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<インタビュー>国内出張と、海外出張を同じ感覚に——創業20年、アソビシステムが見据える次の20年

CUTIE STREETが韓国の音楽番組に出演したことをきっかけに、「かわいいだけじゃだめですか?」は国境を越えて広がっていった。その手応えを受け、KAWAII LAB. はアジア5カ国を対象としたグローバルオーディションの開催に踏み切る。きゃりーぱみゅぱみゅ、新しい学校のリーダーズ、FRUITS ZIPPERらを擁し、来年で創業20年を迎えるアソビシステム。代表の中川悠介氏に、推し活をグローバル化させる勝算、「ゴールを決めない」という経営の流儀、そしてアーティストが長く活動を続けるために必要なことを聞いた。(Interview&Text: 高嶋直子 l Photo: 筒浦奨太)
――2026年3月にCUTIE STREETが韓国の音楽番組で「かわいいだけじゃだめですか?」の韓国語バージョンを披露した様子が話題になり、その後の韓国公演は即完売、それを受けて7月にアンコール公演を開催されました。この韓国でのヒットをどのように受け止めていますか。
中川悠介:KAWAII LAB.では、これまでK-POPのダンスを投稿したり、韓国のグループがFRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」を踊ってくれたりと、SNSを通じて言葉を越えたやりとりを続けてきました。そうしたことを地道にやり続けてきた結果でもあると思います。
ただ、番組に出た後の波及の仕方はすごかったですね。収録体制にも驚いたのですが、カメラの台数が非常に多く、YouTube用のカメラまである。だから放送後、すぐに映像が公開されるんです。韓国のテレビ番組に1本出演しただけで、YouTubeを通じてさまざまな国へ広がっていくのには、本当に驚きました。
――ミュージックビデオの韓国語バージョンも公開されていますが、日本らしさを保つことと、韓国など他の国に持っていく際のローカライズのバランスは、どのように考えていますか。
中川:発火点によって変わりますね。今回は、K-POPを意識したMVにしようか少し迷ったのですが、『M COUNTDOWN』に出演し、韓国でヒットしている理由を振り返ると、やはり日本らしさがあった方が良いんじゃないかと思って。なので日本らしいMVとしてアップデート、「かわいいだけじゃだめですか?」のバージョンアップ版という方向で制作しました。翻訳についても非常にこだわったので「韓国について理解している」という声を数多くいただいています。
▲ CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」韓国語版
――今後は、どのような国での展開を予定していますか。
中川:KAWAII LAB. としては、韓国、中国、タイ、インドネシア、ベトナムの5カ国を対象にしたグローバルオーディション「KAWAII LAB. ASIA GLOBAL AUDITION 2026」を開催します。
――複数の国籍のアイドルが所属するグループを作るということでしょうか。
中川:現時点では、具体的な内容については決めていなくて。現地でグループを作るのか、アジアで一つにまとめるのか、日本人もいれるのか。様々な選択肢があると思っています。僕は基本的に、ゴールを決めることがあまり好きではなくて。ゴールを決めると、無理やりそこに合わせる形になるじゃないですか。ビジネスも同じで、最初にゴールを設定すると、そこまでで終わってしまう。そうではなく、アップデートしていきながら考えていけるほうが正しいんじゃないかと思っています。
――それによって、方向性がブレてしまうという可能性はありませんか?
中川:ブレたほうが良いと思っています。ブレないことよりも、状況に応じてブレることに対応する力の方が大切だと思っていて。そうしないと、今の時代の流れに追いつけないと思います。なので、新しくプロジェクトを立ち上げる時も、ある程度コンセプトは決めますが、常に余白を作って、軌道修正できるようにしています。「かわいいだけじゃだめですか?」も3月26日に出演した韓国の番組でバズったので、4月10日に韓国語版をリリースしました。そのスピード感に合わせていくことが、今の時代には必要だと思っています。社員は、すごく大変ですけどね(笑)。言っていることが、次々に変わるので。
一方でクリエイティブ面においてはスタッフとアーティスト本人の意見を最大限尊重するようにしています。クリエイティブを生み出す時の想いの強さは大事だと思っているので、多少意見を言うことはありますが、全て否定するようなことは言いません。

- 「より世界中の人に聴いてもらうためには、もっと打席を増やすべき」
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――日本の音楽を世界に広げるために推し活をグローバル化させるというインタビューを、別のメディアで拝見しました。推し活の可能性について、どのように捉えていますか。
中川:推し活は日本独特のものですが、海外ではダイナミックプライシングが採り入れられていたり、ミート&グリート付きのチケットもありますよね。なので、海外でも推し活は文化としては存在していますが、単独でやっていないだけということなのかなと。
海外の音楽リスナーが皆、推し活をするようになるとは思いませんが、KAWAII LAB. のファンになってくださった方が、推し活をするようなファンになるというイメージを持っています。日本のいわゆるジャパニーズ・グローバル・ニッチなものが好きな人は世界中にいると思うので、そこのコアファンをどう獲得していくのかという考え方にならないと、マーケットインは難しいと思っています。
――6月に登壇されたグローバルミュージックフェスティバル【2026 Weverse Con Festival】で、韓国は音楽の権利を守るのではなく使うことに積極的だとおっしゃっていたと思います。日本音楽事業者協会の理事でもいらっしゃいますが、音楽業界の課題はどういうところにあるとお考えですか。
中川:権利の分配など、ルールが確立されているので、やりやすい部分は非常に多いと思っています。ただ、その先にあるグローバルに行くため、もっと世界に広めていくためには、やることはまだまだありますね。
――2025年から立ち上がった【MUSIC AWARDS JAPAN(MAJ)】には、どのように期待されますか。
中川:今年から、(MAJを主催する)CEIPAの理事に就任しました。日本の音楽業界を構成する、5つの団体が1つにまとまったことには、非常に意義があると感じています。だからこそ、MAJが実現できたし、その先をイメージすることができますから。今回のMAJも、世界中から業界の方が来日したので、アーティストが海外に出ていくファーストタッチを団体で作っていければと思っています。単なるお祭りにするのではなく、海外でより一層見てもらうための取り組みを増やしていきたいですね。

――来年で、創業20年を迎えられます。“かわいい”という定義は、この20年でどのように変わってきたと感じますか。
中川:変化も大きかったですが、変わらなかったことの方が多いかもしれません。アーティストをマネジメントしていて、常に感じているのは“アーティスト本人の楽しい・嬉しいという気持ちを大切にする”ことです。「ライブをして楽しい」「自分の曲がヒットして嬉しい」という気持ちは、何よりも大事だと感じます。なので、アーティストのクリエイティビティは、いつも尊重するようにしています。
正直、まさかここまで続けられるとは思っていませんでした。気が付いたら(新しい学校の)リーダーズが10周年を迎えていて。何年続けようと決めたわけではなく、日々こつこつとやってきた結果、今があるという印象です。
――御社に所属されている代表的なアーティストの一人である、きゃりーぱみゅぱみゅは今年で15周年を迎えました。アーティストが長く活動を続けるために必要なことは、何でしょうか。
中川:我々はマネジメントする以上、その人の人生を背負っていると認識しています。なので、本人が続けたいと思っている間は、続けられる方法を探し続けています。年齢を重ねたり、結婚や出産といったライフステージの変化によって、応援の仕方が変わることは自然なことだと思っています。ただ、形が変わっても応援し続けてくれる方は必ずいる。だからこそ、そうした変化を迎えたとしても、それを理由に活動を諦める必要はないと思います。それぞれのアイデンティティの中で活動の仕方を見つけ、長く続けていけたらと思っています。
▲ きゃりーぱみゅぱみゅ「PONPONPON」
――一方、女性アーティストは男性と比べてエイジズム(年齢による差別)にさらされやすく、音楽やクリエイティブより見た目の良さを求められるケースもあると思います。
中川:FRUITS ZIPPERは女性のファンが多いのですが、SNSも自由に発信してもらっていますし、本当に自分たちが好きだ、楽しいと思えることに取り組んでもらっています。そういう発信によって、日々変わっていくのではないでしょうか。これからは、自分がやりたいことをやっている人が評価される時代になっていくと思います。
――これからの10年、20年の展望をお聞かせください。
中川:アソビシステムという名前を世界中の人に知ってもらいたいです。あとは、例えば福岡出張とロサンゼルス出張を同じ感覚にしたいと思っています。国内を移動することも海外に行くことも、当たり前のような世界にしたい。ヨーロッパの人たちにとって国境を越えて移動することが身近なように、そんな感覚でいたいです。7月には、きゃりー(ぱみゅぱみゅ)がフランスの【Japan Expo Paris 2026】に出演しましたし、(新しい学校の)リーダーズは、ロンドンのワンマン公演と、チェコのフェスに出演しましたが、日本と同じ快適な環境ではなかったと思います。なので、アーティストもスタッフも、今と異なる環境にどこまで耐えられるかだとも感じています。
それでも、より世界中の人に自分の音楽を聴いてもらうためには、もっと打席を増やすべきです。海外でライブをするタイミング、メディアに出るタイミング、とにかく数を出さなければいけないと思っているので、数を増やしやすい環境づくりを考えています。どんなアーティストも、行った数によってライブのパワーも変わる。だからどれだけ行けるかが大切だし、行くチャンスがあれば行くべきだなと思っていますね。

























