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<インタビュー>佐藤千亜妃が語る、シンガーとしての原点とミュージシャンとしての現在地



佐藤千亜妃 インタビュー

 2019年5月に惜しまれながら活動休止した4人組バンド=きのこ帝国のフロントマンであり、同年11月に初のソロ・アルバムをリリースした佐藤千亜妃が、2020年3月に人気企画のカヴァー・ライブ【VOICE】を開催する。第4回目となる今回は、前回も行われたビルボードライブ東京に加え、大阪会場でも開催。いよいよソロ活動を本格始動させ、一人のミュージシャンとしての成長を加速させていく中、その“歌い手”としての魅力に最大限フォーカスした本企画は、ファンはもちろんポップ・ミュージックを愛する全リスナーが楽しめるコンセプト・ライブだ。

 Billboard JAPANでは今回、来たる【VOICE4】に向けて準備を進める佐藤にインタビューを実施。企画に向けた展望や意気込み、そして、改めて振り返るソロ1stアルバム『PLANET』の手応えや、すでに見据えているという次回作への道のりについてなど、話を訊いた。また、今回の【VOICE4】開催を記念した本人キュレーションによるプレイリストも公開。過去の同シリーズで披露し、特に印象深く残っている曲を集めた総集編プレイリスト、そして今後【VOICE】で歌ってみたいと考えている予告編プレイリストの2本をお届けする。ぜひインタビューと合わせてチェックしていただきたい。

歌を真ん中に立てた表現者として見てもらえるようになったのは、この【VOICE】を始めてから

――今回で4回目の開催を迎えるカヴァー・ライブ【VOICE】ですが、当初はどんな発想からスタートさせた企画だったのですか?

佐藤千亜妃(以下、佐藤):今は自分でも音楽を作ってますけど、私はもともと歌うことが好きでこの世界に入ったので、色んなヒット・ソングに対してリスペクトの想いがあるんです。ただ、そういう気持ちを表現する場所って意外とないんですよね。あと、きのこ帝国が活動していた時期、ライブでは基本的にギターを弾きながら歌っていたので、また違う側面から歌と向き合う企画がやりたかったんです。それで、楽器を弾かず歌だけに集中するライブをやろうと思って、この【VOICE】を始めることにしました。

――1回目の開催は2016年でした。以降、毎回チケットが売り切れるなど、ファンの皆さんからも人気の企画になったと思うのですが、佐藤さん自身は毎回どんな気持ちで臨んできたのでしょう?

佐藤:セットリストに入っているのは、学生時代にカラオケとかでたくさん歌ってきた曲ばかりなので、自分流にアレンジしすぎず、リスペクトを最大限に込めて表現する、というのを最初から貫いてやってます。1回目から今回の4回目まで、その根底は変わらないですね。

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――選曲の基準などはあるのでしょうか?

佐藤:前回の3回目までに関しては、自分が青春時代にずっと聴いていた曲をメインでやってきたので、なんなら改めて歌詞を見る必要もないし、歌いこなし方とかも身体に沁み込んでる曲ばかりだったんですけど、そろそろストックも切れてきて…(笑)。具体的に言うと、わりと90年代~00年代あたりの曲が多かったので、4回目ではもっと遡って昭和歌謡だったり、逆に最近の曲だったり、より幅広いコントラストを楽しんでもらえたらなって思ってます。

――例えば?

佐藤:松田聖子さんとか美空ひばりさんとか、ずっと憧れではあったもののまだ手を出してなかった方々にも挑戦したいし、最新のアーティストさんで言うとOfficial髭男dismとかもいいですね。

――カヴァー曲をライブで披露する時、ボーカリストとしてはどういった姿勢で歌と向き合っていくのでしょう?

佐藤:私、けっこう声フェチなので「ここのファルセットどうなってるの?」とか「この低音って、芯がないのに響いてくるな」とか、気になった歌い方を繰り返し聴いたりするのが昔からクセで。他のアーティストさんの歌声をよく聴いて、どんなメカニズムでその声が出てるのかを研究するのが好きなんですよね。それを自分の喉を使って検証してみたり。ただ、そのメカニズムをいかに自分の表現として落とし込むかが難しいところで。やっと最近、ただのマネじゃなく、「自分だったらこう歌う」っていう部分も意識できるようになってきました。

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――この企画から得た経験値が他の活動の糧になるようなこともあるのでしょうか?

佐藤:この企画を最初に始めた時期って、まだソロではCDも出したことなかったし、自分名義のライブの中でバンドを背負って歌うっていう経験も全然なかったんですよ。だから、そんな時にどんなミュージシャンの方を呼んだらいいのか、どんなバンド編成にしたらいいのかを探ることができたのは、今やっているソロ活動でも生かせてる経験だなと。

――なるほど。

佐藤:あと、この企画に遊びに来てくれる方々って、普段のライブも見に来てくれている方が多いと思うんですけど、そういう方々から「違った側面が見える」とか「歌詞や声がしっかり届く」みたいな声をよくいただくんです。私が歌を真ん中に立てた表現者として見てもらえるようになったのは、この【VOICE】を始めてからだと思うので、そういう意味でもこのカヴァー・ライブの功績は大きいなと思っていて。

――では、逆に苦戦した要素などは?

佐藤:さっきも言ったように、私はずっと自分のバンドをやってきたので、サポート・メンバーを入れる時、自分がどういう人と相性がいいのかとか、サポート・メンバー同士の相性も考えたりしきゃいけないので、そこが固まるまでに時間がかかりましたね。それこそ2018年にビルボードライブでやらせていただいた第3回目で、ようやく歌以外のサウンド面でも手応えを感じられたんですよ。なので、今回もそこを踏襲して、もちろん歌はきっちり届けつつ、バンドのサウンドも立体感あるものにできたら、自分たちとしては大成功になるんじゃないかなって思ってます。

――この【VOICE】での佐藤さんは演者でありつつも、企画そのものを統括するプロデューサー的な立ち位置でもあって、そういう点でも発見などがあったり?

佐藤:きのこ帝国でも作詞作曲からサウンド・プロデュースまでやっていたので、やってること自体はそこまで変わらないんですけど、関わる人が変わることでこんなにも音楽って変わるんだなとは思いますね。ただ、結局は自分にしっかりとしたマインドがないと、作品やライブは良くならないということも実感しました。

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次の作品は、声も詞もサウンドもセルフ・プロデュースでやろうかなと

――佐藤さんが最近、気になっている音楽があれば教えてください。

佐藤:2018年の【宗像フェス】に出させていただいた時、Official髭男dismも出演していて、裏で流れてきた音を聴いて「歌うま! 演奏も上手だし、曲も良い。これ誰!?」って気になったんです。それがヒゲダンだと知って、メンバーとも「絶対すぐ売れるよね。売れなきゃ日本おかしくない?」って話していたら、半年後くらいに大ヒットして…。一聴すると“覚えやすくて、歌いやすくて、良い曲”みたいな印象だけど、ミュージシャンとしては「ここ、ニクいな」って思えるような、新鮮な発見や勉強になる部分もあったり。

――アカデミックな素養がありつつ、あくまでアウトプットしているのは大衆にも刺さるポップ・ミュージックですよね。

佐藤:そういうアーティストが第一線で活躍して、ちゃんと売れてる日本の音楽シーンって、けっこう面白い状況になってきてるんじゃないかなと思います。King Gnuとかもそうですけど、自分のスタイルを貫きながらしっかり売れてる。

――彼らのような若手アーティストたちの活躍は佐藤さんにとっても刺激になりますか?

佐藤:すごく刺激を受けますね。自分たちの表現を貫いてる人が売れる状況って、ミュージシャンにとってはパワーや勇気を貰えるし、すごく夢があるなと思います。

――そんな中、佐藤さんが2019年11月にリリースしたソロ名義初のアルバム『PLANET』は、様々なタイプの楽曲が収録されていて、とてもチャレンジングな内容になっていま。改めてこのアルバム、ご自身にとってどんな作品になったと感じていますか?


▲佐藤千亜妃 - 空から落ちる星のように

佐藤:このアルバムに関しては、私が少し捻くれているのもあって、「人物像が掴めないものを作りたい」と思って完成させたアルバムなんです。でも、“自分っぽくないこと”をやってみた結果、“自分っぽくないこと”は自分じゃない人がやればいいんじゃないかとも思って。なので、次は自分にしかできないサウンド・メイクや歌だったり、自分だけの詩の世界観や美学、哲学をもっと突き詰めていきたいですね。

――すでに次のモードに入っているわけですね?

佐藤:2019年の3月頃には一通り曲も揃っていたので、このアルバムを作っていた時の私って、ちょうど1年くらい前のモードなんです。それに制作を始めたのは、きのこ帝国の活動休止を発表する前でしたからね。バンドという大きな母体がなくなった今、作る音楽はより一層、自分自身の表現を突き詰めた作品になるんじゃないかなって思います。

――その“自分にしか作れない音楽”について、現時点で描いている青写真などはありますか?

佐藤:やっぱり自分の特徴は声と詩だと思っているので、この『PLANET』ではその二つを主軸にして、バンド時代に培ってきたサウンドのクセみたいなものは、あえてほとんど出さないようにしたんです。でも、当時から聴いてくれている人にとっては、そこも含めて一つの人格として筋が通ってるほうがいいんだろうなとは思っていて。自分としてもそのほうが足場がしっかりする感覚があるし。


▲佐藤千亜妃 - Summer Gate

――『PLANET』はアレンジャー陣が多彩でしたもんね。

佐藤:色んな方々とご一緒したことでたくさんの刺激をもらえたので、次は学んだことをしっかり吸収したうえで、それをいかに自分自身でアウトプットしていくかが課題だと思います。なので次の作品は、声も詞もサウンドもセルフ・プロデュースでやろうかなと。

――ある意味、制作のプロセスとしてはバンド時代に立ち返るような形に?

佐藤:そうですね。バンド時代のやり方をアップデートした感じです。

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自分自身もすごく楽しみにしているので、お客さんにも楽しんでもらえるような選曲や演奏にしたい

――今後のソロ・ワークにも期待が集まる一方、2月7日に公開された映画『転がるビー玉』では主題歌だけでなく、劇伴も担当されたとか。映画の劇伴を手掛けるのは『CAST:』に続き2度目ですよね。

佐藤:そうですね。でも『CAST:』は短編映画だったので、長編映画は初めてです。

――オファーをもらった時はどんな心境でしたか?

佐藤:映画は昔から好きだったし、映画音楽への憧れもあったので、いつかは劇伴にトライできるチャンスがあればと思ってました。なので、今回お声がけいただいた時はすごく嬉しかったし、色々研究もしましたね。

――制作過程はいかがでしたか?

佐藤:『転がるビー玉』では監督から提案されるリファレンスがほとんどないまま、その時点であがってきていた映像に合わせて「佐藤さんの感性で作ってください」と任されたんです。それでも作れるには作れるんですけど、作ったものが「ちょっと違うな」って却下される可能性もあったので、恐る恐るでしたね。でも、けっこうピッタリだったみたいで、作り直しもなく、ホッと胸をなで下ろしました(笑)。


▲映画『転がるビー玉』予告編

――自身の作品とはまた違った創作の面白さもあったり?

佐藤:まず映像が前提としてあるので、音楽と映像の整合性は保たないといけない。そういう枠組みの中で自分の表現をトライできるのはすごく面白いし、私の性格に合っているなと。

――それだけに達成感も大きいのでは?

佐藤:『CAST:』の時もそうだったんですけど、「うおー!」って熱くなる感じより、ホッとする気持ちのほうが強かったですね。やっぱり「合わなかったらどうしよう」みたいな不安もあるので。


▲飯豊まりえ&emma&佐藤千亜妃主演!オンライン映画『CAST:』

――今後も映画音楽にはトライしていきたいですか?

佐藤:自分が今後作っていく作品でしっかりサウンドのブランディングをして、それができたうえで「こういう音にしたいから佐藤千亜妃にオファーしたい」と思ってもらえるようになったらいいなって思います。より個性を出した、攻めた劇伴というか。

――3月に東阪ビルボードライブで【VOICE4】、そして4月からは『PLANET』を引っ提げたツアーも控えています。最新作のパフォーマンスはどんな仕上がりですか?

佐藤:去年の12月にワンマンを2本やったし、イベントにもバンド編成で出させていただいたんですけど、めちゃくちゃ演奏がかっこよくて、歌も仕上がってきたので、すごく良い状態です。4月からのツアーに関しては、ワンマンの尺の中でお客さんを飽きさせないように意識しつつ、しっかりハイライトがあるような、胸が熱くなるような公演にしたいと思ってます。


▲佐藤千亜妃 - キスをする [STUDIO LIVE]

――【YON FES 2020】への出演も決まりましたし、今年上半期はライブ尽くしになりそうですね。

佐藤:裏ではもちろん制作も進めていきますよ。

――ちなみに、2ndアルバム完成をゴールとした時、現時点での進み具合はどの程度でしょう?

佐藤:曲に関しては10曲くらい作ってあるんですけど、それを精査して足りない曲を足していく作業がありますね。夏までにはレコーディングを終わらせたいです。

――先ほど語られていた今後の展望にもしっかりコミットできていますか?

佐藤:軸の部分に対してはコミットできていると思います。今はさっき言ったようなイメージを着地点とした場合、そこまでの道のりの中で他の楽曲をどう見せていけば、着地点を最も美しく見せることができるのか、っていうことを逆算して考えてます。一番聴かせたい曲とかアルバムを出すタイミングがジャンプだとしたら、ホップ、ステップの部分をどうやって見せていくか、みたいな。下半期の計画は今すごく練ってます。

――では、最後に【VOICE4】に向けて意気込みをお願いします。

佐藤:自分自身もすごく楽しみにしているので、お客さんにもちゃんと楽しんでもらえるような選曲とか演奏にしたいです。歌に集中できるように、しっかりコンディションも作って。来てくださったお客さんに「また来たいな」と思ってもらえるような、濃くて良いライブにできたらいいなと。あと、大阪では初開催なので、そこも挑戦です。

今後【VOICE】シリーズで歌っていきたい楽曲たちをセレクトして頂きました


Billboard JAPANのApple Musicプレイリストはこちらから>>>

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応募方法:2020年3月1日(日)23時59分までに、Billboard JAPANの公式Twitterアカウント(@Billboard_JAPAN)をフォロー&ハッシュタグをつけてツイートしてください。下記の注意事項をご確認の上ふるってご応募ください!


・当選者の方には、@Billboard_JAPANよりダイレクトメッセージ(DM)をお送りさせていただきます。当選時に@Billboard_JAPANをフォローされていない場合、当選は無効となります。
・当選はDM通知および賞品の発送をもって代えさせていただきます。

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