORKの活動。過去のTMの活動とはまた違う意味合いがどんどん重なっていってると思うんですが、小室さん自身はどう思われますか?

小室哲哉:最初からのファンもたくさん追い掛け続けてくれてるんですけど、マーケットが全く変わってしまっているので。実際、このインタビューも書籍に載るものじゃないですよね。ネットな訳だし。このマーケットについていってるのが不思議なぐらい。でも……正直「負けたくないな」っていう気持ちはあります。時代のスピード感に。デジタル/アナログっていう言葉ですら風化しつつあるので、そういったものを取っ払ったところで、さらに無理のないところの“精神性”みたいなものは打ち出していきたいですし、「置いていかれてるよね」なんていう言葉はどこからも聞きたくない。

--精神性。今回の最新シングル『LOUD』もそうですが、2012年の復活以降のTM NETWORKは、非常にメッセージ性が強くなっているというか、ストレートになっていますよね。

小室哲哉:3.11。これは日本人だったら何か思って不思議じゃないと思うんですね。特にクリエーターだったり、何かを表現する人間だったら。で、僕らは以前から地球のことはずーっと題材にしてきているので、地球というものに乗っかっている自分たち。そういった俯瞰みたいなものがあった上で音楽を発信してきた身としては、3.11の影響が大なのは間違いないと思います。

--今作『LOUD』には「エモーショナル」や「叫べ少年よ 吠えろ青年よ」というフレーズもありますが、感情に対してもっと実直であれ!的なモードは、今だからこそ出せるものっていう感覚ですか?

小室哲哉:うん。日本人が元々持っている人間性ですよね。

宇都宮隆:祭りとかね、そういうこと考えると、本当は持ってるんだよね。だからワールドカップになると、サッカーファンなのか、俄かファンなのか分からないけど、みんな一緒になって騒いじゃう訳でしょ。元々は持ってるんだよね。

小室哲哉:そこは普段は何が押さえてるんでしょうね。

木根尚登:鎖国されてきた遺伝子じゃない?

宇都宮隆:鎖国のせい(笑)?

木根尚登:権力で封じられるような国民性みたいな。右向け右じゃないけど、出る釘は打たれる的なね。

小室哲哉:その話、家康まで戻る?

一同:(笑)

木根尚登:実は叫びたい精神性は持ってるんだけど、言えなかったりする。だから「叫んでもいいんじゃないの?」っていうのは、常に音楽側からのメッセージとしてはある。僕が好きなフォーク・クルセイダーズっていうグループがいて、「青年は荒野をめざす」っていう歌があるんですけど、今回の『LOUD』を聴いてて思い出しましたね。だから常に時代時代で「それでいいの?」っていうのはある。面白いですよね。

小室哲哉:ただ、僕らはシンガーソングライターじゃないですから。基本的にはポップス。メッセージよりポップミュージックですから、そこは大事にしたいと思ってます。

--宇都宮さんは『LOUD』を歌ってみてどんな印象を?

宇都宮隆:まだちょっとお腹が痛かったんですよね(笑)。まだ叫ぶにはちょっとどうかな?って思いながら……

--「叫べ少年よ」と歌っていたんですね(笑)。

宇都宮隆:そう歌いながらもちょっと大変だったんですけど。でも僕もすごくプログレが好きなので、元々TMはプログレの要素を入れてきましたけど、今回も「お、プログレだ!」と思って。その分、歌うのは大変なんですけどね。キーが取りづらいから。

--あと、今作と同時にセルフリプロダクトアルバム『DRESS2』がリリースされます。まさか『DRESS』の続編が出るとは誰も思ってもいなかったと思うんですが、どうして制作しようと?

小室哲哉:僕らは感じてなくても、30年間の歳月の中で楽曲が風化してしまうんだとしたら、やっぱりお色直しは必要だろうなっていう。昔のままだとBPMから、何から何までどうしても合わないだらけで。見えない技術の革新は音楽の世界でも凄いので、そういう意味では2014年タイプ、2014年モデルにしなきゃいけないだろうなって。そうなると歌もやっぱりそれに合わせてもらわないとしょうがない、というところで無理してもらってます。

宇都宮隆:やっぱり歌いにくくなりますよね。今の自分が持ってるタイミングとかも大切にしつつ、新しいオケに上手く嵌めていく作業。

小室哲哉:昔の曲はBPMが速かったんですけど、それが今の時代になって遅くなってきて、その分、四分音符なら四分音符、ウツが歌うところも伸びる訳です。そうなると、肺活量だったり、腹筋だったり、喉の使い方だったり、あらゆることが変わってきて、より鮮明に露出されちゃう訳だから、こうやって論理的に考えても大変だと思います。

--では、最後の質問になります。今から30年前の自分に今会えたとしたらどんなことを伝えてみたい?

木根尚登:素直に「おまえ、結構長くやってるよ」って(笑)。さっきのウツの話じゃないけど、普通に10年ぐらいやったらどこかの会社に入れて頂いて、スタッフとして働いてると思ってましたから。将来のこと聞かれたら「35ぐらいになったら、プロダクションかレコード会社でディレクターとかやってるんじゃないかな?」って答えていた。そういう時代でしたから。でもそうじゃないよって言ってあげたいですね。

--宇都宮さんは?

宇都宮隆:「50代になったら定期健診に行け」。

一同:(笑)

木根尚登:「行ったほうがいいぞ!」って?

--じゃあ、最後に、小室さん、お願いします。

小室哲哉:うーん……「調子に乗るなよ」。

一同:(爆笑)

木根尚登:なるほど。

宇都宮隆:深いね。

Music Video

TM NETWORK「LOUD」

LOUD

2014/04/22 RELEASE
AVCD-48983 ¥ 1,320(税込)

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