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ホセ・ジェイムズ 『ノー・ビギニング・ノー・エンド』 インタビュー

ホセ・ジェイムズ『ノー・ビギニング・ノー・エンド』 インタビュー

 2013年1月に待望のブルーノート移籍第一弾アルバム『ノー・ビギニング・ノー・エンド』をリリースする新世代ヴォーカリスト、ホセ・ジェイムズ。「このアルバムは、僕が今、音楽について感じていることの集大成なんだ」と本人が語るように、ジャズ、ソウル、R&B、ヒップホップまで多様なスタイルを自在に行き来しながら彼の歌声によって一つにまとめ上げられている。プロデューサー/ベーシスト、ピノ・パラディーノ、レーベルメイトのロバート・グラスパーやインディ・ザーラ、R&Bシンガーのエミリー・キングなどの強力バックアップの元で完成した渾身の一枚について訊いた。

最新作『ノー・ビギニング・ノー・エンド』の制作経緯

??まずは、1月にリリースされる最新作『ノー・ビギニング・ノー・エンド』について教えてください。約2年ほど制作を行っていましたが、完成してみてどのような気持ちですか?

ホセ・ジェイムス:とてもワクワクしている。同時に、やっと完成してほっとしているね(笑)。アルバムを引っさげたツアーをするのも待ち遠しいよ。世界中のみんなに早く聴いてもらいたい気持ちでいっぱいだ。

??今作は、レーベルの支援もなく、知り合いのミュージシャンなどと自主制作されたそうですが、自由に制作活動が出来る環境が作品に与えた影響は?

ホセ:自主制作するという判断は、作品のすべての部分において大きな影響を与えてくれた。作品づくりにあたって一番大事なことは、アーティストが音楽を生み出すという行為そのものだ。サウンド、起用するミュージシャンはもちろん、スタジオの選択など、すべて自分の満足がいくまで選ぶことができた。スタジオ内の食べ物までね(笑)。自分ですべてのことにおいて判断を下すことが出来たのは、新鮮で幸運なことだった。

??逆に、この方法で作品づくりを行ったことにより困難をきたした部分は?

ホセ:金銭面かな。自分のお金を大幅に費やさなければならなかったのは、やはり不安だった。制作を開始した段階では、レーベルと契約できるかすらわからなかったからね。大きなリスクだということはわかっていたけど、最終的には良い方向に進んだから安心しているよ。

??そのような状況の中でも、この作品を完成させる気力を与えてくれたのは?

ホセ:創造意欲に溢れていたし、アーティストとしてどのような状況におかれていても、作品づくりは続けたいと思っていたからね。たとえレーベルとの契約が無くても、音楽を作りたいと思う気持ちは消えないからね。

世界一のベーシスト、ピノ・パラディーノ

??今回作品にベーシストとして参加し、プロデュースの面にも携わったピノ・パラディーノについて教えてください。彼のバックグラウンドは、ロックですが、ディアンジェロの『ヴードゥー』などR&Bやジャズよりの作品やホセの親友でもあるロバート・グラスパーのバンドにも参加していますよね。

ホセ:僕にとって彼は世界一のベーシストだ。凄くソウルフルな演奏をするし、リズムの取り方も抜群。その上、彼にしか出来ない唯一無二の演奏をする。でも彼の一番素晴らしい才能は、周りのミュージシャンの良さを引き出すことがすごく上手で、サウンド面でも個々の持っている魅力が引き立つように演奏してくれる。ベテランなので大勢のミュージシャンを仕切るのも慣れているしね。

??彼との出会いは、どのような経緯で?

ホセ:僕がまだロンドンに住んでいた時に、共通の友人を通じて出会ったよ。お互い時間がある時に会って、1日ぐらい一緒に過ごしたよ。その時に『ノー・ビギニング・ノー・エンド』にも収録されている「Make It Right」を一緒に作った。凄くいい出来だったので、彼の方からアルバムに参加したいと申し出てくれたんだ。とてもクールな出来事で、信じられなかったよ。寛大で、尊敬できる人だね。

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ジャンルに縛られず、いい曲を書くことへのこだわり

??ソングライティングの面でも大きな成長を遂げていますが、どのような出来事がその成長を促していると思いますか?

ホセ:やはり人生経験かな。前作より2年、もう少しで3年近く経つ。その間に40か国ぐらいツアーで訪れて、様々な人々と出会うチャンスがあった。世界中に繋がりを持つ人がいるということは大きいね。活動の幅が世界に広がったこと。それはバンドのメンバーについても言えることだね。今回は20人ぐらいのミュージシャンを起用していて、前作とはまったく異なるアプローチを取って制作した。ジャンルを気にせず、曲を書くことも重要だね。ジャズというジャンルに縛られず、ソウル、ゴスペルなど様々な要素を取り入れ、とにかくいい曲を書くことにこだわったよ。

??20人ほどミュージシャンを起用したと言っていましたが、曲によってバンド・メンバーが変化するのも興味深いですが。

ホセ:その点は、ピノが細かくアドバイスしてくれたんだ。各曲のフィーリングやスタイルにあったバンド編成でレコーディングを進めようって。いわゆる大がかりなポップ・ソングのプロダクションのように、このミュージシャンはこれが得意だから、この曲と、この曲を演奏してもらおうという具合にね。

??ソングライティングの話に戻りますが、テーマでいうと愛や人間関係などロマンチズムに溢れた内容が多いですよね。

ホセ:僕は、そういう曲を作る運命の星に生まれてきたんだと思う(笑)。愛というのは、みんな好きで、素晴らしいものだって全世界共通で思えるものの一つだよね。でも時には、困難なこともあるし、様々な面を持っている。たとえば恋愛関係を長続きさせることとか。僕は、まったく政治的な人間ではないけれど、自分の気持ちと素直に向き合うことができれば、世界も自然と良くなっていくのではないかなと感じているんだ。

??今回再びエミリー・キングが書いた曲で、デュエットを披露していますが、彼女と出会った経緯は?ヴォーカルの相性も抜群ですよね。

ホセ:彼女は、本当に素晴らしいよね!歌う時の相性も自然とピッタリだった。出会ったのは、2010年に彼女のライブを観に行った時。素晴らしいシンガー、ギタリストでもあるけど、彼女のソングライターとしての才能は尊敬に値するね。アルバムの為に、いくつかポップ寄りな曲が欲しかったから彼女に打診したら、素晴らしい曲を書いてくれた。2月の日本ツアーには、彼女も一緒に来るから、今から楽しみにしているよ。

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名門ジャズ・レーベル、ブルーノートとの契約

??今年9月に老舗ジャズ・レーベル、ブルーノートとの契約が発表されましたが、その経緯を教えてください。親友であるロバート・グラスパーもブルーノートに所属していますよね。

ホセ:ロバートはもちろん、知り合いのインディ・ザーラもブルーノート・フランスに所属している。他の所属アーティストとも何回か仕事をしているし、ロバートにも「ブルーノートは君に合っていると思うよ。」とアドバイスをもらっていた。契約する前に、知っている人達から色々話が聞けたことは幸運だったよ。契約した途端、驚かさせられるのは、ゴメンだからね(笑)。レーベルは、名前より人間関係が第一だから。すでに素晴らしい経験となっているし、もちろん老舗レーベルと契約できて名誉に思っている。

??ブルーノートというとやはりトラディショナルなジャズというイメージがありますが、その従来のイメージを破り、ロバート・グラスパーを筆頭に、新世代のジャズ・シーンの波が誕生したと感じます。

ホセ:とてもエキサイティングだよね。今ブルーノートは、積極的に新しいことに取り組もうとしているんだ。時代に伴い変化があるのは、当然なことで、今再びその波が来ているんだと思うね。僕達アーティストにとっては、新しい試みを理解し、サポートしてもらえて嬉しい限りだよ。

今後の活動/来日公演

??今後のプロジェクトやアルバムについては、考えていますか?

ホセ:もちろん。新しいギターを買って、曲を書き始めているよ。以前は主にピアノで作曲をしていたけど、ギターの練習をしつつ、曲作りを行っている。ギターは、より声を引き立ててくれるから、僕にとっては大きな変化だよ。今の段階では、4~5曲書き上がっていて、今年中にもっと書くつもりだよ。

??サウンド面などで、新しい試みなどありますか?

ホセ:色々試してみないとわからない部分が多いけれど、今は曲に重点をおきたいと思っている。曲が良ければ、プロデュースの方法に関わらず良い作品が出来るのは間違いないからね。

??そして来年2月にはビルボードライブにて公演を行うために、再び日本へ戻ってきますね。

ホセ:今回のバンドは素晴らしいんだ。特にホーン・セクションがね。そして、メンバーもとても"国際的"なんだ。彼らのことは、兄弟のように慕っているよ。音楽の面でも、信頼がおける。そして何と言っても、今回はスペシャル・ゲストとして、エミリー・キングも参加してくれる。たしか5年前ぐらいに日本へ来ているけど、彼女にとっては久しぶりの来日なので、楽しみにしているみたいだよ。とにかく素晴らしいライブになると思うから、ぜひ足を運んでほしいね。

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【スペシャル企画】ホセ・ジェイムズとクリスマス・ショッピング

 いよいよクリスマス・シーズンに突入し、街もイルミネーションで煌びやかに!東京ミッドタウンでも毎年恒例、芝生広場で繰り広げられる幻想的な光と音のエンタテインメントショー「Starlight Garden」や約1,800 体のサンタクロースからなる「サンタツリー」をはじめ、今年は、プラザ1Fに巨大なスノウマンが出現するなど、至る所にクリスマスのワクワクが登場します。

 そんな気分が盛り上がる東京ミッドタウンで、ホセ・ジェイムズとクリスマス・ショッピング!来日時にはバンド・メンバーと共に必ず訪れるという東京ミッドタウン内の「WISE・WISE tools」にてプレゼントを選んでもらいました。そして特別な人と過ごす1日についても語ってくれました。

ホセ・ジェイムズ『ノー・ビギニング・ノー・エンド』インタビュー写真

??記念日に特別な人をもてなすとしたら、どのようなことをしますか?

ホセ:森タワーからの眺めがとても好きだから、上のバーに行くかな。街全体が見れるから、いいスタートになるよね。一度、富士山が見えたことがあって、とても素敵だった。いいレストランも沢山あるけど、やっぱりロマンチックで落ち着いた感じの場所がいいよね。特に東京は、雰囲気が良い、こじんまりとした場所に溢れてる。それに音楽のシーンも素晴らしいから、何か特別なライブを見に行って、後はその時の感じに任せるよ(笑)。

ホセ・ジェイムズ『ノー・ビギニング・ノー・エンド』インタビュー写真

??今までにした一番ロマンチックなことは?

ホセ:う?ん、やっぱりパリに一緒に行ったことだね。1週間ほどマレ地区に泊まったけれど、ノートルダム寺院も近くにあるし、最高の雰囲気だよね。もちろん世界一ロマンチックな都市っていうのもあるけれど、単純に毎朝あの環境で目覚めることができるのは、ワオ、言葉にならないよ。

ホセ・ジェイムズ『ノー・ビギニング・ノー・エンド』インタビュー写真

??では、ホセにとって「イイ男」の定義とは?

ホセ:難しいことかもしれないけど、やはり女性に対する気遣い、敬意をもって接することができることは重要だね。それが男としての強さでもあると思うんだ。現代の文化には、女性の品位を損なうものが少なからずとも存在する。女性に限らず、家族に対しても同じだ。僕が知ってるクールな奴らは、フレンドリーで親しみやすいが、自信も持ち合わせている。自分の強さを誰に証明するわけでもない。世界が少しでも良くなるように、毎日の生活をおくっている人々。僕のバンド・メンバー達もそうだよ。

【Present】来年2月のホセ・ジェイムズ ビルボードライブ公演予約者に、
ホセが選んだスペシャル・ギフトを抽選でプレゼント

12月5日(水)?12月12日(水)までの期間中にホセ・ジェイムス公演を予約されたお客様の中から、4名様にホセが選んだスペシャル・ギフト&直筆カードを抽選でプレゼントします。ご予約は、下記より受付いたします。
ビルボードライブ大阪公演 2月12日(火) l ビルボードライブ東京公演 2月14日(木) ~ 15日(金)

・プレゼント当選者発表は、発送をもってかえさせていただきます。
・住所登録がお済みでない方は、予約時にご登録をお願いします。

ホセ・ジェイムズ「ノー・ビギニング・ノー・エンド」

ノー・ビギニング・ノー・エンド

2013/01/16 RELEASE
TOCP-71459 ¥ 2,409(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.イッツ・オール・オーヴァー・ユア・ボディ
  2. 02.ソード+ガン feat.インディ・ザーラ
  3. 03.トラブル
  4. 04.ヴァンガード
  5. 05.カム・トゥ・マイ・ドア
  6. 06.ヘヴン・オン・ザ・グラウンド feat.エミリー・キング
  7. 07.ドゥ・ユー・フィール
  8. 08.メイク・イット・ライト
  9. 09.バード・オブ・スペース
  10. 10.ノー・ビギニング・ノー・エンド
  11. 11.トゥモロー
  12. 12.カム・トゥ・マイ・ドア feat.エミリー・キング (Acoustic Version) (bonus track)
  13. 13.コール・アワ・ネーム feat.ジェシカ・ケア・ムーア (日本盤ボーナス・トラック)

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