Billboard JAPAN


Special Contents

「奥深きプログレッシヴ・ロックの世界」ライブハウス編

 2016年はキング・クリムゾンやイエス、スティーブ・ハケットが来日し、今年はアンダーソン,ラビン&ウェイクマンやスティック・メン、セキュリティ・プロジェクトの公演が控え、にわかに来日ラッシュで賑わいを見せているプログレッシヴ・ロックを特集する企画「奥深きプログレッシヴ・ロックの世界」。 第4弾となる今回は吉祥寺から徒歩5分のところにある、唯一無二の“プログレ箱”、シルバーエレファントを訪問。店長の木本さんと照明の石丸さんにライブハウスとしての歴史やこだわり、おススメの作品について訊いた。前回のCDショップ編とともに是非チェックして頂きたい。

もともとはライブレストランだった

--まずはシルバーエレファントの成り立ちについて教えてください。

木本:1978年からですので、今年でちょうど39年目となります。創設した当時はライブハウスという言葉がなくて。食事をしながら音楽を聴けるライブレストランとして営業していました。その後レストランとライブハウスが分かれて運営し始め、90年代後半に約20年続けていたレストランは辞め、現在のライブハウスのみの形態となりました。

--創業者はもともと音楽業界にいた方ですか?

木本:私の父なのですが、八百屋をやっています(笑)。もともと営業していた八百屋があって、レストランを作る際に音楽をやれる場所を作ろうと友人と言われ、ライブスペースを作ったようです。父自身はあまり音楽に興味はないのですが…(笑)。

--“シルバーエレファント”という名前の由来はあるのですか?

木本:社長の父が“銀造”という名前なので。そこから取って付けられたようです。ちなみに八百屋のほうは「八百銀」です。

--オープン当初からプログレ音楽を中心にライブをしていたのですか?

木本:前の店長がプログレ好きで。ちょうど1980年前半くらいのプログレが流行っていた時期からやり始めたようです。以前はプログレ一筋でやっていましたが、私が店長になってからは、少しずつ別ジャンルのものもやるようにしていきました。現在はしるコネ”(しるえれコネクションの略でシルバーエレファントで素敵なつながりを増やしていこう、という主旨のもと企画されたイベント)と平行にやっているので、PROGRESSIVE LIVEは月に10本程度ですね。

--プログレを辞めようとは思わなかったですか?

木本:それは全く思わなかったですね。でも働き始めた15年くらい前は、今みたいにライブハウスの数がそこまでなかった時期で。プログレ以外のバンドの方からライブをやりたいという声が増えてきていました。それもあって、私が働き始めてからは、プログレライブも大切にしつつ、その他のバンドも出られるようにしようと決めて、現在のようなスタイルになりました。

--PROGRESSIVE LIVEを観にくるのは、どのような客層なのですか?

木本:やはりプログレ世代の40~50代の方が多いですね。でも、新●月というバンドや黒沢ダイスケProgressive Bandのライブでは、10代くらいの若い世代の方もいらっしゃいます。

--10代のお客さんも来るのですね!

木本:親の影響や少し背伸びをしてジャズを聴くような感覚で聴きはじめるなど様々な理由があると思いますが、ゲーム音楽が好きで、掘り下げていくとプログレに繋がったという若い人が最近増えている気がします。プログレバンドをやりながら、ゲーム音楽を作っているという人がじつは多くて。(ゲーム音楽を作っている)アーティストを辿っていくとプログレに行き着いたっていう話はよく聞きます。

--一男女比はどのくらい違いますか?

木本:アーティストによって変わりますが、女性の方も多くいらっしゃいます。でも、ザ・プログレっていう感じのバンドのライブだと、圧倒的に男性が多いですね。

--一昨年はキング・クリムゾンやイエスなど大御所バンドが来日し話題となりましたが、ここ最近のプログレ・シーンや集客状況はいかがですか?

木本:一時期(2000年代前半)より断然増えました。特に最近では、若い人を見かけるようになりましたね。割合としては1割程度なんですけど、いわゆるプログレ世代ではない若者が徐々に増えて行っているのを見て、プログレ・シーンも活況してきているのかなと感じています。

NEXT PAGE
  1. < Prev
  2. シルバーエレファントのスタッフが選ぶプレイリスト公開
  3. Next >
今後も変わらずにやれればと思います

--“プログレ箱”としてのこだわりはありますか?

木本:ステージの後ろに斜めに設置してある鏡ですね。前の店長がドラマーだったので、上から見られるようにしたいということで鏡が設置されました。バンドの動きを鏡越しに見られるようになっています。ドラマーの菅沼孝三さん、長谷川浩二さん、キーボードの難波弘之さんなど、有名なミュージシャンの方もライブを行うので、その方たちのテクニックを上から見ることができるのはここならではですね。手元はもちろん、ドラムのツーバスを踏む足元も見えるということで、この眺めを目当てにライブハウスに来る方も多いです。ちなみに、PROGRESSIVE LIVEの時は前列にイスを並べています。

--普段のブッキングはどのように行っているのですか?こだわりはありますか?

木本:主には、私がPROGRESSIVE LIVEを担当して、他のスタッフがしるコネを担当しています。最近は出ているバンドの知り合いなど、繋がりで出てもらうことが多いですが、新規のご出演希望ですとYoutubeの映像や音源を送っていただいて、それを聴かせてもらって合いそうな企画がみつかりましたら、お誘いしてご出演いただいています。まずはショーケースから…みたいなこともないですね。あとこだわりというと、対バン形式の場合は、バンドの相性はもちろんですが、バンドさん同士、お客さん同士が仲良くなれそうな、出会いやつながりを第一に考えたブッキングを心がけています。

--シルバーエレファントから有名になったアーティストはいますか?

木本:美狂乱やKENSOなど、日本のあらゆるプログレバンドは出演したと思います。またプログレバンド以外にもT-SQUAREや、最近ではMr.Childrenが初めてライブを行った場所として話題にもなりました。

--来年40周年ですが、何か特別なイベントなどを考えていたりしますか?

木本:そうですね・・・なにかやった方がいいですかね・・・(笑)。今後も変わらずにやれればと思います。1日1日を大切に、たくさんの出会いを作れればいいですね。新しいことをするよりは、バンドの方々に、また出たいと言われるような空間作りをしていきたいですね。

働く前はプログレの「プ」の字も知らなかった

 また、VIENNAやデッド・チャップリン、GERARDなどのベーシストとして活躍している、永井敏己氏を師匠に持つ、シルバーエレファントの照明担当スタッフ、石丸さんに話も伺った。

--石丸さんはいつから働き始めたのですか?

石丸:11年前からです。地方から出てきて、仕事を探していた時に、ちょうどここの前を通って、アルバイト募集の張り紙が貼ってあったので飛び込みました。

--もともとプログレ音楽が好きだったのですか?

石丸:働く前はプログレの「プ」の字も知らなかったのですが、ここに入ってから勉強するようになりました。ここのライブで永井敏己さんの演奏を見て、とても魅了されて。すぐに弟子入りを志願しました(笑)。

--弟子入りとは、具体的にどんなことをしているのですか?

石丸:まだ、ぼくなんかが、弟子なんて呼ばせていただくことも自体申し訳ないのですが、ローディーとして月に1~2回ご一緒したり、スクールでベースを教えて頂いたりしています。おすすめのアーティストなども聞いたりして、そこからプログレの知識を深めていきました。永井さんに出会ったことは、僕にとって人生で一番大きな転機ですね。

--プログレッシヴ・ロックと一言でいっても解釈は様々ですが、石丸さんはプログレッシヴ・ロックという音楽をどう捉えていますか?

石丸:プログレっぽい音楽を聴くと、どういう音楽なんだろうと思ってよく分析しちゃうんですが(笑)。僕の主観として、プログレはもともとクラシカルから派生していて、節目を基本としている音楽だと思うんです。例えば、リズムが4つに対して、メロディが3・5・3・5で切れて鳴るような。メロディとリズムのズレをどう表現するかというのが、プログレッシヴ・ロックだと思っています。このズレがメロディではなく、リズムで起きると途端にジャズになってしまう。こういうところが音楽の凄く面白い所だと思います。まあ、プログレには定義がないので、その人がプログレと思えばそうだと思うんですけどね (笑)。

--特に衝撃を受けたプログレバンドはなんですか?

石丸:UKですね。永井さんにおすすめしてもらって聴きました。僕自身、初めて聴いて衝撃を受けました。今でも好きです。昨年の川崎クラブチッタも行きましたね。あとは、バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソ。イタリアのプログレバンドなんですが、シルバーエレファントのライブでアーティストさんがBGMで持ってきていて、気になってすぐにバンド名を聞いてしまいました(笑)。

シルバーエレファントのスタッフが選ぶプレイリスト

 さらに、プログレを間近で体感しているお2人から、おススメの楽曲を集めたプレイリストも公開!

Billboard JAPANのApple Musicプレイリストはこちらから>>>

スティック・メン「スープ」

スープ

2010/05/26 RELEASE
NNCJ-1205 ¥ 2,808(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Soup
  2. 02.Hands (part 1)
  3. 03.Hands (part 2)
  4. 04.Hands (part 3)
  5. 05.Inside The Red Pyramid
  6. 06.Fugue
  7. 07.Sasquatch
  8. 08.Scarlet Wheel
  9. 09.Firebird (part 1)
  10. 10.Firebird (part 2)
  11. 11.Firebird (part 3)
  12. 12.Firebird (part 4)
  13. 13.Relentless
  14. 14.Tsunami Surfing
  15. 15.Scarlet’s Other Wheel (re-mix)
アンソロジー 2010-2014
スティック・メン「アンソロジー 2010-2014」
2017/03/29
[CD]
¥3,456(税込)
購入画面へ
プログ・ノワール
スティック・メン「プログ・ノワール」
2017/03/29
[CD]
¥2,808(税込)
購入画面へ
スープ
スティック・メン「スープ」
2010/05/26
[CD]
¥2,808(税込)
購入画面へ

Special Contentsmore

小室哲哉×AbemaTV『TK MUSIC FRESH! by AWA』連載第1弾インタビュー
小室哲哉×AbemaTV『TK MUSIC FRESH! by AWA』連載第1弾インタビュー
小室哲哉が語る『TK MUSIC FRESH! by AWA』
スペンサー・ウィギンス初来日記念特集&思い出ソングのプレイリストを公開!
スペンサー・ウィギンス初来日記念特集&思い出ソングのプレイリストを公開!
“サザン・ソウルの秘宝”スペンサー・ウィギンスが奇跡の来日!鈴木啓志氏が軌跡を辿る。
ジャズの帝王マイルス・デイヴィスの甥ヴィンス・ウィルバーン・Jr.にインタビュー
ジャズの帝王マイルス・デイヴィスの甥ヴィンス・ウィルバーン・Jr.にインタビュー
ヴィンス・ウィルバーン・Jr.のインタビューと、バンドメンバー厳選のジャズプレイリストを公開
モーニング娘。'17(小田さくら単独/加賀楓&横山玲奈)『BRAND NEW MORNIN
モーニング娘。'17(小田さくら単独/加賀楓&横山玲奈)『BRAND NEW MORNIN
小田さくら「その歴史を守らないで何がモーニング娘。だ!」加賀楓&横山玲奈「モーニング娘。を引っ張っていける存在に―――」
小室哲哉『JOBS#1』インタビュー(Billboard JAPAN×RakutenMusic/楽天ブックス)
小室哲哉『JOBS#1』インタビュー(Billboard JAPAN×RakutenMusic/楽天ブックス)
小室哲哉、2017年春の音楽論。
マイケル・キワヌーカ 来日直前インタビュー
マイケル・キワヌーカ 来日直前インタビュー
「詞やサウンドの変化は、僕の新たな面だと受け止めてもらえれば」
SPRING FRESHNESS~フレッシュな才能たちによる今春注目の来日公演をピックアップ
SPRING FRESHNESS~フレッシュな才能たちによる今春注目の来日公演をピックアップ
マイケル・キワヌーカ/デヴェンドラ・バンハート/L.A.サラーミ/ユセフ・カマール
japan(finds) vol.14:Stephen Bishop
japan(finds) vol.14:Stephen Bishop
スティーヴン・ビショップが選ぶ”日本人に聴かせたいお気に入りの作品”とは?

Chartsmore