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<インタビュー>メジャーデビュー15周年から次のステップへ――Ms.OOJAの集大成となる演歌カバーアルバム『Ms.ENKA ~OOJAの演歌~』とは

Interview & Text: 渡辺 志保
Photo: Yuma Totsuka
これまでに数多の名曲カバーを世に送り出してきたMs.OOJA。次に彼女が挑んだのは演歌という伝統的かつ大衆的なステージだった。そのグルーヴと洗練性に魅了されながら、あくまで自身のスタイルは崩さずに、Ms.OOJAらしい融合を目指した。2025年、メジャーデビュー15周年という節目を迎えた彼女にとって、『Ms.ENKA ~OOJAの演歌~』は、これまでのキャリアの延長線上にありながらも、新たな扉を開く作品でもある。演歌カバーへのこだわりから10月に控える大阪城ホール公演に向けての意気込み、そして彼女の現在地点についてなど、話を聞いた。
今なら演歌にチャレンジできると感じた
――『Ms.ENKA ~OOJAの演歌~』のリリース、おめでとうございます。 ぜひ、なぜ今、演歌のカバーをリリースするに至ったのかを教えてください。
Ms.OOJA:『流しのOOJA~VINTAGE SONG COVERS~』という歌謡曲カバーのアルバムを2020年にリリースしたんですけど、思っていた以上に反響も大きくて、結果的に3作品もリリースすることになりました。以来、ライフワークのようにカバー曲を歌ってきたんですけど、ひと区切りついて「次は何をやろうかな」と考えたとき、ぼんやりと“演歌をやってみたい”と思ったんです。というのも、歌謡曲を歌う中で、日本語で歌うことの美しさや日本特有の哀愁のあるメロディにすごく惹かれている自分に気づいて。その延長線上にあるのが演歌なんじゃないか、と。正直、それまで演歌をしっかり聴いてきたわけではなかったので、自分が演歌を歌いたいと思う日が来るとは思っていなかったんですけど、40代になって改めてそのかっこよさに気づいて。「これは一度、自分なりに歌ってみたいな」と思うようになりました。
――次のステップとしての演歌、という感じでしょうか。
Ms.OOJA:その時に、今回も収録している「ベサメムーチョ」や「冬隣」を書いた杉本眞人さんという作曲家の先生のライブを見る機会があって。その時に「冬隣」を歌っていらっしゃるのを聴いて「めちゃくちゃいい曲だな」と思って。感動して、家に帰ってから「冬隣」のちあきなおみさんバージョンを聞いたんです。その時に「これを歌いたい、演歌カバーアルバムを作りたい」と強く思ったんです。
――往年の名曲が収録されていますが、選曲はどのように?
Ms.OOJA:選曲は本当に悩んだんですけど、やっぱり演歌を歌うときには、演歌ならではの歌唱法があるじゃないですか。こぶしだったり、うなりだったり。例えば音階が変わっていくのをこぶしで変えていく、みたいな。そういう歌唱法は私にはできないので、演歌独特の技法がなくても成立する曲、J-POPの系譜で歌っても違和感がない曲、ということは、選曲する上で大事にしたことです。
15th Anniversary 2026 4/22(水)発売 初の演歌カバーアルバム Ms.ENKA 〜OOJAの演歌〜 全曲トレーラー
――トラディショナルな演歌の技法とMs.OOJAさんらしい歌い方は、どのようにバランスを取っていったのでしょうか?原曲に引っ張られてしまうこともあった?
Ms.OOJA:もちろん、それはありました。演歌ってやっぱり日本の伝統的で土着感の強いものなんですよね。限られた情報源の中で独自に編み出された音楽だし、民謡と繋がっている。だから、とにかく“強い”んですよ。そこをどうやってMs.OOJAとして融合させていくか、というところはすごく難しかったです。でも、私はずっと洋楽やJ-POPの歌い方でやって来ているので、もし原曲に引っ張られたとて、私は私の歌い方になっているんだ、ということも感じていました。ある程度、原曲の雰囲気に身を委ねつつ、私は私らしく歌う、ということを心がけていたので。本当にちょうどいい融合の仕方ができたんじゃないかと思っています。
――特に難しかった一曲はありましたか?
Ms.OOJA:まさに、先ほども話に出た「冬隣」ですね。全部難しかったけど、これは激ムズでした。演歌って、本当に“グルーヴ”で。自由度も高くて、一つの音の中にどう言葉をはめていっても成り立つんですよ。だからこそ、歌う人のセンスが問われる歌なんだなって改めて感じました。だからこそやりがいもあったし、音楽に対する解釈や、Ms.OOJAなりのオリジナリティというところもすごく考えさせられました。
――改めて、Ms.OOJAなりに演歌に向き合った、と。
Ms.OOJA:演歌って、言葉数は少ないのに、メロディーがすごく強いんですよね。極端な話、アカペラで歌っても成立するくらいの力がある。その強さをどうにか伝えたい、ちゃんと表現したいと思っているんですけど、やっぱりすごく難しくて。歌っていく中で「何がこんなに難しいんだろう」とずっと考えていたんですけど、最近やっと言葉にできたのが、“洗練”なんですよね。すごく削ぎ落とされていて、無駄がない。だからこそ、その一音一音に説得力が求められるし、ごまかしが効かない。当時の楽曲って、作曲家、作詞家、編曲家がいて、それを歌う歌手がいるという分業の中で生まれているんですよね。しかも、その歌手も限られた才能を持った人だけが立てる場所にいて、そこでヒット曲を生み出し、スターになって、今なお愛され続けている。その背景には、並外れた才能と、それを徹底的に磨き上げる鍛錬があって、最終的にたどり着くのが“洗練”なんですよね。だからこそ、その楽曲をどう表現するかには、すごく向き合わなきゃいけないなと感じています。
――なるほど。
Ms.OOJA:なおかつ、演歌って誰でも歌えるんですよ。みんな楽しく。おじいちゃんやおばあちゃんも、カラオケ喫茶とかで演歌を気持ちよく歌うことができる。気持ちよく歌える曲って、本当に完成度が高いんですよね。誰が歌ってもある程度成立してしまうような強さがある。でも、だからこそ、その「誰でも気持ちよく歌える曲」をプロとしてどう輝かせるかがすごく難しい。一見シンプルで、誰にでもできそうに見えるものを、ちゃんとそう見せるためには、やっぱり熟練の技術や積み重ねてきた鍛錬が必要で。その先にあるのが洗練なんだなって思うんですよ。そこに気づいたときに、「だからこんなに難しいんだ」って腑に落ちたし、同時にすごく感動もありましたね。
――演歌のカバーに挑戦していく中で、そうした迷いや悩みはどのように向き合っていったのでしょうか?
Ms.OOJA:それは多分、(メジャーデビューから)15周年という年月によるものも大きいんじゃないかと思います。これまでに100曲以上のカバー曲を歌ってきたMs.OOJAだからこそチャレンジできるっていう自信もありましたし。自分自身が日々の鍛錬の中で辿り着いた歌唱っていうのがあって、「今なら演歌にチャレンジできる」って思ったんですよね。だからこそトライしてみようと。

――美空ひばり、八代亜紀、森進一といった歴代の大物歌手たちの作品が並んでいますが、歌う中でプレッシャーを感じることもありましたか?
Ms.OOJA:ありましたね。普段のカバーよりも、圧倒的にプレッシャーを感じました。今まで自分が踏み込んだことのない演歌というジャンルだし、「自分が歌ったらどうなるのかな」とは思っていたんですけど、でも「絶対良くなるだろうな」っていう自信がどこかにあって。今、私の音楽を聴いてくださっている方って、40代、50代、60代の方が多いんですけど、60代の方だと当時の演歌をリアルタイムで聴いていた世代なんですよね。でも50代くらいになると、少しずつ歌謡曲寄りになってきて、さらに若い世代になると、演歌をリアルタイムで聴いてきた人はどんどん少なくなっているなと感じていて。もちろん今も素晴らしい演歌は生まれ続けているんですけど、あの時代の演歌に触れてきた人は確実に減ってきている。その中で、若い世代がそういう楽曲を知らないままになってしまうのは、すごくもったいないなと思ったんです。だからこそ、「これは今、自分が伝えていくべきものなんじゃないか」と感じるようになって。これまでの経験を経た今の自分だからこそできる表現があるんじゃないか、そんなふうに思ったんですよね。
- 「自然に歌うことを中心に生活してきた15年」
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リリース情報

アルバム『Ms.ENKA~OOJAの演歌~』
- 2026/4/22 RELEASE
<通常盤(CD)>
UMCK-1826 3,520円(tax in.)
<UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤(2CD+Blu-ray+GOODS)>
PDCS-1941 13,200円(tax in.)
購入はこちら
公演情報

- 2026年10月18日(日)大阪・大阪城ホール
OPEN 16:00 START 17:00
チケット:
指定席 11,000円(税込)
U-22指定席 5,000円(税込)
キッズ指定席(小学生)3,000円(税込)
詳細はこちら
15th Anniversary Live【Ms.OOOOOJA~新しい景色をみにいこう~】
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自然に歌うことを中心に生活してきた15年
――これまでにさまざまなカバーアルバムも発表されていますが、今回の『Ms.ENKA』はご自身にとってどんな特別さがあるアルバムに仕上がりましたか?
Ms.OOJA:今のキャリアの集大成ですよね、完全に。今まで培ってきたいろんなものがあるからできたアルバムなので。
――先ほども仰っていたように、演歌ならではの豊かな歌詞表現があると思うんですが、特に印象に残っているフレーズや歌詞の一節はありますか?
Ms.OOJA:一節というか、お酒がすごい出てきますね。基本的に、お酒と涙と雨と雪なんですよ。そして、冬。雨や冬といった天気や季節の移ろいも、今以上に日々の変化として大切なものだったのかなと。そういう背景を想像させるフレーズがたくさんあって、歌詞を読み解いていくのもすごく面白いなと感じています。あと、たとえば「北の宿から」みたいな世界観もそうなんですけど、当時って娯楽自体が限られていた時代だったんだろうなと感じるんです。その中で、恋愛や出会い、別れ、そしてお酒といったものが、日常の中で占める割合がすごく大きかったんじゃないかって。あとね、女性が結構強いイメージ。
「北の宿から」Live Movie 2026 4/22(水) 発売 『Ms.ENKA〜OOJAの演歌〜 』より
――当時って、まだ携帯電話もないし現代とライフスタイルそのものが違うわけですよね。恋愛にしても、今とは違う時間の流れ方があったのかなと感じます。“未練”とかもよく出てくるワードですよね。
Ms.OOJA:なんだろうな、未練そのものも楽しんでたんじゃないかなって思うようなところがありますよね。そこに酔いしれるというか。モノがないからこその情景や表現をすごく感じました。それを歌うことで、また世界観に浸ることができるんですよ。だから、みんなに歌ってほしいです。気持ちよく、なりきってほしい。
――今年の2月、メジャーデビュー15周年目を迎えられて、いよいよ16年目に突入です。今の率直な気持ちや、ご自身が歩んできたキャリアに対してどんな思いでいらっしゃいますか?
Ms.OOJA:今、すごく楽しいです。すごく充実しているし、心身ともに今が一番いいんじゃないかなって思える。15周年っていう節目で大きな目標があるっていうのもいいことだなと思っていて。
――10月にはいよいよ大阪城ホールでの単独公演が控えています。
Ms.OOJA:そこに向けて、自分が残りの7か月でどれだけ変化していくのかっていうところが楽しみだし、やれることは全部やって挑みたいと思っています。そうすると、絶対景色が変わるんですよね。
――城ホールでのライブはどんな内容が期待できそうですか?
Ms.OOJA:まだ何も決めてないんですけど、やっぱり来てくださる方ありきのライブなので。前までは「皆さん来てください!」っていう感じのスタンスだったんですけど、今は「みんなを連れて行くぞ!」っていうマインドに変わってきているんですよね。「私と一緒に来たら絶対大丈夫だから!」って。今の私自身が、引っ張っていく強さみたいなものを持っているのかなと思っているんです。なので、みんなと一緒に楽しい時間を過ごして、達成感と感動を味わいたいなって思っています。

――この15年で、音楽業界やリスナーが音楽を聴くスタイルも様々に変化があったと思うのですが、Ms.OOJAさんはずっとマイク一本で地に足をつけてキャリアを育んできたという印象があります。
Ms.OOJA:恵まれているなとは思いますね。何より、歌うことを嫌いになったことが一度もないっていうのは大きいかもしれないです。歌を辞めたいと思ったこともなくて。もちろんボイトレとか体のケアはしているんですけど、それを“努力してる”っていう感覚もあんまりなくて、すごく自然に歌うこと中心で生活している感じなんですよね。それがあったから、15年続けてこられたのかなって思います。
それと、デビューが28歳だったのも大きくて。それまでにある程度いろんな経験もしてきたし、デビューしてからも結構もがいた時間があったので、その積み重ねが今につながってるのかなと。だから今は、あんまり怖いものがないというか、落ち着いて向き合えている感じです。若い頃はとにかくがむしゃらで。だからこそ良かった部分もあるんですけど、ちゃんと見えていなかった部分もある。今は自分の姿もちゃんと見えてきて、落ち着きましたね。
――この先、例えば50代、60代になっても歌っているご自身の姿は明確に想像できますか?
Ms.OOJA:そうですね。できる限り歌っていたいなって思います。きっと、歌うことがどんどん楽しくなってくるだろうなと思うし、歳を重ねるごとにどんどん身軽に、自由になるんじゃないかなと思っているので、将来の自分がどんな歌を歌っているのかがすごく楽しみでもあります。めちゃくちゃ元気な先輩方を見ているとすごく楽しそうだなって思うし、「私もああなりたい」っていう見本がいっぱいいらっしゃるので。あと、私の強みとして、これまで自分の年齢に合った歌を歌ってこれたな、とすごく強く思っていて。少しずつ、自分に合った音楽をうまく移行してきたのかな、と。なので、これからもそうやって歌を届けていけたらと思っています。自分が作る曲は、思い出のアルバムみたいなものなんです。今、聴き返すと「この時、こういうことを思っていたんだ」って日記を読み返すような感じになる。こうした変化も、すごく楽しんでいます。
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アルバム『Ms.ENKA~OOJAの演歌~』
- 2026/4/22 RELEASE
<通常盤(CD)>
UMCK-1826 3,520円(tax in.)
<UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤(2CD+Blu-ray+GOODS)>
PDCS-1941 13,200円(tax in.)
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公演情報

- 2026年10月18日(日)大阪・大阪城ホール
OPEN 16:00 START 17:00
チケット:
指定席 11,000円(税込)
U-22指定席 5,000円(税込)
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