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HAPA来日記念特集~進化を続けるコンテンポラリー・ハワイアン・ミュージックの雄に迫る

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 コンテンポラリー・ハワイアン・ミュージックやハワイアン・ロックの代表的なアーティストというと、必ず名前が挙がってくるのがハパだ。アコースティックからエレクトリックまで様々なスタイルで奏でられる彼らの音楽は、ポップなオリジナルからトラディショナル・スタイルのフラ・ミュージック、そして有名曲のカヴァーまで様々だが、ハワイの風を感じられる爽快なサウンドであることは変わりない。日本でも人気の高いハワイアン・サウンドの軌跡を追ってみよう。

 ハパは、ニューヨーク生まれのバリー・フラナガンが、1980年にハワイに渡ってきたことから始まった。ライ・クーダーを経由してスラックキー・ギターのレジェンド、ギャビー・パヒヌイの音楽に魅了されたバリーは、ハワイでその独特の奏法を学び、めきめきと実力をつけていった。音楽に限らずハワイのカルチャーに傾倒した彼は、ハワイ生まれのケリィ・カネアリィと知り合い、1983年よりデュオとして活動を始める。これがハパの始まりである。“HAPA”とはハワイの言葉で“半々”という意味がある。生まれ育った場所が違うバリーとケリィによって作られた、“ハーフ”のハワイアン・ミュージックであることを示唆しているようだ。

CD
▲『HAPA』

 地道にハワイで活動を行っていたハパは、長い年月をかけてアルバムを準備していった。そして、1992年に完成したのが、デビュー・アルバム『Hapa』である。バリーのオリジナル楽曲を中心に、エディス・カナカオレの「Ka Uluwehi O Ke Kai」やエミリー・テイラーの「Ku'u Lei Awapuhi」といったハワイの名曲、そしてジョン・レノンの「Oh My Love」のカヴァーなどで構成されている。基本は、バリーとケリィのデュオにベースやコーラスが加わるシンプルな編成だが、「Kaopuiki Aloha」にはスティーヴン・スティルス、「Ku'u Lei Awapuhi」にはケニー・ロギンスという豪華なゲストが参加しているのもポイントだ。ヴォーカル曲とインスト・ナンバーがバランスよく並んだ美しく凛々しい作品集『Hapa』は、リリースと同時に大きな反響を呼び、なんと250万枚というヒットを記録。ハワイのグラミー賞といわれるナ・ホク・ハノハノ・アワードでは6部門で受賞という快挙を記録した。



▲HAPA performs Haleakala Ku Hanohano (from PBS Special)


 1990年代初頭のハワイの音楽シーンは、ジャワイアンといわれるレゲエが席巻していたが、彼らの登場で再びハワイ独自の音楽文化に注目が集まるきっかけとなった。ハパの登場後に、イズラエル・カマカヴィヴォオレの『Facing Future』(1993年)やケアリイ・レイシェルの『Kawaipunahele』(1994年)といったトラディショナルを取り入れたコンテンポラリー・ハワイアンの傑作が続いたことを考えると、いかにハパの音楽が画期的で影響力が大きかったのかということがわかるに違いない。いわば、ハパのデビュー作は、現在につながるハワイのルーツ・ミュージックを取り入れたポップスやロックの雛形といってもいいだろう。

 1995年には2作目のアルバム『Hapa Holidays』をリリースする。クリスマス・ソングを中心に集めた企画盤で、ほっこりとした雰囲気が彼ららしい作品だった。しかし、本来のオリジナルという意味では、1997年の『In The Name Of Love』が実質的な2作目といっていいだろう。前作よりは全体的にアグレッシヴな印象が強く、ギターもテクニカルなプレイが目立つようになる。なかでも、サンタナの「Europa」とU2の「Pride (In The Name Of Love)」をカヴァーしているのがユニークだ。1997年にはベンチャーズなどのサーフ・ロックを演奏した企画アルバム『Surf Madness』を発表するなど、遊び心に富んだ作品も残している。



▲HAPA - Pride (In The Name of Love)


 しかし、ケリィ・カネアリィが脱退し、実質的にバリー・フラナガンのソロ・プロジェクトとなったハパは、ゲスト・ヴォーカルを迎えて『Namahana』(年)を制作。その後、2003年にベーシストでもあるヴォーカルのネイザン・アウェアウを正式メンバーに迎え、アルバム『Maui』(2005年)を発表する。第二期ハパのスタートともいえるこの作品は、原点回帰といえる伝統に根ざした作風が評価され、またもやナ・ホク・ハノハノ・アワードで4部門で受賞することとなった。その後、2010年には、タヒチ音楽からビートルズの「Blackbird」までを取り上げた『Malihini』でも健在ぶりを見せつけた。

CD
▲『Tuahine』

 しかし、ハパの進化はまだまだ続く。デビューから20年を経て、またもメンバー・チャンジを行う。ネイザンが脱退し、新ヴォーカリストとして、ロン・クアラアウが参加。2013年には現時点での最新作『Tuahine』を発表。ハワイ古来の神話をテーマにした深淵な雰囲気が漂う傑作で、まさしくハパの新たなステージともいえる内容となった。ギャビー・パヒヌイの演奏でも知られる「Hi'ilawe」や、ヨウマ・コウコネン作の「Water Song」といったレパートリーも含め、バリーのギター・テクニックも聴きどころが多く、ファンを狂喜させたのも記憶に新しい。

 その後も精力的にツアーを行う彼らが、この夏も来日公演が決定している。しかも、なんとオリジナル・メンバーであるケリィ・カネアリィが復活という嬉しいニュースも飛び込んできた。トラディショナルなハワイ音楽と、コンテンポラリーなロックやポップスをクロスオーヴァーし、進化し続けるハパが、デビュー当時の編成でどのような音楽を奏でるのか。ぜひ実際のステージで体感していただきたい。



▲Hawaiian Airlines' Pau Hana Fridays - HAPA: Hi'ilawe



▲Hapa - Tapa`o No Te Here (HiSessions.com Acoustic Live!)


 

 

HAPAからビデオメッセージが到着!


▲Video Message from JOE 2019



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