Special
<インタビュー>10-FEET、『アオアシ Season2』主題歌「Fortress Defense」が完成&サッカー・野球・バスケを制覇するロックバンドへ

Interview:西廣智一
Photo:興梠真穂
10-FEETの新曲「Fortress Defense」が10月5日に配信リリースされる。この曲は10月4日からスタートするテレビアニメ『アオアシ Season2』第1クールのオープニング・テーマとして制作されたもの。王道の10-FEET節が展開されたエモーショナルな前作「壊れて消えるまで」(映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』主題歌)とも一線を画する、重厚感としなやかさを併せ持つモダンなロックチューンに仕上がっている。随所にフック満載の曲を、メンバーのTAKUMA(Vo. / Gt.)、NAOKI(Ba. / Vo.)、KOUICHI(Dr. / Cho)はどのように完成させていったのか。その制作の裏側について、たっぷり語ってもらった。
――10月からスタートするテレビアニメ『アオアシ Season2』第1クールのオープニング・テーマ「Fortress Defense」、聴かせていただきました。意外性の強いエンディングまで含めて、聴きどころ満載の1曲だと思いました。
TAKUMA:ありがとうございます。びっくりするでしょ?(笑)
――はい(笑)。皆さん、『アオアシ』という作品自体はご存知だったんでしょうか。
TAKUMA:僕は原作から読んでいましたし、アニメも観ていたので、このお話をいただいたときは嬉しかったです。
NAOKI:『アオアシ』という名前とか存在とか、すごく人気のある漫画だということは知ってました。オープニング・テーマを担当することが決まってからアニメのシーズン1を見始めたんですけど、だいぶ面白かったですね。
KOUICHI:僕も名前は知っていましたけど、中身までは知らなくて。今ちょうど原作を読んでいるところです。
――今回、オープニング・テーマのお話をいただいて楽曲を制作する際、どのように進めていったのでしょう。
TAKUMA:アニメの制作側が「今の10-FEETさんの中にあるイメージで作ってもらったほうがいい」と思ってくれていたのか、あまり細かいことを言うことなく一任してもらえて。もちろん、自分たちとしてはそのときに一番いいと思う音楽をやりたいなとは思っていましたし、この曲の元ネタ自体はずいぶん前からあったものだったので、「僕らの最新のライブにこういう曲があったらカッコいいな」という思いと、アニメのイメージから受けたスピード感を持つ曲を作ろうと考えました。
――ベースになるアイディアは、どういった流れで生まれたものだったんですか?
TAKUMA:遊びで作曲していたときに生まれたもので、10-FEETのメイン路線という感じではなく、ちょっと遊び心のある曲だったのかな。
――「僕らの最新のライブにこういう曲があったらカッコいいな」というイメージに関して、「こういうことをやりたい、こういう音をぶつけたい」という具体的なイメージってありましたか?
TAKUMA:これは僕自身の、というところですけど、『アオアシ』のテーマソングであってもそうじゃなくても、リズムやサウンド、メロディ含めて「これだ!」というものが、この曲は結構あったほうやと思います。

――「Fortress Defense」というタイトルには、どういったイメージが込められているのでしょう。
TAKUMA:『アオアシ』はディフェンスというポジションでサッカーをやっている子が主人公なんですけど、フォワードやミッドフィルダーが主役の作品と比べても十分すぎるくらい引き込む力を持っていると思うので、フォワードやミッドフィルダーの物語とはまた違って奥深くてアグレッシブさもあるということを音楽にしたいなと。それで「Fortress Defense」……要塞のようなディフェンスを3バックス、4バックで築いて、いい守備がいい攻撃になっていくという要素がわりとお似合いなんじゃないかなと思って、このタイトルにしました。
――ラウド感とダンサブルさの両軸がしっかり共存しているのが、すごく最近の10-FEETらしいんですが、同時に新しさも感じました。常に最新のものに更新していくという気持ちはあると思うんですけど、そこに関して何か意識していたことはありましたか?
TAKUMA:スピード感は意識していましたね。単にズタズタズタズタっていう速いビートではなくて、その楽曲に合っているビートでのスピード感というか。ジャミロクワイに「Cosmic Girl」という、MVでは(フロントマンの)ジェイ・ケイがスーパーカーに乗っている曲があるんですけど、楽曲のビート自体はヒップホップのノリで全然速いわけじゃないのに、なぜかスピード感が伝わる曲になっていて。たぶん超高速スーパーカーに乗っている映像も相まって、ものすごいスピード感が出ていると思うんですよ。同じように、この「Fortress Defense」もサッカーの映像と混ざったときに、めちゃくちゃスピード感が出るような作りにしたかった。そういうスピード感は備わっていると確信していますし、現時点ではアニメのオープニング映像はまだ観れていないですけど、オープニング映像に乗ったときに初めてこの曲が完成するんじゃないかと思っています。
――今のジャミロクワイの例、すごくわかりやすかったです。確かに、BPM的には決して速いというタイプの曲ではないですものね。
TAKUMA:なんやったらめっちゃ遅いですもん。だから、音楽にはBPMとかビートの種類に関係なく、スピード感を表現できる不思議な魔法があるんですよ。そういう魔法を、僕らも求めていたんでしょうね。

――そのリズムに関して、メンバー間での共有というのは?
TAKUMA:今みたいな話はしてないですけど、共通認識みたいなものはあったというか。サッカーが題材の作品という時点で、スピード感は絶対どこかにあったほうがええなとは、3人とも思っていたはずです。
――今回のドラム、めちゃくちゃ激しくて派手ですよね。Aメロ、Bメロ、サビとリズムが3段階の変化を重ねていき、その中で重さと激しさ、派手さと高揚感が両方感じられる。すごく考えられたリズムパターンだなと思いました。
TAKUMA:そうですね。シーケンスと生ドラムのコンビネーションも相まって、よりそう感じられるものになっているのかなと。
KOUICHI:デモを聴いた段階から、スピード感は大事にしたいという思いが大前提としてあって。「こうしてほしい」というTAKUMAの意見と自分が叩きたいフレーズを、パズルのように組み立てていく中で、うまく緩急を付けられたかなと思います。

――特にサビでは、4つ打ちを軸にしながら派手なフィルが入ってきたり、バスドラを連打していたりと、ダンサブルさの中にもロックバンドとしての攻めの姿勢が伝わります。
TAKUMA:ダンサブルさを大事にするんやったら、「普通はここまでやらないやろ」という領域までいけたんちゃうかな。
――ベースに関しても、Aメロのベースラインがすごく凝っているなと感じました。和音を入れたフレージングから始まり、後半ではシンプルなラインに変化する、あの組み立て方に耳を惹きつけられました。
NAOKI:あそこはラップパートですし、そのあとにメロディアスなBメロが来るので、ベースはリズミカルなんだけどメロウなフレーズを意識していて。サビはダンサブルさが際立つアレンジなので、全体を引き立てるという意味でもあのAメロはいい感じのインパクトを与えられたのかなと思います。

――全体的にリズムでかなり遊びが感じられますが、その一方でギターはシンプルに徹している印象もあります。
TAKUMA:確かに。今回はそんなにいろいろやってる感じじゃないですね。そこもスピード感を出す上で、結果的にこうなったのかなと。
――歌に関しては、ラップ調のAメロからのメロウなサビとかなり動きのある構成です。これは歌詞ありきなところもあったんでしょうか。
TAKUMA:セッションでアレンジを固めながら、いろいろ歌っていく中でどんどん変わっていったというか。その過程で歌詞を書いて歌ってみるんやけど、「なんかハマりが悪いなあ、ああでもないな、こうでもないな」と少しずつ調整していって、今の形にたどり着きました。
――ラップ調のパートから伝わるスピード感が、サビの4つ打ちアレンジでも損なわれていない、不思議な推進力が伝わるメロディですよね。
TAKUMA:前半で一生懸命遊んだり工夫したりして、後半はその楽曲に合った歌い方で、しっかり歌っているだけなんですけどね。そこはまさにリズムによるものも大きいと思いますし、さっき話した音楽の魔法によるものなんでしょうね。
オンエアが始まったときが
この曲にとって本当の意味での第一歩
――この曲に限らず、10-FEETの楽曲は、シンプルに構成されているようで、先ほどのリズムやベースラインのお話もそうですけど、実はすごく緻密に作り込まれていて。いろんなフックが要所要所に用意されているから、何度も聴き返していると新たな発見がどんどん見つかるんです。そういう仕掛けに関して皆さんどこまで意識的なのかなと、毎回気になっているのですが、それぞれが思ったことをただやっているだけなのか、「こういう要素があると面白いよね」と話し合いのもとで生れてくるのか、どちらなんでしょう。
TAKUMA:基本前者だと思いますよ。みんな「これがいいんちゃうかな」とか、気分のままにやるみたいなところだと思うんですけど、僕らはバンドを始めたときに3人とも自分の楽器にそんなに詳しいほうじゃなかったから、時間をかけて3人で勉強してきたところもあって。しかも、新しいことにチャレンジするのが苦手な3人やし、めんどくさがってそれを選ばへんし……そういうことをよくわかっているので、あえて「やらなさそうなこと」をいっぱい選んで練習してきたんです。そういうことをやってきた先に今があるので、この楽曲をレコーディングするときも「これがいいんじゃないかな」と思うような各自のフレーズっていうのは、今までの僕たちの延長線上にあるものなんじゃないかな。新しいアイディアも各メンバーからフレーズとして出てきつつも、「こうきたらこうだよね」みたいな基礎の部分が成熟しようとしているような時期にもあると思うので、自分たちとしてもやっていて面白いですし。なので、その楽曲のアレンジに取りかかったときには大方こういう感じになっていたというか、それぞれが思うプレイをした時点でいい状態にはなってるんじゃないかなと思います。
NAOKI:僕は楽曲の全体像から、最初に沸いたイメージをTAKUMAに「こういうの、どう?」と提案して、「こういうのもあったら、ええんちゃう?」みたいなやり取りを経て組み立てていく感じですね。
――スリーピースだからこその自由度の高さもある一方で、「これはやらないほうがいいかな?」と除外するようなこともあるんでしょうか。
NAOKI:ドラムとベース、ギターで曲の骨組みを組み立てていく中で、いろいろイメージを沸かせてフレーズを作っていくと、たまに音と音がぶつかり合って大変なことになることもあって。もちろん、最初からそういうことを考えてベースラインを作ることは基本ないので、いったんその楽曲のイメージに合わせてベースラインを作ってみて、途中で「これはやめたほうがいいな」と修正することはあります。
――ドラムに関しては、全体の流れを大事にしながらもフックの付け方とかインパクトの作り方など、そのへんのバランスはどうなんですか?
KOUICHI:手癖に頼るときもあれば、レコーディングまで時間があるので今までやったことのないパターンを試してみることもあります。それを揉んでからTAKUMAとNAOKIに選んでもらって、最後はパズルのように組み立てています。

――なるほど。「Fortress Defense」の話題に戻りますが、曲冒頭のシンガロングパートはまさにスタジアムでのサッカー観戦を彷彿とさせるものがありますが、そのイメージで曲を聴き進めているとまさかのエンディングが訪れるという。あれはズルいですよ(笑)。
TAKUMA:こういうおもちゃ箱みたいなアレンジ、1回やってみたかったんですよ。ライブではあそこをボリューム全開にして、たくさんスモークを炊いて終了したいと思います(笑)。
KOUICHI:会場中を真っ白にしてね(笑)。
TAKUMA:で、スモークが晴れるとステージには誰もいないみたいな。そういうパーティー感を打ち出したいです(笑)。
――最高です(笑)。サッカーを題材にしたアニメのテーマソング「Fortress Defense」があるかと思えば、阪神タイガースの夏のシリーズのテーマソングとして新曲「マンブリンシティ」を提供。さらに、Bリーグの京都ハンナリーズの公式テーマ制作も決まっており、サッカーに野球にバスケにと、人気球技のテーマソングを制覇しつつあります。
TAKUMA:最終的に10-FEETのオリンピックイベントをやろうかなと(笑)。スポーツに乗せて鳴っているロックは、やっぱりカッコいいですしね。
――いまやバスケの試合に「第ゼロ感」は欠かせない1曲になりましたし。10-FEETの楽曲がここまでスポーツと結び付く未来を想像できていましたか?
TAKUMA:いや、まったくなかったです。そんな誘いもなかったし。多少ね、地元の京都サンガF.C.とかハンナリーズとか、ちょこちょこ音楽を使ってもらったりとか繋がりはあったんですけど、こんながっつりとコラボすることはなかったので、ありがたい限りです。
KOUICHI:「第ゼロ感」のときも思いましたけど、バスケのいろんな場面でこの曲を使ってもらえることが本当にありがたくて。今回の「Fortress Defense」も『アオアシ』だけでなく、サッカーに関するいろんな場面で使ってもらえたら嬉しいですね。
NAOKI:それこそバレーボールの試合後にライブをさせてもらうこともあったし。自分自身もともと球技が好きで、球技ばかりやってきた人間なので、試合を生で観たあとにライブができたのは、すごく貴重な経験で楽しかったです。
――なぜ今、10-FEETがここまでスポーツに求められるんでしょうね。
TAKUMA:本当にそれがわからなくて。ただ、最近はコラボを求められた際に「こんな感じで曲が鳴ってくれたらええな」みたいな景色を思い描きながら、曲を作ってきたので、それがうまいこと合致してるのかなと。ただ、「Fortress Defense」に関してはサッカーの試合云々よりも、オープニング映像にいかに合致するかがポイントなので、そこがうまくハマれば今後いろんな場面で耳にする機会が増えるのかもしれない。だから、『アオアシ Season2』第1クールのオンエアをテレビで観て、「Fortress Defense」が流れてきたときに初めて、僕らも「あの曲ってこういうことだったのか」と気付けるのかな。だって、映像が付くことで絶対に聴こえ方が変わりますから。聴こえ方が変わるというのは、音が変わるということですから、そういう意味でも現時点ではまだ楽曲が完成してない……まあ、それは大げさかもしれないけど、アニメの映像にこの曲が乗った瞬間に曲が持つスピード感も実際のものとは大きく変わると思うので、それがすごく楽しみです。

――「スパートシンドローマー」も『ウマ娘 シンデレラグレイ』の映像が加わることで、印象が全然変わりましたものね。
TAKUMA:そうでしたね。あの曲も映像と合わさったときのスピード効果がすごかったな。「スパートシンドローマー」は競走馬をテーマにしたアニメのテーマソングだからといって、限りなくスピード感を出すためにBPMを上げて演奏するだけでは表現しきれない部分もあったと思うんです。僕らの前に[Alexandros]が主題歌(「超える」)をやっていたんですけど、それもとあるネットの投稿者が『ウマ娘』の映像に[Alexandros]のスピード感ある別の楽曲を当てがって配信して、それがめっちゃバズったことで主題歌を彼らにやってもらうことになったそうで。そこから生まれたのが「超える」という曲で、その次が僕らやったんですよ。僕らは僕らなりのやり方で、「[Alexandros]とは全然違うけど、これはこれでスピード感を感じませんか?」みたいなことをやりたかったし、チャレンジすべきだとも思った。で、そういうアイディアをもとに作った我々の楽曲を、提供してリリースして、そのあと映像と合わさることで真の意味で完成したんです。
でも、そこには「前と比べてスピード感がない」とか「これはこれで別の方法だけど、スピード感はあるよね」とかさまざまな意見もあったんですけど、僕たち的には少なくとも“寄せよう”と思った結果が「スパートシンドローマー」だった。個人的にはそれもすごくいいことだと思ったし、それこそ自分が音楽以外のもの、例えばアニメとか映画とかドラマとかを撮影したとして、そこで誰かに音楽を頼むときはやっぱり「○○の『××』という曲みたいなイメージで」と伝えたりすると思うし、それに応えて作ってくれはったらすごく嬉しいと思うんです。そういうことを意識しつつも、僕らは「私が思っていたスピード感とは違うけど、こっちのほうが絶対引き込まれる」みたいに、前と違うがゆえのインパクトを与えることを心がけた。その姿勢は今回の「Fortress Defense」にも引き継がれているし、オンエアが始まったときがこの曲にとって本当の意味での第一歩なのかなと思っています。
リリース情報
関連リンク
関連商品




























