『ソウル・トレイン』から飛び出したグループ、シャラマー

▲ 「Second Time Around」 / Shalamar

　アメリカ・イリノイ州シカゴ生まれのジョディ・ワトリーは、8歳ではじめてのステージを経験、1977年に弱冠14歳ながらTV番組『ソウル・トレイン』への出演により、本格的な音楽キャリアをスタートさせる。翌年、番組のブッキング・エージェントであったディック・グリフィーがプロデュースを手掛けるグループ「シャラマー」にボーカル＆ダンサーとして加入。グリフィーらが設立したソーラー・レコードと契約したシャラマーは、1980年に「セカンド・タイム・アラウンド」で、全米ビルボード8位、R&BチャートNo.1となるヒットを記録する。

シャラマー人気は海を渡りイギリスへ

▲ 「A Night To Remember」 / Shalamar

　彼らの人気は全米のみにとどまらず、1982年の「アイ・キャン・メイク・ユー・フィール・グッド」「ナイト・トゥ・リメンバー」などはイギリスでも人気を博し、同年リリースの彼らの代表作でありディスコ・クラシックの名盤『フレンズ』は、ポップ、ディスコ、ソウルというジャンル分けを飛び越え全英大ヒットを記録した。人気グループの“華”として順調なキャリアを歩んでいるようにみえたワトリーだが、次第にグループの音楽性をめぐりレーベルと衝突するようになり、1984年にジェフリー・ダニエルとともにシャラマーを脱退、ソロでの活動を決意する。シャラマー時代、特に人気の高かったイギリスを拠点にソロ活動をスタートするもヒット曲に恵まれず、苦悩の日々を強いられることとなった。

全米ソロデビュー作が大ヒット、グラミー最優秀新人賞を獲得

▲ 「Looking For A New Love」 / Jody Watley

　1986年にMCAレーベルと契約し再び拠点をアメリカに戻したワトリーは、翌年、自身の名を冠したデビュー作『Jody Watley』をリリース。同作からシングルカットされた「ルッキン・フォー・ア・ニュー・ラヴ」が、全米ビルボードチャートで4週にわたり2位のヒットを記録するとともに、シャラマー時代から約6年ぶりにR&BチャートNo.1の座を手にすることとなった。ソロ・シンガーとして再びブレイクの時を迎えたワトリーは、さらに「ドント･ユー・ウォント・ミー」（6位）、「サム・カインド・オブ・ラヴァー」（10位）と、アルバムから3曲が全米TOP10入りとなる快挙を達成し、1988年に行われた第30回グラミー賞で最優秀新人賞を獲得。斬新なサウンドに、モデルとして活動していたこともあるスタイリッシュなルックスもあいまって、新感覚のダンス・ミュージックとしてシーンに受け入れられた。

ヒット連発から自身のレーベル設立へ

▲ 「Your Love Keeps Working On Me」 / Jody Watley

　時代の波に乗ったワトリーは、1989年にリリースしたセカンド・アルバム『ラージャー･ザン･ライフ』からも「リアル･ラヴ」「フレンズ」「エヴリシング」と3曲の全米TOP10ヒットを輩出。また、日本でもラジオでのオンエアやスタイリッシュなミュージック・ビデオが話題となり人気を獲得、「ルッキン・フォー・ア・ニュー・ラヴ」はもちろん、1993年に発表した4thアルバム『インティマシー』収録曲「ユア・ラヴ・キープス・ワーキング・オン・ミー」なども多くのFM局でパワープレイされた。

　こうしてシャラマーの一員からソロ・シンガーとしての地位を確立したワトリーは、1995年に自身のレーベル「アヴィトーン・レーベル」を設立し、5thアルバム『アフェクション』を発表。さらに翌年、ベイビーフェイスがシャラマーの「フォー・ザ・ラヴァー・イン・ユー」をカバー、このレコーディングにシャラマーの初期メンバーであるハワード・ヒューイット、ジェフリー・ダニエルとともに参加し、3人の再集結が音楽ファンの間で大きな話題を呼んだ。

新生シャラマーとして心機一転、新曲も携えて来日

▲ 「Slow Dance」 / Shalamar

　それ以降も「シャラマー」を名乗らずとも十分すぎる知名度とキャリア、数々のヒット曲と華やかなルックスを武器に、今日まで精力的な活動を続けているワトリー。ヒット曲をひっさげてのコンサート活動はもちろん、新作の発表にも常に意欲的だ。

　2013年にはシャラマーのジェラルド・ブラウンをフィーチャーしたディスコ・ソング「Nightlife」を発表し、全米ビルボードのダンス・チャートにおいて自身19曲目となるTOP20入りを獲得。同曲収録のニューアルバム『PARADISE』も発表し、今年10月にはアルバム収録曲「Dancer」のリミックス・アルバムをデジタル・リリースするなど現在もダンス・シーンのトップランカーであり続けている。

　さらに今年4月には「シャラマー」というグループ名で活動する権利を昨年5月に獲得していたことを発表。これを受け、ダンサー＆振付師のロゼロ・マッコイとネイト・アラン・スミスの2人をシンガーに迎えてシャラマーを再始動させた。

　これまで数えきれないほど来日公演を行ってきたワトリーだが、【ジョディー・ワトリー 「シャラマー」RELOADED】と銘打たれた2016年1月の来日公演は、新生シャラマー結成後、初の来日公演となる。心機一転ブラッシュアップされた歴代のヒット曲はもちろん、シャラマーとして20年以上ぶりとなる新曲「Slow Dance」の披露にも期待がかかる。