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<インタビュー>SB19、フィリピンを背負う大型グループの魅力に迫る BE:FIRSTとのコラボエピソードも

Text & Interview: 小松香里
Photos: 辰巳隆二
2018年に結成されたジョシュ、パブロ、ステル、ケン、ジャスティンの5人によるフィリピンのダンス&ボーカルグループ、SB19。2021年には、BTS、BLACKPINK、アリアナ・グランデらと並んで、東南アジアのアーティストとして初めて【Billboard Music Awards】にノミネートを果たし、海外でのプレゼンスを高めた。
ダンスチャレンジが世界的に流行した「GENTO」が【第66回グラミー賞】のエントリー作品としてノミネートされたことも話題を呼んだSB19のニューアルバムが『Wakas at Simula』だ。海外で活動する際に直面するビザの問題を陽気なダンスポップに昇華したリードトラック「VISA」、日本を代表するダンス&ボーカルグループ、BE:FIRSTとコラボした躍動感あふれるスリリングなダンスナンバー「Toyfriend」、台湾の国民的シンガー、JOLINとコラボしたヒップホップナンバー「Emoji」など、ワイルドなヒップホップを基点に多彩な楽曲が収められている。早速BE:FIRSTとの「Toyfriend」の初パフォーマンスが実現した音楽プロジェクト【D.U.N.K. Showcase in K-Arena Yokohama 2026】出演のために来日した5人に訊いた。SB19は【SUMMER SONIC 2026】(東京のみ)の出演も決まっている。
左から:ケン、ジョシュ、ステル(上)、パブロ(下)、ジャスティン
──ニューアルバムのタイトルを昨年リリースのEP『Simula at Wakas』を逆にした『Wakas at Simula』にしたのはどうしてだったんでしょう?
パブロ:『Simula at Wakas』は3部作の最終章となる作品だったんですが、「始まりから終わり」っていう意味のタイトルだったので、終わりがあったら始まりがあるなと思い、 『Wakas at Simula』(終わりからの始まり)というタイトルにしました。
──既発曲も含めて全24曲の大ボリュームのアルバムです。どんなアルバムを目指したのでしょう?
パブロ:SB19は結成して8年が経ちます。曲を通して自分たちのストーリーを伝えていきたいという思いのもと、小さな破片を組み立てて、作品を制作し、今の自分たちのベースを構築することができました。今では自分たちの会社も立ち上げ、とてもハッピーな状態にいます。だからこそ、音楽を通してSB19として大事に思っていることを伝えて、皆さんをエンパワメントできるようなインパクトを与えたい。音楽シーンだけじゃなく、フィリピン全土に僕たちが大事に思っていることを伝えていきたいと思って作ったアルバムです。

──1曲目がリードトラックの「VISA」です。SB19が海外で活動するにあたって直面するビザ取得問題がモチーフとなっていますが、この曲からアルバムを始めたのは?
パブロ:ビザの取得問題はずっと伝えたいと思っていたトピックのひとつでした。才能を持ったフィリピン人はたくさんいるにもかかわらず、海外で活動しようとすると、VISAの問題に限らず、さまざまな障害が出てきて活動が制限されてしまう。アーティストの世界進出を阻むような土壌があることをシェアしたかったんです。皆さんのサポートがあってこそ世界に出ていけるわけですから。
──シリアスな問題を陽気なダンスポップのサウンドに昇華することについてはどんな想いがありますか?
ジョシュ:シリアスな問題をシリアスなサウンドに昇華すると逆に真剣に捉えてもらえなかったりするんですよね。ユーモアも交えて皮肉っぽくするほうが伝わると思いました。パブロが言ったように、世界進出するためにはフィリピンの皆さんのサポートが必要なんですが、フィリピンの人に「この曲は国際的だね」ってよく言われます。自分たちはフィリピン人なので、何をやろうとフィリピン的だと思うんですよ。あと、フィリピンのアーティストは世界的に活躍して、ようやくフィリピン人から認められるところがある。そんな状況をちょっと皮肉を交えて歌ってます。SB19が国際的な存在になる前から皆さんのサポートが必要なので。

──「GENTO」が【グラミー賞】のノミネートエントリーに受理されたりと、SB19の活動は世界的に評価されています。それによって何かマインドの変化はありますか?
ステル:一歩一歩、着実に進めていきたいと思っています。もちろん今の時代のスピードはものすごく早いですが、そのスピードに身を任せていくのではなく、すべてのことに真剣に向き合いつつ、軽やかでありたい。自分たちのキャリアには満足していますが、着実に成長していきたいし、一方でメンバーそれぞれの人生も大事にしたいと考えています。バランスが大事ですよね。今のハッピーな状態をキープしつつも、これから大きなプロジェクトがいくつも控えているので、ファンの皆さんには楽しみにしていてもらいたいです。
パブロ:これまで通り、異文化交流は大事にしていて、今回のアルバムでは日本のBE:FIRSTと台湾の伝説的なアーティストであるJOLINさんとのコラボが実現しました。


──「Toyfriend」はBE:FIRSTとのコラボ曲として制作した曲なんですか?
ジャスティン:BE:FIRSTとコラボが決まって、曲のストックの中から選んだ曲です。
──BE:FIRSTのどんなところに魅力を感じましたか?
パブロ:(日本語で)カッコいい! 以前、RYUHEIとSNSのダンス動画でコラボをしたことがあるんですが、背が高くて踊りが本当にうまくて素晴らしいなって思いました。今回、楽曲でもご一緒できて嬉しかったです。
ジョシュ:動画撮影の時、RYUHEIがいくつかダンスを教えてくれて、結構難しかったんですが優しく教えてくれましたね。
ステル:これから【D.U.N.K.】で披露する「Toyfriend」のリハーサルをBE:FIRSTとやるんだけど、果たしてうまくいくかな(笑)。
──ケンさんは昨年の【D.U.N.K】でSKY-HIさんの「ID feat. RYOKI (BE:FIRST), RYUKI (MAZZEL), JIMMY (PSYCHIC FEVER), FELIP」に参加しました(FELIPはケンのソロ活動時の名義)。どんな経験になりましたか?
ケン:新たな出会いに感謝しましたし、誰もがコラボレーションに参加できるわけはないのでありがたかったです。出演者の皆さんはみんなすごい才能を持っている方たちでしたし、それ以上に独自の個性を感じて素晴らしいなと思いました。「ID」でコラボした方たちはすごく自由度の高いパフォーマンスをするなって思ったことがすごく印象に残ってます。アーティストにとって自由にクリエイティブができることはとても重要なことです。結局はアートに対する愛がどれだけ大きいかだと思うんです。クリエイティブには時間もかかりますし、いろんなことを犠牲にする必要があって、汗をはじめ、多くものが詰まっている。【D.U.N.K.】にはたくさんの苦労やアートへの愛が強く感じられたので、素晴らしいイベントに参加させてもらえって感謝の気持ちでいっぱいでした。今年はグループで【D.U.N.K.】に出演できることになり、新しいオーディエンスとの出会いがとても楽しみです。
ジャスティン:グループとして初めて【D.U.N.K.】に参加できることになって、もちろん日本のファンの皆さんにお会いできることも楽しみですし、僕たちのことを知らない皆さんの前でパフォーマンスができて、SB19やフィリピンの文化を紹介できることにもすごくワクワクしています。ほかのアーティストの方たちと僕たちのクリエイティブや音楽に対する思いを共有できることも楽しみです。


──『Wakas at Simula』の中で特にSM19の強みが出ていると思う曲、もしくはお気に入りの曲をあげるとしたら?
ケン:「Everblack」。僕はこういうタイプのヒップホップが好きなんですよね。
ジャスティン:僕は2曲あって。
パブロ:だめ、1曲だけだよ(笑)!
ジャスティン:(笑)。まずは「VISA」。この曲はスキルというよりは、政治色の強いストレートなメッセージ性のある曲なので、SB19の影響力を提示できる曲だと思っています。2曲目は「Wakas」。ファンのために書いた曲でとても好きな曲ですね。


パブロ:僕も「Wakas」です。SB19はクールなグループとして知られているけれど、こういう優しい一面もあることが広まってくれたらいいなと思っています。ボーイバンドにはいつかは解散が訪れるという宿命がありますが、何事にも終わりはあるけれど、互いに思い合っていればずっと一緒にいられるというメッセージが込められた曲です。
ステル:僕は5曲あります。
全員:ハハハ(笑)!
ステル:やっぱり2曲だけで大丈夫です(笑)。その代わりジョシュがほかの曲の話をしてくれると思う。まずは「Toyfriend」。メロディーもキャッチーですし、リハーサルをしててもすごく楽しいんですよね。デビュー当初からこういう曲を歌いたいと思っていて、ようやくこういう曲ができるようになった。しかもBE:FIRSTとのコラボ曲。とても思い入れがある曲です。あとは「Memories」。この曲を聴いてると練習生だった頃を思い出します。いいことも悪いこともあったけれど、その経験があったからこそ今こうしていられることが嬉しい。3日後の【D.U.N.K.】でのBE:FIRSTとの思い出も「Memories」に加わるんだろうなって思ってます。
ジョシュ:プロモーション担当のスタッフからは「Emoji」って言えっていう圧を感じるんですが(笑)、全曲しっかり聴いてもらいたいので、僕はどれか1曲は挙げたくないですね。全曲聴いてもらってこそSB19が今伝えたいストーリーが伝わると思います。


──ちなみに絵文字は皆さんよく使いますか?
ジョシュ&パブロ&ステル&ジャスティン:YES!!
ケン:僕はNO(笑)。
ジョシュ:僕は涙を流してる顔の絵文字をよく使うよ。
パブロ:「Emoji」は、とてもいい曲です。この曲でコラボレーションをしているJOLINさんから絵文字をモチーフにした曲を作ろうっていう提案をしてもらったんです。SNS時代だからこそ、本心を隠して絵文字を使うことがありますよね。例えば、本当は怒ってるんだけど、笑顔の絵文字を使うことで相手の気分を害さないようにしたり。便利なコミュニケーションツールです。

──SB19のほとんどの楽曲にメンバーが携わっていますが、クリエイティブにおいて大事にしていることは何ですか?
ステル:SB19のアイコニックなサウンドはありますし、もちろん様々な楽しいことや思いついたことを直感的に歌詞にすることもありますが、一番はどんなメッセージを込めるかっていうことだと思っています。人生にはいろいろと大変なことが起こるけれど、ファンの皆さんのために僕たちはいます。楽曲だけでなく、人間としてみんなと繋がれたら嬉しいですね。あと、メンバーの個性を見せることも大事にしています。それぞれの個性を際立たせた上で、1枚のアルバムの中にいろんな要素を入れたほうが印象に残ると思っています。
ジャスティン:クリエイティビティがうまく回っていくためには、お互いの気持ちにオープンであることが大事です。5人のメンバーそれぞれがいろんなアイデアを持ってるので、気持ちをしっかり共有することでうまくいく。意見がぶつかり合うこともありますが、だからこそ面白いものが生まれる。SB19にとってオープンであることは最重要です。
リリース情報

『Wakas at Simula』
2026/3/27 RELEASE
再生・ダウンロードはこちら
来日情報

『SUMMER SONIC 2026』
2026年8月15日(土)出演(東京のみ)
会場:ZOZOマリンスタジアム & 幕張メッセ
www.summersonic.com
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