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<インタビュー>Wendy Wander×JABBERLOOP、国境と世代を越えたコラボシングル「Floating City」

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Interview & Text:本間夕子


 オルタナティブポップを基盤にシンセポップやロック、ディスコ、ファンクなど様々な音楽ジャンルのエッセンスを取り入れながらアジア圏でニューウェーブな活動を展開する台湾の5人組バンド・Wendy Wanderと、東京を拠点としつつ既存の枠組みにはとらわれない自由なマインドで日本国内のみならず海外でも精力的に活動する4人組ジャズバンド・JABBERLOOPによる、世代も国境も超えた夢のコラボレーションナンバーが生まれた。

 2026年4月22日に配信リリースされた「Floating City」がそれだ。どこか80年代的なディスコティックで浮遊感に溢れたサウンド、台湾華語で歌われていながらもキャッチーなメロディと心地よい語感が耳に残り、気づけば一緒に口ずさみながら何度もループして聴いてしまうという、なんとも中毒性の高いこの楽曲はいかにして作り上げられたのか。

 2009年12月に台湾にて初の海外公演を開催し、その後、台湾のラッパー・SOFT LIPAと共作したアルバム『経典!』が台湾最大の音楽賞”第22届金曲奨”(台湾政府主宰、台湾版グラミー賞)にて年間ベストアルバムにノミネートされるなど台湾でも広く知られているJABBERLOOPが、Wendy Wanderの才能に一目惚れしたことから実現に至ったという今回のコラボレーションについて、JABBERLOOPのDAISUKE(Sax)とMELTEN(Key.)、Wendy WanderのJiang Yang(Vo.& Ba. ※ただし今作でベースは弾いていない)とJonathan(Syn. & Key.)にリモートインタビューで語ってもらった。

2バンドのコラボレーションについて

――まずは今回、この2バンドがコラボレーションすることになったきっかけを教えていただけますか。

DAISUKE:2024年の3月31日に台湾の高雄という場所で開かれた【Mega Port Festival】にJABBERLOOPが出演したんですよ。その際にWendy Wanderのステージを初めて観たんです。それがもうとにかくかっこよくて、Wendy Wanderと一緒にやりたい! って思ったのがまず最初のきっかけで。その流れで、【Mega Port Festival】の直後に僕らが台湾で行うことになっていたライブに出てもらったんです。


MELTEN:4月2日に台北のThe Wallっていうホールで開催したワンマンライブだったんですけど、そこに出演してもらってWendy Wanderの「Yes Today」という曲を一緒にセッションしたんですよ。一緒に音を鳴らしたときの感覚がすごくよかったのと、ダンスミュージックっていう共通項がお互いの音楽性にあったので共鳴しやすそうだなっていう手応えを感じたのも大きかったですね。


――フェスで初めてライブを観た2日後に共演したんですか! それは急接近ですね。Wendy Wanderのみなさんは相当驚かれたのではないでしょうか。

Jonathan:当初、オファーをいただいたときは本当にびっくりしました。JABBERLOOPとSOFT LIPAがコラボレーションした『経典!』は台湾でもとても有名な作品ですし、僕たちにとってJABBERLOOPは大先輩というイメージだったので、まさか一緒にできるなんて想像もつかなかったです。


Jiang Yang:大先輩どころか、先生と呼んでもいいレベルの方たちですからね、JABBERLOOPのみなさんは。だから2024年のフェスで声をかけていただいて、台湾のライブで一緒に演奏をさせてもらうことになったときはものすごく緊張しました。「Yes Today」を一緒にリハーサルのためにスタジオに入ったときが、初めてJABBERLOOPのみなさんにしっかりお会いしたタイミングだったんですけど、もしも叱られちゃったらどうしようとか、ずっと考えていたんですよ(笑)。


DAISUKE:しないよ、そんなこと(笑)。


Jiang Yang:でも幸いなことに、みなさんがとってもやさしい方たちだったので、スタジオに入って30分ぐらいで、あっという間に打ち解けられたんです。それがすごく印象に残っていますね。


DAISUKE:でも、たしかに僕らは僕らで、そこで初めて知ることになるんですけど、彼らって結構若いんですよ(一同爆笑)。最初に観たときから単純にめちゃくちゃかっこいいって思っていたので、年齢とか全然意識していなかったんです。台湾のバンド、アーティストと一緒に音楽をやりたいっていう気持ちはデビュー当初からありましたし、Wendy Wanderのライブに本当に刺激を受けたんです。



溫蒂漫步 Wendy Wander - Yes Today

――今回、一緒に楽曲を制作されることが決まってすぐ、台湾のスタジオで最初のセッションが行われたと伺いましたが、曲作りはどのような形で進められたのでしょうか。

MELTEN:ちょうど去年、台湾でライブがあったので、その流れでスタジオに入ったんですよ、たしか。Wendy Wanderのみなさんがよく使っているスタジオに入らせてもらって、一緒にセッションしながら曲のイメージを作り上げていったという感じですね。今日のインタビューにはいないですけど、最初に曲のアイデアを持ってきたのは、JABBERLOOPのYUKI(Ba.)なんですけど。


――資料によれば、“ダンサブルで夜っぽい”というインスピレーションを得て原案を作られたとのことで。

MELTEN:はい。で、それをもとにセッションをして……とはいえ、その一回でアレンジが全部固まったわけではなく、セッションで出たアイデアを、さらにリモートでやり取りしながら完成させたという感じですね。アレンジができあがっていくにつれて、より“ダンサブルで夜っぽい”イメージが強くなっていった気がします。


Jiang Yang:この最初のセッションでも最初、僕はかなり緊張していたんですよ。どんな形で始まるのかもあまりよくわからなくて。でも実際にスタジオに入ってみたら、JABBERLOOPのみなさんはやっぱりすごくやさしかったですし、演奏していくなかでもどんどんナチュラルに、お互いの音楽が上手く融け合っていくのが感じられたんです。実は僕、Wendy Wanderではふだんボーカルとベースを担当してるんですけど、このときはギターを持っていってセッションしたんです。もともと担当の楽器ではないんですけど、それがすごく楽しかったんですよね。


――じゃあ制作はかなりスムーズに?

Jonathan:ものすごくスムーズでした。それはもう間違いないです。


MELTEN:Wendy Wanderのメンバーもたくさんアイデアをくれたので、完成するまでかなり早かった記憶がありますね。


Jiang Yang:ありがとうございます。


コラボレーションの中で大切にしていたことは?

――楽曲を作り上げるうえで特に大事にしていたことなどはありますか。

DAISUKE:僕だけじゃなく、JABBERLOOPのメンバーみんながそうなんですけど、Wendy Wanderのことが大好きなんですよね。音楽的にも人間的にも素晴らしいので、そういうところは大事にしたいなという想いはありました。彼らの世界とまったく違うものを作るのではなくて、お互いの世界を守りつつ、一つの作品を完成させることができたらなって。すごく奇跡的な話だと思っているんですけど、この「Floating City」ってそれぞれが担当している楽器がほとんどかぶってないんですよ。


――それを知って驚きました。

DAISUKE:でしょう? これだけ人数がいるのに、奇跡みたいだなって。そういった意味でも制作がすごくスムーズだったのかもしれないですね。人間的に素晴らしいっていうところと、楽器がかぶっていないっていうところ、かぶっていないことによってお互いのプラスになるところをより掛け合わせたような楽曲ができたんじゃないかなと思っています。


――Jiang Yangさん、Jonathanさんは?

Jiang Yang:僕自身に関しては特にこだわりとかはないんですけど……僕がこの曲でいちばん大事だと思っているのは、ベースと管楽器(サックス、トランペット)とキーボードなんですよ。それをJABBERLOOPの大先輩たちがとても素晴らしい演奏に仕上げてくださっていて。それぞれの楽器の分配、各自のパートもすごくバランスがよくて、どの楽器も曲のなかにしっかり居場所がある感じがとても気に入っていますね。


Jonathan:こだわりというか、重視したことといえば曲選びかもしれないです。最初にJABBERLOOPのみなさんが3曲のデモを送ってくださって、そのなかからWendy Wanderが1曲を選ばせていただくという形で「Floating City」を一緒に制作していくことになったわけですけど、とにかくどのデモも完成度が高くてびっくりしたんですよ。特に他の2曲はあまりにも完成されていて、僕たちがどう入っていったらいいのかわからないくらいで(笑)。選ばせていただいた曲は、Jiang Yangも言っていたようにベースと管楽器とキーボードによる構造がしっかりしているうえで、僕たち自身にもなんとか入り込めるスペースがあるかなと思えた曲だったんです。


MELTEN:そうだったんだね。僕たち的にもWendy Wanderのみんながイメージしやすいことをやってもらうのがいちばん嬉しいので、そうやって選んでもらえたならよかったです。実際、リモートでやり取りしていても、まさに今取材に来てくれている二人、Jiang YangとJonathanのパートがより明確なものになって返ってくるのが、すごく印象的で。キーボードに関しては、ピアノのベーシックな部分を僕が担当させてもらって、Jonathanがシンセサイザーを担当してくれたんですけど、アウトロでのシンセサイザーがめちゃくちゃかっこいいんですよ。Jonathanの音色の選び方とかフレーズにすごく彼のセンスが表れていて、Jonathanと僕とのツインキーボードとしての良さも出せたんじゃないかなって思いますし、Jiang Yangが歌うボーカルのメロディラインもキャッチーで、ホーンセクションとの掛け合いもとてもかっこいいものになっていったので。


Jonathan:ありがとう、先輩!


Jiang Yang:先輩、ありがとうございます!


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コラボ曲「Floating City」について

――今、完成した曲を改めてお聴きになっていかがでしょう。

DAISUKE:単純に僕はもうめちゃくちゃ好きですね。かっこいいなと思いますし、コラボ曲ではありながらも、最初から一つのバンドだったような一体感のある曲として完成できたことがすごく嬉しいんですよ。Wendy Wanderのみんなは僕らのことを「先輩! 先輩!」って慕ってくれていますけど、先輩後輩とかまったく関係なく、ミュージシャンとして僕ら全員、彼らのことをリスペクトしていて。何が素晴らしいって、彼らは一人ひとりがちゃんと“歌”を持っているんですよね。メロディがしっかりしているし、耳にしてすぐに鼻歌で歌えちゃうくらいキャッチーなフレーズを、それぞれが演奏しているんです。もちろんボーカル曲としてもかっこいいですし、言葉がわからなくても必ず響く曲になったんじゃないかなって思っています。


Jiang Yang:サンキュー、先輩! サンキュー!


Jonathan:Jonathan:先輩! 先輩! 先輩! (一同爆笑)。



溫蒂漫步 Wendy Wander X JABBERLOOP - "Floating City" (Official Lyric Music Video)

――Wendy Wanderのお二人はこの曲のどんなところを気に入っていらっしゃいますか。

Jiang Yang:僕にとってJABBERLOOPのパートは全部がお気に入りです。特に「タランタンタンタ〜ン、タララ〜ン、タララ〜ン」、この管楽器のイントロのパートは大好きですね。


Jonathan:僕もそのイントロパートはとても気に入っています。あと、MELTENさんのキーボードは言葉に表せないくらい本当にすごいなと思っているんですよ。YUKIさんが弾くベースのトーンもすごくいいですし、とにかく全部が好きなんです。全部好き!


――ミュージック・ビデオも拝見しましたが、夜の首都高を延々ドライブしている映像が楽曲の世界観と見事にマッチしていて、ずっと観ていたくなるような心地よさでした。

DAISUKE:ありがとうございます。僕もよくドライブしながらこの曲を聴いていますし、あのミュージック・ビデオはとてもいいなと思います。ただ、個人的には台北の夜景もすごくハマると思うんですよ。夜に台湾に着いたとき、桃園国際空港から台北市内に向かう道中で、川を渡ると左に丸山大飯店っていう古いホテルが見えてきて、右に台北のキラキラした夜景がドーンと出てくるんです。それがなんだか浮いているように見えて、まさに「Floating City」なんですよね。だから僕にとってはその光景がこの曲を聴くと浮かんでくる映像なんです。そういうのも国を跨いだコラボレーションのいいところなんじゃないかなって思いますね。彼らは首都高を思い出すし、僕は台北を思い出すっていう。


――ああ、それは素敵です。

DAISUKE:本当に綺麗なんですよ。台北がバーっと見えてくる、あの光景にとても心が躍るんです。


――そういったミュージック・ビデオのような状況以外にも、この曲を聴くのにおすすめのシチュエーションなどがあったらぜひ教えてください。

MELTEN:僕はふだん家で洗濯とか台所の片付けとかしながら音楽を聴いているんですけど、そういうときにもこの曲は合うと思いますね。きっと家事が捗るんじゃないかな(笑)。


Jiang Yang:この曲のデモをいただいたときから僕はすでに朝の通勤の時間帯とか、車を運転しながら聴いていたんですよ。なのでドライブはおすすめですね。もしくは天気がとてもいい日に外を散歩しながら愉快な気持ちで聴いてもらってもいいかもしれないです。


――夜のイメージが強い曲ですけど、太陽の下で聴くのもおすすめなんですね。

Jiang Yang:そう、すごく気持ちいいと思いますよ。


Jonathan:JABBERLOOPとWendy Wanderはもともとどちらも夜のイメージのバンドですけど(笑)、曲に関しては一日中、どんなタイミングでも聴いてもらって大丈夫です!


コラボを通じて感じたお互いの魅力や再発見したことは?

――今回のコラボを通じて、お互いのバンドに対して再発見したことや改めて見えてきた魅力は?

MELTEN:僕たちはインストゥルメンタルバンドで、Wendy Wanderはボーカルのバンドなんですけど、それぞれメンバー一人ひとりのカラーがしっかりあるバンドなんだなって思いました。特に演奏しているとき、声や音に個性がめちゃくちゃ表れているんですよ。今日はいないですけど、Wendy Wanderの他のメンバー3人も本当に素晴らしい演奏と音色を持っているミュージシャンだとコラボレーションしてより強く感じましたし、本当にどの曲もかっこいいので、日本のリスナーのみなさんにもぜひ触れてみてほしいです。


Jiang Yang:JABBERLOOPのみなさんに関しては、改めてというより、最初に想像していた通りの魅力を感じたというほうが正しいかもしれません。本当に大先輩ですごい方々なのに、人柄が素晴らしいところもそうですし、それは実際にお会いして一緒にセッションしたり、リモートでやり取りを重ねるなかでより強くなっていった気がします。JABBERLOOPとWendy Wander、それぞれの音楽ジャンルがいい形で融合した、最高の結果が「Floating City」という曲になったと思っています。


――今後、この2組で何か計画されていたりはするのでしょうか。

DAISUKE:とりあえずライブをしたいですね。コミュニケーションに関してはもう十分に取れていると思うので、「Floating City」はもちろん、それ以外の曲もどんどんライブでやってみたいですし、彼らの曲も一緒に演奏したいです。前に一緒にセッションした「Yes Today」もすごくよかったですから。日本に招いてライブをしたい気持ちも、台北を訪れて一緒にやりたい気持ちもすごくあるので、とにかく一緒に音が出せたらって。


Jiang Yang:DAISUKEさんがおっしゃった通り、もし叶うなら、すぐにでも一緒にライブをしたい気持ちは強いです。いつになるかはまだわからないですけど、絶対に実現させたいですね。


――本当に楽しみにしています。最後に何か言っておきたいことなどありましたら、ぜひ。

Jonathan:最後にやっぱりJEBBERLOOPのみなさんに感謝を伝えたいです。とてもやさしい方ばかりですし、特にDAISUKEさんに対してはお父さんみたいな気持ちがあって、会うと毎回、心が温かくなるんです。いつもお父さんみたいな愛情をいただいて、とても感謝してます。


DAISUKE:あはははは! 謝謝!


Jiang Yang:今年もWendy Wanderは新しいアルバムを発表する予定です。近いうちにまた来日したいと思います。たくさんの応援をお願いします。ありがとうございます。


MELTEN:今回のコラボがキッカケでwendy wanderを知った人は沢山彼らの楽曲を知って欲しいし、反対にwendy wanderがキッカケでJABBERLOOPを知った人も僕たちのこと是非チェックして貰いたいです。とにかく、今は「Floating City」をライブで演奏実現出来る日を楽しみにしています!


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