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【特集】「BANG!」が全米トップ10入り!BBMAsにもノミネート中のAJRに注目



AJRインタビュー

 ニューヨーク発のDIYポップ・ロック・バンド、AJRが2021年3月26日に最新アルバム『OK ORCHESTRA』をリリースした。「これまでに制作したアルバムの中で最も実験的で感情的に生々しいアルバムだ」と語る本作には、AJR最大のヒット曲「BANG!」や最新ナンバー「Way Less Sad」など全13曲が収録。デビュー前から地道に活動を続け、デビュー後もコンスタントに作品を発表し続けてきた結果、2021年、再びブレイクを迎えている彼らの経歴を振り返ってみよう。2022年には全米ツアーとワールドツアーを控えている彼らのインタビューもお届けする。(左から:アダム・メット、ジャック・メット、ライアン・メット)

 アダム、ジャック、ライアンの兄弟バンドAJRは、今が一番、自身の音楽キャリアのなかで乗りに乗っている時期と言えるだろう。今年1月に、2020年2月リリースの「BANG!」が約1年を経て米ビルボード・ソング・チャート“HOT 100”で最高8位を記録し(ロック・チャートでは最高2位)、本曲を収録した通算4枚目となる最新アルバム『OK ORCHESTRA』もアルバム・チャート“Billboard 200”で10位、ロック・アルバム・チャートとオルタナティブ・アルバム・チャートでは1位を獲得するなど、“2021年はAJRに注目の年”と言っても過言ではない。

 年齢の順ではアダム(Ba.)、ライアン(Key.)、ジャック(Vo.)となるメット兄弟は、影響されたアーティストにザ・ビーチ・ボーイズやサイモン&ガーファンクルをあげる。3人は、地元マンハッタンにあるワシントン・スクエアやセントラル・パークなどで路上ライブをし、そこで集まったわずかなお金を楽器や機材の購入、レコーディング、そして楽曲制作費にあてて音楽活動を続けてきた。そんな彼らに転機が訪れたのは、2012年11月のこと。スポンジ・ボブの声をサンプリングした自身の楽曲「I'm Ready」のミュージックビデオのリンクをライアンが音楽関係者やセレブたちへ一斉ツイートしたところ、一人のシンガーが反応したのだ。オーストラリア出身のシンガー・ソングライターのシーアである。2014年の大ヒット曲「シャンデリア」がリリースされる前ではあるが、デヴィッド・ゲッタの「タイタニウム」やフロー・ライダーの「ワイルド・ワンズ」の客演、そしてリアーナの大ヒット曲「ダイヤモンズ」を手がけたことで当時注目を浴びていた彼女の協力によって、AJRは翌2013年8月にEP『I’m Ready』をリリース。シーアの出身国であるオーストラリアで人気に火が付き、大型チェーン店の店舗で使われたり、ラジオでプッシュされたりと、徐々に本国アメリカでも注目を集めるようになる。その時、ジャックはまだ高校生だったという。


 その後、コンスタントに作品をリリースし続けたAJRは、2019年4月に発表した前作『Neotheater』が全米アルバム8位、Spotifyでは「Sober Up」がヒットするなど、ここ数年で再び勢いを増し、今年の全米トップ10入りを経て、現在のチャートを席巻する人気アーティストへと、そのポジションを確立しつつある。


 作詞、作曲、プロデュース、演奏、歌唱のすべてを自分たちで行うAJRの特徴はなんといっても、そのキャッチーなサウンドだ。遊び心溢れる実験的な音使いと予測不可能なアレンジが、リスナーを飽きさせないのと同時に、彼らのミュージック・テイストをジャンルレスにもしている。コロナ禍によって外出もままならず、音楽ファンの楽しみでもある音楽フェスやライブが従来のスタイルで開催されるのが難しい時期が続き、エネルギーやストレスが発散されずに溜まっていくだけの日々を送っている人も多いと思うが、最新アルバム『OK ORCHESTRA』は、それを解消してくれるような、お家フェスにもぴったりの素晴らしいアルバムに仕上がっている。

 そんなAJRは現地時間5月23日に開催される【2021ビルボード・ミュージック・アワード】(BBMAs)で<トップ・デュオ/グループ賞><トップ・ロック・アーティスト賞>そして<トップ・ロック・ソング賞>の計3部門にノミネート。【BBMAs】の賞は、アルバムやデジタル・ソング・セールス、ストリーミング、ラジオのエアプレイ、ツアー、ソーシャル・エンゲージメントなど、音楽とファンのインタラクションに基づいており、米ビルボードとMRCデータを含むデータ・パートナーによって集計されている。文字通り、実績も人気もあるアーティストに贈られるこのアワードで、AJRはBTSやマルーン5、AC/DC、マシン・ガン・ケリーといった人気アーティストに混ざってノミネートされている。その結果に期待が高まるなか、リード・ヴォーカルのジャックが日本のファンのためにインタビューに答えてくれた。

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(左から:アダム、ジャック、ライアン)

――DIYで楽曲制作を始めようと思ったきっかけは何ですか?

ジャック:2005年にニューヨークの公園でストリートパフォーマンスをしながらバンドを始めたんだ。人を楽しませるのが好きだったから、聴いてくれる人の前に出るのは自然な流れだと思ったよ。最終的には、レコーディング機材を購入できるだけのお金を稼いで、それ以来、ベッドルームで音楽を作ってるんだ。

――DIYで楽曲制作をする上で大変なことや苦労することは何ですか?

ジャック:ライターズ・ブロック(アイデアが何も思い浮かばなく、制作上、低迷している状態)はとても厄介で、インスピレーションがなかなか得られなかったりする。共同作曲者や共同プロデューサーがいれば、そのような状態から抜け出すことができるんだけどね。だけど、俺たちはいつも曲のコンセプトを見つけるまで、フラストレーションを抱えて過ごすことを好んでいるよ。


――楽曲制作する際の各メンバーの役割/担当は毎回決まっていますか?

ジャック:長い間一緒に仕事をしていると、みんなの得意分野が分かってくるんだ。ライアンは主に歌詞と楽曲制作を、俺は主にメロディーを、アダムはビジネス面を担当しているよ。

――「I’m Ready」をTwitterにて多数のアーティストに一斉送信し、シーアが反応したことでデビューをしたという認識なのですが、当時シーア以外から返信や反応はありましたか?

ジャック:いや、その日は何百人もの有名人にツイートしたんだけど、反応があったのはシーアだけだったよ。とてもラッキーだったね。

――ミュージックビデオも自分たちで構成などを考えているんですか?

ジャック:音楽によく合うユニークなスタイルにするために、最近のミュージックビデオは全て共同で監督しているよ。

――今作に込めたメッセージやコンセプトはどういうものでしょうか?

ジャック:『OK ORCHESTRA』はミュージカル劇場からの影響が強いんだけど、それ以外の部分だと、可能な限りモダンでクリエイティブなものを目指したよ。アルバムに収録されている全ての曲が、それぞれ異なるサウンドになるようにすることが俺たちの大きな目標なんだ。だから、懐かしさ、高揚感、悲しみなど、さまざまなものを表現したいと思ってるよ。

――アルバムのタイトル名『OK ORCHESTRA』はどういった理由で決まりましたか?

ジャック:『OK ORCHESTRA』というタイトルは、“OK、大丈夫”という感覚から来ているんだ。妥協して、次に何が起こっても、今この瞬間、俺たちは大丈夫だということに気づく、というコンセプトが多くの曲にちりばめられているんだ。


――「BANG!」と「Way Less Sad」にはそれぞれどのようなメッセージを込めて制作しましたか?

ジャック:「BANG!」は大人になって、親がやっているのを見ていたことをすべてやるということ。「Way Less Sad」は小さな勝利を祝うことをテーマにしているんだ。

――アルバムの中で特に聴いてほしい曲などはありますか? もしあれば理由もお聞かせください。

ジャック:聴いてほしい曲は常に変わるけど、今は「3 O’clock Things」という曲が俺らのお気に入りだね。これは、どうでもいい方法で、とても重要な問題に取り組んだ、俺たちが実践したい作曲スタイルなんだ。

――日本に来たことはありますか? もし来たことがない場合は、どのような印象を持っているか教えてください。

ジャック:日本に行ったことはないけど、行きたい場所リストの一番に入っているよ! 今年か来年には行きたいね!

――日本のファンにメッセージをお願いします!

ジャック:応援ありがとう! 早くツアーでみんなに会えるのが待ち遠しいよ!

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