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「皆が思っているより強い人間だ、ということ証明できた」― 最新作、初公認映画、チャック・ベリーをブライアン・ウィルソンが語る最新インタビュー

>ブライアン・ウィルソン 最新インタビュー

 アメリカ出身のグループとしては最多の54曲を米ビルボード・シングル・チャートに送り込んだビーチ・ボーイズの中心人物で、ポップ・ミュージック界の伝説的ソングライター、プロデューサー、アレンジャー、パフォーマーであるブライアン・ウィルソン。幼い頃に父親から受けた虐待、鬱病、幻聴、薬物中毒、弟の死、離婚など、壮絶な人生を歩んできた彼が、“ヒーリング”と表現する最新作『ノー・ピア・プレッシャー』が4月8日にリリースされた。
 ソロ・スタジオ・アルバムとしては11作目となる今作は、ビーチ・ボーイズのアル・ジャーディン、デヴィッド・マークス、ブロンディ・チャップリンに加え、自身の子供たちが聴いていた音楽がきっかけとなって巡り会った彼を慕う若い世代のアーティストたち―シー&ヒム、ファン.のネイト・ルイス、ケイシー・マスグレイヴスなども参加した意欲作。彼の苦悩の日々と再生を描いた初公認の自伝映画『Love & Mercy』の公開(日本公開は8月)も控える中、最新作や映画はもちろん、現代の音楽ビジネスや今後の取り組みなどについて話してくれた。

音楽をやり続け、音楽に対する信念を貫けたことを
誇りに思っている

No Pier Pressure (Behind The Scenes Part 1)
▲ 「No Pier Pressure (Behind The Scenes Part 1)」

??最新作『ノー・ピア・プレッシャー』のアルバム・ジャケットを見て驚いたファンもいると思います。設定はビーチなのですが、太陽やサーファーおろか、人がまったくいません。これは、キャリア初期に収めた成功のきっかけとなった陽気な音楽を“再現”しなければならないというプレッシャーを拒む、あなたなりの方法なのですか?

ブライアン・ウィルソン:その解釈、とても気に入ったよ。タイトルは、娘が思いついたのもだけれど、単なるしゃれ(“peer pressure=同調圧力”と“pier=桟橋”をかけたもの)以上の意味を持つものだと感じたんだ。今作が、11枚目のスタジオ・アルバムだと訊いた時に、深刻に語りたいと思えるものがあると気づいた。どうだろう、“深刻”って言葉は適した表現ではないかもな、“ヒーリング”の方があっているかもしれない。

??映画『Love & Mercy』の大半は、あなたが患っていた鬱病についてですが、作品に対してどう思いましたか?

ブライアン:ダークな部分に焦点があたりすぎではないか、とは思ったけれど、総体的には気に入ってる。特にスタジオで作業しているシーンはね。私自身が公認した映画だが、正直な話、必要以上にヘヴィーな内容だったと思う。とは言え、脚本には関与していなくて、妻(1995年に結婚したメリンダ・レッドベター)に任せていた。私が思うに、著名人の人生というのは、他人の解釈にゆだねられるものなんだ。他人が自分をどう見るか、というのはコントロールできないし、コントロールしたいとも思わない。

??内容がヘヴィーだ、というのは、アルバムについても言えることではないのでしょうか?

ブライアン:そんなことはない。アルバムは、愛と理解についてだ。「This Beautiful Day」という祈りの曲で始まり、同じく祈りの曲である「The Last Song」で終わる。太陽の日差しのようなメロディと天にも昇るようなハーモニーに満ちた、この美しい一日がずっと続くように、と祈るところから始まっている。最後の曲は、踏ん張り続けることが出来れば、すべてうまくいく―不安が和らぎ、恐れも消えゆく、という具合に希望とともに幕を閉じるんだ。

The Right Time ft. Al Jardine, David Marks
▲ 「The Right Time ft. Al Jardine, David Marks」 (Lyric Video)

??他界してしまった弟たち、カールやデニス向けて歌っているのですか?父親に?母親に?過去のバンド・メンバーたちにむけて?

ブライアン:皆に向けて歌っているよ。それに加えて、聴いて驚くかもしれないが、潜在的な性的緊張感を持ちつつ歌っている。このフラストレーション、抑圧されたパッションは、私の多くの曲から感じ取れると思う。これまで、このことを批評家に指摘されたことはないが、アーティストに聴こえているものが、同じように批評家にも聴こえていることは稀だから。

??このアルバムを聴いて、過去の思い出に浸るようなことはありますか?

ブライアン:たまに浸ることもあるけれど、その反対の場合が比較的多い。私は2015年に生きている、それは素晴らしい気分だ。今まで生き延びてこれたことを誇りに思っている。大いにね。一つだけではなく、一生分の荒波を乗り越えたことを誇りに思っている。音楽を作り続け、音楽に対する信念を貫けたことを誇りに思っている。そして、皆が思っているより強い人間だ、ということ証明できたことは、誇りに…とても誇りに思っているよ。

??近年の音楽ビジネスについてはどうお考えですか?

ブライアン:率直な話、今のビジネスとその様々な形態には困惑している。私がラジオを聴くのは稀だが、聴く時はオールディーズ専門の局にしがちだ。それはそれでいいと思う。先ほど、私が話した感傷的なフィーリングやノスタルジアの話に戻るが、私はそれらを受け入れているんだ。

??“喪失”というのは、自身の作品の中で大きなテーマだと感じますか?

ブライアン:もちろんだ、同時に自分が得たものもテーマの一つなんだ。私の作品に悲しみはつきものだ。その中から、感傷というフィーリングを得ることができた―その感情を得ることができたと感じるんだ。過去を振り返ることは美しい行為で、そうした時に、正直であれば、真実を目の当たりにする。美しい思い出と傷みの瞬間が絡まり合う時。失った人々。壊れた関係性。その中で、再スタートした関係もある。暗闇に包まれた長い夜の終りに姿を現す新たな一日。

On The Island
▲ 「On The Island ft. She & Him」 (Lyric Video)

??人生のほとんどを恐ろしい声や幻聴などに悩まされてきましたが、ハーモニーを奏でる必然性というは、これらの声を抑制するためでしょうか?

ブライアン:音楽が逃避する手段か、と訊いているんだったら、その通りだ。我々は、心地よく、魂が浄化されるような音を作ることで、自分を嫌な気分にするものから逃れようとしている。新曲の一つ「One Kind of Love」では、「Driftwood floating on the sea/Searching for the me, and all that I have known to be ... thank God you noticed me and brought back harmony to this lonely song」と書いたが、この“you”というのは、誰か特定の人間を差しているわけではない。私のファンのことだ。私が奏でるハーモニー―私の多様な歌声―は、彼らの声を自分の作品に取り入れる私なりの方法で、私とファンとの間に生まれる神秘的な繋がりなんだ。

??今後について教えてください。次は、何をされるのですか?

ブライアン:さらに過去を振り返る。チャック・ベリーの音楽を祝福するようなもの―ザ・ビーチ・ボーイズの根幹であるロック・リズムの原点と自分を再び結びつけてくれるようなアルバムを作りたい。「Surfin’ U.S.A.」は、チャックによる「Sweet Little Sixteen」のグルーヴとメロディを元に作った曲だ。チャック、そしてフォー・フレッシュメンから学んだハーモニーが、バンドのサウンドを確立する手助けをしてくれた。「Johnny B. Goode」を再びプレイしてみたいね。ソングライターとして、私が影響を受けた人間は数少ないが、チャックはその中で一番重要だ。プロデューサーとしては、レコードにどのようなフィーリングを持たせるか、という感性の部分の面で影響を受けている。私がじっくりと研究したプロデューサーは他に2人しかいない。一人はフィル・スペクターで、トラックの作り方、そして俗に“バロック”バックグラウンドと呼ばれるものを作ることを教わった。二人目は、フランキー・ヴァリ&ザ・フォーシーズンズなどを手掛けたことで知られるボブ・クルーだ。彼には、ホーンを用いて、全体のサウンドを研ぎ澄まさせ、形どっていく手法を学んだ。

??映画『Love & Mercy』の中で、妻となるメリンダに出会うものの、自分の想いを表現することが出来ないという印象的なシーンがありますよね。代わりにあなたは「Lonely, scared, frightened(孤独、怖い、怯えている)」という3つの言葉をカードに書きます。もし、今日カードを渡されたとしたら、現在の精神状態を3つの言葉を使ってどの様に表現しますか?

ブライアン:「Thank you, God, for another day.(ありがとう、神様、新たな1日を)」

Q&A by David Ritz / 2015年4月3日 Billboard.com掲載

"No Pier Pressure" (Album Trailer)

ブライアン・ウィルソン「ノー・ピア・プレッシャー」

ノー・ピア・プレッシャー

2015/04/08 RELEASE
UICC-10017 ¥ 2,700(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.ディス・ビューティフル・デイ
  2. 02.ランナウェイ・ダンサー feat.セブ
  3. 03.ホワットエヴァー・ハプンド feat.アル・ジャーディン&デヴィッド・マークス
  4. 04.オン・ジ・アイランド feat.シー&ヒム
  5. 05.ハーフ・ムーン・ベイ feat.マーク・アイシャム
  6. 06.アワ・スペシャル・ラヴ feat.ピーター・ホーレンス
  7. 07.ザ・ライト・タイム feat.アル・ジャーディン&デヴィッド・マークス
  8. 08.ゲス・ユー・ハッド・トゥ・ビー・ゼア feat.ケイシー・マスグレイヴス
  9. 09.ドント・ウォリー
  10. 10.サムホエア・クワイエット
  11. 11.アイム・フィーリング・サッド
  12. 12.テル・ミー・ホワイ feat.アル・ジャーディン
  13. 13.セイル・アウェイ feat.ブロンディ・チャップリン&アル・ジャーディン
  14. 14.ワン・カインド・オブ・ラヴ
  15. 15.サタデー・ナイト feat.ネイト・ルイス
  16. 16.ザ・ラスト・ソング
  17. 17.イン・ザ・バック・オブ・マイ・マインド (海外デラックス盤ボーナス・トラック)
  18. 18.ラヴ・アンド・マーシー (海外デラックス盤ボーナス・トラック)

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