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HEY-SMITH『Let It Punk』インタビュー



HEY-SMITH『Let It Punk』インタビュー

ちゃんとしたミュージシャンがちゃんと評価されるように
「法律、変えたいな」と思ってるぐらい

 2014年にベースボーカル・Mukkyとトランペット・Iori脱退、2015年に新ベースボーカル・YUJI、その年末にトランペット・イイカワケン、トロンボーン・かなす加入。そして2016年に新体制初のアルバム『STOP THE WAR』完成と、激動の日々を送ってきたHEY-SMITHの今。また、猪狩秀平(ギター&ボーカル)、満(テナーサックス)、かなす(トロンボーン)の音楽遍歴や、現在の音楽シーンに対して抱く苛立ちや野望、そして超痛快な最新ナンバー『Let It Punk』について等々。ファンならずとも爆笑&鼓舞必至のインタビューになっているので、ぜひご覧頂きたい。

インタビュー参加メンバー:

猪狩秀平(ギター/ボーカル担当)
満(テナーサックス担当)
かなす(トロンボーン担当)

打ち上げをしない若手バンドシーンについて「もうゲンコツです。」

--猪狩さんの到着が遅れているようなので、そのあいだにお二人から見た猪狩秀平のミュージシャン像についてお伺いしてもよろしいですか?

HEY-SMITH『Let It Punk』インタビュー
▲左から:かなす/満

:カリスマ、お子ちゃま、破天荒、ワガママ……(笑)

かなす:ミュージシャンというよりはバンドマン。演奏技術云々よりは……

:精神論ですよね。

かなす:そうですね。「バンドマンというのはこうなんだ!」っていう自分なりの答えを突きつけてきて、「これが格好良いからやってんだぜ」ということをすごく言っている人。今回のシングル『Let It Punk』も彼のそういう精神論がめちゃくちゃ出てるんだろうなと思います。

:歌詞見たら分かります。

--この歌詞が猪狩さんだと思えばいいんですね。

:そうです!「本物を見失うな」ってことですよ。

かなす:私たちもそれと同じ気持ちでやってる。

:僕もバンドマン大好きなんで「バンドマンはこうあるべきだ」っていう感覚があるんですよ。ツアーでの移動は自分たちで運転して、自分たちで物販運んで、ライブが終わったらちゃんと朝までお酒呑んで(笑)。

かなす:大人になっても常に本気で遊ぶことを忘れない(笑)。それをすごく大切にしているんで、だからツアーの打ち上げも大体朝まで。

--素晴らしいですね。では、打ち上げをしない、最近の若手バンドシーンに対してはどんなことを思います?

かなす:もうゲンコツです。

一同:(笑)

:それはそれで別にアリだけどな(笑)。

--でもバンドマン同士の関係性って、元々は打ち上げで築き上げられていたところもありましたよね?

:たしかに、そこで培われるものがありましたよね。

かなす:お酒が弱くても呑むのがあたりまえで、断れなかった(笑)。

:でも普通の状態では喋りたくても喋れないことを話し合えたりね。

(※猪狩秀平、登場)

猪狩秀平:お待たせしました! すみません!

--今、打ち上げをしない若手バンドシーンについて語ってもらってました。

猪狩秀平:ハハハ!

--今日は、HEY-SMITHのことをまだ知らない人にも興味を持ってもらえるインタビューに出来ればと思っているのですが、まず激動過ぎたここ数年について。2014年にベースボーカル・Mukkyとトランペット・Iori脱退、2015年に新ベースボーカル・YUJI、その年末にトランペット・イイカワケン、トロンボーン・かなす加入。そして2016年に新体制初のアルバム『STOP THE WAR』完成と、今振り返るとどんな日々だったなと思いますか?

HEY-SMITH『Let It Punk』インタビュー
▲手前:猪狩秀平

:どんな日々だった?

猪狩秀平:俺は毎日遅刻してましたよ。

一同:(笑)

かなす:激動過ぎて!

--今日まで変わらずに来たんですね(笑)。

猪狩秀平:自分的には予想していた感じというか、ここ2,3年でいろいろ激動はしたんですけど、それについていけない感じというか「え! うそ?」みたいな感じにはならなかった。で、「2年後ぐらいにはこんな感じになってるかな?」という想像通りここまで来たかなって思います。

:自分もあんまり深く考えてなくて「出来るやろ!」みたいな感覚ではあったんですが……出来てますか?

猪狩秀平:誰に聞いてんの(笑)?

かなす:出来てると思うよ?

:コミュニケーションとか取れてる?

かなす:大丈夫(笑)。

:でも本当に「なるようになれ」と思ってたんで、今ここにおれるのは「出来てる」ってことで良いのかなって。

--いわゆる悲壮感や絶望感を引きずるようなことはなかったんですね?

:それはなかったです。

猪狩秀平:そこに関しては、旧メンバーはゼロやと思う。むしろ、抜けたメンバーが精神的に疲れていた部分もあったんで、新しいメンバーが入ってきたときに楽しかったんです。普通に。管楽器も1本増えたんで、ハーモニーの幅が全然違ったし「あ、こんなことも出来る!」という希望のほうがデカかった。

:辞めたメンバーは精神的に苦しんでいたんで「新しいメンバーも精神的にガクッて来る瞬間があったりしないかな?」という心配はありました。でもそんなのは一瞬で、特にベースボーカルのYUJIなんてもう僕以上に何考えてるか分からなかったんで!

HEY-SMITH『Let It Punk』インタビュー
▲左から:かなす/満/猪狩秀平

猪狩秀平:何も考えてない(笑)。

:「あ! 大丈夫なんや!」ってすぐ安心しました。

猪狩秀平:最近、アイツのこと透明に見える。

--何も考えて無さ過ぎて透明になった(笑)。

:でも、このあいだ、僕の家で2人で『オーシャンズ11』を観てて。

かなす:仲良いね。

:そのときだけ悩みを打ち明けてきて「え、今なん!?」って。

--それはどんな悩みだったんでしょう?

:「歌とは?」みたいな。

一同:(笑)

:「満さんって歌心についてどんな風に考えてるんですか?」って聞かれたんですけど、そもそも僕サックスなんですよ(笑)! だから「わからん!」って。そういう謎めいたところはある。

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  1. 最初に一緒にまわったツアーの打ち上げで、僕らみんな殴られましたからね(笑)
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最初に一緒にまわったツアーの打ち上げで、僕らみんな殴られましたからね(笑)

--トランペットのイイカワさんはどんな人?

HEY-SMITH『Let It Punk』インタビュー
▲猪狩秀平

:最初はめちゃめちゃ良い感じのお兄ちゃん的なイメージでしたけど……マイペース。

猪狩秀平:かなすが紹介してくれたんですよ。

かなす:知り合いだったんです。

:「テクニックは素晴らしいものがあるんで」って。だから僕ら管楽器メンバーを引っ張っていってくれると思っていたんですけど、あまりにもマイペース過ぎて(笑)。

かなす:でも制作のときに理論がすごくある人なので、ハーモニーに対する質問とかするとめちゃくちゃ早く案を出してくれる。

:ギターのコードとかに対しても案を出してくれるんですけど、「ここはディミニッシュで……」とか言ってくるんで、猪狩が「わからん!わからん!」って。

猪狩秀平:「うるさい。パワーコードだけでええんや」って。

一同:(笑)

--では、かなすさんが加入してきたときにはどんな印象を持たれました?

猪狩秀平:かなすは、俺たちがバンド始めた頃から、10年近く前から普通に友達なんですよ。かなすが前のバンドをやっていたときも仲良いほうやったし、そのバンドでは会わなくなってからも、かなすとはちょくちょく会ってたんですよ。だからあんまり「新しく入ってきた」という印象はないッスね。

--かなすさんは、加入する前のHEY-SMITHに対してどんな印象を持っていたんですか?

かなす:同じ時期にずっと活動してて、同じぐらいの年齢の人たちで、まぁライバルじゃないですけど「一緒に頑張っていこう」という仲で、いきなりどーん!と売れちゃったのがHEY-SMITHだったので、最初は「クソ、売れたなぁ」って。

--ちょっとムカついてたんですね(笑)。

かなす:でも気付いたらそのバンドのメンバーになってて「ラッキー」みたいな(笑)。

:ただ、女の子なんでね、そこはちょっと「どうしよう?」と思ってました。

猪狩秀平:最初はね。俺、バンドという界隈に対して「女の人はついてこれないんじゃないか」と思っている部分がかなりあって。バンドは打ち上げとかもおかしいし、バンドの精神的な要素って男にしか分からないようなところがあると思ってて、周りのバンドにも、女の人でバンドマンとして認められる人が少なかったんですよ。だからすごく心配だったんです。もう少し踏み込んだ話をすると、例えばレディースデイのときは高音が聴こえないとか、イライラするとか、普通に聴覚とか体調に影響するじゃないですか。

--男にはない変化があると。

猪狩秀平:「そんな人と音楽できる? そういう日が来たら音が聴こえなくなるんでしょ?」みたいな(笑)。

HEY-SMITH『Let It Punk』インタビュー
▲左から:かなす/満

かなす:私はそんなことないですよ。

猪狩秀平:ま、そういう偏見みたいなものがありましたね。

--でもいざ一緒にやってみたら?

:誰よりも男でした。

猪狩秀平:いちばん男ですよ。

かなす:ハハハハ! よかった!

:最初に一緒にまわったツアーの打ち上げで、僕らみんな殴られましたからね(笑)。

かなす:それは本当に忘れたい。

--なんで殴られたんですか?

かなす:酔っ払い過ぎちゃって……暴れちゃいました。

猪狩秀平:酔っ払うと、まぁまぁデカい声で「ヤリてぇな」って言うんですよ。

一同:(笑)

かなす:「ヤリてぇな」とは言ってない。

猪狩秀平:「美の為に男と遊びたいなぁ」って(笑)。

:ほとんど「ヤリてぇな」と一緒(笑)。

猪狩秀平:そういう感じで、男に似てたんですよ。

:ちゃんとバンドマンだった。

--そんな新体制で作り上げたアルバム『STOP THE WAR』。今振り返ると、どんな立ち位置の作品になったなと感じますか?

Truth Inside -完成版- 62/62 version
Truth Inside -完成版- 62/62 version

猪狩秀平:うーん……いちばんシリアスなアルバムになったかな。明るくて「いぇーい!」って感じだけじゃない、いちばんチャレンジしたアルバムだと思います。それまでのHEY-SMITHというものがあって、今までだったら「それ、微妙ちゃう?」「HEY-SMITHらしくなくない?」と思うようなものにも全部一回チャレンジしたので、シリアスなメッセージを歌ってはいるんですけど、幅がいちばん広いかなって。

--なんでそういうアルバムを作りたいと思ったんでしょうね?

猪狩秀平:やっぱり新しい人に聴いてもらう為には、新しいメンバーの力が必要だと思っていて、それがこれからのHEY-SMITHを伸ばしてくれると思ってて。だから新しいメンバーがフルに活躍できるようにしたかったし、あんまり幅を狭めると前の感じに結局なっちゃうんじゃないかとも思ったし、一回全部ウェルカムにしたかったんです。

かなす:私は『STOP THE WAR』の制作から参加したんですけど、管楽器が1本増えるだけでも全然印象が違いますし、音の厚みも違いますし、いちばんはベースボーカルが変わったことで新しい印象を与えられたんじゃないかなって。あと、このアルバム制作にあたってめちゃくちゃたくさん曲を作ったと思うんですよ。私も提案したりしたんですけど、それが出来上がったときに早くライブがやりた過ぎちゃって、すごくワクワクしましたね。それで47都道府県62公演という激動過ぎるツアーをやったんですけど……

--あのタイミングで47都道府県62公演のツアーを廻ろうと思ったのは?

HEY-SMITH - Drug Free Japan (Official Live Video)
HEY-SMITH - Drug Free Japan (Official Live Video)

:それは猪狩くんが言い出したんです。お世話になったライブハウスを廻りたいって。

かなす:新メンバーの挨拶まわりも含めて。

猪狩秀平:ご挨拶ですよね。とりあえず全都道府県に行っておかないと「俺たち、来ましたよ?」って言えないから。だからまず新体制になって一発目で行っておく。後から「私のとこにも来て!」って言い出す奴が絶対いるんで、そこで「行ったやんけ! バカ!」ってちゃんと言えるように(笑)。

:同じ県で3ヶ所とか廻ったりもしたもんな。

猪狩秀平:「全都道府県を廻るのはこれで最後や」ぐらいの気持ちで廻ってました。もう3回目ぐらいなんですよ。毎回「もう良いんちゃうんかな?」と思うんですけど(笑)。本当に疲れるんで!

:疲れるよなー。

猪狩秀平:精神的にも肉体的にも削り取られるんで……「もうそろそろ」って思ってます(笑)。

--そんな新体制でのアルバムリリースと47都道府県ツアーを経た今のHEY-SMITH。自分たちではどんなバンドになってるなと感じていますか?

猪狩秀平:フェスに出ると、いろんなステージがいっぱいあって、人気あるバンドと時間が被ったりするじゃないですか。そんな状況下でも、すごく大きいステージなのに入場規制がかかったりとか、そういう『BECK』みたいな(笑)嬉しいサプライズみたいなものが最近起きてる。

かなす:ツアーであれだけ廻ったから気になる人が増えてるんじゃないかな。

猪狩秀平:全国に行ったというのはデカい。全都道府県行ってるんで、どこのフェスに行ってもHEY-SMITHを知ってる人はいるのかなって。自分たちのライブよりもフェスのほうがいっぱい人いるもんな。

:ちょっと勘違いしちゃう(笑)。

猪狩秀平:勘違いすると共に「おまえら、ツアーも来いよ」と思う(笑)。

--でも確実にそういう変化は出てきてる訳ですね。

猪狩秀平:そんな気はします。あと、ちょっとスピリチュアルな話なんですけど、いくら雨が降っていたりしても、この新体制になってからフェスの本番で雨が降ったことがない。「これはもう中止やな。アウトや」みたいな日でも、直前で雨が止むとか。で、俺らの出番が終わったら降るとか。

かなす:HEY-SMITHのときだけ本当に晴れるんですよ。

猪狩秀平:まだ1回も雨降ってないんで、それこそ100%雨と言われていた気仙でも降らなかったんで。むしろ晴れてたから……なんかあるんちゃうん?

:太陽系バンドです!

一同:(笑)

猪狩秀平:だからこの記事を読んだ人は、HEY-SMITHを呼んだほうがいいぞと。それを言いたい。晴れるぞと。

--そんな太陽系バンドからせっかく御三方にお集まり頂いているので、それぞれの音楽遍歴についてもお話を伺いたいのですが、まず猪狩さんはHEY-SMITHに辿り着くまでどんな音楽人生を歩んでいたんですか?

HEY-SMITH『Let It Punk』インタビュー
▲猪狩秀平

猪狩秀平:いちばん最初はドラム叩いてました。小学生の頃に普通にヤマハとかに習いに行ってて、高校2年生ぐらいまでドラムはやってましたね。中3ぐらいのときにコピーバンドで初めてライブハウスに立って、ハイスタとかランシドとかやってて。で、高校生からギターを始めました。理由はバンドにオリジナル曲を作れるメンバーがいなかったから。それで「どうやって作るんやろ?」となって「ギターちゃうん?」みたいな感じになって始めたんです。そしたらギターのほうが楽しくなって、そのまま満とHEY-SMITHの前にやってたバンドを組んだんです。あれ、高2ぐらい?

:高2、高3ぐらい。

猪狩秀平:それで前のバンドが普通に終わって、そのまま友達と組んでいたバンドがHEY-SMITHになった感じです。なんだかんだでいちばんナチュラルにここまで来てるバンドかもしれませんね。どこかの事務所のスカウトオーディションとかで集まった訳でもないし、いろんなバンドが解散して集まったメンバーでもないし、なんとなく趣味の合う友達と成長してきた感じ。

--理想的なバンドの成り立ち方ですね。

猪狩秀平:そうですね。でもずっと「音楽で食えなかったら意味がない」とは思っていて「食えなくてもいいからバンドをやりたい」という気持ちはない。だから音楽で食べていきたい。これ、なんでかと言うと、もちろん「表現がしたい」という想いもあるんですけど、やっぱり生きててラクしたいんですよ。で、音楽で食っていくのが一番ラクなんです(笑)。

--「趣味」と仰ってましたもんね。

猪狩秀平:そう、趣味なんで。仕事じゃないから、これで食べていくことが出来るのなら、これが一番良いんで。そこは本気でやる。仕事じゃないから本気になれる。

--本気でやらないと仕事しなきゃいけないですもんね。

猪狩秀平:仕事になったら本気になれないですからね。絶対にサボるじゃないですか。

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--それで音楽の道を歩み続けてると。続いて、満さんはどんな音楽人生を?

HEY-SMITH『Let It Punk』インタビュー
▲満

:僕は中学1年のときにゆずが大好きだったんで、アコースティックギターを始めて。クラシックギターをちょっと習いに行ったり……

猪狩秀平:え、そうなの?

:うん、クラシックギターやってた。で、高校時代はバスケをやっていたんで、ほとんど音楽と出逢うきっかけがなかったんですけど、バスケ部を引退するぐらいのタイミングで人生初ライブに行ったんです。僕が通っていた池田北高校の近くに池田駅があって、そこに100人規模ぐらいのライブハウスがあって、ニューロティカとGELUGUGUが【ファッキンクリスマスだよ! 全員集合】というイベントをやってたんですよ。そこに行って「あ、サックスって格好良い」と思ったんです。で、それまでサックスの存在すら知らなかったんですけど、サックス買って……その1週間後に前のベースボーカルのMukkyと道端で出逢って「俺、サックス買った」「じゃあ、バンドしようや」「連絡先教えて」……

--めちゃくちゃ唐突ですね(笑)。

:とは言え「連絡来ることはないやろ」と思っていたんです。でも梅田の丸ビルのタワレコ行ったらまたMukkyと会って、そこで「ライブ決まったから」といきなり言われて(笑)、その初めてのライブをやったタイミングで猪狩とも出逢ったんです。

猪狩秀平:俺が「誰か出来る奴いないかな?」と言ってて、ほんならMukkyが「サックスいたで!」って。

:ドレミファソラシドも吹けなかったけどな。それなのに、いきなり「コピーじゃなくオリジナルや」言われて(笑)。こっちは買ったばっかでチューニングのやり方も分かってないのに。で、猪狩に会ったんですけど、初ライブの前日ぐらいにバイク事故で骨折してて。

猪狩秀平:そうやったっけ?

:ギターなのに!

かなす:どうしたの?

:普通に歌ってた(笑)。当時、ギターボーカルでもないのに。

猪狩秀平:あー、事故したなー。

:そのバンドが解散してからはほとんど音楽やってなかったんですけど、専門学校通いながらイベンターになろうと思ってて。でもまた「バンドやらへん?」って言われて、今日に至る感じですね。

--続いて、かなすさん。

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▲かなす

かなす:私はですね、元々小学生の頃からゲーム音楽がすごく好きで、特にRPGの音楽が好きなんですけど、そのゲームの音楽を弦楽器で弾きたいという理由だけで、地元のオーケストラにチェロで入団したんです(笑)。でも手が小さすぎて「おまえはバイオリンだ」と言われて、バイオリンを持たされてから10年ぐらいずっとオケで弾いてたんですけど、その間はバンドというものを全然知らなくて、ライブハウスも行ったことなかったですし、ピアノの子と私で勝手に好きなゲーム音楽をアレンジしてコンサート開いたりとか、それぐらいオタクだったんですよ。

--今の時代、YouTuberとして売れそう。

かなす:ハハハハ! で、その楽団の中で、たまにトランペット吹いたり、トロンボーン吹いたり、楽器を交換して遊ぶ時間とかあって。そこで吹いたことがあるという理由で、専門学校で会った前のバンドメンバーに誘われてスカバンドを始めたんですけど、なんでトロンボーンだったかと言うと、KEMURIを初めて聴いたときに凄い衝撃で! オケのあの地味な、白玉しか吹かないような……

一同:(笑)

かなす:あんな感じとは違って、こんな風にトロンボーンも主役になれるバンドがいたんだ!と凄い衝撃を受けて。あと、POTSHOTのCHUCKY(トロンボーン)さんにも「パフォーマンスがヤバい!」と思って衝撃を受けまして、それらをきっかけに私もバンドとトロンボーンを始めたんですけど、バイオリンを捨ててめっちゃ勉強しました。今、12年ぐらいやってるんですけど、その衝撃があったからこれだけ続けることが出来てるんだと思います。前のバンドは6年ぐらい前に辞めてるんですけど、でも「楽器だけは続けよう」と思って、いろんなバンドのレコーディングに参加したりしながら繋いでて、そんな中でたまたま猪狩くんから「管楽器の知り合いを紹介しろ」と連絡があって。

猪狩秀平:そんな言い方じゃなかった(笑)。

かなす:そのときになんかピンと来ちゃって、猪狩くんに「私、良い仕事しますよ?」って言ったんですけど、「女はちょっと」って断られちゃって。

猪狩秀平:その頃、ちょくちょく「良い仕事するよ?」ってアピールされてたんですよ。でも「まぁまぁまぁ……とりあえず紹介して」って。

かなす:すごい流されてたんですよ! でもサポートとして、例えば「トロンボーンを入れて、三管でやってみたらどうなるか?」みたいなお試しとかで何回か呼ばれていて、そこでもまた「どうですか?」って営業して(笑)。最終的にちゃんとオーディションに応募したら、そこで選んでもらえて今に至る感じです。

--押し切った訳ですね。そんな音楽人生を歩んできた皆さんから見て、今のバンドシーンってどんな風に映っていたりしますか?

:“芸能界”って感じがします。ボーカルが俳優してたり、表現が音楽だけじゃなくなってるなって。だから【ROCK IN JAPAN FESTIVAL】とか出ると「あ、芸能人だ!」って思う。

猪狩秀平:バックヤード、いろんな人がおるもんな。

:子供がおって一緒に遊んでたら「ありがとうございます」って言われて、それが木村カエラさんだったり。

一同:(笑)

:同じ立場じゃない感じがしますね。

--でも子供は喜んでたんですよね?

:子供は喜んでくれてました(笑)。

--猪狩さんは、今のバンドシーンに対してどんな印象を?

猪狩秀平:ちょっとファストファッション化してる感じはしますね。往年の方とか中堅ぐらいの方はめっちゃ個性あるんですけど、ほんまのオリジナリティを持ってるバンドがあんまり出て来なくなったのかなって。でもそれは、やっぱりCDが売れないんで、CDに対するお金をかけられなくなってるからでもあるのかなって。レコーディング費用ってクソ高いんで、早く終わらせなきゃいけないんですよ。だからみんな同じ音で録っちゃうんですよね。エンジニアが決めた「はい、このギターで、このアンプ。はい、どうぞ」みたいな。結果、ボーカルの声が違うだけみたいな。だからちょっとファストファッション化してる感じはしますね。誰とは言わないですけど、「これはドラム叩いてないな」って分かるCDとかいっぱいありますもん! この時代、ドラム叩かなくてもエディットしちゃえば音源は出来るんで。結構、そういう音が多いですね。それに気付けないリスナーがいる、ということもすごく寂しいと思うし。リスナーが気付かないから、ミュージシャンがそうするんで。リスナーが気付かないから、みんな口パクとか当て振りでやる。だから「リスナーの耳も悪いな」と思う。

:音楽番組でも、最初のAメロだけ歌って、あとは全部口パクみたいな。あれ、不思議(笑)。

猪狩秀平:俺もめっちゃ思う!「それやったら全部口パクのほうがよくない?」って。

:ああする理由が分からないんですよ!

猪狩秀平:最初はグチャグチャで、後からバッチリ。

--短時間で物凄く成長したのかもしれない。

猪狩秀平:天才や!

一同:(笑)

猪狩秀平:でもフェスとか出てる「俺たちはバンドだ!」と言ってる人とかも、生じゃないコーラス入れてたり、高くて声が出ないところだけ被せてたり(笑)普通にしてるから「いやいやいや!」と思う。しかもそれに感動しているお客さんもいるから、俺は「アホちゃう?」と思ってしまう。

:声が出なくてもガムシャラに歌ってる姿が格好良いのに。

猪狩秀平:そうだよね。だからそうやって誤魔化したりしているバンドを観ると、それはリスナーを裏切ってる行為だと思ってしまう。あんまり気に入らんですね。なので、俺の今の目標は、リスナーがもっともっとレベルの高い奴らになって、凄く良い音楽がいっぱい残っていける。そういう状況にしていくこと。それを目指したいなと思ってます。素晴らしい音楽を地下でやっている人たちがいっぱいいるのに、それを見つけてもらえない状況になってるから、ちゃんとしたミュージシャンがちゃんと評価されるように動いていきたいなと思ってる。「法律、変えたいな」と思ってるぐらい、みんなが活躍できるようにしたいですね。

--そんな変革を要する時代になっている音楽シーンで、HEY-SMITHは『Let It Punk』なる新シングルをリリースすることになりました。これだけ痛快なタイトルと楽曲をこのタイミングで打ち出そうと思ったのは?

HEY-SMITH - Let It Punk (Music Video)
HEY-SMITH - Let It Punk (Music Video)

猪狩秀平:アルバム『STOP THE WAR』が結構シリアスなメッセージだったり、エモい方向性だったので、あれを作ってレコーディングしている最中から「次は明るくて、いぇーい!って感じの曲を出したい」と言ってたんですよ。今回、その通りの曲が出来て、個人的には満足しています。

かなす:底抜けに明るい曲になってて、私もコーラスに参加してるんですけど、それにすごくドキドキしているというか……

猪狩秀平:多分、歌うのが初めてだったんですよ。

かなす:そう! だから恥ずかしいんですよ! 自分の声があんまり好きじゃなくて、それなのにCDに入るコーラスを歌うなんて! っていう感じだったんです。でも意外とやってみたら「気持ち良いかも」と思ったりもして(笑)。声を出すということ自体が、自分の中の新しい表現の仕方として楽しいなって。あと、今回のシングルは「やりたいことやろうぜ」みたいな曲なんですけど、この曲をCDやライブで聴いたりして、その聴いた人が何かしら始められるきっかけになったら良いかなと思っています。

:HEY-SMITHの明るい曲の中でも、明るい部分で幅が広がった曲かなと思っていまして。今まで2ビートでズタンダ!ズタンダ!っていう「これぞメロディックパンク!」みたいな曲は多かったんですけど、こういう明るくてポップな曲はなかったんで「そっちでも幅広がったんや!」と思いました。で、猪狩の声が今までの曲と比べても一番合ってるんじゃないかなって。

--歌詞も今日語って頂いたような話とシンクロしますね。本当に歌いたいことを歌ってる。

:だから合ってるんやろうな。

猪狩秀平:そうかもしれない。「今思ってる!」とかじゃなくて毎日思ってるような、生きている中で普通に思っているような、結構ナチュラルな気持ちを歌ってる。だから別に怒ってる感じでもないんですよ。「テンション高く行こう!」みたいな感じなんで、歌ってて自然かもしれないですね。

--この曲が自分たちのライブではもちろんですけど、フェスなどでどういったリアクションを生めるのかも楽しみですね。

猪狩秀平:めちゃめちゃ盛り上がると思います。

:僕は代表曲になると思ってます。

猪狩秀平:俺もなる気がすんねんけどなー!

:この曲、実はすごくあっさり出来たんですよね(笑)。このあっさり感がある曲は今までも代表曲になってきてるんで。

猪狩秀平:曲の土台は1時間ぐらいでほぼ出来ていて、あとはちょっとメロディー変えたぐらいで「これでいいな」と思ったんで。それぐらい話が早い曲というのは、HEY-SMITHの代表曲になる傾向がある。

:曲を聴いたとき、まずライブをイメージするんですけど、この曲が今までで一番イメージしやすかったです。『STOP THE WAR』のときは、俺もう「ライブできない」と思いましたからね(笑)。「どうしたらいい?」といつも思ってましたから。

--この世界観の中で、いつもの俺のままで居ていいのかと。

:そう! いつも上半身裸なんですけど「服着たほうがいいのかな?」って。でもこれは裸でいい(笑)。

--また、主催イベント【HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2017】(http://haziketemazare.com/2017)が9月10日 泉大津フェニックスで開催されます。今年はどんな内容になりそうですか?

猪狩秀平:毎年そうなんですけど、ライブが格好良くて、人間が格好良い人を呼んでて。だから毎年同じようなメンツを呼ぶことになるんですけど、やっぱり自分たちが格好良いと思う人たちはなかなか格好悪くならないから。なので、1年に1度そのステージで再会することが多いんですけど、それぞれ「この1年で何をやってきたか」という部分の見せ合いみたいな。「俺の1年のほうが格好良かったんちゃうか?」みたいなぶつけ合いになる。ライブはもちろんそうですし、バックヤードでの振る舞い方とか……あ、このフェスではバックヤードに女の子がいるスナックとか用意してるんですよ。カラオケも歌えたりするんですけど(笑)。そこでの振る舞い方もお互い見てる。バンドマンは、24時間バンドマンじゃないとバンドマンじゃないから、そこを1日中ずっと見れる日になるんですよね。打ち上げとかも「こいつ、ちょっとサボってたな」ってすぐ分かるから。

:バチバチやもんな!

猪狩秀平:かなりバチバチなんで、今、ふわふわ話してますけど、ちょっとでもアカンかったら結構怒られたり、周りから「アイツ、なんか変わったな」ってすぐ言われる。そういうバチバチ感が常にあるイベントに今年もなると思います。

--では、最後に。HEY-SMITHの今後の野望がありましたら聞かせて下さい。

HEY-SMITH『Let It Punk』インタビュー
▲左から:かなす/満/猪狩秀平

:やっぱり海外に行きたい。

猪狩秀平:それはそう。でも、君、180度変わったよね?

かなす:海外、あんなにキライだったのに(笑)。

:以前はキライでして。まず英語がわからへん。日本人とのノリがやっぱり違う。

猪狩秀平:6年前ぐらいにフロリダの【FEST】に出たとき、ほんまに「イヤや! イヤや!」言うてて「もうアメリカには来ない」みたいな。

:ライブハウスのトイレもトイレットペーパーが無いとか当たり前ですし、「なんでやねん!」と思うことがいっぱいあって! 飯も合わないし。

猪狩秀平:でも今年2月に3週間ぐらいツアーで海外行って、そしたら「俺はもう住んでもいいと思う」って言い出して(笑)。

:「ライブバンドは行くべきやなぁ!」って思ったんです。だから今はめちゃくちゃ行きたいです。日本のバンドはみんな行くべきなんじゃないですかね?

一同:(笑)

Interviewer:平賀哲雄
Photo:Jumpei Yamada

HEY-SMITH - Let It Punk (Music Video)
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HEY-SMITH「Let It Punk」

Let It Punk

2017/07/05 RELEASE
CBR-84 ¥ 1,188(税込)

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Disc01
  1. 01.Let It Punk
  2. 02.Love Me More But Slowly
  3. 03.Fucked Up Policeman
  4. 04.I’m In Dream (LIVE)

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「今この瞬間をどう生きるか」
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「今までとは違った表現や歌詞の内容も違うメッセージの楽曲を作っていきたい」
全米ALチャート首位獲得!LCDサウンドシステム『アメリカン・ドリーム』発売記念特集
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シーンへの本格的な復帰を果たした21世紀最高のロック・バンドの魅力に迫る
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トマ&クリスチャンが語るライブ体験と尽きないチャレンジ精神。

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