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本田雅人と中川英二郎が【かわさきジャズ2020】で共演。気の合う二人が音楽の魅力を語る

インタビュー

 神奈川県川崎市内の各所で、9月18日から11月15日まで開催されている大規模なジャズ・フェスティバル【かわさきジャズ2020】。その目玉プログラムのひとつが、11月7日に、「昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ」で開催される本田雅人のコンサート【Masato Honda Autumn Special Jazz-Fusion Night】だ。リーダーの本田雅人(サックス)と、同コンサートに主要メンバーとして参加し、11月12日にはラゾーナ川崎プラザソルでのコンサート【TRAD JAZZ COMPANY “Trio”】のリーダーとして出演する中川英二郎(トロンボーン)に話を聴いた。数多くの場で共演し、プライベートでも仲も良いという二人の、音楽愛に溢れたトークをお楽しみください。

いろんな形で自分の音楽を見てもらえれば、と思っています。

ーーまずは11月7日の本田さんのコンサートのことを教えてください。

本田:大枠でいうと4部にわかれてまして、中川英二郎さんとトランペットのエリック・ミヤシロさんには何箇所か参加してもらうことになっています。せっかく大きなホールでやらせていただくので、いろんな形で自分の音楽を見てもらえれば、と思っています。この二人は僕のビッグバンド、B.B.ステーションでいつも参加していただいているので、それにはもちろん出ていただきますが、その他にエリック、英二郎の3人でなにかやりたいと思っています。先日英二郎がリーダーで3人だけでやっておもしろかったので、またやりたいなと。

ーー管楽器3人だけ、というのはおもしろそうですね。ところで、お二人が初めて出会ったのはいつごろですか?

中川:25年ぐらい前、僕が20歳ぐらいのときに、たしか角松敏生さんのコンサートでご一緒したのが最初だと思います。

ーー中川さんにとって、本田さんというミュージシャンは?

中川:僕は兄の影響で小さいときからフュージョンを聴いていました。それで、カシオペアとかスクエアの曲を、小学生のときベースで弾いていたんです。だから憧れのミュージシャンだったので、最初にご一緒したときは、”あの本田雅人だ!”と、いちファンとして思いましたね。その後ステージで演奏して、いろんな話をしているうちに共通する部分が多くて、お願いしたりお願いされたりで今に至る、という感じです。

ーー本田さんは中川さんのことをどう感じてらっしゃいますか?

本田:彼はちっちゃいころからジャズをやっていて、僕はお父さん(トランペッターの中川喜弘氏)を先に知っていたので、会う前から名前は知っていました。でも、出会ってからしばらくはそんなにたくさん共演していなかったですね。10年ぐらい経ってからすごくよく一緒にやるようになりました。とにかく意味がわからないぐらい天才的なプレーヤーで、それに年齢が一回りぐらい違うと言っても、彼はデビューが早いので、同じような世代の仲間、という気持ちです。ここのところは管楽器同士の仕事をするときは、ほとんど一緒にやらせてもらってます。英二郎が言ったように、音楽に対する考え方、注目する部分が近いんでしょうね。音楽のこと以外でも仲がよくて、以前一緒にハワイにいったりもしました(笑)。

中川:僕が感じるのは、二人とも多くのジャンルが好きなんですよね。ポップスのセクションをかっちりと吹くのも好きですし、ジャズのインプロも好きだし。だからジャズのインプロをやるときにも、かちっと合わせたり、逆に職人的なセクションの仕事でもちょっと遊び心を入れてみたり、ということについても気が合うから、気持ちいいですよね。で、ステージで数を重ねていくともっと近くなっていきますしね。

本田:仕事以外でも、普段からのやりとりが、英二郎がいちばん多いんじゃないんですかね

ーーところで、中川さんは、かわさきジャズで入門講座「愛しのトラッド・ジャズ」と、11月12日にトリオでのコンサートが別にありますね。

中川:入門講座は10月15日でした。僕のルーツであるトラッド・ジャズについて話をして、BBC放送が作った「ジャズの歴史」の映像、これは草創期から1950年代以前ぐらいまでのものです、を見ていただき、その後11月12日のコンサートにも出ていただくバンジョーの青木研さんと二人で演奏しました。12日は、ピアノの宮本貴奈さんと3人です。宮本さんはストレート・アヘッドなモダン・ジャズがお好きなので、トラッド・ジャズ以外にも幅広く演奏すると思います。ラテンもあり、自分のオリジナルもあり、といった感じで。



ーー本田さんはコンテンポラリーなフュージョンの方、というイメージがありますが、トラッド・ジャズやスイング・ジャズを演奏する機会はありますか?

本田:自分でやる、ということはほとんどないですね。英二郎に呼んでもらってやることはありますが、感覚としては難しいです。小さいころからトラッド・ジャズに接しているわけじゃないですから。でも楽しませてもらってます。資料を”これを聴け”と言われてもらったり。

中川:聴け、とは言ってないですよ(笑)。こういうのもありますよ、と。

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気がついたらミュージシャンになっていた

ーーこの機会ですから、お二人の音楽的ルーツについて教えていただけますか?

本田:もともと出身がすごい田舎なので、東京のようにいろんな音楽に触れる機会はないんですけど、最初はピアノを習ったことですね。でもあまり好きになれなくて、その後リコーダーを吹いたらすごくしっくりして、それで吹く楽器が好きになったんですね。で、いろんな楽器を渡されたんですけど、サックスがいちばん簡単だからサックスになりました(笑)。その後、中学高校時代はサックスよりも歌をうたって曲を作ってアレンジして、というのに夢中になって、なので、僕は日本のフォークから入ったんです。それで、当時フォークがだんだんニューミュージックと呼ばれるようになり、バックの演奏がフュージョンっぽくなってきたんですよ。それでフュージョンが好きになって、当時ギターを弾いていたので、渡辺香津美さんとかリー・リトナー、ラリー・カールトンなんかが好きでした。サックスでは渡辺貞夫さんが大ブレイクしてたので、そこからフュージョンに入って、アメリカのミュージシャンも聴くようになりました。

ーーそのあたりで国立音大に入られたんですね?

本田:そうですね、やっと東京に出ていける、と。コンサートにいっぱい行けるのが本当にうれしかったですね。僕の田舎には外国人がいなかったですからね。で、当時の国立音大は今と違ってクラシックしか教えていなかったので、学校ではクラシックを学んで、それと並行してジャズやポップスのサックスの仕事が入ってきて、気がついたらミュージシャンになっていた、と、そんな感じですね。

ーー国立音大の「ニュータイド・ジャズ・オーケストラ」というのは本田さんが初代ですか。

本田:そうです、1年のときに3年の先輩がジャズのオーケストラを作るので入らないか、と誘われて。それとは別に、早稲田大学の人たちと一緒にやっていて、そこのつながりで仕事が入ってきました。英二郎はそことは違うグループというか、数原晋さんというスタジオ・ミュージシャンとしては日本のトップ・プレーヤーのトランペッターがいらっしゃって、そっちの方で仕事をしていたのかな。僕は最初そっちの方とは接点がなかったです。

ーー中川さんはお宅が音楽一家ですが、最初に手にとった楽器は?

中川:トロンボーンを最初に手にとったのは6歳のころです。家にドラム、ベース、サックス、トランペット、バイオリンとかがあって、たまたまトロンボーンだけは今話が出た数原さんに貸していてなかった(笑)。6歳のときに〈シング、シング、シング〉という曲の最初に出てくるトロンボーンのフレーズがかっこいいな、と思って、トロンボーンをやってみたいと。で、数原さんから楽器を返してもらって始めたんです。まもなくステージに出るようになって、トロンボーンでディキシーランド・ジャズを演奏しつつ、ベースでスクエアとか、カシオペアの〈ASAYAKE〉なんかを弾いていました。今でも弾けますね、あの曲は。あとはオールディーズ、リトル・リチャードやビル・ヘイリーが大好きになりました。だから、ステージではディキシーランド、聴くのはオールディーズ、家でベースを弾くのはフュージョン、という感じです。それで14歳で自分の最初のレコードが出て、数原さんたちとスタジオの仕事をするようにもなり、クラシックの先生にトロンボーンを習っていたので音大の付属高校に入ってクラシックもやるようになりました。トロンボーンという楽器を通して、ジャズもクラシックもスタジオの仕事もして、そのどれもが好きなので、カメレオンのようにどの音楽にも溶け込むようになった、と。それが僕のルーツといえばルーツですね。ヒップホップもテクノも好きでよく聴きますよ。

より広い層の方々に聴いていただきたい

ーー【かわさきジャズ】という催しは、ジャズの熱心な聴き手やマニア以外の音楽が好きな方もたくさんいらっしゃいますよね。本田さんの11月7日のコンサートは、「本田雅人ミュージック」というか、広い意味でのジャズの素晴らしさを、コアな本田ファン以外にも伝えようというお気持ちでしょうか?

本田:【かわさきジャズ】は、僕は主に昭和音大がある新百合ヶ丘近辺で何年もやっているんですけど、その近辺の方々にだんだん定着してきたのかな、と思っています。なので、自分の曲をやっても、都内でいつもやるのとは少し違う気持ちがありますね。もともとマニアックにしないつもりではありますが、だんだん自分でもより広い層の方々に聴いていただきたい、という気持ちが強くなってきています。今回は小編成からビッグバンドまでいろいろな編成ですので、それぞれを楽しんでいただきたいという気持ちはありますね。

ーー中川さんは入門講座でお話をされたり、トラッド・ジャズを中心にしたコンサートをしたりと、ジャズの楽しさを伝えようとする活動をなさってますね。

中川:大学で教えてはいますが、レクチャーはそんなにはやっていません。でも、僕の世代でトラッド・ジャズをやっている人は世界的に少なくて、ジャズのルーツであるディキシーランド・ジャズを知っている人がいなくなっていますよね。絶滅危惧種的です。ラテンやロックやフュージョンのルーツは知っていても、ジャズのルーツであるディキシーの歴史が知られていない。それを伝えていくことはとても大事なことだ、と最近強く思います。

ーーどちらもが、ジャズの楽しさを広く伝える楽しいコンサートになることを楽しみにしています。今日はどうもありがとうございました。

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