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<インタビュー>NAOTO×ROY(THE BAWDIES)、レアなストリングス・アレンジで魅せる“ROCKIN' QUARTET”を語る

Interview & Text: 風間大洋
Photo: 福政良治
バイオリニスト・NAOTO率いる弦楽四重奏がロックボーカリストを迎え開催するライブシリーズ『ROCKIN' QUARTET』。その第8章となる公演が、9月に東阪ビルボードライブにて行われる。
今回のボーカリストはTHE BAWDIESのROY。バンドの個性に直結する歌唱スタイルのフロントマンであると同時にベーシストでもあり、さらにブルースやR&BのDNAを色濃く受け継ぐロックンロールサウンドを生み出すコンポーザーでもある。そのストレートな音楽性は、どちらかと言えばオルタナティブ寄りだったこれまでのROCKIN' QUARTET出演アーティストとは一線を画したものであり、シンプルなコード進行やビートならではのグルーヴが一体どのように再現されるのか、非常に興味深いところだ。リハーサルに先駆けて行った今回のインタビューでは、本番へ向けた心境や展望はもちろん、ROYのシンガーとしてのルーツやNAOTOの超大物との共演エピソードなど、ざっくばらんに幅広い話題が飛び出した。本番前にぜひ、一読しておいてほしい。
第8回目にして最も“何も迷いがない”
――お二人は元々面識などあったんですか。
NAOTO:初めましてですね。
ROY:そうなんです、はい。
――では想像になる部分もあると思いますが、今回の共演ではどんな部分を楽しみにしていますか?
ROY:これまで9mmの(菅原)卓郎だったり、僕の仲間も色々と料理してもらってたので、もう丸投げでどうぞ料理してくださいっていう(笑)。僕は器用な方ではないので、これしかできませんのでお願いします!っていう感じですね。でも、その結果として自分でも見たことのない自分のスタイルみたいなものも、引き出されるんじゃないかなっていう楽しみもすごく持ってます。
NAOTO:今回はやっと一番料理しやすい食材が来たなっていう印象です(笑)。彼女が彼氏に初めて作る肉じゃがみたいな──こだわったらすごく難しい料理かもしれないですけど、一歩目として間違いがない方向に向いてくれてるというか。「どうしよう」とか「ヤバいな」っていう感覚が今回はないです。……今まではありましたもん、逃げちゃおうかなっていうことが(笑)。

――そうなんですよね。
NAOTO:今回はもう、実務を早くすればいいっていうだけ。今までたくさんのいにしえの人たちがアレンジの正解を出しているところに則ればいいので、何も迷いがないです。音数も多すぎるわけでも少なすぎるわけでもない、テンポがすごく速いわけでもない、多岐にわたるリズムがあるわけでもない。もう、ありがとうございますっていう感じです。ただ、それでちゃんと個性を出して活躍されている、真ん中以外を排除してちゃんと成立してきたというのは、本当にすごいことだと思います。逆に、10曲目になっても僕のアレンジが1曲目と何も変わらないなってなったら、さあどうしよう? って悩むかもしれないけど、そこは1回から9回までストレートとフォークだけで押し切るピッチャーでもいいんじゃないかと思ってます。
――THE BAWDIESの普段のライブも実際そうですよね。
ROY:そうですねえ(笑)。それしかやってないので。
NAOTO:そういう意味では、僕もキャッチャーとしてサインを迷っちゃいけないんだろうなって。

――しかもこのシリーズは、原曲をよりリッチにするというコンセプトではないですからね。
NAOTO:そうそうそう。あくまで再現を4人のカルテットとピアノだけでやるっていう方式なので、多分あんまり変わった感じにならないと思いますよ。今までの人たちも、みんな最終的に「違うけど変なところに立たされた感はない」っておっしゃいます。
ROY:そうなんですね。そのままの素材を生かしていただくということだと思うんですけど、その素材が腐ってたらどうしよう?(笑) これまでのボーカリストはみんなちゃんと緩急をつけられるピッチャーですけど、僕は本当に速球だけなので、そこがどういうふうになるのかな?って。でも、合わせにいこうと思ったところで合わせられないので、突っ走ったところでいろいろとやってもらう感じになると思います。
――でも、構成要素やパターンの多くないバンドにおいて、強烈な個となっているのはROYさんのボーカルですから。
NAOTO:うん、そうそう。
――あの歌唱がストリングスのサウンドと合わさってどうなるかは興味深くて。
NAOTO:もちろんすごく上手なので、こっちが何かしなきゃいけないということはないと思ってます。ストレートを投げたはずがワケわからないふうに曲ったりはしないから、何の心配もないです。「野球はやったことないから、わかんねえ」っていう人ではないから……TOSHI-LOWくんみたいな。
ROY:(笑)
NAOTO:TOSHI-LOWくんは「野球って何?」ってところから、でもお前がやるならとりあえずマウンドに立つよって言ってくれた漢気はすごいと思う。多分ROYくんも「やったことないです」っていうパターンではあると思うんですけど「大丈夫、モノを投げたことはあるでしょ?」っていうところですね。しかも、ちゃんとしてるじゃないですか、人として。
ROY:そうですか?
NAOTO:とりあえずローブローから入るみたいなことはないから。
――それはおひとりだけだと思います(笑)。
NAOTO:(ROYは)一度打ち合わせした時も、とてもちゃんとしてらっしゃいますから、よかったあ!って。

――このシリーズ8本目にしてようやくスタンダードな回が来たというか。
NAOTO:やっと。いるじゃん、こういう人!っていう。
ROY:本当に恐れ多いですけど、嬉しいです。
――ROYさんは過去の『ROCKIN' QUARTET』も観られました?
ROY:生ではないですけど、出演した本人たちからも話を聞いたりはしてました。自分としては彼らと僕はスタイルが違うと思っていますけど、楽しみの方が多いですね。ストリングスの入る楽曲はもともとほとんどないので、そういう意味でも楽しみです。

――リスナーとしては弦楽の入った音楽に触れたりしてるんですか?
ROY:いや、それもほとんど聴いたことないと思います。管楽器が入ることはソウルミュージックにけっこうありますけど、ブルースとかでもストリングスが入るってなかなかないですからね。
NAOTO:そうですね。入れる必要がない音楽というか。
ROY:だから、自分たちの音楽がどういうふうになるのか想像もつきにくいというか。
NAOTO:あんまり変わらないんですよ。違う楽器がやってるんだなっていうだけで。
ROY:そこに入った時に、どの音を自分が取るのかとかも楽しみです。
NAOTO:ベースの代わりにチェロを聴いてもらえばいいだけなんですよ。お客さんに向けたマイクとスピーカーはありますけど、全員がROYくんに向かって音楽をやってくれるから。クラシックの指揮者の立ち位置なので、みなさん歌わなくても楽しい、この立ち位置から離れたくないって思うらしいです。
ROY:へえー! 贅沢ですね。そこで全開でバーッと歌った方がいいのか……どうなんですかね?
NAOTO:全開で歌った方がいいと思う。いつもそうじゃないですか? それで大丈夫です。
ROY:バンドだと本当に音がうるさくて、それに負けないように歌ってるので、たまに他のバンドにボーカルとして入る時もビックリするんですよね。音が小さくて自分の声がめちゃめちゃ聴こえるので、そういう時はレコーディングくらいニュアンスを出せたりもして。
NAOTO:それで言うならめちゃくちゃ小さいと思います。

ベースを置くことで、歌へコミットできる
――それに今回は、楽曲自体の複雑さとかテンポの速さがこれまでと比べて控えめなだけに、過去にないくらい細かな演奏のニュアンスまで楽しめそうですよね。
NAOTO:そう、できちゃう(笑)。キレイな音の方向で行っちゃう?みたいな、ようやく弦楽器の人たちに対して弦楽器としてのリクエストができるかもしれない。今までそれができてたのって大木くん、将司くん、ホリエくんぐらいまでじゃないかな。とはいえ当時はこちらも慣れてなかった部分はあって、フェスとかであらためてやることで良くなってきたんですけど、今回はアレンジの段階からそこを意識できちゃうから、ムフフって感じです(笑)。
――これまでのシリーズを観ている人はその辺の違いも楽しめるかもしれないですね。
NAOTO:逆に「あいつ手抜いてるな」ってなる可能性があるのがすごく嫌なんですけどね(笑)。

――ちなみに、今回ROYさんがボーカリストになったのはどういう経緯で?
NAOTO:卓郎くんの推薦です。だいたい大木くんが決めるか前の人が決めるかで、僕からのオファーは一回もないんです。だって、それをしちゃうと僕がやりやすい人になって、新しいことを考えようとしなくなるから。こう見えて実はすごくダメな人で、「これをやりなさい」って言われた方がちゃんと仕事をするタイプだということを、自分でも分かってるから。自分からリクエストをしたら、たぶんこの色は出ないんだと思います。
ROY:マネジャーを経由して卓郎からこの話をもらったんですけど、僕はそもそも本来はベースを置いて歌いたいんですよ。バンドとしてはビートルズとか、そういうビートバンドに憧れがあるんですけど、シンガーとしてはオーティス・レディングとかサム・クックとかのソウルシンガーの方が好きだから、ハンドマイクで歌う時は自分の好きなように歌えるので大好きなんです。ワクワクも不安な部分もありましたけど、全部ぶつけても大丈夫な方々に囲ってもらえるので、THE BAWDIESのお客さんにもまた違った聴こえ方をするだろうし、本当に楽しんでもらえると思います。
――いつも通りで大丈夫という話ではありますけど、弾かないで歌うことへの欲求があるタイプであれば、いつもとは違った表現にトライできる機会にもなりますね。
ROY:そうですね。いつもは本気でやっても7割くらいしか出ないので、ベースを置いた時点でそこを解放できるのは全然違いますね。

――選曲の部分はどんな感じですか?
ROY:THE BAWDIESの定番的なレパートリーもちゃんと入れつつ、僕がこれを歌いたいですというものを投げさせていただいて。どれでもいいよーという感じだったので、わりとそのままですよね?
NAOTO:うん。僕的には『ROCKIN' QUARTET』のルールとして、初めて観るTHE BAWDIESのファンの人たちから見た時に、よく知ってる曲をちゃんとやることで「こういうふうになるんだ」という方が絶対にわかりやすいと思うので。だからベスト盤で出してくださいっていうふうに言ってます。
ROY:そこにプラスで自分が聴いてみたいなという曲を入れたのと、カバー曲でレイ・チャールズを一曲入れさせてもらってます。自分としてはいちばん影響を受けた存在なので。
NAOTO:あ、そうなの? ビートルズよりレイ・チャールズなんだ。
ROY:ビートルズはバンドとして、R&Bとかブラックミュージックをポップスにしたという部分に影響を受けてるんですけども、やっぱりアーティストとしてはレイ・チャールズが。
NAOTO:へえ! 僕、テレビで1回共演したことあります。
ROY:えー!! やば! 間接的に共演できるみたいで嬉しいです(笑)。
NAOTO:すっごい良い人だったよ。あと、ピアノが上手すぎて聴いたことない音色だったもん。20代の僕がビックリして、チューニングしながら振り返っちゃった。
ROY:やっぱそうなんですね、超一流が聴いても。
NAOTO:……じゃあ、ピアノ弾く?
ROY:いやいや、弾けないです(笑)。弾けるようになりたい夢はありますけど。
NAOTO:じゃあ弾いてるテイで(笑)。あとはリハだけでいいから、モノマネもしてほしいな。モノマネとかもしたタイプですか?
ROY:モノマネから入りました、レイ・チャールズの。
NAOTO:絶対やりますよね。僕らもそう。そうするとビブラートの回数とか音程の取り方が、ちゃんと自分の中に入ってくるでしょ。ボーカルを聴いてなんとなく、それをやってそうな人だなと思った。

――本番がより楽しみになるお話でしたけども、観に来る方々に楽しんでもらいたいポイントなどあれば最後に伺っておきたいです。
NAOTO:今までの推しがどう調理されるのかが不安だと思うんですけど、結果あんまり変わらなかったねっていう安心感を持って帰っていただけると思います。違う角度からだけど、ちゃんとTHE BAWDIESを感じていただけるようにしていきたいので……ビルボードライブなのでいつもよりちょっとオシャレはしたいかもしれないけど、いつものまんまで全然大丈夫だと思います。
ROY:THE BAWDIESのファンの方からしたらいつも聴いてる楽曲だと思うんですけど、この時にしか聴けないアレンジが絶対あるので、また新たな曲の魅力が届くんじゃないかと思いますし、僕もいつもとは違った状態で歌を届けられるので期待していてほしいです。
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