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京都岡崎音楽祭 2017【OKAZAKI LOOPS】ライブ&フォト・レポート



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 6月10日、11日に開催された第二回京都岡崎音楽祭【OKAZAKI LOOPS】。ロームシアター京都や平安神宮など岡崎エリアの会場を使って、J-POPのみならず、クラシック、アート、DJイベント、イルミネーションなどジャンルレスなフェスだ。今年は、昨年好評のAimerが単独で出演した他、新たに沖野修也によるDJイベントや、平野啓一郎『マチネの終わりに』をテーマとした朗読コンサートなど、より幅広いクロスオーバーが開催された。

#DAY 1
【-SYMPHONIC EVOLUTION SPECIAL -高木正勝オーケストラコンサートwith広上淳一× 京都市交響楽団】

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 第一回【OKAZAKI LOOPS】では、【大山咲み(やまえみ)】でホールを自身の住む自然豊かな村へと変身させた高木正勝。第二回【OKAZAKI LOOPS】では、京都市交響楽団、指揮者の広上淳一、そしてゲストにアン・サリーを迎え、自身が手がけた映画『バケモノの子』と、『おおかみこどもの雨と雪』の初となるオーケストラコンサートを開催した。前半は「バケモノの子」から9曲が披露。前半の最後では、今回のステージのためにアン・サリーが書き下ろした歌詞とともに「風は飛んだ」のヴォーカル入りバージョンが初披露された。映像による演出はなく、オーケストラとピアノのみのシンプルなステージだが、目を閉じるとキャラクターの活き活きとした姿が目に浮かぶ。音楽がいかに創造力を刺激させ、映画にとってなくてはならない存在なのかが、改めて実感させられるステージだ。

 休憩を挟み、後半の「きときと-四本足の踊り」で京都市交響楽団の迫力ある演奏に涙ぐんだ高木は、思わず「いい曲ですよね」と想いがこぼれ、会場には温かい笑みが。本編最後はアン・サリーが登場し「おかあさんの歌」がスタート。繊細な高木のピアノと、奥行きのあるアン・サリーの歌声、そして二人を支える京都市交響楽団の相性は抜群で、歌詞の一言ずつが客席に染み渡り、涙を拭う観客の姿も見られた。演奏が終わり、本当はステージを後にするはずが、ほっとした様子で佇んだままの高木。「あ、本当は今の曲でステージからハケて、アンコールをするはずなんでした」と苦笑すると、さらに大きな拍手が。アンコールでは「オーケストラと一緒に演奏する気持ちを皆さんにも体験してもらいたい」と高木の歌に合わせて客席も一緒に歌い、場内は大きな歌声で包まれた。


【渋さ知らズオーケストラ 渋さ版幻想交響曲】

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 不破大輔率いる脱ジャンル集団渋さ知らズ。各地で唯一無二のパフォーマンスを繰り広げている彼らによる【渋さ版 幻想交響曲】が開催された。開演時刻になると、スタッフパスをぶら下げたままなど統一感のない衣装でメンバーがゆるーく登場。玄界灘渡部が「譜面台はありますが、譜面は置いていません。曲順が書いた紙が置いてありますが、その通りにやるかも分かりません」とかますと、爆音の渋さワールドがスタートした。圧倒するような熱量で繰り広げられる音楽と、次から次へと登場するダンサーやパフォーマー。わけは分からないが、癖になるのが彼らの魅力だろう。後半は、3年連続出演中のクラシックフェス【ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン】でも人気のクラシックのカバー曲を披露。ドヴォルザーク「新世界」、ブラームス「ハンガリー舞曲」、ファリャ「火祭りの踊り」などが渋さバージョンで演奏された。アンコールはチャイコフスキー「白鳥の湖」と、ヨハン・シュトラウスII「雷鳴と稲妻」。そしてステージバックが大きく開くと、銀の巨大な龍が登場。客席を幻想的に練り歩き、カオスな2時間半の幕を閉じた。


#DAY 2
【agehasprings produce《node_vol.1》featuring Aimer×LOOPS strings】

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 6月11日のロームシアター京都メインホールで行われた【node_vol.1】は、音楽プロデューサーの玉井健二率いるクリエイター集団<agehasprings>が、日本の文化を京都から世界へ向けて発信することをコンセプトにスタートさせた新プロジェクトの第1弾。“node=交点”ということで、“ワールド・ミュージックとのクロスオーバー”というテーマが掲げられた今回、フィーチャリング・ヴォーカリストにはagehaspringsの長年のコラボレーターであるAimerが迎えられ、演奏陣にはお馴染みのバンド・メンバーに、京都市立芸術大学の学生からなる<LOOPS strings>が加わった。Aimerがストリングスとともにライブを行うこと自体が貴重な機会であることに加え、事前のインタビューで明かされていた通り、中国語での歌唱やわらべうたのカヴァーにも挑戦したこの日のステージは、まさに一夜限り、必見必聴のものだったといえる。

 「歌鳥風月」「zero」「March of Time」などベスト・アルバムに初収録された新曲も披露しつつ、中盤では目玉企画のカヴァー・コーナーを展開。アデルの「Rolling in the Deep」を野間康介のピアノとストリング・セクションの演奏でソウルフルに歌唱したのち、原由子の「花咲く旅路」を中国語でカヴァー。もともとオリジナルが中国でも広く知られていることを受けての選曲とのことだが、なるほどオリエンタルなメロディーや旅愁を感じさせる詩世界が中国語の独特な響きにも不思議とマッチしている。そして最後のカヴァー曲は、京都に古くから伝わるという“わらべうた”の「ひとめふため」。効果音やノイズをサンプリング、さらにはピアノとストリングスの音色でモダンな仕上がりに、かつ原曲の和な雰囲気は壊さずに、ここでもagehasprings所属クリエイターたちがその辣腕を光らせていた。

 アンコールまでを含めて約2時間弱にも及んだ【node_vol.1】。のちのトーク・セッションでも言及されていたことだが、様々な趣向が凝らされていた一方で、“Aimerのステージ”という軸がブレずにいたのは、彼女の歌声がその軸としての強度を手に入れた証でもある。8月には聖地・武道館での単独公演も決まっている、“日本が世界に向けて発信できる”歌姫のタレント性を再認識させられるステージだった。

Photo by 山元裕人


【agehasprings produce《node_vol.1》featuring Aimer×LOOPS strings クリエイターズトークセッション】

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  【node_vol.1】終演後には、企画のプロデュースを担当したagehaspringsのクリエイター陣がステージ制作の裏側や披露された楽曲について解説する【クリエイターズトークセッション】が行われた。登壇したのは、総合プロデュースを手掛けた玉井健二、カヴァー・コーナーで披露された3曲のアレンジを担当した百田留衣、そしてバンド・マスターの野間康介。会場に集まった“コア”なお客さんのための、ある意味ネタバレ・トークということで詳細はここには記載しないが、プロデューサー、アレンジャー、バンド・マスターそれぞれがどんな役割を果たしているのか、さらには実際にProToolsでデモ音源の制作過程を再現しつつの楽曲解説、ステージ/音源制作におけるやり取り等、「そこまで話していいの?」と思わず言いたくなるようなことまでをつまびらかにする3人。裏方としてクリエーティブに注力する一方で、ここのところはSNSやメディアでの露出もあってか、あらゆるシーンでその名を見かけるようになった一流クリエイターたちが、手の内を惜しげもなく晒す貴重すぎる機会となった。なお、当イベントの一部がagehasprings Open Lab.オフィシャルサイトにて随時公開される予定となっている。

Photo by 山元裕人


【『マチネの終わりに』を聴く-朗読会×ギターコンサート】

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 平野啓一郎の長編小説「マチネの終わりに」。本作は、ギタリスト薪野とジャーナリスト洋子による大人の恋愛小説だ。OKAZAKI LOOPSの2日目の夕方、京都国立近代美術館1階ロビーで著者自身による朗読と、著者が執筆に至るきっかけとなったギタリスト福田進一によるコラボ公演が行われた。著作者の世界観に触れられる貴重な機会に、当日券は完売。ロビーの特設会場は満席の客で埋め尽くされていた。シンプルなステージに平野と松川浩子(MBS)アナウンサーは登場、2人による朗読が暮れなずむ近代美術館ロビーに響き渡り、場内が心地良い静寂と美しい言葉の数々で埋め尽くされていく。福田は、本編に登場する楽曲の中からバッハ「無伴奏チェロ組曲第3番BWV1009よりI.プレリュード」や、「この素晴らしき世界」、そして本編唯一の架空の曲である「幸福の硬貨」などで2人の朗読を彩った。

 約1時間の朗読コンサートを終え、後半は2人によるトークショー。ストックホルムで初めて会ったという2人の出会いから、本作が完成するまでの経緯などが語られた。執筆前にギター演奏家として福田は平野に対し「どんなストーリーでも良いけど、主人公を殺すのだけはやめてくれとお願いした」と懇願したと明かすと、先ほどの演奏姿とのギャップに会場は思わず笑いに。平野は「音楽は憧れの世界。福田さんにも相談しながらクラシックギターを買い、弾きながら執筆を進めた」と完成までのエピソードを明かした。平野は、デビュー作となる『日蝕』で第120回芥川賞を受賞して以降、様々な作品を執筆しているが、作品によって「感動したけど、もう読みたくない」と言われることもあれば、「何度も読み直している」、「1ヶ月経っても作品の余韻が残っている」と反応が違うそう。『マチネの終わりに』は後者の声が多いと言い、今回の朗読ではインターネットに投稿された読者の声が走馬灯のように蘇り感動したと今回の朗読コンサートの感想を述べた。


【OKAZAKI LOOPS フォトレポート】

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山咲み
高木正勝「山咲み」
2017/03/26
[DVD]
¥4,860(税込)
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YMENE
高木正勝「YMENE」
2017/03/26
[CD]
¥3,024(税込)
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山咲み
高木正勝「山咲み」
2017/03/26
[DVD]
¥4,860(税込)
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daydream
Aimer「daydream」
2016/09/21
[CD]
¥3,600(税込)
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daydream
Aimer「daydream」
2016/09/21
[CD]
¥4,600(税込)
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daydream
Aimer「daydream」
2016/09/21
[CD]
¥3,000(税込)
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蝶々結び
Aimer「蝶々結び」
2016/08/17
[CD]
¥1,620(税込)
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蝶々結び
Aimer「蝶々結び」
2016/08/17
[CD]
¥1,350(税込)
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insane dream/us
Aimer「insane dream/us」
2016/07/06
[CD]
¥1,620(税込)
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insane dream/us
Aimer「insane dream/us」
2016/07/06
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¥1,350(税込)
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ninelie EP
Aimer「ninelie EP」
2016/05/11
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ninelie EP
Aimer「ninelie EP」
2016/05/11
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¥1,350(税込)
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Aimer「ninelie EP」
2016/05/11
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DAWN
Aimer「DAWN」
2015/07/29
[CD]
¥3,218(税込)
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DAWN
Aimer「DAWN」
2015/07/29
[CD]
¥3,650(税込)
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Brave Shine
Aimer「Brave Shine」
2015/06/03
[CD]
¥1,620(税込)
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Brave Shine
Aimer「Brave Shine」
2015/06/03
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¥1,620(税込)
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Brave Shine
Aimer「Brave Shine」
2015/06/03
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¥1,350(税込)
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誰か、海を。 EP
Aimer「誰か、海を。 EP」
2014/09/03
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¥1,500(税込)
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Midnight Sun
Aimer「Midnight Sun」
2014/06/25
[CD]
¥3,600(税込)
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Midnight Sun
Aimer「Midnight Sun」
2014/06/25
[CD]
¥3,200(税込)
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After Dark
Aimer「After Dark」
2013/11/20
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Private/Public
Takagi Masakatsu「Private/Public」
2013/07/24
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RE:I AM EP
Aimer「RE:I AM EP」
2013/03/20
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¥1,543(税込)
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RE:I AM EP
Aimer「RE:I AM EP」
2013/03/20
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¥1,296(税込)
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RE:I AM EP
Aimer「RE:I AM EP」
2013/03/20
[CD]
¥1,543(税込)
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おむすひ
高木正勝「おむすひ」
2013/02/20
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エアーズ・ノート
高木正勝「エアーズ・ノート」
2006/03/24
[CD]
¥1,944(税込)
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COIEDA
高木正勝「COIEDA」
2004/09/08
[CD]
¥4,104(税込)
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rehome
高木正勝「rehome」
2003/06/25
[CD]
¥3,497(税込)
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