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“リズムを楽しむ”とは、こういうことか?「タキシード」



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 7月の東阪ビルボードライブで、メイヤー・ホーソーンとジェイク・ワンによるディスコ&ファンク・ユニット、タキシードがフルバンドを率いて贈る極上のサマー・パーティーが開催される。西海岸シーンを牽引する名門レーベル〈Stones Throw〉を代表するユニットへと成長した2人が、その胸に抱く80's音楽/ファンク/ディスコへのリスペクトを、ハッピーでダンサブルなライブ・パフォーマンスとして展開する音楽愛にあふれた彼らの魅力について、一人アカペラ作品が全世界で話題となりYouTubeの合計再生回数は500万回を超える“よう いんひょく”が迫る。

vol.1:彼らのライブで、アカペラライブのイメージは変わる。「ロッカペラ」の“ステージ”

vol.2:「黒さ」が印象悪いなら、音楽やりません。「サウンズ・オブ・ブラックネス」

「リズムを楽しむ」とは、こういうことか?

 音楽の世界に、“ジャム・セッション”という言葉がある。

 ジャム・セッションとは、リハーサルなどを通して事前に準備したアレンジなどは使わず、ミュージシャンたちが集まってその場で即興的に演奏することを言う。ジャム・セッションでは、メロディやリズムなどを即興で発展させやすいように、4つのコードを繰り返す曲を演奏することが多いのだが、日本の音楽はコードが次々変わる曲が多く、楽譜を読むことに必死になり、ジャム・セッションにはあまり向いていないとされることがある。「日本人は歌詞やメロディの良さ、コード進行の美しさなどを好み、西洋に比べるとリズムを楽しむという感覚は少し薄いのかもしれない」と、日本のミュージシャンと話をしたこともある。

 中でもファンクやディスコ・ミュージックは、音楽的要素としてリズム、グルーヴが特に大きな役割をする。1980年代、たしかに日本でもディスコ・ブームはあったが、今、日本人はファンクやディスコ・ミュージックを楽しめるのだろうか。

 ただ一つ言えるのは、タキシードは間違いなくファンク、ディスコ・ミュージックの楽しみ方を、身体に染み込ませてくれるということだ。まもなく再来日を果たすタキシードについて、改めてキャリアを振り返ってみよう。

「心から愛しているものをやらなきゃいけない」

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 タキシードの衣装を担当する会社の1つ、ノードストロームのインタビューでタキシードのメンバー、メイヤー・ホーソーンはそう語った。

 2005年ごろ、彼はもう一人のメンバー、ジェイク・ワンと出会い、ミックス・テープを交換する。メイヤーが渡したミックス・テープに収録されている曲は、当時ではマニアックだったであろう1980年代のブギー・ファンク・ミュージックがほとんどの割合を占めていたそう。ところが、なんとジェイクからもらったミックス・テープにも同じ曲がたくさん入っており、「今、全然ホットじゃないこの音楽のことを気にかけているやつが、この地球上に他にも存在するなんて」と驚いたという。

 この事をきっかけに2人は意気投合し、一緒に音楽を作り始めることになる。リリースすることはなくとも、ただ楽しく音楽を共有し合っていたという。


▲ Tuxedo - Do It (Official Video)


 そして2013年、彼らはファンクとディスコ・ブームの再来を感じる。ダフト・パンクの「ゲット・ラッキー」、ブルーノ・マーズの「トレジャー」が大ヒットした年だ。彼らはこのとき「なんだよ!俺らはすでにこういう音楽やってるよ!これから俺らが音楽を世に出したら、こいつらの真似をしていると思われるんじゃねえか?」と思ったそうだ。しかしそれと同時に、自分たちの音楽の居場所があることを感じ、自分たちのファンク・ミュージックに対するパッションを再確認したのだった。

 この出来事をきっかけに、タキシードは世に出ることになる。


▲ Tuxedo - Fux With The Tux [Official Video]

▲ Tuxedo - 2nd Time Around [Official Video]


リズムを楽しむ

 ファンク・ディスコ・ミュージックは、演奏者のエネルギーとグルーヴが直接伝わってくる“ライブ”でその本領を発揮する。80年代のファンク・ディスコのボーカルがそのまま現代にやってきたかのようなソウル・シンガー、メイヤー・ホーソーンと、ドレイクやケンドリック・ラマー、ザ・ウィークエンドなど、タイトでリズミカルな音楽をプロデュースするジェイク・ワン。その2人がコラボし、自分たちの好きな音楽をとことん作りこんでいるタキシード。最高にファンキーでダンサブルなユニットに仕上がるのも当然だ。

とにかく踊れるように、リズムを楽しめるように、メロディも歌詞もコードも、非常にシンプルにしている。さらに、リズムの気持ちよさを増幅させるタイトなビート、会場のグルーヴを地面から押し進めていくようなドライブ感を作るベース、身体を動かしたくなるような軽快なギターとコーラスのフレーズなど、オーディエンスを躍らせるための仕掛けもたくさん盛り込まれている。彼らの音楽を聴くと、身体を動かさずにはいられないだろう。

「タキシードを着るのは、パーティーのときだけ」

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 1枚目のアルバム『タキシード』から2年も経たずして、2枚目のアルバム『タキシードII』を2017年にリリースしている。80年代ディスコ・ミュージックのフィーリングは残しつつ、新しい楽器を使った新しさも含めた、耳障りの良いサウンドのアルバムだ。

 2018年に入ってからは伝説的ファンク・バンド、ザップとのコラボで「とにかくファンク・ディスコは踊らなきゃ」と言わんばかりにビートをタイトに押し進めた曲、「シャイ」をリリースした。ジェントルマンの着る正装というイメージがあるタキシードだが、「タキシードを着るのは、パーティーのときだけ」というのが彼らがユニット名に抱いている想いだ。実際に生み出された楽曲は、その意図にぴったりだと言えるだろう。

 DJ出身の彼らだが、「アルバムの音をそのまま感じてもらえるように」という、ライブに対するこだわりから、今回はなんとフルバンドでの来日。もし初めて彼らのライブに行くのなら、いつもの音楽の聴き方よりも少しだけリズムに注目して、会場に流れるグルーヴを全身で感じてみてはいかがだろう。着ていた正装が崩れるほど、体をビートに預けることの快感を得られるはずだ。


▲ Tuxedo with Zapp - Shy [Official Video]

 

 

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