Billboard JAPAN


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Billboard JAPAN カンファレンス Vol.01:折田育造

Billboard JAPAN カンファレンス

 “ミュージック・マン”をゲストに迎え、過去を紐ときながら、これから訪れる音楽の未来を考えるビルボード・ジャパンの新企画【Billboard JAPAN カンファレンス】。第一回目は、元ポリドール代表取締役社長の折田育造氏を招き、日本でどうやって洋楽が広まっていったのか、レッド・ツェッペリンやロッド・スチュワートらの逸話を縦横無尽に交えつつ、音楽づくりの原点と情熱が語られた。

t1

Guest:折田育造(株式会社BOOK代表取締役 / 元ポリドール株式会社代表取締役社長)
MC:渡辺祐、榎本幹朗
Guest Performance:Rie fu
Organizer:永田純

日本で洋楽が広がった時代 / 1950年後半~

渡辺:折田さんは、1959年に高校を出られて、慶応義塾大学に入られるんですが、音楽との出逢いは、やはりFENラジオの影響は大きかったんですか?

折田:僕が洋楽を聴き始めたのは高校の時からかな。当時のFENで毎週土曜日夜の20時30分からTOP20っていう番組があったんです。その前の20時5分からは、ナッシュビルからの番組があって。続けて聴いていたんですよ。毎週試験勉強もしないで、ラジオにかじりついて、聞き書きしてたよ。向こうの英語のアナウンサーは、早口だから大変だったな(笑)。

渡辺:榎本さん、そういう時代、どうですか?

榎本:僕、実はちょうど歴史を振り返る連載をやっていて、ラジオの歴史とかも調べてるんですけど、ちょうどその頃って、向こうはテレビが盛り上がってきていて、そこでかかってる音楽は、フランク・シナトラとかのポップスというか、上品な音楽が流行っていて。日本でも、まだロックは流れてなかったですよね。

折田:そうだね。テレビの黎明期だったからね。NHKでも、「ミッチ・ミラー・ショー」とか「アンディ・ウィリアムス・ショー」とかね。そういうのは、よく見てたな。たしかに、ロックって言ったって、せいぜい1950年代後半って、レイ・チャールズやエルヴィス・プレスリー、リッキー・ネルソン、フランキー・アヴァロン、ボビー・ダーリンなどのアイドル系ぐらいだったからね。

日本グラモフォン~アトランティック・レコード / 1960年代後半~1970年代

折田:日本グラモフォンでは、最初の二年間は、外国課にいかされて、コレポンとか著作権印税をやってた。それで、1967年にアトランティックの担当になったんだよ。一回目の担当は、ボビー・ダーリンの「If I Were a?Carpenter」とか、バッファロー・スプリングフィールドの「For What It's Worth」とか。テープ・オーダーする仕組みすら知らないから、最初は盤起こしからだよね。

渡辺:盤起こしっていうのは、レコード盤から直接音源を取るってことですよね。

渡辺:その後、1969年に、アメリカにアトランティックのセールス・コンベンションに行かれてますよね?

折田:そうだね。少しずつ、日本でもリズム&ブルースが浸透し始めて、ご褒美でアメリカに行かせてもらったんだよ。メインの目的は、ポリドールのアメリカのオフィスに行くことなんだけど、その時アトランティックが1年に2回セールス・コンベンションをやってて、それに行ったの。

榎本:ちょうどアトランティックが、一番盛り上がってる時ですよね。

折田:60年代に入って、R&B以外をやり始めたんですよね。ソニー&シェールを契約して100万枚も売れたんですよ。そこからアーメットは、ヴァニラ・ファッジとかクリームとか、ビー・ジーズとか、ブラック・ミュージック以外をやり始めたんです。

渡辺:折田さんのアトランティックとしてのデビューは、ブラック・ミュージックやR&Bですが、ロック音楽も、日本で紹介され始めた時だったんですね。

折田:そうそう。ジョン・レノンとかポール・マッカートニーとか、髪の毛長いし、よれよれの恰好だし、汚いからってドイツの本社が断っちゃったの。バカだよね。笑。でも、その当時は、イギリスでも断られてたし、分からなかったんだよ。

渡辺:折田さんは、R&Bを担当されながらも、そういうロックが生まれてきた時代にレコード会社にいらっしゃったっていうのは、やはり大きな時代の動きを感じられたんじゃないですか?

折田:そうだね。なんか、すごいことが起きているなっていうのは感じたね。1960年代後半は、ロックがビジネス化する時代の前だから、エネルギーとかパワーが凄かったね。

渡辺:しかも担当されつつ、バンドたちの来日に立ち会えたのは刺激的だったんじゃないですか?

折田:刺激っていうか、大変だったよ。一番、悪いのはザ・フーと、レッド・ツェッペリンって言われてたの。1971年に日本に来たときなんか、ひどかったよ。物投げたりね。

渡辺:そういうの、僕らの世代では都市伝説みたいになっていますけど、本当にあったんですね。

折田:そうだよ。大変だよ。テレビも放り投げるし、昔のヒルトンに泊まったのはいいけど、お風呂の水も出しっぱなしだし、大阪のロイヤルホテルで暴れて、おもちゃの刀を振り回して傷つけちゃったりね。アメリカのアトランティックからは、事前に彼らが暴れるってことは言われてたから、損害は、印税から全部さっ引くことになってたんだ。

渡辺:印税から引いちゃうんですか?!

折田::当然だよ。笑。ロッド・スチュワートなんて、ワールドツアーの最後が東京だったから、明け方にメンバー全員でヒルトンのロビーでサッカーやっちゃったり。まあ、ロッド・スチュアートなんて可愛いもんだけど、ツェッペリンは悲惨ですよ、特にジョン・ボーナム。ロバート・プラントも広島のホテルのプラントを全部抜いちゃったりね。飲まないと、いいヤツなんだけど。

渡辺:当時は、大変だったんですね(笑)。

折田:大変だったよ。それで1972年に、ディープ・パープルが来てライブを録って良いってことになって、当時、ジェフ・ベックやフリートウッド・マックとかのプロデューサーだったマーティン・バーチが来日して、一緒に作ったの。そこで、全世界で売れたアルバム「ライブ・イン・ジャパン」が出来たんだ。それ以降、武道館でのライブ・アルバムを発売するのが流行ったの。

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渡辺:1970年前半の折田さんは、どんなお仕事をされていたんですか?

折田:ドゥー・ビー・ブラザーズとか、アメリカとか、ジャクソン・ブラウンとか、イーグルスとか。 日本の洋楽のメイン・ストリームを担当していましたね。リアル・タイムでプレスリーからずっと、ミュージック・エンタテインメントの良い時代を経験できたのは幸せでしたね。

榎本:僕は、2000年から音楽業界に入ったので、落ちる一方なんですよね。笑。折田さんは1965年からの成長を最初から最後まで見られたのは、幸せですよね。

折田:昔は、ラジオにプロモーションするにしても、「これが何位だから」とかじゃなくて、理屈抜きで、音楽に共感しながら、プロモーションできましたよね。どの年代にウケるとか、計算じゃないんですよ音楽は。たしかに、過去のマーケティングから学ぶこともありますが、クリエイティブには、そういう計算は邪魔になると思いますよ。過去の音楽と同じの作ったって、つまらないんだから。

渡辺:その後、折田さんは邦楽も担当されて、加藤和彦さんや、フラワー・トラベリン・バンドなどを担当されましたよね。日本語ロック論争もありましたね。

折田:ロックを日本語で歌うのか、英語で歌うのかってやつね。今、思うと恥ずかしいけどね。 その当時は、ロックを日本語で歌うのは違和感があったんだよね。でも、途中から日本の音楽が発展してきたから追いついてきたんだよ。

渡辺:あとは、加藤和彦さんとヨーロッパ三部作を作られたときは、現場にいられたんですか?

折田:加藤和彦の音楽的センスを超す人はいなかったし、あいつの生き方は好きだったから、あいつがやりたいことは反対したことがなかった。だから、ヨーロッパ三部作も、バハマと、ベルリンと、最後にお城で録ったんだよ。ジョルジュサンドもいたっていう、すごい古いお城なんだけど、有名なスタジオがあったんだよ。水回りは悪いしフランス人のエンジニアは使えないし、大変だったんだけど、あの作品が一番、加藤の良さが出てると思いますよ。

渡辺:加藤さんは、音楽を作る時にお城を使うっていうのが、そういう意味でも、アーティストでしたよね。

折田:エンジニアが良いからとかじゃないんだよ。彼の作るアルバムが、外国にいかないとイメージが湧かないんだよ。お金もかかるし、ヒット・メーカーでもなかったから、ずいぶん社内から言われましたけどね。でも、あいつには敵わないし、あいつの才能が好きだったから、やったんだ。

“誰でもレーベル”の時代にミュージシャンができること / ―未来

渡辺:ここで、ライブ・ゲストのRie fuさんにも入っていただきましょう。Rie fuさんは、株式会社Rie fuを立ち上げられて、ミュージック・ビジネスにも携わってらっしゃる立場だと思いますが?

Rie fu:ソニー・ミュージックから独立して、約1年になるんですが、これまでやってきて感じたことは、アーティスト自身が売れようと思ったら、ゲーム・オーバーだなってことですね。それをしてしまうと、音楽への接し方が純粋ではなくなってしまうというか。ひたすら、目の前にきてくださる貴重なお客様にサポートし続けて頂けるように、頑張ることだと思いました。

折田:今おっしゃっているように、あなたはシンガー・ソングライターとして、弾き語りをするんだから、客観的にCDになったものじゃなくて、あなたの実際の音、演奏が一番大切なんですよ。どんなフルトヴェングラーや、カラヤンの素晴らしい指揮だってCDで聴くよりも、実際ホールで、生で音を聴くことが、どれだけ素晴らしいか。自分は、レコード会社にいた人間だけど、あなたが伝えられることっていうのは、実際に演奏して歌うってことなんですよ。

Rie fu:そうですね。自分も一緒に体感できるっていうのは、幸せですよね。

折田:色んなアーティストが、今自分で会社を立ち上げて、グッズの制作からレーベルまでやってるよね。でも、一番大切なのは、実際、演奏を聴きに、コンサートに来てくれる人を大事にすること。そうすると、そのアーティストのチケットは手に入りづらくなるんですよ。あなたも、がんばってください。

―― トークセッション終了 ――

 途中、Rie fu がピアノの弾き語りで、カーペンターズ、キャロル・キングなど、自身のルーツを紐解く音楽を披露し、最後には、カレンに捧げる曲として書き下ろした「Dear Karen」で締めくくり、約3時間にわたるトークセッションは大盛況で終了となった。

 次回はトークゲストにラジオ・パーソナリティー/日本民間放送連盟顧問の亀渕昭信氏、ライブゲストには伊藤銀次氏を招き2013年11月13日、ビルボードライブ東京にて開催します。

Rie fu「Rie fu Sings the Carpenters」

Rie fu Sings the Carpenters

2013/09/04 RELEASE
DQC-1132 ¥ 2,571(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Dear Karen ~English version~
  2. 02.Sing
  3. 03.We’ve Only Just Begun
  4. 04.For All We Know
  5. 05.Please Mr.Postman
  6. 06.Superstar
  7. 07.Yesterday Once more
  8. 08.Close to You
  9. 09.Top of the World
  10. 10.Rainy Days and Mondays
  11. 11.A Song for You
  12. 12.I Need to be in Love
  13. 13.Dear Karen ~Japanese version~

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