Billboard JAPAN


Special

ビルボードジャパン“HOT 100”における女性アーティストの割合を調査

コラムバナー

“JAPAN HOT 100”女性アーティスト比の現状

 2022年の年間Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で、Aimerの「残響散歌」が総合首位を獲得した。2008年からスタートした同チャートの歴史のなかで、女性ソロアーティストの年間首位獲得はAimerが初となる。

 2022年は他にも、映画『ONE PIECE FILM RED』関連曲が各チャートを賑わし、老若男女問わずファン層を拡大したAdoや、自身の地元である兵庫県西宮市・阪神甲子園球場での弾き語りライブを成功させたあいみょんなど、数々の女性アーティストがキャリアハイを更新した。

 しかしビルボードジャパンチャートでは、女性アーティストの躍進の多くがあまり反映されていないように思う。図1は、2019~2022年の“JAPAN HOT 100”年間チャートトップ500にチャートインした女性アーティストの割合を示したグラフだ。グラフの通り、この4年間上位にチャートインした女性アーティストの組数は3割程度にとどまり続けている。


<図1>2019~2022年のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート”JAPAN HOT 100”年間チャートトップ500の女性アーティスト比率

 2022年にトップ500にチャートインした女性アーティストの総数は65組。ジャンルで分けると、国内ソロが29組、国内グループ(構成メンバーが2人以上)が18組、K-POPが13組、洋楽が5組、二次元カルチャー(キャラクターソング/VTuberなど)が0組だった。

 曲数で数えると、女性アーティストの楽曲は全500曲中135曲と3割を下回る。なかにはトップ500に15曲を送り込んだAdo、12曲を送り込んだあいみょんなどトップレベルの曲数を誇るアーティストもいるが、6割は1曲のみのチャートインだった。男性/その他/不明のアーティストの1曲のみのチャートイン割合が54%であることを踏まえると、女性アーティストのほうが単曲のヒットが多く、アーティスト起因のリスナーが少ないことが推測できる。

 なお4年連続で年間トップ500入りしたアーティストの割合は、女性アーティストが44%、男性/その他/不明のアーティストが41%と、ヒットし続けているアーティストに関しては、性差はそこまで大きくないようだ。

上位ほど女性アーティストがチャートインしにくい?

 このような傾向は上位だけなのか、続いてはチャート下位まで調査してみたい。図2は、2022年の“JAPAN HOT 100”年間チャートの女性アーティスト比率をトップ100、1000、2000、3000で区切ったグラフである。女性アーティストの割合はトップ100が23%と最も低く、トップ1000以降は30%前半代を微増し続けている。


<図2>Billboard JAPAN 総合ソング・チャート”JAPAN HOT 100”2022年の年間チャート トップ100~3000の女性アーティスト比率

 さらに図3は、2022年のトップ100~3000にチャートインした女性アーティストのジャンル割合を示したグラフだ。下記のグラフを見てみると、下位になるにつれて内訳に変化が見られる。


<図3>Billboard JAPAN 総合ソング・チャート”JAPAN HOT 100”2022年の年間チャート トップ100~3000にチャートインした女性アーティストのジャンル

 トップ100では0組だった二次元カルチャーは、下位に行くほど存在感を増し、トップ3000では国内ソロに次いでシェア2位となる。一方K-POPは、トップ100では3割を超えるシェアを占めていたものの、2000位以降は新規チャートインが0組だった。またトップ1000以降はアイドルグループのチャートインが増えるため、国内グループの割合が増加していることもわかった。

アーティスト単位のブレイクが難しい?

 これらのデータより、女性アーティストは大きな支持を得ているアーティストも一定数いるものの、男性/その他/不明のアーティストに比べると割合が少ないことがわかった。また特定のシーンやコンテンツに紐づいているアーティストが多く、その傾向は下位になるほど顕著になっていく。そしてここから新たに浮かび上がってくるのは、特定のシーンやコンテンツに紐づいていない女性アーティストは、たとえタイアップで一時的に注目されたとしても、アーティスト自身のブレイクに繋がりにくい状況があるのでは?という疑問だ。

 この問題の解決の糸口を見つけるには、フェスや音楽番組の出演数、音楽事務所に所属しているアーティストとリリースのジェンダー比など、さまざまなデータをもっと調査する必要があるだろう。ビルボードジャパンは今後もリサーチを続け、この課題をより多くの人とシェアしていきたい。

 なおビルボードジャパンでは、米ビルボードで2007年より開催されている【Billboard Women In Music】の日本版プロジェクトを昨年より始動した。3月30日に開催される「Billboard Japan Women In Music Sessions」では、日本の音楽マーケットにおけるジェンダーバランスをテーマに、前半は「フェスにおけるジェンダーバランスと今後のあり方」、後半は「チャートから見るジェンダーバランス」について、現在の日本での課題とその解決に向けたディスカッションを行う。同セッションは生配信も予定しているので、ぜひ参加してみてほしい。

関連キーワード

TAG

ACCESS RANKING

アクセスランキング

  1. 1

    【ビルボード 2023年 年間Hot Albums】今年最速でミリオン突破、King & Prince『Mr.5』が総合アルバム首位(コメントあり)

  2. 2

    【ビルボード 2023年 年間Top Composers】大森元貴、年間JAPAN Hot 100に作曲家最多となる11曲を送り込み首位に(コメントあり)

  3. 3

    【ビルボード 2023年 年間Top Lyricists】ストリーミングで圧倒的強さを発揮、大森元貴が1位に(コメントあり)

  4. 4

    <インタビュー>King Gnuが『CEREMONY』を終えてたどり着いた場所――4年ぶりAL『THE GREATEST UNKNOWN』での変化、見えてきた“世界”【MONTHLY FEATURE】

  5. 5

    Billboard JAPAN 2023年 年間チャート発表、YOASOBIが【JAPAN Hot 100】&【Artist 100】/King & Princeが【Hot Albums】首位に

HOT IMAGES

注目の画像