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<インタビュー>目指すは新時代――ホロライブ所属のバーチャルアイドル、星街すいせいが高らかに歌う“革命”の音楽
Interview:Takuto Ueda
ホロライブ所属のVTuber/バーチャルアイドル、星街すいせいがニューアルバム『新星目録』をリリースした。
前作『Specter』から約2年ぶり、通算3作目のアルバムとなる本作は、キーワードに“革命”を掲げた意欲作。気鋭のボカロP・ツミキによる提供楽曲で、自身初のストリーミング累計1億回再生を記録した「ビビデバ」をはじめ、山内総一郎(フジファブリック)、川谷絵音(indigo la End、ゲスの極み乙女 etc)、Deu(PEOPLE 1)、なとり、春野など、多彩かつ強力なクリエーター陣が手掛けた全11曲が収録されており、エンディングを締めくくる「綺麗事」では星街自身が作詞作曲にも初挑戦している。
これまで数々の「VTuber史上初」を成し遂げてきた星街。「もっとVTuberを社会に浸透させたい」という長年の願い、新時代を目指す確固たる意志を込めた3rdアルバムを引っ提げ、2月1日には夢の舞台、日本武道館でのワンマンライブを行う。大きな転換点を目前とした今、あらためてアルバムの制作過程を振り返りながら、自身の活動に対する想いを語ってもらった。
私にとっての革命
――まずは年末のトピックから。【COUNTDOWN JAPAN 24/25】のステージはいかがでしたか?
星街:自分のライブと違って、私のことを知らない人がたくさんいたと思うんですけど、すごく盛り上がってくれてうれしかったです。バンドのメンバーとも「かましてやったぜ」みたいな話をしたんですけど、終わってからエゴサをしたら「名前しか知らなかったけど良かった」みたいなことを言ってくださる方もいて。
――特に星街さんが出演された最終日は、ロックフェス常連のバンドに加えてSixTONESやNewJeansなど、バラエティ豊かなラインナップが特徴的でした。客層も幅広かったのではないかと思いますが、どんな魅せ方をしようと考えていましたか?
星街:VTuberなのでバーチャルではあるけど、同じ人間なんですよ、みたいな見せ方はできたのかなと思っていて。本番前に公開リハもやらせてもらいましたし。
――おお、フェスならではですね。
星街:しっかりコール&レスポンスも煽ったり、熱量を共有する感じがちゃんと出せたのかなと思います。
――ツアー直後の日程だったので、そういう意味でもコンディションが整った状態で臨めたのではないですか?
星街:そうですね。ツアーで3か所ライブをやったあとだったので、そこで場数を踏んだからこそ「よっしゃ、行くぞ!」みたいな感じは持っていけた気がします。もし去年、まったくライブをしていなかったらすごく緊張したと思うけど、ツアー後だったので本当に良い熱量で挑めたなと思いますね。
――そんな年末の活動を経て、待望のニューアルバム『新星目録』がリリース。「彗星のごとく現れたスターの原石」をキャッチコピーに掲げる星街さんですが、まさしくアイドルらしいフレッシュなキラキラ感を打ち出した1stアルバム、そこから活動を通して感じた苦悩や葛藤を作品として昇華させた2ndアルバムと続いて、今回の3rdアルバムはどんな一枚になったと思いますか?
星街:チームの中でも1stはキラキラ、2ndはギラギラと言っていて、「じゃあ、その次は何だろう」と悩んだ結果、「だったら爆発するか」と。そこから「新時代を作ろう」みたいなイメージになって、“革命”というワードがコンセプトになりました。バーチャルのアーティストって、今はまだ社会で異質な存在というか、あまり人間として見てもらえないけど、ちゃんと自分で歌っているし、自分で踊っているんだということを浸透させていくのが、私にとっての革命なのかなと思っていて。そういう目指すべき場所に向かっていくような曲をたくさん作っていきました。
――キラキラ、ギラギラと来て爆発。武道館公演のタイトルも“SuperNova(超新星)”ですよね。『新星目録』の“目録”に関しては、ある種の自己紹介的なニュアンスでしょうか?
星街:もともとは“新星”だけにする予定だったんですけど、Mika Pikazo先生が作ってくれたジャケットのイラストがすごく素敵で。イラストを邪魔しない形で四隅に文字を入れたいなと思って、目録が付いてきた感じです。なので、特に深い意味はなかったんですけど、すごく良い解釈をしていただいたので、それにします(笑)。
――では、タイトルは一番最後に決まったんですね。
星街:最後です。ジャケットが届いてから。もともと新星という言葉は必ず使おうと思っていたんですけど。
――これまでも配信やインタビューで「もっとVTuberの存在が世の中に浸透してほしいから自分もチャレンジしていきたい」というお話を度々されてきましたよね。それを今回はストレートにテーマとして掲げて作品を作ったわけですが、具体的にはどんなことを考えながら制作を進めていきましたか?
星街:それこそ2ndアルバムでかなり鬱屈とした、ドロドロしたものをお見せしたんですけど、その感情は持ったまま一度区切りをつけて、さらに進化した姿を見せないといけないなって、2ndソロライブが終わったあたりから思い始めて。じゃあ、どう進化した姿を見せるのか、というのをかなり考えました。新しい挑戦だったり、そういうことを見せていくフェーズなのかなって。
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ネットシーンから一歩踏み出してみよう
――以前のインタビューでは「『GHOST』の進化形としての『Specter』」というお話もありましたが、『新星目録』にも起点や核となった楽曲はあったりするのでしょうか?
星街:なんだろう。「AWAKE」かな。
――では、けっこう早めに生まれた曲?
星街:いや、そんなこともないですね。そういう意味では「先駆者」が一番最初です。ただ、アルバムのコンセプトが固まってきたのは「ビビデバ」あたりだったのかなと思います。ちゃんと“革命”というのを掲げて作ろうって。それこそ「AWAKE」にその感じはすごく詰まっている。
AWAKE / 星街すいせい(official)
――〈start to know 革命の狼煙は/start to go 変化を恐れない覚悟さ〉というフレーズもあります。作曲およびアレンジはGigaさん、TeddyLoidさんのタッグ。
星街:“強い女性”の曲を作りたいなと思ったんです。「ビビデバ」もそうだったんですけど、私自身かなり気が強いほうなので、私っぽさを入れようと思ったら、そういうイメージの歌詞だったり曲調になる。このお二人は、ちゃんと芯があって、意思を持っている、そういう強い女性の曲を書くのがすごくお上手だし、やっぱりこのタッグが最高だなと思いましたね。
――どんなコミュニケーションを取りながら制作したのでしょう?
星街:「強い女性を強調した、攻撃的な楽曲」というふうにお伝えしていました。今の女性って強い女性に憧れたり、惹かれたりするじゃないですか。歌詞の中だと〈定型文のstoryteller micは渡しちゃ駄目〉とかは特に気に入っていますね。私も型にはまるのが好きじゃないので。自分なりのやり方を模索していきたい。定型文というか、テンプレートどおりのことをする人たちに自分の舵を任せてはいけないぞって。
――ここまでのお話を踏まえると、「先駆者」「ビビデバ」「AWAKE」というアルバム冒頭の流れは本当に象徴的ですね。
星街:そうですね。「ビビデバ」がバズったのもあって最初は1曲目に置こうという話だったんですけど、全体のコンセプトを考えたときに「先駆者」か「AWAKE」がザ・革命って感じなので、そのどちらかにしたほうが伝えたいことが伝わりやすいのかなと思ったんです。
――参加しているクリエーター陣も多彩かつ豪華です。「先駆者」の山内総一郎さん、「ビーナスバグ」の川谷絵音さんなどは反響も大きかったのではないでしょうか?
星街:2ndアルバムまではネットシーンで活躍しているクリエーターさんが多かったんですよ。私自身が昔からネットをやっていたので、そこで聴いていた方々にお願いしていたんですけど、今回の3rdアルバムではコンセプトは守りつつ、ネットシーンから一歩踏み出してみようという話をしていて。その中でお名前が挙がったうちの一人が川谷絵音さんでした。私もゲスの極み乙女がずっと好きだったんですけど、ああいう音楽も当初はすごく新しいものだったと思っていて。そんな絵音さんが今、この時代で私にどんな曲を書いてくださるだろうという想いがあってお願いさせていただきました。
――星街さんから見て、川谷さんはどんな音楽を作っているイメージですか?
星街:私が音楽のジャンルとかにまったく詳しくないんですけど、お洒落な楽曲を作る方だなと思います。でも、いろんなバンドをやられていて、それぞれ違った雰囲気の音楽なので、本当にいろんなことができる方なんだなって。その中でもちゃんと絵音さんらしさが感じられる要素があるのがすごい。
――今回のコラボに際してはどんなリクエストを出したのでしょう?
星街:ミーティングしたのがけっこう前で、2023年12月頃だったと思うんですけど、どんな話をしたかな。たしか絵音さんなりに星街すいせいを解釈してもらう、みたいなことでまとまった気がします。
――わりとお任せだったんですかね?
星街:だったかもしれないです。でも、私が星街すいせいを語るうえで、星とか夜空みたいなキーワードをけっこう使うんですけど、星系の曲がかなり多くなってきたので、街のほうにフォーカスを当てたいと思っていた時期があって。「ビーナスバグ」はそっちのタイプかもしれないですね。〈渋谷5時〉ですし。
――「ビビデバ」や「AWAKE」のミュージック・ビデオは実写とアニメーションを組み合わせた作品でしたが、そのロケーションも都会の街並みでしたね。
星街:リアルに浸透させたい、進出したいという気持ちは大きいですね。バーチャルな存在として、もっと3次元の人たちにアプローチしていくにはどうしたらいいのか、みたいなことをたくさん考えた結果、やっぱり融合なのかなって。そういう私の気持ちをクリエーターの皆さんが拾い上げてくださいました。
――「ビーナスバグ」もミュージック・ビデオが公開中です。
星街:私が全編実写で撮りたいとお願いしまして。コンセプトもすごく面白くて、いろんな人が「ビーナスバグ」を口ずさんでいるんですけど、曲中に〈私、今誰かになれそうな気がしたの〉って歌詞があって、そこから膨らませました。
ビーナスバグ / 星街すいせい(official)
――今回、ボーカルRecのところでチャレンジだった曲を挙げるとしたら?
星街:「繭と心」は変拍子なのでかなり頑張りました。あと高音がすごくて、そこも地で張れるように頑張ったりしました。
――「Caramel Pain」は、PEOPLE 1のDeuさんによる楽曲提供。こちらもセクションごとに歌声のアプローチをがらっと変えていて聴きごたえがありました。
星街:この曲のレコーディングは、Deuさんがディレクションをしに来てくださったんです。「ここはこんな感じ」って実際に歌ってくれたりして、それをリファレンスにしながら収録していきました。「トガヒミコみたいに歌ってください」と言われたのが面白くて。ヴィランみたいな感じ。
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「燃え尽きないかな」って不安もありました
――“革命”というコンセプトに相応しい、しなやかで力強い人間像が打ち出されている本作にあって、陰を感じさせる「Caramel Pain」や「DEADPOOL feat. 花譜」あたりの世界観はどこか異彩を放っているようにも感じます。
星街:私自身は一曲一曲と向き合いながら作って、結果的にアルバム全体がうまくまとまってくれたなって感じでした。「Caramel Pain」もミーティングで交わしたお話は本当にちょっとだけで、「もっといろいろ情報が必要ですかね?」と聞いたら「自由にやれたほうが作れるかも」という感じで。けっこう好きに作ってもらいました。それで出来上がったものが私っぽい曲になっていて、良いなって感じだったんですよね。
――「DEADPOOL feat. 花譜」については?
星街:花譜ちゃんとは先に「一世風靡」という曲でコラボしていて、それが可愛らしくてポップなものだったので、今回はちょっと異質な感じというか、あまりキャッチーすぎず、流行りにも寄せず、真逆の方向性でやりたいと思って作らせてもらいました。でも、どっちもすごく挑戦した楽曲ではあると思います。
――アルバム全体のバランスを考えながら収録曲を揃えていったわけではないんですね。
星街:そうなんです。本当に一曲一曲って感じでした。実は1stも2ndもそんな感じで、好きなように曲を作っていって、アルバム全体のことを考えたときに「これ、まとまるのか?」みたいな。それで結果的に「まとまった、良かった」というのが3回繰り返されているんです。でも、クリエーターの皆さんが私自身のことをすごく解釈してくださって、そのおかげで一貫性が生まれたのかなと思うので感謝です。
――そして本作には、星街さん自身の作詞作曲による楽曲「綺麗事」も収録。ご自身で楽曲を書き上げるというのは初挑戦?
星街:初めてです…。
――何かきっかけが?
星街:2ndアルバムのときもやりたいとは思っていたけど間に合わなくて。というか、重い腰を上げられなかった。「3rdアルバムこそはやりたいです」みたいな話をしていたら「じゃあ何月までに」とか、どんどん締切が設定されていって…。
――外堀が埋められていったと。
星街:そうなんです。これは作るしかないんだって。でも、めちゃくちゃ締切を超過しちゃったんですけど(笑)。それでもなんとか完成させたって感じでした。
――最初はどんなテーマで書こうと思っていました?
星街:もともと自分の中に作りたい楽曲の構想はたくさんあったんですよ。例えばダンス・ミュージックだったり、「天球、彗星は夜を跨いで」みたいなロックだったり。その中で最初に作詞作曲する曲として出すのはどんなものがいいか、すごくすごく考えて悩んだんですけど、思っていた以上に自分のイメージをアウトプットするのって大変で。なので、テーマとかそっちのけで、とにかく思い浮かんだメロディーから広げていこうと考えて、サビの一番最初のフレーズがまず出てきたんですけど、同時に歌詞も一緒に出てきたんですよ。それを広げて完成させました。結果的にテーマとしては、諦める人間たちに対して、そこで諦めたら試合終了だよっていうような曲になりました。
――〈綺麗事を吐くその口が嫌いだから歌を歌うんだ〉の部分ですよね。星街さん自身が普段から日常で感じていることが表現されているように思いますか?
星街:まさにそうだと思います。私は昔からインターネットに触れていたんですけど、いろいろなコミュニティがあるじゃないですか。でも、大体の人が都会に住んでいるんですよ。なので、「何かの機会に遊ぼうよ」とか「どこどこに行こうよ」みたいな感じで集まれるんですけど、私は都市部から遠かったので気軽に行けなくて。そこから時が進んで上京したときに「これでやっと自由だぞ」と思って、当時の仲が良かった友達に声をかけたら、「もう自分も若くないから疲れちゃうし」みたいなことを言われてしまって。確かに私が子供の頃にもう大人だった友達なので「そうなるのか」と思いつつ、でも、「人って年齢を重ねるとこうなっちゃうんだ」ってすごく悲しかったんです。
――何かを諦めたり、本心を隠す言葉としての綺麗事というか。
星街:そういう諦めの言葉を聞いたときに毎回、自分はこうならないようにしようといつも思っていたんです。どれだけ年を重ねてもフレッシュでいたい、好きな服を着てかっこつけていたいし、遊園地に行ってジェットコースターでわーってやりたい。いつまでも童心を持っていたいと思う。なので、いつも配信でも「諦めるな」みたいなことを言っているんですけど、その言葉も綺麗事ではあるなと思っていて。私自身の綺麗事も嫌いだし、相手が言ってくる綺麗事も嫌いだし、だから私、とりあえず歌いますっていう。
――作曲はどんなふうに進めていきましたか?
星街:最初は打ち込みでやろうと思っていたんですよ。コードを決めて、伴奏を鳴らしながらメロディーをつけていくってやり方。でも、やっぱり難しくて、そしたら締切が迫ってきたので、鼻歌でサビの部分を作って「すみません! ここまでしか作れませんでした」って渡したものに、イノタク(TAKU INOUE)さんがトラックを作ってくれて、そこからまた私がメロディーを作って、歌詞を書いて、みたいな流れでした。
――なるほど。けっこうキャッチボールだったんですね。
星街:イノタクさんからは「最初にワンフレーズだけ届いたときはどうしようかと思いました」と言われましたけど(笑)。なんとか完成させることができました。
――今後も作詞作曲はチャレンジしていきたい?
星街:そうですね。イメージはめちゃくちゃ膨らんでますし、自分的にはもっと頑張りたいと思っています。今回は30%くらいの出来だと思っていて。最近は良いなと思った楽曲をブックマークしまくっています。
――インプットも大事ですからね。アルバムのリリースに伴い、いろいろな露出も増えてくると思いますが、星街さんが登場するSpotifyの街頭広告がニューヨークのタイムズスクエアに掲示されるとお聞きしました(現地時間1月24日から掲出中)。
星街:これ、ちょっと面白話があって。マネージャーさんから最初にそのお話を聞いたとき、「渋谷のですか?」と訊いちゃったんですよ。
――スクランブルスクエア(笑)。
星街:混ざっちゃって(笑)。「タイムズスクエアって何だっけ?」みたいな。
――インターネットに物理的な距離はあまり関係ないですが、VTuberの社会浸透だったり、三次元への進出だったり、星街さんが掲げる活動のテーマを思えばすごく意義のあることだなと思いますよね。
星街:そうですね。かなり大きいです。日本でも数組しか出してもらったことがないと聞いていて。インディーズとしては初らしいし。新しい時代を作れているのかもしれないって気持ちにはなりました。
――そして、2月1日には【Hoshimachi Suisei 日本武道館 Live "SuperNova"】が控えています。まだ星街さんがホロライブに所属する前の個人で活動されていたとき、一番最初の自己紹介動画で語っていた夢が「武道館でライブ」でしたね。
星街:めちゃくちゃ感慨深いです。でも、だからこそ夢を叶えたあとに「燃え尽きないかな」って不安もありました。例えば活動3年目とかで辿り着いていたら関係ないかもしれないけど、7年間ずっと掲げてきた夢なので。
#星街すいせい 3rdフルアルバム『新星目録』&Hoshimachi Suisei 日本武道館 Live “SuperNova” Teaser movie
――そうですよね。
星街:もしかしたらリスナーさんも、一つの物語を見終わったみたいな気持ちで離れていっちゃうんじゃないかなとか。たしか一昨年ぐらいに「武道館が押さえられたらやりますか?」というのを言われたんですよね。やりたいけど、やらないほうがいいのかなって。ずっと追い続ける夢として大事に置いておいたほうがよかったりするのかなって。
――夢は夢のままというか。
星街:とはいえ、別の人が先に立ちましたみたいな感じになるのも違うのかなと思って。じゃあ、ちゃんと足跡をつけようかという話になって、今回の武道館が決まったという流れでした。でも、今は武道館のあとの展望も実はけっこう見えていて。つまり、めちゃくちゃ忙しいということでもあるんですけど(笑)。武道館後の予定もぎっしり詰まっているので、きっと終わることはないんだろうなと思うし、リスナーさんも去らずにいてくれるんだろうなって信頼も今はありますね。なので、すごく良い気持ちでステージに挑めるんじゃないかな。
――通過点ですね。
星街:そうですね。通過点にできたのかなと思います。

――確かに。通過点に“できた”って感じですよね。「武道館のあとの展望」というお話も出ましたが、最後にそのあたりについてお話をうかがえますか?
星街:昔からずっと言っていることなんですけど、バーチャルの存在が当たり前になる世界が、いま目指している場所です。私は『電脳コイル』みたいな近未来SFが好きなんですよ。そういう未来が、自分が生きているうちに来たらいいなと思っていて。そのために自分が切り拓けることを頑張っていきたいです。
――道のりをパーセンテージで測るとしたら、現時点でどのくらいのところまで来ることができたと思いますか?
星街:同じようなことを別のところでも訊かれたんですけど、たしか39%と答えた気がします。まだ39%です。バーチャルの存在に対して「変だよね」とか「表に出てくる必要ないよね」とか、そういう言葉を投げかけてくる人ってたくさんいるけど、見るたびに「解像度が高くないな」と思うことが多くて。
――そもそも知ることから拒否しちゃっている。
星街:良くない部分、悪い部分を誇張して捉えちゃっているところもあるのかなと思うんですけど、「ボタン一つで踊れたり、歌えたりするんでしょ」みたいに言われると「別にそんなことないのにな」って。だったら目障りに思われてもいいから、私自身が活動を大きくしていって、「食え食え、これがバーチャルだ」って無理やりにでも口に詰め込んでいったら、おのずと解像度も上がっていくのかなと思うので、頑張って活躍して、たくさんの皆さんの目に触れる機会が作れたらいいなと思っています。
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