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【再掲】ジュリア・フォーダム リリースから25年を迎える名盤『ポースレイン(微笑にふれて)』本人全曲解説

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 ハスキーで透明感あふれる美しいヴォーカルで聴き手を魅了するイギリス出身のシンガーソングライター、ジュリア・フォーダム。1988年に「ハッピー・エヴァー・アフター」で一躍シーンに躍り出た彼女にとって2ndアルバムとなる『ポースレイン(微笑にふれて)』は、英アルバム・チャートで自身最高位13位に輝き、米ビルボード・アルバム・チャートにも初エントリー。リリースから25年を迎えた今も多くのファンに愛される名盤だ。今作を中心としたステージで2016年4月に来日公演を行うジュリアが、当時の思い出とともにアルバムを全曲解説してくれた。

01. Lock And Key

“この曲は「Girlfriend」と「Manhattan Skyline」と同じ頃に書かれたものなの。当時はアーティストらしく、作曲やレコーディングでニューヨークとロンドンを飛び交う、目まぐるしい生活をしていたわ。この曲には素晴らしいプレイヤー達が勢ぞろいしているの。パーカッションに長年の相棒マイルズ・ボールド、ベースはピノ・パラディーノよ。ギターのドミニク・ミラーには、私が何度もギターを弾くのを止めようとしても、頑なに弾かせようとするその頑固さに何度も驚かされたものだわ。”

02. Porcelain



“この曲はケンジントン・ハイストリートの端にある自宅へ向かっている、ロンドンのタクシーの中でひらめいたものなの。道路が混んでいて、のろのろしていたんだけど、歌の出だしが凄く素敵だったものだから、家に着いた時は、急いで階段を駆け上がってギターのもとへ直行したわ。あっという間に仕上がったのよ。私の代表曲となったこの曲は、制作陣の高いスキルを見せつける素晴らしい作品になっているわ。グラント・ミッチェルがキーボードとアレンジの全指揮を取ったの。ほかにもピノ・パラディーノがベース、マヌ・カチェがドラム、スティングと共演もしたドミニク・ミラーがギター、そしてマイルズ・ボールドがパーカッションを担当しているわ。最強のチームで、みんなが集まった瞬間、「これは私の最高傑作になる」って直感した。ヒュー・パジャムによる素晴らしいミックスも、この曲にもう一味加わっているわ。”

03. Girlfriend



“この曲には、よくライブでも話していた素敵なエピソードがあるの。当時、ジョニ・ミッチェルやスティング、ピーター・ガブリエルらと共演したことがあるドラム界のレジェンド、マヌ・カチェがアルバム参加してくれるっていう話を聞いて、とってもウキウキしていたの。ビッグチャンスだと思ったわ。彼ってフランス語のなまりがとても強くて、ちょっと緊迫した雰囲気だったの。熱心にデモテープを聴いてくれていたんだけど、この曲のデモを聴いている間は、タバコをくわえながら首を横に振り続けたの。「ああ、だめだ。この曲を気に入ってくれなかったんだ」って思ったわ。そして彼はこう言ったの、「悪いけどこの曲は弾けない。弾く気もない」って。その言葉に心底ショックを受けたんだけど、長い沈黙の後、彼はこう続けたのよ、「だって、もうこれで完璧なんだから!余計なことはしたくない」って。結局、ドミニクの家でレコーディングされたデモがアルバム収録されたのよ。何年かして、ドミニクとマヌがバックバンドを務めていたスティングの楽屋を訪ねた時にマヌと再会したの。私の事なんて覚えていないと思っていたけど、声をかけようとしたその瞬間、“Don’t tell your girlfriend about me…”って1コーラス口ずさんでくれた。そして「だから、俺の言ったことは正しかっただろう?」って言ったのよ。ええ、彼のアドバイスは正しかったわ。でも、世界屈指のドラマーを目の前に演奏して拒絶されるのも、なかなかキツかったわ。”

04. For You And Only You

“ロンドンのカムデンにある共同アパートでまだ暮らしていた頃の話。お隣からジュリー・ロンドンの「Cry Me A River」が聴こえてきた時に、この曲のイメージがパッと思い浮かんだの。川の名前をずらっと並べて、それと「誰かを想って涙を流すような感情」とを一つにまとめたのよ。”

05. Genius

“レコーディング作業はとても楽しかった。アラン・アーマンがドラムを務め、アラン・トンプソンが素晴らしいベースを弾いて、マイルズがパーカッションを担当したの。この曲では、愛や人生だけじゃなく、熱帯林伐採に関する深刻な問題を遠回しに伝えたかったの。サーカ・レコーズの共同経営者で、私と契約を交わした張本人であるアシュリー・ニュートンにはとても美しいブラジル人の妻クリスティーナがいて、詞のポルトガル語訳をしてもらうのに適任だった。魅力的な声の持ち主で、彼女に何度も教わったけれど、今でもあの発音で正しいのか自信がないわ。彼女がポルトガル語パートのファーストテイクをものすごい早口で録った時に、「あなたたちの会話を理解しようする私の気持ちがこれでわかったでしょ!」って言ったのを覚えているわ。そのテープを何度も聴いてレコーディングに取り掛かったの。”

06. Did I Happen To Mention?

“この曲だったか「Island」をレコーディングした時だったか定かではないけど、とっても信じられない出来事が起こったの。このアルバムは地球上で最も素敵な場所である、南フランスにあるスタジオ・ミラヴァルで収録したの。当時は今ほど進んだ技術が無かったから、全てアナログで作業していたのよ。レコーディング中、激しい雷雨が起きて、この建物に当たったらすごいよね、なんて話をしてたのよ。そしたら見事に雷がスタジオに直撃して、アルバムのマスター・テープにすごい衝撃を与えたの。テープから声がして、びっくりしたわ。テープの中身が心配でヒステリックな笑いが起きた。神の手によっていじられているんじゃないかってジョークを飛ばし合ったの。そんな心配もエンジニアのグラハム・ディクソンのおかげで吹っ飛んだわ。彼はそのテープをパリまで届けさせて、修理屋に持ち込んだの。そして幸運にも、中身は無事だったわ。”

07. Towerblock



“ライブで歌ってほしいっていうリクエストが多い曲の一つで、結婚式で歌いたいって手紙まで送ってくれる人もいるのよ。そんな大事な日に私の曲を選んでくれるなんて、信じられないくらい嬉しいわ。でもみんな必ず最後の歌詞を変えるって言うのよね。時々、“私を悲しませたりしないってわかる。あなたが私の唯一のタワーブロック(高層ビル)のような大きな存在だから。(And now I know you’ll never let me down. And I can see you’re the only towerblock for me)”と歌詞を変更した新しいバージョンをレコーディングしようかと思うこともあるの。これなら、大きな背中に寄り掛かっているような安心感が最後まで残るし、結婚式にもピッタリの歌になるでしょう。でも、終盤にアッと驚くような展開がある方が私らしくないかしら?”

08. Island

“姉妹愛や女性同士の強いつながりを歌っているの。ボーイフレンドと離れてしまうことはあっても、女友達は絶対に離れないことを言っているのよ。”

09. Your Lovely Face

“このバックコーラスのアイデアを出したのは私なんだけど、完璧を求めるグラント・ミッチェルに結構痛めつけられたわ。だけど、アレンジもこなす彼の強いこだわりのおかげで、私のアイデアが百万倍良くなったわ。私の好きな曲の一つだから、何度も何度も歌った甲斐があったわ。彼のこだわりが作品にも表れているの。あのバックコーラスは私の声であって、彼の声でもあるの。ライブで披露する時はそれが頭の中でずっと流れ続けるの。彼は私の音楽の大切な支えで、最初のアルバム3作品では特にそうよ。”

10. China Blue

“1stアルバムのプロモーションのために初来日した時に書いた曲よ。日本で「Happy Ever After」が1位に輝いたときは、とても嬉しかったわ。日本滞在中に、天安門事件のニュースが世界中に流れて、一般市民の正義感にとても感動したの。これはラブソングに見せかけた政治的な曲なのよ。私の感情の変化と一般市民の男性の勇ましい姿にインスパイアされ、悲しんだ時の感情の両方を、興奮を匂わせるような表現で表しているの。”

11. Prince Of Peace

“「Manhattan Skyline」を収録せず、この曲をアルバム収録したのはおかしいわね。ピノ・パラディーノはヨーヨー・マがベーシストになったような感じね。メロディ豊かな模範的ベーシストで、音に抑揚を持たせる技を持っているの。彼のスタイルが不明瞭なサウンドのスピリチュアルな曲を書こうと思わせてくれた。私がピノを初めて見たのは、私がマリー・ウィルソンのツアーに同行していた時。彼はポール・ヤングと共演していて、そのプレイに圧倒されたわ。当時私はまだ19歳で、レコード契約なんて夢の話だったけれど、その時からずっと彼と一緒に音楽を作りたいって夢見ていたわ。”

12. Manhattan Skyline

“私にコマーシャルなセンスが全くないと分からせる曲ね。レコード会社の希望とは反対に、私はこの曲の出来が本当に気に入らなくて、この曲を選ぶ代わりに「China Blue」と「Prince Of Peace」をアルバムに入れたの。そんなことを許してくれたサーカ・レコーズの優しさに敬意を払うわ! その後、ラジオ局で働くマイケル・プレンとアメリカ・ツアー中に再会したのだけど、私が前回のライブで歌ったこの曲を覚えていてくれたの。キャッチーなサウンドがアメリカで絶対にウケるって思ったらしくて、何としてでもこの曲をアルバムに入れてくれって懇願してきた。どうしてもこの曲をラジオで流したい、この曲を外して『Porcelain』に注目が浴びなくなってしまったらもったいないと説得されて、私も彼の言うことに一理あると気づいたのよ。数ヶ月後、テレビでこの曲がトップ20内にチャートインしているのを知ったときは、大笑いして、画面に向かって投げキッスしたわ。マイケルの言うことを信じてとてもよかった。彼の粘り強さと情熱に今も感謝しているわ!”

ジュリア・フォーダム「コレクション ベスト・オブ・ジュリア・フォーダム」

コレクション ベスト・オブ・ジュリア・フォーダム

2007/03/14 RELEASE
TOCP-53650 ¥ 1,903(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.ハッピー・エヴァー・アフター’98
  2. 02.時のゆくえ(’98ヴァージョン)
  3. 03.マンハッタン・スカイライン
  4. 04.ロック・アンド・キー
  5. 05.微笑にふれて
  6. 06.ガールフレンド
  7. 07.明日を夢見て
  8. 08.すこしだけ大胆に
  9. 09.愛の面影(’98リミックス)
  10. 10.East West-風の道標-
  11. 11.キリング・ミー・スローリー
  12. 12.キッド
  13. 13.気づいてほしいの
  14. 14.愛はミステリアス
  15. 15.ハッピー・エヴァー・アフター(オリジナル・ミックス)

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