2025/12/31 14:00
2025年12月30日、『第67回輝く!日本レコード大賞』が発表され、Mrs. GREEN APPLE「ダーリン」が大賞に輝いた。3年連続大賞受賞はバンドとしては史上初の快挙だ。2022年3月18日の活動再開から約3年にわたって続いたフェーズ2は、1月1日からフェーズ3へ移行する。数々の記録を生み、全国のファンの記憶に深く刻まれたフェーズ2の軌跡をたどる。
フェーズ2を振り返ってみると、たくさんの出来事があった。新章の幕開けを告げた「ニュー・マイ・ノーマル」に続いてリリースされた「ダンスホール」は2022年当時、自身最速のストリーミング1億回突破曲に(現在までに8億回以上再生されている)。Mrs. GREEN APPLEは、国内ストリーミング総再生数が100億回を突破した初のアーティストとなり、2025年11月末までに累計148億回まで伸ばしている。ストリーミング1億回再生を超える楽曲数は、これまた史上最多の31曲を誇る(どちらもBillboard JAPAN集計)。
2025年のBillboard JAPAN年間チャートでは、「ライラック」が総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”のトップに(計5冠を達成)。大森元貴(Vo. / Gt.)は、Billboard JAPAN初となる作曲家チャート“Top Composers”と作詞家チャート“Top Lyricists”の両方で、3年連続首位を獲得した。
2024年4月の「ライラック」から8月「familie」までの5か月連続リリースは驚きだったが、今年はそれをさらに超える6か月連続新曲リリースがあった。4月の第一弾「クスシキ」はTVアニメ『薬屋のひとりごと』第2期第2クール オープニングテーマ、続く「天国」は映画『#真相をお話しします』主題歌、「breakfast」は朝の情報番組『サン!シャイン』テーマソング、「Carrying Happiness」は東京ディズニーリゾートのスペシャルイベント『サマー・クールオフat Tokyo Disney Resort』のテーマソングに起用され、8月の「夏の影」は『キリン 午後の紅茶』CMソング、ラストを飾る「GOOD DAY」は大森がブランドリーダーに就任した『キリン グッドエール』のCMソングと、どれもジャンルの異なるフィールドの関連楽曲を担当しており、バンドのリーチパワーの高さを物語っている。
ライブ活動も盛んで、2024年夏に兵庫・ノエビアスタジアム神戸と神奈川・横浜スタジアムで開催されたツアー【ゼンジン未到とヴェルトラウム~銘銘編~】は、“日本のバンド史上最年少スタジアムツアー”に(計4日間で約15万人動員)。同年10月~11月に神奈川・Kアリーナ横浜で行われた【Mrs. GREEN APPLE on “Harmony”】は、日本では珍しい10公演に及ぶ定期公演で、チケットは早々に完売、のべ20万人を動員した。アデルやセリーヌ・ディオン、ブルーノ・マーズ、バックストリート・ボーイズといった海外の超大物アーティストたちの定番となりつつあるこの定期公演=レジデンシーの認知を大きく押し広げた。
ポップでスペクタクルな演出が魅力的なミセスだが、シアトリカルなFCツアー【The White Lounge】も大きな注目を集めた。ネタバレ厳禁でスタートした本公演はMCなしの二部構成で、歌にダンスに演技ありと、従来のバンドのイメージを大幅に塗り替えた。後に映画化された『Mrs. GREEN APPLE // The White Lounge in CINEMA』は全国106館で封切され、週末ランキング初登場1位、興行収入18億円以上のヒットに導いた(興行通信社調べ)。今年11月には、ミセスに300日間完全密着したドキュメンタリー『MGA MAGICAL 10 YEARS DOCUMENTARY FILM ~THE ORIGIN~』と、7月に神奈川・山下ふ頭で開催された野外ライブを再構築したライブフィルム『MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE ~FJORD~ ON SCREEN』という、2本の映画の同時公開も記憶に新しい。
映画といえば、大森と藤澤涼架(Key.)が銀幕デビューも果たした。大森は菊池風磨(timelesz)とともにミステリー作『#真相をお話しします』で映画初主演に挑み、その高い演技力を見せつけ、藤澤はバカリズム脚本の『ベートーヴェン捏造』でショパン役を演じた。さらに大森は、NHK連続テレビ小説『あんぱん』(2025年3月~9月)で、名曲「手のひらを太陽に」を作曲した音楽家・いずみたくをモデルとしたいせたくや役を好演。いせたくやを主人公にしたスピンオフ・オーディオドラマ『さいごのうた』は1月3日にNHK-FMでオンエアを控えている。一方の藤澤は、1月スタートのTBS日曜劇場『リブート』で、なんと永瀬廉(King & Prince)のバディ役でドラマ出演も果たす。
若井滉斗も他二人と違う得意分野で活躍している。多くのギターキッズが「ライラック」の高難度イントロに挑戦するなか、初の韓国公演【MGA LIVE in SEOUL, KOREA 2025】では流暢な韓国語で観客を魅了。さらに、MCを務めるテレビ朝日の音楽バラエティー番組『M:ZINE』ではK-POPグループとのダンスチャレンジにも挑み、MCやダンスセンスでも注目を集めている。
そして、先日フィナーレを迎えた5大ドームツアー【DOME TOUR 2025 “BABEL no TOH”】も外せないトピック。会場中央に高さ20mのバベルの塔が出現するという驚きの演出は多くのファンやメディアの度肝を抜いた。
その東京ドーム公演を終えた翌日から、年末の音楽番組に引っ張りだこの3人は、『第76回NHK紅白歌合戦』では初の白組トリという大役が待っている。披露される「GOOD DAY」は、大森が「日本を丸ごと明るくする」ことを念頭に書いたポジティブなメッセージソングだ。
今年の『紅白』は放送100年を記念し、懐かしい演出や楽曲を通して視聴者に音楽の歴史を継承する構成に。その“紅白スペシャルメドレー”でMrs. GREEN APPLEは、坂本九や坂本スミ子、渥美清、黒柳徹子ら錚々たるキャストが出演した音楽バラエティー『夢であいましょう』の同名テーマソングを披露することが決まっている(ちなみに、本番組から生まれた「上を向いて歩こう」は「SUKIYAKI」という曲名で、米ビルボードで3週連続1位に輝いた)。さらに、『あんぱん』スペシャルステージで大森が「見上げてごらん夜の星を」を歌唱することも発表されており、フェーズ2の最後の最後まで、ファンにたっぷりとその姿を届ける。
『輝く!日本レコード大賞』で、大森はバンドを代表して、「3連覇という意味を、大義を感じております。これからも真摯に楽曲を作ってまいりたいと思います。精進したいと思います。ありがとうございます」「聞いてくださる方がいなければ、我々が活動している意味はありません。ひとつひとつ、毎日毎日、日を追うごとに感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます」と感謝を述べた。若井も先日の東京ドームで「たくさんの方がそれぞれの環境やタイミングで僕たちに出会ってくれて。それはかけがえのないことです」「こうしてツアーをまわれるのもライブができるのも、皆さんが僕たちの音楽を好きでいてくれて、ライブに来てくれるからです。そんな一人ひとりの思いが集まってできることなんだと思います」と語っていたように、令和を代表するバンドでありながら、ファン一人ひとりに感謝し、寄り添い続ける姿勢は、今後も変わらないだろう。
Billboard JAPANのインタビューの中で、来るフェーズ3について、「何かとんでもない変化があるというわけではなく、あくまで我々の指標というか、指針のひとつのタームにすぎないので、今までと変わらず、皆さんに楽しんでもらえるようにやっていきます」(大森)、「Mrs. GREEN APPLEをもっと深く楽しんでもらえるような、もっと愛してもらえるような期間にしたいと思っています。楽しんでいただけるように僕たちも頑張ります」(藤澤)と述べていた。フェーズ2と同じくらい、もしくはそれ以上の楽しみと驚きを今後も届けてくれることが期待される。Mrs. GREEN APPLEの3人が、フェーズ2を経て、さらなる挑戦への新たな一歩を踏み出す姿に注目したい。
Text by Mariko Ikitake
【Mrs. GREEN APPLE 2023-2024 FC TOUR “The White Lounge”】古溪一道(田中聖太郎写真事務所)
【Mrs. GREEN APPLE ゼンジン未到とヴェルトラウム~銘銘編~】田中聖太郎・石井亜希・河村美貴・MASA・古溪一道・ヨシモリユウナ・金谷龍之介・大場暁史
【Mrs. GREEN APPLE on “Harmony”】田中聖太郎写真事務所
【MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE~FJORD~】田中聖太郎写真事務所
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