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2026/08/21 18:00

【Book Insight】『ちいかわ』映画が動かしたのは音楽だけではなかった 原作8巻と1・2巻が書籍チャート100位圏内に

 7月24日、映画『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』が公開された。原作者・ナガノが2023年3月から11月までXで連載した長編"セイレーン編"(通称・島編)を、完全監修のもとで映像化した作品だ。

 その反響は、まず音楽チャートに現れた。8月19日公開(集計期間:8月10日~16日)の総合アルバム・チャート"Hot Albums"で、映画のオリジナル・サウンドトラックが総合首位を獲得した。また同じ週の"Heatseekers Songs"(急上昇曲チャート)でも、劇中歌が5曲チャートイン。1位「島のうた(セイレーンver.)」、2位「机さする」、3位「くつずれ」など、劇場で流れた楽曲がそのままチャートを賑わせた。

 この音楽チャートの動きと軌を一にするように、書籍チャートにも変化が起きていた。同じ集計週(集計期間:8月10日~16日)の"JAPAN Book Hot 100"で、『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』の1巻が57位、2巻が64位、8巻が53位と、そろって100位圏内に浮上していた。

 この3冊の並びには意味がある。8巻は、2025年11月刊行の最新巻であり、映画の原作そのものである"セイレーン編"を完全収録した1冊だ。映画を観た人が「原作ではどう描かれていたか」を確かめるために手を伸ばすとすれば、まず向かう先がこの8巻になる。

 一方、1巻・2巻は2020年の連載開始当初のエピソードを収めた、シリーズの入り口にあたる巻だ。1巻にはちいかわやハチワレ、うさぎなどといったキャラクターたちのほのぼのとしたエピソードが描かれる一方、2巻では"草むしり検定"をはじめ、実社会を思わせるような『ちいかわ』特有の世界観が際立っている。映画をきっかけに『ちいかわ』のキャラクターや、『ちいかわ』の世界そのものを初めて知りたいと感じた層は、8巻から読み始めるのではなく、物語の始まりである1巻や2巻に立ち返る。8巻が「原作の答え合わせ」を求める動きだとすれば、1巻・2巻の上昇は「映画公開をきっかけに新規層が『ちいかわ』の世界観を理解する」動きだと読める。

 「原作そのもの」と「物語の入り口」が同時に強く反応した動きこそ、映画をきっかけに新旧の読者が同時に動いたことを示す証拠と言えるだろう。

 映画のヒットは、サウンドトラックを7年ぶりの総合首位に押し上げた。そして同じ熱量は、音楽チャートと同時に、原作コミックスの中でも特に意味を持つ3冊を100位圏内に押し戻す形で、書籍チャートにも刻まれていた。ジャンルを越えた一つのコンテンツが、音楽と書籍という異なるチャートの上に、ほぼ同時に足跡を残していた。


Text by 張ヶ谷 碧