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DJキャレド『グレイトフル』発売記念特集~“全米一の愛され男”が豪華アーティストたちを集結

DJKHALED

 現在アメリカで最も人気があり影響力を持つDJ/プロデューサー、DJキャレドの最新アルバム『グレイトフル』の国内盤がリリースされた。今作は前作に続き豪華アーティスト陣が参加し話題となり、全米アルバム・チャートで1位に輝いた。収録曲の「アイム・ザ・ワン feat. ジャスティン・ビーバー、クエヴォ、チャンス・ザ・ラッパー & リル・ウェイン」では自身初となる全米ソング・チャートで首位を獲得している。これまでに数多くの世界的ヒット・ソングを輩出し続けてきたDJキャレドという人物と豪華アーティストたちが参加した話題の最新作を紹介していこう。

“全米一の愛され男”=DJ キャレド

 2017年6月、米ビルボード誌の表紙を飾った“全米一の愛され男”DJキャレド。巻頭特集のインタビュー中には何度か席を外し、弁護士等から引っ切り無しに掛かってくる電話に応えていたそうで、その多忙ぶりが伺える。この状況にキャレド自身も「“キャレドの人生”の一日はクレイジーだと思わないか?俺が作っているこのアルバムは文字通り不可能に近い。サンプル使用の許諾や他レーベルとの交渉だったり。大物アーティストとの仕事は本当にデリケートなんだ。まるで悪夢だよ。」と、“愛され男”ならではの苦悩も語っていた。それにしても、なぜキャレドはここまでアーティスト仲間やファンに愛されているのだろうか?

 DJキャレドはニューオーリンズ出身、1975年生まれ現在41歳。17歳の頃に地元でDJ活動をスタートし、1998年に人気ヒップホップ・グループ、“テラー・スクワッド”に参加。2003年には、マイアミの人気ラジオ番組『WEDR』のホストDJに着任し、マイアミを代表するDJとしての知名度を上げると同時にアーティストたちとのコネクションも広げていく。また、プロデューサーとしての才能も発揮しており、これまでにファボラス『リアル・トーク』やファット・ジョー『ミー、マイセルフ & アイ』といった作品を手掛けてきた。2006年からは、ほぼ毎年のように自身名義でのアルバムを意欲的にリリースしており、前作の『メジャー・キー』(2016年)では、自信初の全米アルバム・チャート1位を獲得。最新作『グレイトフル』同様、前作も名立たるアーティストたちがフィーチャリングされており大ヒットを収めた。

 キャレドはインスタグラムやスナップチャットの王様としても知られ、彼から発信される数々のポジティブなメッセージは大きな反響を呼んでいる。このポジティブなキャラとメッセージが多くのアーティストから愛される理由にもなっているのだろう。2016年には『The Keys』という自己啓発本も出版しており、ビジネス面においても成功を収めてきたキャレドならではのポジティブ・マインドな言葉が本の中に散りばめられており、実際に多くの学校や企業から公演オファーが殺到しているそうだ。こういった彼から溢れ出てくるアグレッシブなエネルギーが多くの人々に影響を与え、人気を博しているのだ。


▲DJ Khaled on Making His First Hot 100 #1 | Billboard Music Awards 2017


総勢40組以上の超豪華アーティストが参加&エグゼクティブ・プロデューサーは愛息子

CD
▲『グレイトフル』

 そんな愛されキャラのDJキャレドが彼のコネクションを最大限に活かし豪華アーティスト陣を集結させて作ったのが、通算10枚目となる最新作『グレイトフル』。今作は、発売初週で全米アルバム・チャート首位デビューを飾り、翌週もカルヴィン・ハリスやケンドリック・ラマー等を抑え1位をキープした正真正銘のヒット作だ。

 前作同様、今作もアルバムに参加している豪華アーティスト陣に注目してもらいたい。まず、先行シングルとして2017年2月にリリースされた「シャイニング」では、ビヨンセとジェイ・Zの大物カップルがフィーチャリングされ瞬く間に話題を呼んだ。その他の収録曲には、ヒップホップ界のベテラン勢であるナズ、ジェイダキス、ファット・ジョーや、注目を集める若手ラッパーのトラヴィス・スコット、ミーゴズ、フューチャー、そして、リアーナやニッキー・ミナージュ、アリシア・キーズなどの世界的歌姫たちを含む総勢40組以上が参加。キャレドは、アルバム制作時のチーム・スピリットについて、「これらのアーティストたちは、俺がいい音楽を作るから一緒に仕事をしてくれるんだ。と同時に、俺がいいエネルギーといいハートの持ち主で、感謝を忘れないからでもある。神が俺に与えてくれている特別なものを、今度は世界が見れるようになる」と語っている。

 また、今作のプロデューサー陣にはカルヴィン・ハリスや音楽プロデューサーチームのクール&ドレー等も参加しており、ヒットしない理由が見つからないほどだ。更に驚きなのは、エグゼクティブ・プロデューサーとして自身が溺愛する愛息子(生後9か月)のアサド・タック・キャレドがクレジットされている。愛息子アサドは、先行シングル「シャイニング feat. ビヨンセ & ジェイ・Z」を始め、全てのアートワークに起用されている。キャレドは、息子の誕生が今作を制作するきっかけだったと語り、今作の最も重要な制作工程の一つとして「アサドが曲を聞いて、身体を揺らす事。」とその重要性を述べている。愛息子アサドなしでは完成し得なかったであろう親子で初の記念すべき一枚となったのだ。


▲DJ Khaled - Mogul Talk With Executive Producer Asahd Tuck Khaled



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ジャスティン・ビーバーやリアーナとの豪華コラボレーションが実現

 ここで、最新作『グレイトフル』に収録されている大ヒット・チューン2曲を紹介したい。まずは、全米ソング・チャートで自身初の首位を獲得した「アイム・ザ・ワン」。フィーチャリング・アーティストは、ジャスティン・ビーバー、クエヴォ(ミーゴス)、チャンス・ザ・ラッパー、リル・ウェインというヒット間違いなしのラインナップ。全米&全英を含む、世界6か国で1位獲得し、配信1か月足らずでストリーミング・サービスにおいては約1億回以上のストリーミング数を記録するなど圧倒的な勢いを見せている。全米と全英の両チャートでヒップホップ楽曲が初登場1位を獲得したのは、2010年のエミネム「ノット・アフレイド」以来、約7年ぶりの快挙となった。


▲DJ Khaled - I'm the One ft. Justin Bieber, Quavo, Chance the Rapper, Lil Wayne


 今楽曲の制作について、キャレドは米ビルボード誌のインタビューで、彼にしか出来ない共演オファーについてのエピソードを語っている。まず、今楽曲をジャスティン・ビーバーに歌ってもらいたいと思い立ったキャレドは、すぐにジャスティンにFaceTimeで連絡。ジャスティンの家に招かれ、ジャスティンの所有する充実したシステムが備わったトラック車中で楽曲を聴いてもらい、ジャスティン本人がレコードのサウンドを気に入り楽曲への参加に至った。そして、ミーゴスが米TV番組『Jimmy Kimmel Live!』出演のためLAに訪れる予定と知ったDJキャレドは、そのタイミングでクエヴォをキャッチ。故マイケル・ジャクソンが「スリラー」を収録したというウエストレイク・レコーディング・スタジオで曲を聴いてもらうと、クエヴォはたった5分で彼のパートを歌い出したという。更に、チャンス・ザ・ラッパーにも参加してもらいたいと思ったDJキャレドは、カリフォルニアのマリブで家族とバーベキュー中だったチャンスの元に現れ、すぐにスタジオで曲を聴いてもらい、チャンスはDJキャレドの今楽曲に対するビジョンを理解し快くオファーを受け入れたそうだ。最後にもう一人、10代の頃から交流のあるリル・ウェインだ。DJキャレドによるとリル・ウェインは彼のお願いに対し今まで一度も「ノー」と言ったことがないそうで、今楽曲への参加をあっさり快諾。こうして、DJキャレドがアーティスト本人たちに直接連絡を取り合い、そのフットワークの軽さを武器に、この豪華コラボレーションが実現したのだ。


▲How DJ Khaled Got Bieber, Quavo, Chance and Lil Wayne on Hot 100 No. 1 Hit 'I'm the One' | Billboard


 次に紹介したい一曲は、リアーナとブライソン・ティラーをフィーチャリングした「ワイルド・ソーツ」。DJキャレドがかねてから実現させたいと思っていたR&B界の歌姫リアーナとの初めてのコラボレーション曲だ。今楽曲は、1999年にリリースされたサンタナのヒット曲「マリア・マリア」を大幅にサンプリングし、ラテン調のサウンドとアコースティック・ギターの音色で夏にぴったりの1曲となっている。楽曲リリースと同時に公開されたミュージック・ビデオはマイアミ近郊のリトル・ハイッティで撮影され、グラミー賞ノミネート経験もあるミュージック・ビデオ監督のコリン・ティリー(ジャスティン・ビーバー、ケンドリック・ラマー、クリス・ブラウン等)が手掛けており、曲のイメージ通りカリブのエキゾチックな雰囲気が漂う映像となっている。このMVは、すでに【2017 MTVビデオ・ミュージック・アワード】の3部門にノミネートされている。


▲DJ Khaled - Wild Thoughts ft. Rihanna, Bryson Tiller


 紹介した2曲以外にも息子アサド同様、誰もが思わず身体を揺らしてしまう楽曲が詰まった最新作『グレイトフル』は、幅広い参加アーティストの面々からもヒップホップというジャンルに関わらず、多くの人が楽しめる作品となっている。本作をきっかけにキャレド、そして、最年少エグゼクティブ・プロデューサーとしてのキャリアをスタートさせた息子アサドも、その“愛され”の輪を一段と広げていくことになるだろう。

DJキャレド「グレイトフル」

グレイトフル

2017/08/23 RELEASE
SICP-5575/6 ¥ 2,420(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.(イントロ) アイム・ソー・グレイトフル feat.シズラ
  2. 02.シャイニング feat.ビヨンセ & ジェイ・Z
  3. 03.ワイルド・ソーツ feat.リアーナ & ブライソン・ティラー
  4. 04.アイム・ザ・ワン feat.ジャスティン・ビーバー、クエヴォ、チャンス・ザ・ラッパー & リル・ウェイン
  5. 05.オン・エブリシング feat.トラヴィス・スコット、リック・ロス & ビッグ・ショーン
  6. 06.イッツ・セキュアード feat.ナズ & トラヴィス・スコット
  7. 07.インタールード(ハレルヤ)
  8. 08.ノーバディ feat.アリシア・キーズ & ニッキー・ミナージュ
  9. 09.アイ・ラヴ・ユー・ソー・マッチ feat.チャンス・ザ・ラッパー
  10. 10.ドント・クイット (with カルヴィン・ハリス) feat.トラヴィス・スコット & ジェレマイ

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