Billboard JAPAN


Special

ロック・イン・ジャパン・フェスティバル 2014 特集レポート

RIJF2013

今年で15周年のアニバーサリー・イヤーを迎えた【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014】が茨城・国営ひたち海浜公園にて開催。今年は2週に渡り、計4日間に渡って開催。その2週間の熱狂をライブ写真と共にお届け。

WEEK 1:DAY1. 8月2日

0802

 台風の接近で雨予報の噂もあったが、無事、快晴の空の下スタートした初日。最大規模の動員数を誇る<GRASS STAGE>のトップバッターは、RIJF初登場となった稀代のエアバンド、ゴールデンボンバー。メンバー全員がローラースケートで登場すると、Gt.喜矢武 豊のスイカの早食いなど、規格外のパフォーマンスはこの大舞台でも健在。さらには、喜矢武、歌広場、樽美酒の3人が、全身を青いペンキで染あげた状態で放った「女々しくて」など、彼らの破天荒なパフォーマンスで歓喜の渦を巻き起こした盛大な幕開け。さらに、夏の代名詞と言っても過言ではないであろう、湘南乃風、RIP SLYMEの2組が立て続けに登場。サマー・チューンを連発し、灼熱の<GRASS STAGE>をさらに熱く盛り上げた。

0802

  一方、他ステージでも圧巻のアクトが展開していく。<PARK STAGE>のトップを飾った赤い公園は、彼女らに惚れ込んだ、元・東京事変のベーシスト、亀田誠治がプロデュースを手掛けた新曲「サイダー」を披露し、熱感を切り裂くような爽快なサウンドでオーディエンスの心を鷲掴み。<SOUND OF FOREST>でも、PUFFYが豪華バンドメンバーとともに「渚にまつわるエトセトラ」、「アジアの純真」など、鉄板ナンバーを歌い上げ、心地良い一体感が会場中を包み込んでいた。

0802

 本イベント、4日間を通しても、初登場の目玉の1組であるEvery Little Thingは、1万人収容の<LAKE STAGE>を、これでもかとゆうオーディエンスで埋め尽くしてみせ、懐かしの名曲から最新曲までを披露し、集まったオーディエンスを虜にした。

0802

 そして、各ステージで若手からベテランまでがひしめきあうトリの中でも、出演発表時から一際注目を集めていたのは、10年ぶりの本イベント登場となったKICK THE CAN CREW。ステージに姿を現すと同時に、物凄い歓声がひたちなかの夜空に響き渡り、スモーク&火柱のド迫力の演出の中の「マルシェ」スタートに会場中が熱狂。アンコールではダウンジャケットを着て登場し、名曲「クリスマス・イヴを披露。真夏を忘れさせてくれるような素敵な演出で初日を堂々と締めくくった。

WEEK 1:DAY2. 8月3日

0803

 2日目も、昨日に劣らない灼熱の日差しがひたちなかに襲いかかったが、そんな日差しが似合う男たち、KEMURIが<LAKE STAGE>に登場。心も体も躍らされてしまうスカ・パンクのグルーヴが、会場に到着し始めたオーディエンスたちをも誘い込み、凄まじい熱狂を生みだしていた。

0803

 <SOUND OF FOREST>では、先日、ヨーロッパツアーを終え、凱旋初ライブとなったtricot、EMI Recordsに移籍しノリに乗るFLiPら、ガールズ・バンドたちが躍動。<BUZZ STAGE>にて行われたスペシャル・アクト“BUZZ SPECIAL”には、ギターを弾いて歌う、通称“ギタ女”が大集結。片平里奈、住岡梨奈らが、透き通るような歌声で会場中を魅了した。

0803

 そんな若手女子たちの力漲るパフォーマンスとはひと味違う魅力をみせたのは、90年代の歌姫ブームを席巻してきたChara×韻シストBANDとthe brilliant greenのステージ。日の落ち始めてきたひたちなかの空に響く歌声は、大人の色気を感じさせる、艶やかなアクトであった。

0803

 圧倒的ライブパフォーマンスで唯一無二の存在感を放っていたONE OK ROCK、昨日KICK THE CAN CREWとしてトリを飾ったKREVAが、今度はソロとしてステージに立つなど、白熱した展開をみせた2日目の<GRASS STAGE>。その名だたるアーティストの中アンカーを務めたのは、もはやフェスでのトリとしてもお馴染みであろう、サカナクションである。

0803

 夕闇に包まれたひたちなかの空の下、横一線に5人が並び、無数のレーザー光やCGアニメーションとシンクロするようにエレクトロ音を轟かせたパフォーマンスから、バンド・スタイルで放った「グッドバイ」、アンコールの「ナイトフィッシングイズグッド」など、代表曲を惜しげもなく投下。オーディエンスを躍らせ続け、映像、照明、音響をフル稼働させた壮大なアクトは、会場中を美しき音世界へと誘い、2日目をフィナーレへと導いた。

NEXT PAGE
  1. < Prev
  2. WEEK 2
  3. Next >

WEEK 2:DAY3. 8月9日

0809

 あいにくの天気の中のスタートとなった3日目は、今年メジャーデビューを果たした新進気鋭の若手ロック・バンドたちが躍動する。<PARK STAGE>に登場したキュウソネコカミ、ゲスの極み乙女。らが圧倒的な訴求力で会場をオーディエンスで埋め尽くした。<WING TENT>でも、テスラは泣かない。、KNOCK OUT MONKEYらが、鬼気迫る大迫力のライブでオーディエンスを湧かせる。

0809

 昨年のROCK IN JAPAN FESTIVALやCOUNTDOWN JAPANに続々と登場してきたアイドル勢力。その中でも現在、破竹の勢いで快進撃を続けるのが、でんぱ組.incだ。オーディエンスで<SOUND OF FOREST>のフィールドが埋め尽くされた状態を見るだけでその注目度の高さがうかがえる。“でんでんバンド”と名付けられた生バンドをバックにライブ鉄板曲から最新曲「ちゅるりらちゅるりら」とカラフルに変化する楽曲たちを熱演。彼女たちの人気は既にジャンルを飛び越え、多くの音楽ファンに受け入れられていた。

0809

 そして、もう1組、快進撃を繰り広げているチームしゃちほこ。<WING TENT>に登場となったが、その熱気は開演前から単独公演の様相。何より、推しメンたちのTシャツやグループのタオルなどを身に着けたファンたちの姿はステージに立つメンバーよりカラフル。ライブ当日にはリリース前であった1stアルバム『ひまつぶし』からの楽曲も披露され、全力のパフォーマンスに脅威の反応速度でレスポンスを返すファンたちの姿は初見のロック・ファンたちを虜に。

0809

 <GRASS STAGE>では、小雨が降り続く中、2年ぶりのRIJF出演となったチャットモンチーが4人体制で登場。サポートメンバーとしてドラマーに恒岡章、キーボードには下村亮介を迎えた新体制で新曲「いたちごっこ」、「こころとあたま」を披露。続いて登場した矢沢永吉は、本イベント直前に出演発表されたのにも関わらず、<GRASS STAGE>に集った、客席を覆い尽くすほどのオーディエンスを超ド級のロックンロールで圧倒してくれた。

0809

 そして、3日目の<GRASS STAGE>のクローザーを務めたのは、ASIAN KUNG-FU GENERATION。「ソラニン」での幕開けに会場は歓喜に沸き上がった。彼らの描き出す壮大かつ緻密なアンサンブルが夜空に心地よく響き渡り、オーディエンスもその音像に酔いしれる。アンコールでは、NUMBER GIRLの「透明少女」を披露するなど、アジカンのパフォーマンス力を存分に魅せつけたアクトで3日目を締めくくった。

WEEK 2:DAY4. 8月10日

0810

 最終日を迎えた<GRASS STAGE>のトップバッターは、先日ミュージック・ジャケット大賞を受賞し話題を呼んだmiwaが登場。今年で5年連続の出演となった彼女だが、初の<GRASS STAGE>とゆう大舞台でも変わらず天真爛漫に、高らかに歌い上げた。さらに、エレファントカシマシ、10-FEETといった熱いバンドたちが熱の籠ったパフォーマンスでオーディエンスを盛り上げる。

0810

 SCANDAL、ORANGE RANGEらは、鉄板サマー・チューンを次々と投下し灼熱の夏を取り戻すかのように<LAKE STAGE>にシンガロング巻き起こすなど、最終日も各ステージで圧巻のアクトが展開していった。

0810

 今回出演の大森靖子にも注目。椎名林檎の「本能」が流れると、赤く染まったピンクのナース衣に身を包んだ彼女が登場。背中には「終」の文字。SEに合わせて熱唱した後、担いでいたアコギを床に何度も叩き付け一言。「日本のロックを壊しにきました・・・なんのために?・・・治すためですよ。」9月にメジャー・デビューが決まっているなどということは関係ない。まさかのオープニングにオーディエンスも唖然とする中、「さようなら」からライブがスタート。飾り気のない詞を自身の爪弾くギターに乗せ、「音楽を捨てよ、そして音楽へ」や「Over The Party」、「絶対少女」などを時に語りかけるように、時に叩き付けるように投げかけていく。「今日は出禁にならないことが目標です。」と、これまで色々とやらかしてきたパフォーマンスを封印したが、それを抜きにしても聴きごたえのある歌声と、詞、メロディがじわりじわりと、オーディエンスの心を侵食していく。まるでオープニングに放った「ロックを壊す」発言が現実となったようなどしゃ降りの雨の中、ラストは「君と映画」。してやったりと、大粒の雨を味方にして満員に膨れ上がったオーディエンスに深々と頭を下げてサラりとステージを後にした。

0810

 燦々と日差しが降り注ぐ<SOUND OF FOREST>は、まさに彼女の夏フェスデビューを飾るにふさわしい舞台。昨年のCOUNTDOWN JAPAN 13/14を経て、再びTHE GROOVERSの藤井一彦、the HIATUSのウエノコウジ、GREAT3の白根賢一ら豪華なバックバンドを率いた前田敦子が、ステージ上でキラキラと笑顔を振りまく。盤石の演奏に支えられて「君は僕だ」、「タイムマシンなんていらない」、「右肩」など、昨年末よりもさらに上達した歌声を披露。MCではメンバーに「どうやって盛り上がったらいいと思いますか?」と話しかけると、白根賢一の「スクリーム」という助言そのままに「スクリーム!!」と叫んだり、終始肩の力を抜いた和やかで爽やかなムードが森を包み込んだ。他のメンバーを紹介するときはハキハキと大きな声なのに、自分の紹介はすごく控えめだったり、パフォーマンスもどことなく照れくささが感じられたりと、まだまだ歌手としては発展途上(そこが強みなのかもしれない)だが、そんな姿に思わず「頑張れ!」とエールを送りたくなる前田敦子の魅力が存分に詰まったステージであった。

0810

 また、今年から新設された「BUZZ SPECIAL」は最終日に注目したい。激動のアイドル・シーンで日に日に存在感が増している6組が登場。トップは最強地下アイドル仮面女子が登場。ジェイソンの仮面を被った11人のメンバーが様々な凶器を持って勢いよくステージを埋め尽くす。「アリス・イン・アンダーグラウンド」の激しいヘドバンから始まり、ラストは軽快なサマーチューン「夏だね☆」で会場と一体に。ところどころで仮面を外す話題のパフォーマンスが初見のオーディエンスの心をくすぐる。THE ORAL CIGARETTESからガラリと客が入れ替わり少し温度の下がったフロアを11人全員が一丸となって暖めた。続いて登場したのはチキパことCheeky Parade。こちらもアップテンポなエレクトロ・ビートに合わせて9人が激しいダンスを披露。カラフルな衣装が華麗にステージを彩り、フロアを一段と暖めていく。「ラスト!後ろの方サボってんなよー!」と「Together」、「Cheeky Dreamer」でコール&レスポンスで締めた。そして3番手は、登場前から大きなコールに包まれたlyrical school。バスケット・ユニフォームと、アメフトシャツに身を包んだ6人が「そりゃ夏だ!」、「リボンをきゅっと」などR&Bビートに軽やかなラップを乗せていく姿に、アイドルがラップ!?と、ロック・ファンたちの好奇をそそっていた。そしてこの日のBUZZ SPECIALで唯一のソロ・アーティスト武藤彩未は小泉今日子の「なんてったってアイドル」を熱唱。「私の地元・茨城で初めてライヴさせて頂きます!」とハツラツとしたMCと、ステージを横いっぱいに使ってオーディエンスを煽りながら笑顔を振りまく姿はこれぞ王道アイドル!と感じさせられた。そしてニュースでも話題になった、サイリウムが禁止される中、ネギを振りかざす強者が登場したNegiccoは、「いつ盛り上がるの~?いまでしょ~」と観客を煽りながら「ネガティヴ・ガールズ!」「トリプル!WONDERLAND」など夏にピッタリのポップ・チューンを矢継ぎ早に披露。ステージにちょっぴりネギくさい爽やかな風を呼び込んだ。そしてBUZZ SPECIALの大トリを務めあげたレペゼン愛媛のひめキュンフルーツ缶は、これがローカル・アイドルなのか!?と思わせるほどの激しいダンスと歌で。短い尺ではあるが、それぞれのカラーを最大限に発揮。外を歩くロック・ファン達を立ち止まらせ、しばしの間虜にしていた。

0810

 KICK THE CAN CREWやRIP SLYMEとヒップホップグループが名演を繰り広げた今回、忘れてならないのがRHYMESTERだ。「たいへん、おまんたせ致しました!この時間にこのステージを選んだ皆さんの選択は、間違いない!」15分ほど押したステージも、3人が登場しただけで一気に沸点に到達。一曲目の「Choice is Yours」からエンジン全開でライムを炸裂させたかと思いきや、サクッと、さりげなく、そして歌詞もトラックも未完成状態の新曲「Still Changing」を披露。セカオワ、在日ファンクではなく彼らを選んだファンへのご褒美と言える。「into the night」、「ゆめのしま」など比較的に新しい曲を中心に選曲。9月には『Manifesto』以降の曲が収録されたベスト盤をリリース予定のRHYMESTER。MCでもそのことに触れ「MANIFESTO以降の曲で盛り上がってくれるのはすごい嬉しいし、新たな代表曲をガンガン出すのは世界的に見てもすごいこと」と語った。すでに完成しているというもう一つの新曲は「冬っぽい」ということでお預けとなったが、「Once Again」でキッチリとライブを締めくくった。短いステージではあったが、キング・オブ・ステージの貫禄をまざまざと見せつけたBUZZ STAGEのラストライブだった。

0810

 そして、今年10周年を迎え、さらに勢いに乗る9mm Parabellum Bullet、機材トラブルをも忘れさせてくれるほどの盛り上がりをみせたユニコーンのステージを経て、<GRASS STAGE>には、ついに大トリSEKAI NO OWARIがステージに登場。

0810

 雷鳴の特殊効果がステージ上を演出し、暗闇に包まれたひたちなかで始まる“ファンタジー”の幕開けはハッピーなマーチング・サウンドが響き渡った「炎と森のカーニバル」。ステージ照明やLEDパネルが色鮮やかに発光、会場は一気にヒート・アップしスタートから絶頂へ。「Love the warz」では、空気は一変し、重低音が轟き、悲痛な歌声が心に突き刺さるシリアスな楽曲にオーディエンスは心を揺さぶられる。このギャップもSEKAI NO OWARIの持ち味なのである。クライマックスでは「スノーマジックファンタジー」、「スターライトパレード」といった代表曲を惜しげもなく投下し、ラストは「RPG」で本編を締めくくった。

 アンコールに応えて登場した彼らは「インスタントラジオ」を全身全霊で披露し、オーディエンスを歓喜の音世界へと導き【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014】のグランド・フィナーレを壮大なアクトで飾った。

NEXT PAGE
  1. < Prev
  2. フェスとソーシャルサービスの融合
  3. Next >

フェスとソーシャルサービスの融合

 【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014】はWOWOWで生中継も実施されるなど、会場に行けなかった音楽ファンとも繋がってきた。そんな中、会場にいるファン、いないファンを横断して盛り上がりを見せているのが、ソーシャルネットワークだ。Twitterも約200組の出演アーティストたちの中で累計4日間のRIJ関連ツイートを集計、話題となったランキングを発表した。


1. ONE OK ROCK
2. 中川翔子
3. マキシマム ザ ホルモン
4. ゴールデンボンバー
5. [Alexandros]
6. チャットモンチー
7. SCANDAL
8. キュウソネコカミ
9. でんぱ組.inc
10. miwa


 1位となったONE OK ROCKは当日のライブ写真を掲載。ステージ後方からバンド越しに写された<GRASS STAGE>の画像は迫力満点。広大なフィールドに集まり熱狂するオーディエンスと轟音パフォーマンスを繰り広げるバンドの熱気がそのまま切り取られている。

 中川翔子はセミの抜け殻聖衣をまとって【ROCK IN JAPAN FESTIVAL】に参戦することを表明。以前もセミの抜け殻ツイートで話題となった彼女だが、今回も聖衣をまとった写真を掲載。15000を超えるりツイートを記録。

 7位のSCANDALはメンバーのHARUNAが当日誕生日で、大勢のファンからお祝いのリツイートが殺到。これはハッシュタグ #RIJF2014 と連動してアーティストのバックステージの様子を撮影してツイートするTwitterミラー (Twitter Mirror)と連動したもので、イベントを楽しむ出演者たちの様子がリアルタイムで発信されていた。

  イベントの公式アカウントはもちろん、アーティスト自身のアカウントなど、音楽ファンにとっても重要な情報収集元となっている。プロショットの美麗な映像や画像も気になるし、リアルタイムの雰囲気をそのまま切り取ったコンテンツたちも気になる…会場にいるファンにとってはステージでも繋がり、ネットでも繋がり、大忙しで嬉しい悲鳴が聞こえてくるようだ。今後も様々な繋がりを見せてくれるであろうソーシャルサービスと音楽コンテンツ。音が鳴る現場を越えて新しい楽しみ方が生まれているようだ。

関連キーワード

TAG