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【#BJMA】2014年ビルボードジャパン・チャート解析/高野修平

【BJMA】特集


SEKAI NO OWARIが描いた物語に
次々とファンが参加していくのを示す3つの指標チャート


 今年2014年にもっとも躍進したアーティストのひとつといえば、「SEKAI NO OWARI」だろう。年末の大型歌番組を始め、紅白にも初出場した彼らは立て続けにシングルを切り、日本中に「SEKAI NO OWARI」を知らしめた1年だったといえる。

 本チャートを見ると、「SEKAI NO OWARI」がターゲット向けて描いた音楽の届け方の物語と「SEKAI NO OWARI」がいかにして「世の中ゴト化」していったのかの背景が見えてくる。

 ここでは彼らの代表曲である「RPG」を分析してみよう。 使う指標はシングルとダウンロードの売上である「S+D」とPCにCDを読み込んだ回数であるLook Up「LU」、そしてアーティスト名と楽曲名が両方つぶやかれたTweet数の「TW」の3つの指標から考えてみたい。

 「RPG」に限らず、「SEKAI NO OWARI」のチャートを見てみると、「LU」→「S+D」→「TW」という流れで「SEKAI NO OWARI」のターゲットに音楽が浸透していく様子がわかる(SEKAI NO OWARIが浸透すればするほどLUが増えていく。理由は後述)

 まず「RPG」に至る以前に、彼らが培っていきた大切な「SEKAI NO OWARI」のコアファンがリアルでソーシャルメディアで「SEKAI NO OWARI」を伝導していく。そこにマーケティング要素が絡めあい、顕在層を多く生み出す。そこにコアファンの貸し借りやレンタルショップでの「LU」が回転し始める。

 これはまだ「SEKAI NO OWARI」にお金をあまり落とさない層だ。同時にここではYouTubeが掛け合わさっていることを忘れてはならない。その結果、顕在層だったファンがライトファンへと移行する。(ライトファンとは、アーティストの代表曲を数曲知っている状態)それが「TW」につながっていく。そして、まずは一曲を購入する流れがフィジカルであれ、ダウンロードであれ、生まれていく。

 「SEKAI NO OWARI」のターゲットは主に10代である。よって、音楽に対するお金の使い方や限度がそう広くはない。YouTube世代と言われるジェネレーションだ。彼らは基本音楽にお金をあまり支払わない。どんなに気に入ってもYouTubeをエンドレスリピートで構わない。しかし、必ずしも全員がそうではない。特に「SEKAI NO OWARI」は、だ。 それは彼らの音楽や世界観がターゲットの中で「人生の一部となっている」からだ。 無料ではコト足りないほど、自分の中で「SEKAI NO OWARI」が必要な理由が生まれているからである。それが「SEKAI NO OWARI」のまさにセカイなのだ。

 「世の中ゴト化」というのは、誰に話しても知っているという状態をさすが、その分「浮動層」というゾーンのボリュームが大きくなる。

 よって、必然的にまずはお金を使わないYouTubeや少額のレンタルの「LU」が稼動していうくことになる。だが、そこから「SEKAI NO OWARI」はシングル「スノーマジックファンタジー」「炎と森のカーニバル」「Dragon Night」をリリースし、各種フェスに出演、メンバーのTwitter開設、漫画、マスメディアへの露出など、リアル、ソーシャルメディア、マスメディアと全方位的に音楽を届け、ソーシャルメディア上の話題を拡張し、「浮動層」を「自分ゴト化」へ転換し、どんどんライトファンやミドル、コアファンへと移行させているのである。

 そう、このチャートでわかることは、次々と「SEKAI NO OWARI」が描く物語に参加していくファンが増加し、途切れていないということなのである。

 「RPG」で特筆すべき点は、「S+D」と「LU」、「TW」の3つの指標が常に連動していることにある。かつ、「SEKAI NO OWARI」がここまで躍進した理由は楽曲の強さはもちろんだが、この三位一体型が45週以上も維持されている点だ。これは「SEKAI NO OWARI」が常に誰かの言の葉の乗り、「SEKAI NO OWARI」がコアファン、ライトファン、顕在層の中で見事な「自走」をしているからである。

 どこかが飛び抜けて高いのではなく、常にこの「S+D」「LU」「TW」が三位一体型となり、サイクルしているのである。そこをさらに拡張してニュースとマスメディアマーケティングがボンドのように接着して「SEKAI NO OWARI」の「世の中ゴト化」が生み出されていく。

 そして、ついに2015年1月14日(水)に満を持して2年7ヶ月ぶりにニューアルバム「Tree」を発売する。

 一貫して展開する圧倒的な世界観の構築力、ターゲットの心をつかむ歌詞やメロディ、マスマーケティングとソーシャルメディアマスマーケティング、そして最大にして唯一無二のSEKAI NO OWARIの物語。2015年のSEKAI NO OWARIの物語は何を描いてくれるのだろう。

BJMA2014


プロフィール写真

高野修平 トライバルメディアハウス/シニアプランナー/音楽マーケター。 「音楽の明日を鳴らす」&「ソーシャル時代に音楽を売る7つの戦略」を刊行。最新作は『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング』。THE NOVEMBERS、蟲ふるう夜に、Aureoleのコミュニケーションデザインを担当。M-ON番組審議会有識者委員。

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