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<インタビュー>GACKT、今夏ツアーとして動き出すフルオーケストラ公演【魔王シンフォニー】への想いを語る

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 GACKTがソロ活動25周年イヤーの集大成として、そして表現者として新たな地平に挑んだ一夜があった。それが2025年4月13日すみだトリフォニーホールで行なった【GACKT PHILHARMONIC 2025 - 魔王シンフォニー】だ。重厚なバンドサウンドとフルオーケストラが渾然一体となって生み出す【魔王シンフォニー】という独自の世界は、音楽シーンに新たな1ページを刻んだ。再演を望む声が多く上がりそれに応え、昨年12月23日に同会場で【GACKT PHILHARMONIC 2025 魔王シンフォニー THE REVIVAL】を開催。さらに磨き上げられた音作りと演出で観客を圧倒した。あの夜の衝撃とその先を目指し、この夏ついに全国8都市10公演の本格ツアーへと進化した全国8都市10公演で【GACKT 魔王シンフォニー 2026 -INFINITY- organized by billboard classics】を開催する。「誰にもできないものを作りたい」と唯一無二のステージに向けた思いを、GACKTが余すところなく語った。

Interview & Text:田中久勝 / Photo:Lestat C&M Project


【魔王シンフォニー】でGACKTが創り出すロックとクラシックの真の融合


── 昨年12月23日の「魔王シンフォニー」を拝見しました。バンドとオーケストラが互いの音を打ち消し合うことなく、それでいて圧倒的な塊となって押し寄せてくる、これまでにない音世界、没入感に衝撃を受けました。


GACKT:そう言ってもらえると、苦しんだ甲斐がありますよ。でも、僕の理想から言えば、達成度はまだ50%程度。100%にはまだ到達していない。ひとつ問題を解消すれば、また別の改善点が見えてくる。ゴールはまだ先ですが、それは決して届かない夢ではなく、自分で行ける場所だと思っています。そのすべてをクリアしたとき、本当に誰にも真似できないエンターテインメントが完成するはずです。


【THE REVIVAL】公演ライブフォト


【THE REVIVAL】公演ライブフォト

── ご自身で50%とされるのは、具体的にどのような部分でしょうか。


GACKT:これまで2回やって、大分近づいてきたとは思いますが、演出、音響、そしてオーケストラとの意識の共有ですね。僕らロックの世界では立って演奏するのは当たり前ですが、オーケストラの立奏というのは、クラシックの方々にとっては未体験の過酷な挑戦だったと思う。まず「立っては演奏できない」という固定観念を崩すところから始めなければならなかった。言葉でいくら説明しても想像できないことを、やろうとしているんです。だから「今まで誰も作ったことのないショーを作ることに興味はありませんか」と問いかけて共鳴してもらえるオーケストラのメンバーとやっています。


── ロックとオーケストラの融合は、実際に体験してみると「そんな簡単なものじゃない」と仰っていましたね。2025年4月の初演からどう進化しましたか?


GACKT:4月13日の初演を経て課題が出て、12月23日に向けてどこまで解消できるかを詰めてやっていくと、また別の問題点が増えてきて(笑)。演出はもっとこういうふうに組み上げたいっていうアイディアもどんどん湧いてくる。でも、すみだトリフォニーホールではそれを完全に実現するのは難しかった。バンドの音とオーケストラの音がぶつからない不思議さ、あの美しさは、相当こだわってやった結果なんです。


── かなりマニアックな音作りをされているとお聞きしました。具体的にはどのようなアプローチを?


GACKT:例えば、基軸になる周波数の話から始まるんですけど。ホールでのコンサートの場合バンドは基準音として通常は440Hzか442Hzのどちらかで合わせる。オーケストラも同様です。でもリハーサルスタジオで聴いたとき、どうしても違和感があって。最終的に行き着いた結論が、ベースとコントラバスのチューニングをわざと、ある程度ずらすこと。そうすることで、現場で実際に音を出してもらった時に、それぞれの楽器の抜けが良くなるんです。こんなこと、誰も代わりにやってくれないじゃないですか。4月の公演を経て12月に向けて色々修正していく中で違和感を感じて自分で音のチューニングを少しずつ変えていって、ベースはここだ、というアイディアがぽんと浮かんで、試して、実験して。そういう繰り返しが、おっしゃっていただいた没入感に繋がっているのだと思います。


── 気が遠くなりそうな作業をずっとやってきたと思いますが、それでもツアーをやろうと思った一番の理由ってどこですか?


GACKT:【魔王シンフォニー】は元々ツアーを目指してやっているし、この世界観を構築できるならツアーにしたいという気持ちは強かった。やっぱり誰にもできないものを作りたいという、ミュージシャンとしての欲がある。


── 【魔王シンフォニー】で得た音響の知識や経験が、YELLOW FRIED CHICKENzのライブにも還元されているそうですね。


GACKT:まず根本になっているのは【魔王シンフォニー】の基軸は、あくまでバンドであるということ。YFCzが広がっていった先にシンフォニーがある、そういうイメージです。だから最終的なライブの盛り上がりもいつものYFCzのライブとまではいかなくても、フルオーケストラが入ってもここまで盛り上がるのかというところまで作りたい。今のYFCzのライブは【魔王シンフォニー】で得た知識と経験が生きていて、音がめちゃくちゃクリアです。ロックバンドのライブでは考えられないんですけど、ステージ上にアンプを置いていないんですよ。ギターが3本いても、それぞれが完全に別々のプレイとして聴こえる“分離感”を突き詰めました。オーケストラの多層的な音を整理する技術が、ロックバンドの音響システムをも進化させた。この相互作用が、僕を表現者として一つ上のステージへ押し上げてくれている感覚があります。


【THE REVIVAL】公演ライブフォト


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【魔王シンフォニー】として、さらなるダークファンタジーな世界へ

── 今回の全国ツアー【GACKT 魔王シンフォニー 2026 -INFINITY- organized by billboard classics】では、演出面でも前回から大きく変わるそうですね。


GACKT:例えばパイプオルガンがある会場では演出のひとつである、スモークを焚くことができない。理想的な演出ができないのは僕には耐え難いことなんです。


── 12月の公演では、アレンジにパイプオルガンが印象的に使われている楽曲も何曲かありました。


GACKT:今回のツアーでは、パイプオルガンがある会場を避け、スモークをはじめとした演出が自在にできる会場を選びました。なのでパイプオルガンが必要な楽曲は別の楽器でリアレンジします。演出を優先したことで失うものもありますが、その分観に来てくれた人たちが映画のワンシーンに飛び込んできたかのような錯覚をする、本当の意味でのダークファンタジーな世界をツアーで作り上げたい。これまで2回の公演を経て、「盛っちゃいけないのかも」というような縛りを全部取っ払って作るのが、次のツアーの課題です。だからINFINITYというツアータイトルにしたんです。


── セットリストも前回、前々回から大きく変わる予定ですか?


GACKT:ガラッと変えたい。これまでの物語が全く跡形がなくなるというわけではないですけど、変わります。【魔王シンフォニー】というテーマの中で自分が表現したいこと、演出を考えたときに、この曲でいこうという絵が出てくる。その絵が組み上がっていく途中で、違うと思ったらまた曲を変える。あくまでも今は僕の頭の中にしかないので、何度も練る作業をしています。


── 客席の一階がオールスタンディングでヘドバン、というオーケストラコンサートでは異例の光景も印象的でした。


GACKT:客席の世界観の理想もあって、次はもっと違う景色を描きたい。1階がオールスタンディングという、オーケストラ公演では異例の形式を導入するのも、ステージと客席が一体となって解放される瞬間を作りたいからです。


── 今回のツアーは米田覚士さん(埼玉、宮城、東京、愛知、北海道)、村上史昂さん(広島、福岡、大阪)という二人のマエストロと、グランドフィルハーモニック東京(埼玉、宮城、東京、愛知、北海道)、グランドフィルハーモニック京都(広島、福岡、大阪)という二つのオーケストラとYELLOW FRIED CHICKENzで廻りますが、この意図は?


GACKT:元々の理想としているところには、その数さえも到達していないんですよ。本来の理想は、その地域にいる人たちが全員で作り上げるものを目指している。8か所でやるなら、それぞれの土地に根差したオーケストラとやりたいんです。クラシックの方たちには言葉で説明してもなかなか伝わらないことも多いので、実際に【魔王シンフォニー】を観てもらって、体験してもらって、「これを作りたい」と思って手を挙げてくれる人を各地域で集めたい。それが次につながると思うし、自分の理想に近い形です。


── 今年は【GACKT YELLOW FRIED CHICKENz ~WORLD TOUR ATTACK OF YFCz~】、【GACKT LAST SONGS 2026 feat. K】、そして【GACKT 魔王シンフォニー 2026 -INFINITY- organized by billboard classics】と全く異なるスタイルのツアーが連続します。少し「生き急いでいる感」さえ感じます。


GACKT:生き急いでいますよね(笑)。ただ、ネガティブな意味では全くなくて、いつまで生きているかわからないじゃないですか。みんなそうでしょ。時間がないんですよ。今はやれることを全部やらなきゃっていう気持ちがある。だから何となく多くやっているわけじゃなくて、自分がやれること全部やってしまおうという気持ちでやっています。それに、様々なスタイルのライブをやることで、経験が相互に作用しているんですよ。今までひとつのツアーを経て次のツアーに、前のツアーの経験がここまで大きく作用したと感じたことはなかった。【魔王シンフォニー】とYFCz、LAST SONGS、それぞれが本当の意味で影響し合っている。例えばLAST SONGSは【魔王シンフォニー】の対極にあります。ステージの世界観だけでなく、客席の世界観、その空間全体で描いている絵が全く違うし、思考が違う。だからどのライブも刺激的なんです。


── まだ見ぬ世界へといざなってくれる【GACKT 魔王シンフォニー 2026 -INFINITY- organized by billboard classics】、楽しみにしています。


GACKT:このツアーでは、音は耳で聴くだけじゃないということを、肌で感じて欲しい。科学的にも証明されていることですがCDやデジタルの音源よりも、人が演奏をしているほうが、音が多少荒くなったとしても意味がある。それはエネルギーが音によって伝わるから。そのエネルギーは耳だけじゃなくて、肌からも感じている。【魔王シンフォニー】では、バンドとオーケストラ約70名の生の音が入って、人の体から出るエネルギーが直接空気を震わせる。それはすごいことなんですよ。全国で待つファンのみんなに、熱量の高い生の音楽のエネルギーを届ける。それが、音楽に救われてきた僕が、この年齢になって果たすべき恩返しだと思っています。何かを残さなければいけない年齢になったし、それがミュージシャンとして生きてきた意味のひとつになると思っている。震えるショウを用意して待っていますよ。


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